100人以上が死亡した航空事故および事件の一覧(100にんいじょうがしぼうしたこうくうじこおよびじけんのいちらん)は、一度に100人以上が亡くなった航空事故および事件を一覧にしたものである。対象となる航空便は、民間旅客便、貨物便、一般航空便、および第二次世界大戦後の軍用機による航空輸送便である。航空事故に加えて、ハイジャックやテロなどの犯罪に巻き込まれた事件、あるいは撃墜などの軍事行動に巻き込まれた事件も対象とする。空中衝突や地上衝突も含む。
本項では、アビエーション・セーフティー・ネットワークが提供するデータベースから、これらの条件を満たした事故・事件を一覧とする。この一覧に収載された情報に基づくと、2020年10月現在までに、100人以上の死者を伴う事故と事件は合わせて203件発生し、218機の航空機が関わり、推定で約3万4千人が死亡している。
1903年12月17日、ライト兄弟が人類初となる動力飛行に成功した[1]。動力飛行による史上初の死亡事故が発生したのは、それから約5年後である。1908年9月17日、アメリカのバージニア州アーリントンで、オーヴィル・ライトが操縦するライト「モデルA(英語版)」がデモンストレーション飛行中に墜落し、同乗していたトーマス・セルフリッジ(英語版)が死亡した[2]。
操縦者が死亡した最初の事故は1909年7月7日に発生し、フランスの航空家であるウジェーヌ・ルフェーブルが死亡した[3][4]。空中衝突による最初の死亡事故は1912年6月19日にフランスのドゥエーで発生し、双方のパイロットが死亡した[5]。これら黎明期の先駆者たちの死以来、航空機が大きくなり収容力が増すにつれ、航空事故の規模も大きくなった。
一度に100人以上が死亡した最初の航空事故は、1953年6月18日に発生した立川基地グローブマスター機墜落事故とされる[6]。 この事故では、アメリカ空軍のC-124輸送機が日本の立川飛行場を離陸後まもなく墜落し、129人が死亡した[6]。 民間航空史上で初めて100人以上の死者を出した航空事故は、グランドキャニオン空中衝突事故とされる[7]。1956年6月30日、トランス・ワールド航空のロッキード・コンステレーションとユナイテッド航空のダグラスDC-7がグランド・キャニオン国立公園の上空で空中衝突し、両機の乗客乗員128人全員が死亡した[7]。
史上最も多くの死者を伴った事故は1977年に発生したテネリフェ空港ジャンボ機衝突事故である[8]。この事故ではパンアメリカン航空とKLMオランダ航空のボーイング747同士が滑走路で衝突して計583人が亡くなった[8]。単独の航空機による事故として最大の死者数を出したのは1985年に発生した日本航空123便墜落事故である。計524人が搭乗したボーイング747が墜落して520人が死亡した[9][10]。空中衝突により最大の死者が発生したのは1996年に発生したニューデリー空中衝突事故である[8]。ニューデリー近郊でサウジアラビア航空のボーイング747とカザフスタン航空のイリューシンIl-76が衝突し、両機の搭乗者全員となる349人が死亡した[8]。2001年9月11日に発生したアメリカ同時多発テロ事件では、ワールドトレードセンターに旅客機2機が衝突し、乗客乗員157人全員が死亡しただけでなく地上でも多くの人が巻き込まれ、総計約2,500人が犠牲になったと推定されている[11][12]。
2019年にボーイングが発表したレポートでは、1959年から2018年までに商業飛行中のジェット機による事故は2,030件発生しており、そのうち632件が死亡事故で、搭乗者の死亡数は32,777人、地上あるいは非商業飛行で巻き込まれた死亡数は1,340人である[13]。
2020年10月現在までに、100人以上の死者を伴う事故と事件は合わせて203件発生し、関わった航空機は合わせて218機で、推定で約3万4千人が死亡した。さらに200人以上、300人以上、500人以上が死亡したのは、それぞれ34件、8件、4件である。事故と事件(定義は#類別節参照)の内訳は、事故183件、事件20件である。事故には196機が関わり28,167人が死亡した。事件には22機が巻き込まれ、推定でおよそ5,945人が死亡した。
本リストで収載するのは、1度に100人以上が亡くなった航空事故および事件である。
本項で対象とする航空事故は、国際民間航空機関 (ICAO) や国際航空運送協会 (IATA) において「事故」(accident) と「インシデント」(incident) に分類されているものである[14][15]。ICAOやIATAでは、事故後30日以内に死亡に至った負傷を致命傷と定めている[14][15][注 1]。
ハイジャックやテロといった犯罪行為による事件や、撃墜のような軍事行動に巻き込まれたものは、ICAOやIATAらの定義では航空事故に含まれないが[20]、本項ではこれらの事件等も対象とする。
対象となる航空便は、旅客便、貨物便、一般航空便、および第二次世界大戦後の軍用機による航空輸送便である。空中衝突および地上衝突も含む。
本項では、アビエーション・セーフティー・ネットワーク (ASN) が提供するデータベースから、上記の条件を満たした事故・事件を一覧とする。ただしASNと食い違う情報源がある場合は、公的機関の調査報告書・論文・書籍・報道等も参照する。
死者の内訳を次のように示す。
事象を「事故」と「攻撃・破壊」に大別し、さらに次のとおり分類して略語で示す。
事故・事件の発生場所を示す。原則として名称は発生当時のものを用いる。最寄りの地名と発生場所との距離に応じて、次の3つに分類する。
事故・事件発生時の飛行段階を次のとおり分類する
[210][211]
ここでは、表1のうち2020年10月までを対象とした集計結果を概説する。
2020年10月現在までに、100人以上の死者を伴う事故と事件は計203件発生し、218機の航空機が関わり、推定で約3万4千人が死亡している。
全203件の事故・事件のうち事故は183件 (90.1%) 件で、28,163人 (82.6%) が死亡した。攻撃・破壊(ハイジャック・爆破・撃墜)は20件 (9.9%) で、5,945人 (17.4%) が死亡している(表2)。生存者ゼロの事件・事故は147件、生存者が1名の事件・事故は9件ある。
飛行段階別でみると、巡航中の発生件数が最も多く(95件; 43.6%)、次いで進入時(74件; 33.9%)と初期上昇(24件: 11%)と続く。この3段階で全体の9割近くを占める(表3)。
地域別で見ると、発生件数が最も多いのはアジア太平洋(38件)で、2番目がヨーロッパ(35件)、その次に中東・北アフリカ(28件)、そして北アメリカと独立国家共同体が25件ずつで並ぶ。死者数の順では北アメリカが最も多くアジア太平洋とヨーロッパが続く(表4)。
年代別では1970年代まで増加、その後1980年代から2000年代まで各40件程度で推移し、2010年代には17件と半減した(表5)。
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