四国鉄道文化館 (しこくてつどうぶんかかん、英語 : Shikoku Railway Cultural Center )は、愛媛県 西条市 に所在する鉄道保存展示施設 である。
施設は公益財団法人日本ナショナルトラスト が建設し、西条市が同財団から管理運営を受託しており、南北に2館の展示施設が設けられている。また同市が管理運営を行う十河信二記念館 (そごうしんじきねんかん)と、西条市観光交流センター (さいじょうし かんこうこうりゅうセンター)の計4施設と合わせ、同市では愛称を「鉄道歴史パーク in SAIJO 」とし、観光・交流施設群として一体的に運営している。
歴史
2007年 (平成19年)11月26日 [ 3] 、伊予西条駅 東側の隣接地に現在の北館が開館した。施設は文化財等の保護活動の一環で、日本ナショナルトラスト(当時の法人格は財団法人)がヘリテイジセンターとして建設し、管理運営は同財団から西条市へ委託されている。
また北館の西隣には、新居郡 中村(のちの中萩町 、現在の新居浜市 )出身で、西条市長や新幹線 建設に尽力し第4代日本国有鉄道 総裁などを歴任した十河信二 の生前の功績を顕彰する記念館と、観光交流センターが同時に開館した。
2008年(平成20年)11月20日に入館10万人を突破し、2009年(平成21年)11月時点では入館14万人を突破している[ 4]
[ 5] 。
2014年 (平成26年)7月20日 、予讃線 を挟んだ南側に新たな展示施設として南館が開館した[ 6] [ 7] [ 8] [ 9] 。それに合わせ、開館時から所在する展示館の名称を「北館」とし、現在の施設群となった。
また2015年 (平成27年)7月20日には、新潟県 新潟市 秋葉区 に所在する新潟市新津鉄道資料館 との間で姉妹館協定を締結した。これは当館南館の開館と、同館本館のリニューアルがいずれも1周年を迎えたことから、それらの記念事業の一環として締結されたもので、西条市と新潟市の間では、楽曲『千の風になって 』にゆかりのある3市町と共同で2009年 (平成21年)から実施している文化交流事業「千の風サミット」で交流が進められているのをはじめ、姉妹館締結1か月前の6月27日 には災害時相互応援協定も締結している。締結式は同日、当館北館で青野勝西条市長と篠田昭 新潟市長が出席して行われた。今後両館は、資料や展示品の相互貸借や観光情報などの発信で協力するほか、集客に関する情報、ノウハウの相互提供や人的交流などでも連携が進められる[ 10] 。
2016年 8月16日 に総入館者数が40万人に達した[ 11] 。2010-13年度の4年間は年間入館者数は2万人台だったが、南館がオープンした2014年度以降は5万人台となっていると報じられている[ 11] 。
施設内容
2007年の開館時から存在する北館と、2014年に増設された南館からなる。入場券は両館共通である。
北館
北館
木造の展示館内に2両の保存車両(下記参照)と、四国で使用された鉄道用品・資料が展示されている。新幹線のカットボディとDF50形の保存車両が目玉となっている。
入場券は、隣接の十河信二記念館の受付で購入する。鉄道の乗車券(硬券 )を模した券面には「十河信二記念館から四国鉄道文化館行き」と記され、入場の際には係員が入鋏する。入場料は大人300円、小人100円(個人の場合、団体扱いの場合は大人240円、小人80円)。なお、「十河信二記念館」及び「観光交流センター」は入場無料。
館内は基本的に平屋の構造であるが、螺旋階段でつながれた展望デッキがあり、伊予西条駅構内を一望することができる(駅敷地内の給水塔やカーバイド 倉庫といった歴史的建造物が望める)。また、DF50形が展示されている線路は伊予西条駅構内につながっており、多度津工場 から搬入される際には実際にこの線路が使われた。
2008年10月を以って定期列車としての営業運転を終了し、11月に旧国鉄色にペイントされイベント運行されたキハ65形気動車 がJR四国から西条市に貸与され、「急行いよ」のヘッドマーク が西条市に贈呈されるとともに、文化館東の駐車場(引き込み線上、DF50形と同一線上)に2008年11月23日から2009年1月3日まで展示・公開された。このとき展示されたキハ65は後に南館に保存されている。
2014年12月6日から9日の間は、DF50形を一時的に屋外に移動した上で「鉄道ホビートレイン 」を0系の隣に展示する期間限定のイベントがおこなわれた[ 12] [ 13] 。
南館
南館
ジオラマ
北館からは伊予西条駅を挟んだ位置にある(「ぽっぽ橋」という名称の跨線橋で連絡)。屋内にC57形蒸気機関車 44号機、DE10形ディーゼル機関車 1号機、キハ65形気動車の3両、また屋外にフリーゲージトレイン第二次試験車両 の先頭車1両が保存展示されている。C57形の運転席とキハ65形の車内は常時公開[ 7] 。
このほか、館内にはジオラマが展示されていて通常30分毎に動かされる。また、ミニSLが設置されている。
増築の経緯
南館の建設計画は伊予西条駅南側の再開発と合わせて決定し[ 8] 、2012年に明らかになった[ 14] 。西条市内の公園に保存されていたC57形44号機や、四国旅客鉄道多度津工場 に保存されていたDE10形1号機、キハ65形気動車などが保存展示されることが公表された[ 15] 。このうち、C57形蒸気機関車については、移転を前にして2014年2月に修理が完了した[ 16] 。
所在地
愛媛県西条市大町798番地1(北館)
交通
保存車両
北館
前頭部から約半分のカットボディ。1976年(昭和51年)に製造されたもので[ 18] 、0番台車(側面窓の大きいタイプ)としては最後の製造グループに属する。現役時代の編成で反対側の先頭車(22-141)はイギリス国立鉄道博物館 に保存されている。走行距離は約1020万km(地球約255周)である[ 18] 。
現在でもJR四国の車籍を有している。唯一の動態保存 車両。1957年(昭和32年)3月製造、走行距離約260万km(地球約67周)。
21-141とDF501
21-141と鉄道ホビートレイン キハ32 3
[ 19]
南館
C57 44(従前は西条市内の公園に展示されていて「春雷号」と呼ばれていた)
製造1938年(昭和13年)3月30日、走行距離336万8561.1km(地球約84周)。
製造1970年(昭和45年)6月22日。
製造1966年(昭和41年)10月13日。
フリーゲージトレイン第二次試験車両GCT01-201
製造2007年(平成19年)3月。
C57 44
C57 44の運転席
キハ65 34
DE10 1
脚注
^ “123.観光施設の利用状況 ”. 西条市. 2015年9月22日時点のオリジナル よりアーカイブ。2015年9月22日 閲覧。
^ a b 藤家秀一 (2009年12月5日). “実はご縁 ゼロじゃない 四国鉄道文化館(ぷらっと沿線紀行)” . 朝日新聞 (関西) . オリジナル の2015年9月22日時点におけるアーカイブ。. https://web.archive.org/web/20150922080441/http://www.asahi.com/kansai/travel/ensen/OSK200912050037.html 2015年9月22日 閲覧。
^ a b 日本ナショナルトラスト、2007、「まもなくオープン「四国鉄道博物館」」、『鉄道ピクトリアル』57巻12号(797)、電気車研究会 pp. 119
^ 須山靖子(新居浜通信部) (2008年12月24日). “1年弱で入館10万人(回顧2008えひめ)” . 読売新聞 (地域”愛媛”) . オリジナル の2014年3月6日時点におけるアーカイブ。. https://web.archive.org/web/20140306003252/http://www.yomiuri.co.jp/e-japan/ehime/feature/matuyama1230123894060_02/news/20081224-OYT8T00684.htm 2014年3月6日 閲覧。 《》
^ “四国鉄道文化館、開館2年 入館者14万人超”. 読売新聞(関西発) . (2009年11月17日) なお、上記読売新聞記事掲載の翌月に朝日新聞 が同じく本館についてとりあげた新聞記事では「開館2年で来館者は14万6千人に達した」と報じている 《→藤家秀一(写真撮影は伊藤恵里奈) (2009年12月5日). “実はご縁 ゼロじゃない 四国鉄道文化館(ぷらっと沿線紀行)” . 朝日新聞(関西) . オリジナル の2015年9月22日時点におけるアーカイブ。. https://web.archive.org/web/20150922080441/http://www.asahi.com/kansai/travel/ensen/OSK200912050037.html 2015年9月22日 閲覧。
^ “鉄道文化館 南館 本日オープンしました!!” . 鉄道歴史パーク in SAIJO 大好き西条観光ブログ. (2014年7月20日). http://s-trp.lekumo.biz/blog/2014/07/post-316f.html
^ a b “四国鉄道文化館、南館がオープンへ C57も追加” . 朝日新聞愛媛版 . (2014年7月19日). オリジナル の2014年7月20日時点におけるアーカイブ。. https://archive.is/16V4l
^ a b “四国鉄道文化館、20日に南館オープン 旧国鉄塗装の気動車も 愛媛” . MSN産経ニュース. (2014年7月18日). http://sankei.jp.msn.com/region/news/140718/ehm14071802190002-n1.htm
^ “四国鉄道文化館南館オープン” . 愛媛新聞 . (2014年7月21日). http://www.ehime-np.co.jp/news/local/20140721/news20140721223.html
^ “鉄道で絆さらに強く 西条市文化館南館、新潟市資料館と姉妹協定” . 愛媛新聞社. (2015年7月21日). http://www.ehime-np.co.jp/news/local/20150721/news20150721478.html 2015年7月21日 閲覧。
^ a b “来館40万人達成 西条・四国鉄道文化館” . 愛媛新聞 . (2016年8月17日). http://www.ehime-np.co.jp/news/local/20160817/news20160817092.html 2016年8月21日 閲覧。
^ “☆「鉄道ホビートレイン」特別展示&ミニSL乗車会☆” . 鉄道歴史パーク in SAIJO 大好き西条観光ブログ. (2014年12月5日). http://s-trp.lekumo.biz/blog/2014/12/post-9987.html
^ “鉄道ホビートレイン特別展示&ミニSL乗車会” . 鉄道歴史パーク in SAIJO 大好き西条観光ブログ. (2014年12月6日). http://s-trp.lekumo.biz/blog/2014/12/post-50b9.html
^ 西条市における中心市街地活性化への取り組みについて - 西条市(2012年11月、PDF文書。p.15を参照)
^ 西条市議会第6回12月定例会会議録 第2号 - 西条市(2012年12月17日)
^ “SL「春雷号」 お色直し完了 鉄道文化館に展示へ 愛媛” . 産経新聞 (MSN産経ニュース) . (2014年2月22日). オリジナル の2014年2月24日時点におけるアーカイブ。. https://web.archive.org/web/20140224163859/http://sankei.jp.msn.com/region/news/140222/ehm14022203210002-n1.htm 2014年3月6日 閲覧。 《;テキスト部分のみ》
^ ぽっぽ橋(はし)が開通しました - 伊予西条市建設道路課(2012年10月15日)
^ a b 走行距離は入館時に配布されるパンフレットより
^ 2014年12月6日から9日の間鉄道ホビートレインを特別展示した。
外部リンク