ファンカーゴ(FunCargo)は、トヨタ自動車が生産・販売していた小型トールワゴンである。
5ドアの背の高いワゴンボディというスタイリングで、初代ヴィッツの車台をベースとしたモデルである。当時のトヨタはスモールカーを革新するため、ラウムやヴィッツなど、いくつかの意欲的なモデルを登場させている[1]。同じくヴィッツをベースとするbBとは異なり、当時の欧州の趣向に沿った抑揚の強いデザインとされる。一般的なトールワゴンとは異なり、リアシートは商用車的なベンチシートとなっており、収納のためにシートバックのサイズをミニマムとするなど、座り心地よりも、フルフラットなラゲッジスペースを優先に開発されており、広いリアスペースを確保するため、ホイールベースはヴィッツより130mm、全長を250mm拡大したほか、リアシートをフロントシートの下にすっぽりと収納できるリトラクタブル機構を採用[1]。
エンジンはFFモデルが1.3L・2NZ-FE型及び1.5L・1NZ-FE型を搭載、4WDモデルは1NZ-FE型のみを搭載する。トランスミッションは 全車4速AT(Super ECT)が設定される。
ブレーキは前輪がベンチレーテッドディスク式、後輪がドラム式で、ABSとブレーキアシストを標準装備し、サスペンションやブレーキなどの基本部分は、兄弟車と共通している[2]。
欧州市場では「ヤリスヴァーソ」、すなわち「ヤリスのバン」という意味の名称で販売された。イギリスでのユーザー満足度調査で一位を獲得するなど、ターゲットとしていた欧州で高い評価を得た。
ファンカーゴは実用的で利便性の高い広く機能的な車内空間を備えている。インパネにセンターメーターレイアウトを採用、同時発売されたプラッツとともに、当初からISOFIX対応のリヤシートが全車標準装備された。リヤシートには床下や前方への格納機能があり、広い荷室を簡単に設定することができる。自転車や大型のクロスバイクなどもそのまま標準装備のフックを使用して収納できるなど、当時のコンパクトカーの中でも最大レベルのキャビン容積・収納スペースを備えている。このためラゲッジスペースには小物の収納スペースが用意され、AC100V電源のコンセント装備も可能と、まさに部屋として使えるスペースとなっていた[1]。この容積を利用してキャンピング用途や車いすでの乗降が可能な介護福祉車両(ウェルキャブ)としても使用されている。また大都市を中心にタクシーとして使われることも多い。
3860mmの全長に対し、2500mmのロングホイールベースとし、余裕のあるヘッドクリアランスも確保している[1]。
バックドアはハッチバックではなく、ヨーロッパのコマーシャル版で一般的だった横開き構造を採用しており、ハンドリングも良好で、ヨーロッパのスモールカーが、持つ仕立ての良さも感じられた[1]。
トヨタモデリスタインターナショナルからは、特別仕様車「VF130」が350台限定で販売された。
第20回 1999-2000日本カー・オブ・ザ・イヤーをプラットフォーム共用車種のヴィッツ、プラッツとともに受賞し、海外でも「ヤリスヴァーソ」として人気を獲得するなど、トヨタの意欲的かつ斬新な1台として好評価を受けた[1]。
キャッチフレーズは「携帯空間」で、早口でストーリー展開されるCMが話題となった。
「楽しい」を意味する英語の「fun」と、「積荷」を意味する英語の「cargo」の合成語。
トヨタカローラ店とトヨタビスタ店(販売店統合[4]後はネッツトヨタ店)で販売された。
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