ランドクルーザー プラド(LAND CRUISER PRADO)は、トヨタ自動車が1990年から2023年まで生産していた中~大型スポーツ・ユーティリティ・ビークル(SUV)である。
ランドクルーザーシリーズのうち、ライトデューティ用途として位置付けられたオフロード向け車両である。
ランドクルーザー 70系の派生車種として登場。日本国内では「プラド」と略称で呼ばれることが多い。
ランドクルーザー70系の足まわりを軽量化し、ハイラックスサーフやブリザードと共通のパワートレインを載せ、乗用車化したモデルであった。当初は仕向け地によって「ランドクルーザーワゴン」、「ランドクルーザーII」、「バンデラ」の呼び名を使い分けていた。本流であるヘビーデューティーな70バン系との区別のため、トヨタでは、バン[注 1]を「70ヘビー系」、ワゴン/プラドを「70ライト系」と呼ぶ(70プラド登場以降の新型車解説書にも明記)。
日本車のクロスカントリーモデルとして初めて4輪コイルリジッドサスペンションを採用するなどの先進的な一面も持つが、同社のダイナやコースター[注 2]と共通のエンジンを持つ貨物登録である70ヘビー系と比べると、高価な割りに非力さばかりが目立つ結果となり[注 3]、ヘビー系とほとんど変わらない無骨な内外装であることや、2ドア・ショートモデルのみであったことなどが災いし、日本国内での販売台数は伸びなかった。
一方、日本国外向けにはガソリンエンジンやターボなしのディーゼルエンジンに装備を簡略化した簡素な内外装を組み合わせたグレードも多く存在し、三菱・パジェロやいすゞ・ビッグホーンに伍して、廉価で軽量なランクルとして支持を得た。
日本国内での局面が変わったのは1990年(平成2年)4月のマイナーチェンジ以降で、セミロングホイールベースの4ドアモデルの投入に加え、大幅なフェイスリフトや電子制御式燃料噴射ポンプによるエンジンでパワーアップを図り、さらに「プラド」のサブネームを掲げたことで、一気に人気モデルの仲間入りを果たした。
2代目(90系)では、さらにエンジン、フレーム、サスペンションにいたるまでハイラックスサーフ / タコマグループとの共有化が進んだ。上級グレードへのV型6気筒ガソリンエンジンの搭載をはじめ、脱業務用途的なスタイリングの採用など、ランドクルーザーシリーズのなかでは欧州向けSUVとしての性格が強まり、当時、大人気を誇っていた2代目パジェロのシェアを奪うほどの大成功を収めた。
ショートホイールベースの3ドアと、ロングホイールベースの5ドアがあるが、ショートホイールベースはハイラックスサーフには存在しない。ソフトトップ(幌モデル)やFRPトップは70ヘビー系とボディーを共有していた初代のみで、2代目から廃止された。
3代目(120系)では、オフロードの走破性だけではなく、オンロードでの操縦安定性や静粛性も重視され、欧州ではサブネームである「プラド」を称せず「ランドクルーザー」として販売されていた。
4代目(150系)では、KDSSやマルチテレインセレクトなどの電子デバイスを最上位グレードだけに搭載し、ライトデューティなランクルの悪路走破性を本格的なものへと高めた。しかしシートは総革製でハンドルも革と木目調で、泥など過酷な条件により適合する布地シート付きのグレードではこれら悪路走破性を高める機能は選べず、電動サンルーフのオプションがあるなど、ちぐはぐな面も見せる。
2015年(平成27年)のマイナーチェンジから新型ディーゼルターボエンジンを搭載。V6ガソリンエンジンは廃止となった。
悪路走破性と信頼性の高さから、120系に引き続き、欧州ではサブネームである「プラド」を称せず「ランドクルーザー」として販売されている。2012年のダカール・ラリーでは、市販車無改造部門の常勝チームであるトヨタ車体・チームランドクルーザーの7連覇を阻止し、2013年も連覇したのはスペイントヨタの運用するプラドであったことからも、その走破性の高さは窺える[1]。
駆動系は、全車2速の副変速機付きトランスファーと、3代目以降はボッシュ(旧ゼクセル。現・ジェイテクト)のトルセンギアを用いた、センターデフ式フルタイム4WDを採用しており、ドライブトレインを共有するハイラックスサーフやFJクルーザーに見られる2WDモデルはない。
2023年(令和5年)8月2日、後継車となるランドクルーザー250が発表され、日本国内向けについてはプラドのサブネームが廃止された。 海外向けでも廃止となったケースはあるが、オーストラリア・南アフリカ・中東などの地域ではプラドのサブネームが残った。
フロントグリル、フロントフェンダー、エンジンフードを新デザインのものに変更、ヘッドランプも丸型2灯から規格型の角型2灯に変わり、より乗用車テイストへと大きく印象を変える。
生産終了から20年以上が経過し、旧車に分類されるようになった時点でも人気は高く、中古車市場において高値で取引されていた。
欧州をメインマーケットとするため、トヨタ モーター ヨーロッパ(TME)のデザイン拠点である、ED2(イーディースクウェア)のデザイン案が採用された。
欧州諸国の多くではサブネームが付かない「ランドクルーザー」の車名で販売され、併売となる100系は「ランドクルーザー100」、「ランドクルーザー・アマゾン」、200系は「ランドクルーザーV8」などのサブネーム付きの名称となる。
北米向け(アメリカ、カナダ)には、120系の4ドアモデルにV型8気筒 4.7 Lの2UZ-FEエンジンを搭載したモデルが、レクサス GX470として導入されている。
海外向けには、プラドに限らず全クラスのランクルで伝統的にSTD(スタンダード)をはじめとするロワーグレードの設定が多く、120系では、国内モデルには存在しない旧世代の1KZ-TE(3.0 Lディーゼル、96 kW/135 ps)および、5L-E(3.0 Lディーゼル、70 kW/95 ps)エンジン搭載車、エアバッグ表記のレス仕様(主に中東地区向。エアバッグ機能あり)、ABSなし(LSPVは装備)、サイドステップなし、オーバーフェンダーなしのナローボディー、ビニール内装、フロントベンチシート、荷室向かい合わせシート(ショート7人 / ロング10人乗り)などのバリエーションがある。
2009年9月におよそ7年ぶりにモデルチェンジを果たし、4代目となった。この代から日本国内向けは3ドアショート車が廃止され(欧州中心に海外向けは継続)、同年8月に廃止されたハイラックスサーフの受け皿をも兼ねることとなる。プラットフォームやエンジンは先代を踏襲しつつ発展させ(キャリーオーバー)、「いつでもどこへでも行ける安心感と快適性」を備えたクルマとなったとメーカーは発表している。
新たに、直前側方死角もカバーするマルチテレインモニターやワイドビューフロント&サイドモニターを装備したことで、先代以来装備されていた助手席側フロントフェンダーのサイドアンダーミラーを無くした最上位グレードを用意したが、これは最上位グレード一種に限られ、残りの全グレードは依然としてサイドアンダーミラーを保安基準上の死角補助のために必要とする。
内装ではセカンドシートに足元スペースを広めるスライド機構と、3列目への乗降性を高めるウォークイン機構を助手席側に備えたほか、サードシートはスイッチ一つで格納・復帰できる電動フロア格納機構を採用するとともに足元を50 mm低床化して着座姿勢を改善した。
直4 2.7 L車は「平成22年度燃費基準+10%」を、V6 4.0 Lは「平成22年度燃費基準+5%」をそれぞれ達成し、燃費性能を向上したほか、VSC・TRC、7個のSRSエアバッグ、運転席・助手席のアクティブヘッドレスト、ミリ波レーダー方式のプリクラッシュセーフティシステムを新たに設定し、安全性能も向上した。また4.0 Lの1GR-FE型は今回のモデルではレギュラーガソリン仕様となり、出力は276 ps(203 kW)/5,600 rpm、38.8 kg・m(380 N・m)/4,400 rpm、10/15モード燃費も8.2 km/Lと、それぞれ先代モデルのハイオク仕様を上回った。
プラットフォームを共有していた日本仕様のハイラックスサーフの生産終了に伴い、国内仕様のみ生産拠点が田原工場から(ハイラックスサーフの廃止で生産設備の空いた)日野自動車の羽村工場に移転した[注 6]。
トヨタ店にて販売。なお、ブリザードの後継車種として、2004年4月までビスタ店でも取り扱われていたが、ネッツ店との併合に伴い販売を中止していた。
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