SAI(サイ)は、トヨタ自動車が製造・販売していたセダン型のハイブリッド専用車である[1]。
トヨタブランドとしてはプリウスの発売以来12年ぶり、2車種目のハイブリッド専用モデルとして2009年(平成11年)に発売された。代目プリウスの上位クラスに位置するアッパーミドルクラスのハイブリッドカーとして販売されており、先に発売されていたレクサスブランドのハイブリッドカー、HS250h(以下HS)とは姉妹車の関係にある。なお、本車種は日本国内専売である。
開発担当のチーフエンジニア(主査)はかつて同社の小型4ドアサルーン「プログレ」の製品企画部門の主担当員を務めた経歴を持ち[2]、1990年代にデビューしたプログレの理念を2000年代のデザイン手法や技術で復活させた車といえるものである。プログレの理念に通ずる「小さな高級セダン」を作ることから構想が始まったため、当初はハイブリッド専用車とは決まっていなかった[2]。トヨタのハイブリッド車のラインナップにおいて、クラウンハイブリッドとプリウスの間を埋める中間車種としての役割も担っていて、月間販売目標は3,000台と発表されている。
正式発表の前にニューモデルマガジンX誌などにおいて「HSのトヨタ版」という紹介がなされたため、HSをトヨタ用にスタイリングし直したのみの、別ブランド向け廉価版と思われがちであるが、企画構想はSAIの方が早く[2]、開発はHSとほぼ同時並行[2]で、ボディやインパネなどのデザインも一から行われ、シャシもSAI独自の設計で開発されている[2]。ただしプラットフォームやその他メカニズム、フロントドアなどボディの一部はHSと共通であり、「姉妹車(兄弟車)」と呼べるものである。HSが先行発売となった裏には、SAIの販売は当初1チャンネルのみの予定であり、途中でトヨタの全チャンネルからの販売へと変更されたことが原因で遅れたためで[3]、実際には「HSの廉価版がSAI」というよりも、「SAIをベースにした高付加価値版がHS」というのが実像に近い[2]。
登場後はクラウンよりも維持費が安く、室内空間にも余裕があり、同時に環境問題に配慮していると言うイメージアップ効果もあるため、首都圏を中心に、法人・個人を問わず、タクシーとしての需要があった。また、後期型は、内閣総理大臣等の要人警護車輛(黒塗り)として、警視庁に数台が採用されている。
プラットフォームはプリウスやHSと共通の新MCプラットフォームを採用しており[4]、パワートレインなどをHSと共有している。
基本となるハイブリッドシステムは、3代目プリウスと同型のリダクション機構付THS IIであるが、エンジンはプリウスの直列4気筒1.8 L・2ZR-FXE型エンジンに対して、HSやエスティマハイブリッド、そして日本国外専売のカムリ・ハイブリッドなどにも採用された、直列4気筒2.4 L・2AZ-FXE型エンジンを搭載する。このため、プリウスよりもハイパワーでありながら軽自動車や1,000 ccクラスのコンパクトカーに匹敵する低燃費(JC08モード燃費で22.4 km/L)を実現した。また、平成27年度燃費基準+20 %を達成し、同時に平成17年度基準排出ガス75 %低減レベル(☆☆☆☆)認定も取得した。なお、プリウスやHSに装備されている「POWERモード」のスイッチは省かれているが、後期型ではHS共に「SPORTモード」としてPOWERモードが搭載される。
ハイブリッド専用車であるが、エクステリアは2代目以降のプリウスのような5ドアハッチバックの「トライアングル・シルエット」ではなく、初代プリウス以来の保守的な4ドアノッチバックセダンのスタイルを採用した。
基本的なボディシェルはHSと同じで、かつ全体的なフォルムも酷似しているが、寸法はHS比で全長-15mm、全幅-15mmとそれぞれ短縮、全高も10mm低められた。空力性能はCd値0.27とHSと同一の数値である。またHSと同様、さらなる空力性能の向上に寄与するフロントバンパースポイラーやリアスポイラーも装着する(AS Packageのみ)。また、プリウスに続いてLED式ヘッドランプ(G系に採用、S系はディスチャージヘッドランプとなる)を搭載した。外観デザインでは近年のトヨタのデザイン哲学である「ヴァイブランド・クラリティ(活き活き・明快)」を踏襲し、3代目プリウスと同様の完成されたモノフォルムである「トライアングルシルエット」に対し、あえてトランク部を組み合わせることで、「パーフェクト・インバランス(崩しある完成)」や「インテグレーテッド・コンポーネント・アーキテクチャー(主張ある調和)」を追求したという[2]。
後期型は、前期型が開発コードネームであり、同時に車名の由来でもある「才」の色が強すぎた反省から、プリウスのDNAに頼ることなく(もうひとつの車名の由来でもある)「彩」に重きを置いた大胆なデザインとされ[5]、ヘッドライト、リヤコンビネーションレンズとも横一直線につなげ、サイドのショルダーラインに中継することでボディを大きく見せるように工夫した。また、フロントグリルに内蔵されるLEDは全体的に均等に光るのではなく、発光部分から徐々にフェードアウトしていくが、これは書道の筆遣いを意識している[6]。また、ドアミラーもターンレンズの位置とデザインを変更した新造品となっている。
エクステリア同様、インパネ部もHSのイメージに似たものとなっているが、細部を見ると、ほとんどの部品にHSとは異なるデザインのものが使用されている。インテリアデザインのコンセプトは、「薄いものを重ねる、薄いものを湾曲させる」などをキーワードとし、「分厚い(重厚な)ものこそ尊く高級である」という旧来の価値観を打破することを意識している[2]。インパネ操作を行うための前方配置エレクトロマルチビジョン&リモートタッチをトヨタブランド車として初搭載した。これはレクサス・RXに初めて採用され、通常はモニターの液晶画面に直接タッチすることでカーナビゲーションやオーディオシステム等を操作するところを、「操作ノブ」と呼ばれる固定式のマウスを指先で操作して、モニター上のアイコンを動かしメニューにタッチするというシステムである。ただし、トヨタブランドであるSAIに採用された「リモートタッチ」はレクサス車のそれと基本を同じくするものの、前期型のSAIの操作ノブはツマミ状のものに変更されている。
また、SAIでは室内の表面積の約60%の部材で植物由来プラスチックを使用している。現在、植物由来プラスチックの原材料がアメリカの化学会社1社のみの独占供給状態であり、そのため、この車がその旗振り役に選ばれたという[2]。
後期においては、色味を配色を若干変え、ファブリック仕様には新たに赤みを増させた「ファブリック茜(アカネ)」を設定した。これはSAIのメインユーザーである50〜60代男性が選定時、インテリアカラーで妻(女性)の意見を求めることが多いことに配慮したためである。
基本仕様の「S」と上級仕様の「G」、「S Cパッケージ」・「G Aパッケージ」が設定されていた。
「環境性能や安全性を持つ才能→“才”に満ちた先進性と、上質感をお洒落・シックに演出する彩り→“彩”を放つ上質感」という開発コンセプトのキーワードとなった漢字の「才」と「彩」を掛け合わせて「SAI」と名づけられた。元々は開発コードネームだったが、それがそのまま市販車両名に活かされる形となり、結果的にカムリ(冠)同様和名の車となった。
プリウスと同様にレクサス専売店を除くトヨタの全販売店(トヨタ店、トヨペット店、カローラ店、ネッツ店)で取り扱う。なお、ネッツ店についてはアベンシスが輸入中止になって以来およそ1年ぶりにセダンを取り扱うこととなり[注釈 3]、カローラ店については2006年1月に販売終了したウィンダム以来、3年10か月ぶりにカムリの上位クラスに属するフラグシップ系セダンを取り扱うこととなった。
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