週刊文春ミステリーベスト10(しゅうかんぶんしゅんミステリーベストテン)は、文藝春秋発行の『週刊文春』年末発売号で発表される、推理小説のブック・ランキング。
1977年末に開始された。毎年の秀逸な推理小説を選定するアンケートを実施し、そのランキングを発表する。
概要
『週刊文春』1978年1月5日号に掲載された「1977年傑作ミステリー・ベスト10」が最初で、以来毎年掲載されている。
年を翌年表記にしている『このミステリーがすごい!』や『本格ミステリ・ベスト10』と異なり、『週刊文春』のランキングでは年が当年表記になっている。たとえば『週刊文春』の「2010ミステリーベスト10」(2010年12月9日号掲載)は2010年度(2009年11月 - 2010年10月)の書籍を対象としたランキングであり、『このミステリーがすごい! 2011年版』や『2011 本格ミステリ・ベスト10』と対応している。
アンケート回答者および回答者数
当初は日本推理作家協会の会員のみにアンケートをとっていたが、1984年版よりアンケート枠が広げられ、その他の書評家や雑誌記者も加わった。2002年版からは書店員も投票に加わっている。これにともなって誌上で示されるキャッチコピーは以下のように変遷している。
- 1977-1994年版:「日本推理作家協会全会員(に)アンケート」
- 1995-2002年版:「日本推理作家協会全会員(、)ミステリー通大アンケート」
- 2003-2005年版:「日本推理作家協会員、ミステリー通、全国有力書店員が選ぶ!」
- 2006-2011年版:「全国のミステリー通、書店員が選ぶ!」
(括弧内の文字・記号は、ある場合とない場合がある)
アンケートの回答者数は1999年版で初めて示された(以下でランキングとともに示す)。日本の年度別ミステリーランキングの中では週刊文春のランキングがもっとも回答者数が多い。
部門
最初の6年間は日本の作品と翻訳作品とを分けていなかったが、1983年版より「国内部門」と「海外部門」の2つに分けてアンケートをとっている。
サントリーミステリー大賞を受賞して日本国内で出版された『死がお待ちかね』(ベゴーニャ・ロペス)および『死のフェニーチェ劇場』(ドナ・M・レオン)は翻訳作品だが、国内部門で扱われている。
対象となる書籍およびランキング掲載時期
対象となる書籍の発行日の変遷は以下のとおりである。
- 2000年版:前年12月1日 - 当年11月30日
- 2001年版:前年12月1日 - 当年11月15日
- 2002-2005年版:前年11月16日 - 当年11月15日
- 2006年版:前年11月16日 - 当年10月31日
- 2007年版以降:前年11月1日 - 当年10月31日
2007年版以降は『本格ミステリ・ベスト10』と同じく、前年11月から当年10月の発行書籍が対象となっている。対象となる期間が前倒しになったことでランキング掲載時期も当初より数週間早くなっている。
1999年以前については対象となる期間が誌上で示されていない。『このミステリーがすごい! 1994年版』(1993年12月)に掲載された匿名座談会では、週刊文春のミステリーランキングの対象期間は前年12月1日から当年11月25日であり、11月26日から30日までは「どちらの年度にも入らない空白の五日間」だとされている。
集計方法
1991年版以降は、回答者それぞれがトップ5を選び、それを1位が5点、2位4点、3位3点、4位2点、5位1点で集計している。それ以前については誌上で集計方法が示されていない。各作品の得点が示されるようになったのも1991年版からである。2005年版より、自作への投票は無効とされた。
順位の発表
何位まで発表されるかは年度によってばらつきがある。
- 1977-1982年版:ベスト10および「次点」を発表
- 1983-1990年版:ベスト10のみ発表
- 1991-1997年版:ベスト10および「次点」を発表
- 1998年版:ベスト15を発表
- 1999-2001年版:ベスト30を発表
- 2002年版:ベスト15を発表
- 2003-2005年版:ベスト10および「次点」を発表
- 2006-2009年版:ベスト10のみ発表
- 2010・2011年版:ベスト20を発表
インタビュー記事の掲載
2005年版以降、国内部門1位の作者へのインタビューの掲載が恒例となっている。また2010年版以降は海外部門1位の作者のコメントも掲載されている。
各年の結果
1970年代
1979年
1980年1月3日号掲載
- プラハからの道化たち(高柳芳夫)
- 消されかけた男(ブライアン・フリーマントル)
- 誰かが見ている(メアリ・ヒギンズ・クラーク)
- エヴァ・ライカーの記憶(ドナルド・A・スタンウッド)
- 沈黙の函(鮎川哲也)
- ヒューマン・ファクター(グレアム・グリーン)
方丈記殺人事件(斎藤栄)
- -
- 暗殺名はフェニックス(エイモス・アーリチァ&イーライ・ランドウ)
- スクールボーイ閣下(ジョン・ル・カレ)
ナポレオン狂(阿刀田高)
1980年代
1982年
1983年1月6日号掲載
- 焦茶色のパステル(岡嶋二人)
- ゴーリキー・パーク(マーティン・クルーズ・スミス)
- 黄金流砂(中津文彦)
- Wの悲劇(夏樹静子)
A-10奪還チーム出動せよ(スティーヴン・L・トンプスン)
- -
- マンハッタン特急を探せ(クライブ・カッスラー)
- 超音速漂流(トマス・ブロック)
- 燃えた花嫁(山村美紗)
帝王(フレデリック・フォーサイス)
開幕ベルは華やかに(有吉佐和子)
1983年
1984年1月5日号掲載
1984年
1985年1月3・10日号掲載
1985年
1986年1月2・9日号掲載
1986年
1987年1月1・8日号掲載
1987年
1988年1月7日号掲載
1988年
1989年1月5日号掲載
1989年
1990年1月4・11日号掲載
1990年代
1990年
1991年1月3・10日号掲載
1991年
1992年1月2・9日号掲載
1992年
1993年1月7日号掲載
1993年
1994年1月6日号掲載
1994年
1995年1月5日号掲載
1995年
1996年1月4・11日号掲載
1996年
1997年1月2・9日号掲載
1997年
1998年1月1・8日号掲載
1998年
1998年12月31日・1999年1月7日号掲載
1999年
2000年1月6・13日号掲載、有効回答数164
2000年代
2000年
2000年12月28日号掲載、対象期間:1999年12月1日 - 2000年11月30日、回答数153
2001年
2001年12月27日号掲載、対象期間:2000年12月1日 - 2001年11月15日、回答数181
2002年
2002年12月26日号掲載、対象期間:2001年11月16日 - 2002年11月15日、回答数174
2003年
2003年12月25日号掲載、対象期間:2002年11月16日 - 2003年11月15日、回答数 国内180 海外150
2004年
2004年12月23日号掲載、対象期間:2003年11月16日 - 2004年11月15日、回答数 国内161 海外133
2005年
2005年12月29日号掲載、対象期間:2004年11月16日 - 2005年11月15日、回答数 国内190 海外145
2006年
2006年12月14日号掲載、対象期間:2005年11月16日 - 2006年10月31日、回答数 国内177 海外138
2007年
2007年12月20日号掲載、対象期間:2006年11月1日 - 2007年10月31日、回答数 国内169 海外126
2008年
2008年12月11日号掲載、対象期間:2007年11月1日 - 2008年10月31日、回答数 国内167 海外133
2009年
2009年12月10日号掲載、対象期間:2008年11月1日 - 2009年10月31日、回答数 国内175 海外146
2010年代
2010年
2010年12月9日号掲載、対象期間:2009年11月1日 - 2010年10月31日、回答数 国内196 海外167
2011年
2011年12月8日号掲載、対象期間:2010年11月1日 - 2011年10月31日、回答数 国内196 海外169
2012年
2012年12月13日号掲載、対象期間:2011年11月1日 - 2012年10月31日
2013年
2013年12月12日号掲載、対象期間:2012年11月1日 - 2013年10月31日
2014年
2014年12月11日号掲載、対象期間:2013年11月1日 - 2014年10月31日
2015年
2015年12月10日号掲載、対象期間:2014年11月1日 - 2015年10月31日
2016年
2016年12月10日号掲載、対象期間:2015年11月1日 - 2016年10月31日
2017年
2017年12月14日号掲載、対象期間:2016年11月1日 - 2017年10月31日
2018年
2019年
2020年代
2020年
2020年12月10日号掲載
2021年
2021年12月2日号掲載
2022年
2022年12月8日号掲載
海外部門
- われら闇より天を見る(クリス・ウィタカー)
- 殺しへのライン(アンソニー・ホロヴィッツ)
- 優等生は探偵に向かない(ホリー・ジャクソン)
- キュレーターの殺人(M・W・クレイヴン)
- ポピーのためにできること(ジャニス・ハレット)
- 名探偵と海の悪魔(スチュアート・タートン)
- 異常【アノマリー】(エルヴェ・ル・テリエ)
- 真夜中の密室(ジェフリー・ディーヴァー)
- ロンドン・アイの謎(シヴォーン・ダウド)
- 窓辺の愛書家(エリー・グリフィス)
2023年
2023年12月14日号掲載
2024年
2024年12月12日号掲載
20世紀傑作ミステリーベスト10
2001年1月4・11日号掲載、対象期間:1977年 - 2000年(24年間)、回答数161
関連書籍
- 東西ミステリーベスト100 (文藝春秋編、文春文庫、1986年12月)
- 東西ミステリーベスト100 (文藝春秋編、文春文庫、2013年11月)※改訂版
- 週刊文春傑作ミステリー・ベスト10 ―最強の300冊― (週刊文春編集部編、文藝春秋、1996年9月)
- 傑作ミステリーベスト10 20世紀総集完全保存版 (週刊文春編集部編、文春文庫PLUS、2001年5月)
関連項目
- ミステリーのランキング
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