第94回アカデミー賞は、映画芸術科学アカデミー(AMPAS)が主催する賞であり、2021年の映画(3月1日から12月31日まで)を対象とし、2022年3月27日にカリフォルニア州ロサンゼルス市ハリウッドのドルビー・シアターで午後5時(PDT)より授賞式が行われた。
通常より1ヶ月延期での開催となった。
ノミネート
第94回アカデミー賞のノミネートは2022年2月8日5時18分PST(13時18分UTC)にトレイシー・エリス・ロスとレスリー・ジョーダンにより発表され、ストリーミング配信された。
受賞者は各項目最上段に太字でダブルダガー () 付きのものである。
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- 『タミー・フェイの瞳』 - リンダ・ダウズ、ステファニー・イングラム、ジャスティン・ラリー
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複数の部門での受賞・ノミネート作品
ガヴァナーズ賞
アカデミーは2021年6月24日、第12回ガヴァナーズ賞授賞式で授与される名誉賞等を発表した[2]。
- アカデミー名誉賞
- ジーン・ハーショルト友愛賞
授賞式情報
前年の視聴率が史上最低だったことを受け、映画芸術科学アカデミー(AMPAS)は放送時間を3時間に収めるため、一部の賞の発表(ドキュメンタリー短編映画、編集、メイクアップ&ヘアスタイリング、作曲、美術、アニメーション短編映画、実写短編映画、音響)を事前に行うことを明らかにした。この決定について、一部の映画関係者から批判があがる事態となった[3][4]。また、Twitterの投票でお気に入り映画とシーンを発表するとし、最多得票は授賞式で放映される。これは日本アカデミー賞の話題賞に相当する。なお、今授賞式の視聴者数は過去2番目に少ない約1540万人だった[5]。
作品賞にノミネートされている『ウエスト・サイド・ストーリー』のヒロイン役を務めたレイチェル・ゼグラーが本授賞式に招待されておらず、家で授賞式を見守ることを自身のInstagramで明らかにした。ゼグラーは主演女優賞にノミネートされていないため、配給会社に割り当てられている招待枠から出席することになるが、新型コロナウイルス感染予防対策に伴う出席者数制限で配給会社のウォルト・ディズニー・カンパニーによる判断でゼグラーが外された可能性が指摘されている[6]。その後、AMPASはゼグラーを授賞式に招待すると共にプレゼンターも担当させることを明らかにした[7]。
放送局
アメリカではアメリカン・ブロードキャスティング・カンパニー(ABC)、日本ではWOWOWにおいて、生中継が行われた[8][9]。中華人民共和国(中国)では例年中国中央電視台(CCTV)がライブ配信並びにダイジェスト版を放送していたが、2年連続で授賞式の放送を見合わせた。放送中止の理由について、ハリウッド・リポーターは長編ドキュメンタリー賞に中国経済のからくりをテーマとした『アセンション』がノミネートされていることや授賞式において、ウクライナ支援やロシア批判が予想されたことが要因として挙げられている[10]。
ウクライナ支援
2022年2月に発生したロシアによるウクライナ侵攻を受けて、授賞式ではゲストとして女優のミラ・クニス(ウクライナ出身)が登壇し、同国への支援を呼び掛けたほか、この侵攻による犠牲者に対して黙祷が捧げられた[11][12]。なお、ニューヨーク・ポストなどはウクライナ大統領のウォロディミル・ゼレンスキーの出演も予定されていると報じられていたが、登場しなかった[13][14]。
平手打ち騒動
長編ドキュメンタリー賞のプレゼンターとして登壇したコメディアンのクリス・ロックが脱毛症であることを公表している女優のジェイダ・ピンケット・スミスを侮辱する発言をしたため、夫で俳優のウィル・スミスが壇上に上がり、ロックに平手打ちをする騒ぎが発生した。その後、スミスは放送禁止用語を交えてロックの発言を批判したこともあり、アメリカ国内において授賞式を生中継していたアメリカン・ブロードキャスティング・カンパニー(ABC)や日本国内で授賞式を中継していたWOWOWなどは放送を一時中断する事態になった[15][16][17][18]。
騒動を受けて、映画芸術科学アカデミー(AMPAS)はウィル・スミスに対して、会場から退場するように求めたが、スミスは応じず、会場に留まった[19]。その後、スミスは主演男優賞を受賞し、スピーチの中で「AMPASやノミネートされたすべての仲間に謝りたい」と述べたが、この時点ではクリス・ロックへの謝罪は行わなかった[20]。
ウィル・スミスは2022年3月28日に投稿したInstagramの中で「クリス、あなたに公に謝罪したい。私は不適切で間違っていた。自分を恥じ入り、私の行動は自分がなりたい男のものではなかった。愛と優しさのあふれる世界に暴力の存在する場所はない」と述べ、クリス・ロックを始め、AMPAS関係者や視聴者、主演男優賞を受賞した『ドリームプラン』のモデルでもあるテニス選手のウィリアムズ姉妹(ビーナスとセリーナ)の父親などに対しても謝罪した[21][22]。
クリス・ロックは警察に被害届の提出を行わないことをアメリカのメディアに対して明らかにしているが、AMPASは2022年3月28日にウィル・スミスの行動を非難すると同時に調査を開始し、カリフォルニア州法などに準じた対応を行う声明を発表した[23][24]。同月30日、AMPASは「スミス氏の行為は、アカデミーの行動基準に違反する。目撃した人たちに深い衝撃を与え、トラウマを植え付けた」と述べ、懲戒手続きを開始したことを明らかにした[19]。前述の通り、スミスは主演男優賞を受賞しているが、ロサンゼルス・タイムズは同賞が剥奪される可能性もあると報じている[25][26]。
2022年4月1日、ウィル・スミスは「私は多くの人を傷つけ、アカデミーの信頼を裏切った。私はアカデミーから退会するとともに、今後のアカデミーの判断を受け入れる」と述べ、AMPASから退会する意向を示し、AMPASもその申し出を受理したことを同日発表した[27]。
2022年4月8日、AMPASは授賞式を始めとするAMPAS主催イベントへの出席を今後10年間禁止する処分を理事会において決定し、ウィル・スミスもこの決定を受け入れたことを発表した。なお、今回のアカデミー賞で受賞した主演男優賞は剥奪されず、今後のノミネートについても除外にはならないことも併せて発表された[28][29]。
脚注
参考文献
関連項目
外部リンク
公式ウェブサイト