モバイルICOCA(モバイルイコカ)は、西日本旅客鉄道(JR西日本)が2023年3月22日から提供している[1]、「おサイフケータイ」対応のAndroidスマートフォンにおいて、同社が発行するIC乗車カードであるICOCAの機能を搭載したモバイルアプリケーションおよびそのサービスである。
本項目では、同様のサービスをiOS対応のスマートフォンで提供する「Apple PayのICOCA」についても記す。
概要
2020年10月16日に導入計画が発表され[2]、2023年2月22日に具体的な導入予定が公表された[1]。交通系ICカード全国相互利用サービスに参画する10種のICカードの中では2006年サービスインの「モバイルSuica」、2020年サービスインの「モバイルPASMO」に次ぐモバイルアプリ化である[3]。
サービス内容は先行する2種とほぼ同様であるが、発行手続きなど一部の取り扱いが「モバイルSuica」「モバイルPASMO」と異なる。まずはAndroid版が先行リリースとなり、iOSへは2023年6月27日に同日付のサービスインが発表された(後述)[4]。交通利用や買い物の支払いに使えるほか、チャージや定期券の購入にも対応するとしている[5]。
JR西日本は2027年までに500万人の利用を目指すとしている[5]。
機能
以下、特記なき限り2023年2月22日のプレスリリース[1]及びモバイルICOCA公式サイト内の記述に基づく[6]。
基本機能
自動改札機や店舗での支払いで、通常のカード型のICOCA同様にスマートフォンを読み取り部にタッチするだけで利用が可能になる。
チャージ残額、利用履歴は、スマートフォン画面上で確認ができる。
東海道・山陽新幹線の「スマートEX」、北陸新幹線の「新幹線eチケットサービス」の交通系ICカードとしてモバイルICOCAを登録することで、新幹線の予約、 支払いから乗車まで、スマートフォン1台で利用が可能。
定期券
定期券は通勤定期券と大学・専門学校生相当の通学定期券のみが搭載可能。2区間定期券(分割定期券を含む)やICOCAに併載可能なバス定期券、並びに(2024年3月16日にハピラインふくい・IRいしかわ鉄道に経営分離した)北陸本線敦賀駅以北の区間を含む定期券はモバイルICOCAに搭載できない。
一方で、既にICOCA定期券が発行可能となっている私鉄・地下鉄との連絡定期券は搭載可能(私鉄・地下鉄のみのモバイルICOCA定期券は発行不可)で、JR九州のSUGOCAエリアに跨がる定期券は山陽本線下関駅以東でICOCAがサービス開始となる2023年4月1日に発行を開始。
発行・チャージ
モバイルICOCAの発行に当たっては、事前にJR西日本の移動生活ナビアプリ「WESTER」への会員登録と、チャージ用のクレジットカード登録が必要となる。対応するクレジットカードはVisa、Mastercard、JCB、American Expressブランドで、いずれも3Dセキュア2.0に対応していることが必須となる[3]。なお、オートチャージ機能は実装されない。
モバイルSuicaなどと同様にデポジットは発生しないが、無料発行が可能なモバイルSuica等と異なり、発行時に1000円以上のクレジットチャージを必要とする(定期券の購入と同時に新規発行する場合を除く)[3]。
チャージはクレジットカードからの他、IC読み取り部がトレー型の自動券売機やコンビニエンスストア等での現金チャージも可能。クレジットカード経由でチャージするとWESTERポイントが自動付与される仕組みとなっている。JR西日本が発行するJ-WESTカードでチャージするとWESTERポイントが優遇される。
Apple PayのICOCA
2023年6月27日、「モバイルICOCA」の実質的なiOS/WatchOS版となる「Apple PayのICOCA」が発表され、同日付でサービスが開始された[7]。対応機種はiOS 16.0以降がインストールされたiPhone 8以降のデバイス、またはwatchOS 8.7.1以降がインストールされたApple Watch Series3以降のデバイスとされている[7]。
設定方法はApple PayのSuicaとほぼ同様で、Apple Payの設定アプリ「Wallet」に決済用のクレジットカードを設定し、ICOCA番号の下4桁と生年月日を入力後、別途用意したカード型のICOCAに端末を重ねると、Apple PayのアプリケーションがICOCAの残額や定期券の情報を読み取り、カード型ICOCAの代替として使用できるようになる、というものである[8]。なお、読み取り可能なICOCAにはICOCA定期券・SMART ICOCA・SMART ICOCA定期券を含む一方で、「JR西日本以外で発行されたICOCA定期券」「こどもICOCAまたはこどもICOCA定期券」「2区間定期券」「バス定期券併用ICOCA定期券」「記念ICOCA(定期券が搭載できるカードを除く)」「残高19,501円以上のICOCA」などを取り込むことが出来ない[9]。
カード型ICOCAがなくてもApple PayのICOCAを発行することは可能だが、その場合は「別途ICOCAアプリをインストールし、ICOCAアプリから新規発行する」か「Walletから発行する」方法のいずれかを選択することになる。なお、前者を選択した場合は「WESTER ID」の取得(WESTER会員登録)が必須になり、後者を選択した場合に「WESTER ID」未取得の場合はICOCA定期券の購入・払い戻しが出来ない他、ICOCA側のサポート(紛失時の再発行登録など)の対象外になることが明言されている[10]。
iOS版ICOCAアプリに登録できるクレジットカードはJ-WESTカードに限定されており、それ以外はApple Pay(Walletで登録したクレジットカード)でのチャージ・定期券購入となる[7][11][12]。J-WESTカード(VISA)はApple Payに対応していない[注 1]が、ICOCAアプリに登録することでICOCAへのチャージ・定期券購入には利用できる[13]。
なお、iPhoneとApple Watchの間で設定済みのICOCA情報を移すことも可能だが、ICOCAのIDは端末ごとに割り当てられるため、iPhoneとApple Watchで同一のICOCAを同期させて使うことは出来ない[10]。
脚注
注釈
- ^ Apple Payに対応していないクレジットカード(一部のVISA、アメリカン・エキスプレスなど)はJ-WESTカード(VISA)を除いてICOCAへのチャージ・定期券購入に用いることは出来ない。
出典
関連項目
外部リンク
|
---|
鉄道 | |
---|
バス | |
---|
船舶 | |
---|
過去の導入事業者 | |
---|
導入予定事業者 | |
---|
相互利用 | |
---|
新幹線乗車サービス | |
---|
片利用※ | |
---|
関連項目 | |
---|
- P:PiTaPaも取り扱う事業者
- o:独自のポイントサービス実施
- △:一部事業者は交通系ICカード全国相互利用サービス未対応
- ▽:決済済証明のみ、SFではない。
- >:重なった場合の優先順位
- ※:電子マネーを除く
- ◎:電子マネー扱い、SFではない。
|
|
---|
|
|
---|
北海道・東北 | |
---|
秋田 | |
---|
山形 | |
---|
上越 | |
---|
北陸 | |
---|
東海道・山陽 | |
---|
山陽・九州 | |
---|
西九州 | |
---|
その他 | |
---|
×は廃止された名称 |
|
|
|
---|
営業用車両 |
北海道・東北・秋田 ・山形・上越・北陸 | |
---|
[予]中央 | |
---|
東海道・山陽・九州・西九州 | |
---|
|
---|
日本国外輸出車両 |
|
---|
試験用車両 |
|
---|
事業用車両 |
|
---|
車両形式 | |
---|
{}は導入予定車両、×は運用終了車両 |
|
|
|
---|
車両基地・工場 |
|
---|
列車運行管理システム |
JR北海道 | |
---|
JR東日本・JR西日本(北陸) | |
---|
JR東海・JR西日本(山陽) | |
---|
JR九州 | |
---|
|
---|
△は未供用 ×は廃止された車両基地 |
|
|
関連項目 |
---|
路線 | |
---|
建設・施設保有 | |
---|
並行在来線 | |
---|
法律等 | |
---|
座席・設備 | |
---|
列車予約サービス | |
---|
構想等 | |
---|
訴訟・問題 | |
---|
関連人物 | |
---|
関連楽曲 | |
---|
ドラマ・映画等 | |
---|
×は廃止された列車予約サービス |
|
|
Category:新幹線 |
|
---|
親会社 | |
---|
本社の支社・支店等 | |
---|
運輸 | |
---|
商事・物流 | |
---|
物販・飲食 | |
---|
ホテル | |
---|
旅行・広告 | |
---|
ショッピングセンター | |
---|
不動産 | |
---|
百貨店 | |
---|
土木・建設・システム | |
---|
清掃 | |
---|
その他 | |
---|
労働組合 | |
---|
関連項目 | |
---|
カテゴリ |
|
---|
|
×は廃止された施設・路線・設備等 カテゴリ |