竹田市(たけたし)は、大分県の南西部に位置する市である。
かつての岡藩の城下町であり、岡城は瀧廉太郎が「荒城の月」の構想を練ったことで知られる[1]。
地理
大分県の南西部に位置し、中心市街地は大分市から南西約55km、熊本県熊本市から東北東約73 kmの場所に位置する。周辺はくじゅう連山・阿蘇山・祖母山・傾山などの1,000 m級の山岳に囲まれ、竹田湧水群や久住高原を持つ自然豊かな市である。東に隣接する豊後大野市と共に豊肥地区(奥豊後)と呼ばれ、沿岸部の南部地方と区別される場合がある。ただし、気象庁の予報区分(一次細分区域)では、竹田市は大分県西部とされている[2]。
西は熊本県、南は祖母山・傾山を挟んで宮崎県の2県と隣接している。ただし、竹田市と宮崎県の間には、自動車の通れない歩行者用道路も含め、直接連絡する道路は一切ない。当市から宮崎県へは、南西に隣接する熊本県阿蘇郡高森町を経由する大規模主要地方道の主要地方道竹田五ヶ瀬線が、単一路線で結んでいる唯一の道路で、他に、南東に隣接する豊後大野市緒方町を通る主要地方道緒方高千穂線などを経由するルートがある。
- 山地
- 盆地
- 河川
気候
気候は市内全域が太平洋側気候に属している。ただし、旧竹田市は典型的な内陸性気候であり、夏は日中は暑いが朝晩は涼しい[要出典]。冬は九州の市部としては日田市と並んで寒い。一方、周辺部は冬季が寒冷で夏季は比較的冷涼な山地型気候の避暑地であり、竹田市街地と、それ以外の山間地域とは特に夏期の気温の面で気候に違いがあるといえる[3]。
年間平均気温は14.7℃[4]。
真夏日(日最高気温30℃以上の日)の平年値は52.6日、猛暑日(最高気温が35℃以上の日)は3.0日である[4]。熱帯夜(日最低気温25℃以上の日)の平年値は1.0日とかなり少なく[4]、朝晩は冷涼で過ごしやすい。
冬は九州の市部としては寒い地域の一つである。1月の平均気温は3.9℃[4]。祖母山・阿蘇山・くじゅう連山の3つの山岳に囲まれた内陸にあるため、冬日(日最低気温0℃以下の日)の平年値は64.6日と寒い日が続く[4]。真冬日(日最高気温0℃未満の日)の平年値は0.2日である[4]。竹田市街地においては冬型の気圧配置では降雪は少ないが、2月から3月にかけて発生する南岸低気圧で大雪になりやすい。2014年(平成26年)2月13日-16日には昭和43年以来46年ぶりの大雪となり、農業被害は3億円を超えた[5]。
平均年間降水量が1,885.3 mm[6]と多雨で特に梅雨期に集中するため、過去には1990年(平成2年)の平成2年梅雨前線豪雨、1990年(平成2年)の2012年(平成24年)の平成24年7月九州北部豪雨等の水害も発生している。2012年(平成24年)7月中旬の九州北部豪雨では、玉来川下流で氾濫し市が広範囲にわたって浸水。住宅11棟が全壊し、半壊87棟、床上浸水87棟、床下浸水88棟となり[7]、橋の流失もみられた。この豪雨の影響で、豊後竹田駅-緒方駅は約1ヶ月間、豊後竹田駅-宮地駅間は翌2013年(平成25年)8月3日まで不通となった。
気温・降水量極値
- 観測史上最高気温:38.1℃(2024年(令和6年)8月1日観測)[8]
- 観測史上最低気温:-8.6℃(1984年(昭和59年)2月10日観測)[8]
- 降水量
- 最大10分間降水量:25.5mm(2013年(平成25年)7月26日観測)[8]
- 日最大1時間降水量:78.0mm(2006年(平成18年)7月5日及び2009年(平成21年)8月10日観測観測)[8]
- 2012年(平成24年)7月12日の九州北部豪雨では、最大3時間降雨量が135mmと、1982年(昭和57年)及び1990年(平成2年)の水害を超える竹田市の観測史上最大を記録した[9]。
竹田(1991年 - 2020年)の気候
|
月 |
1月 |
2月 |
3月 |
4月 |
5月 |
6月 |
7月 |
8月 |
9月 |
10月 |
11月 |
12月 |
年
|
最高気温記録 °C (°F)
|
20.8 (69.4)
|
25.0 (77)
|
28.0 (82.4)
|
29.8 (85.6)
|
35.0 (95)
|
34.7 (94.5)
|
36.7 (98.1)
|
38.1 (100.6)
|
35.2 (95.4)
|
31.7 (89.1)
|
27.3 (81.1)
|
23.5 (74.3)
|
38.1 (100.6)
|
平均最高気温 °C (°F)
|
9.0 (48.2)
|
10.6 (51.1)
|
14.4 (57.9)
|
19.9 (67.8)
|
24.3 (75.7)
|
26.1 (79)
|
30.4 (86.7)
|
31.1 (88)
|
27.2 (81)
|
22.1 (71.8)
|
16.8 (62.2)
|
11.3 (52.3)
|
20.3 (68.5)
|
日平均気温 °C (°F)
|
3.9 (39)
|
5.0 (41)
|
8.4 (47.1)
|
13.6 (56.5)
|
18.2 (64.8)
|
21.3 (70.3)
|
25.4 (77.7)
|
25.7 (78.3)
|
22.0 (71.6)
|
16.5 (61.7)
|
11.0 (51.8)
|
5.8 (42.4)
|
14.7 (58.5)
|
平均最低気温 °C (°F)
|
−0.9 (30.4)
|
−0.3 (31.5)
|
2.7 (36.9)
|
7.5 (45.5)
|
12.6 (54.7)
|
17.4 (63.3)
|
21.7 (71.1)
|
21.7 (71.1)
|
17.9 (64.2)
|
11.5 (52.7)
|
5.6 (42.1)
|
0.7 (33.3)
|
9.9 (49.8)
|
最低気温記録 °C (°F)
|
−8.4 (16.9)
|
−8.6 (16.5)
|
−7.2 (19)
|
−3.2 (26.2)
|
1.2 (34.2)
|
7.7 (45.9)
|
12.1 (53.8)
|
13.8 (56.8)
|
5.5 (41.9)
|
0.2 (32.4)
|
−3.4 (25.9)
|
−8.2 (17.2)
|
−8.6 (16.5)
|
降水量 mm (inch)
|
48.1 (1.894)
|
67.4 (2.654)
|
103.6 (4.079)
|
117.7 (4.634)
|
147.8 (5.819)
|
364.9 (14.366)
|
309.7 (12.193)
|
221.0 (8.701)
|
268.6 (10.575)
|
124.1 (4.886)
|
67.6 (2.661)
|
45.0 (1.772)
|
1,885.3 (74.224)
|
平均降水日数 (≥1.0 mm)
|
5.8
|
7.9
|
10.1
|
10.0
|
9.8
|
15.0
|
13.1
|
11.8
|
10.9
|
7.4
|
6.9
|
5.8
|
114.4
|
平均月間日照時間
|
159.9
|
151.3
|
170.3
|
188.1
|
194.9
|
131.7
|
174.2
|
193.5
|
144.8
|
165.6
|
153.8
|
160.6
|
1,988.6
|
出典1:Japan Meteorological Agency
|
出典2:気象庁 (平均値:1991年-2020年、極値:1977年-現在)[10][8]
|
隣接市町村
- 大分県
- 熊本県
- 宮崎県
地域
竹田市では市内の各小学校の周辺地区を12箇所にそれぞれ分けている。以下、各地区の大字とともに記述する。
- 竹田
(たけた 竹田・豊岡小学校 竹田市の中心市街地で、玉来地区へと市街地が連坦している)
- 明治
(めいじ 明治小学校)(明治小学校は平成21年3月に竹田小学校へ対等合併された)
- 岡本
(おかもと 岡本小学校)(岡本小学校は平成25年3月に竹田小学校へと対等合併された)
- 枝(旧岡本村)
- 中(旧岡本村)
- 挟田(旧岡本村)
- 三宅(旧岡本村)
- 城原
(きばる 城原小学校)
- 小川(旧城原村)
- 城原(旧城原村)
- 下坂田(旧城原村)
- 高伏(旧城原村)
- 福原(旧城原村)
- 米納(旧城原村)
- 宮城
(みやぎだい 宮城台小学校)(宮城台小学校は令和2年3月に竹田小学校へと対等合併された)
- 市用(旧宮城村)
- 上坂田(旧宮城村)
- 上畑(旧宮城村)
- 刈小野(旧宮城村)
- 久保(旧宮城村)
- 志土知(旧宮城村)
- 下志土知(旧宮城村)
- 炭竈(旧宮城村)
- 古園(旧宮城村)
- 川床(旧宮城村)
- 南生
(なんせい 南部・菅生小学校で玉来、松本、菅生が含まれる。市内または大分県内のみならず九州地方山間部では最も人口または児童生徒数が多い地区)
- 岩本(旧玉来町)
- 玉来(旧玉来町)
- 拝田原(旧玉来町)
- 吉田(旧玉来町)
- 穴井迫(旧松本村)
- 岩瀬(旧松本村)
- 君ヶ園(旧松本村)
- 向山田(旧松本村)
- 渡瀬(旧松本村)
- 今(旧菅生村)
- 小塚(旧菅生村)
- 菅生(旧菅生村)
- 戸上(旧菅生村)
- 祖峰
(そほう 祖母山麓地域の総称で祖峰小学校で嫗岳、宮砥、入田が含まれ、過疎地域で険しい山間部である)
- 倉木(旧嫗岳村)
- 神原(旧嫗岳村)
- 田井(旧嫗岳村)
- 中角(旧嫗岳村)
- 九重野(旧宮砥村)
- 次倉(旧宮砥村)
- 太田(旧入田村)
- 入田(旧入田村)
- 門田(旧入田村)
- 荻
(おぎ 荻小学校 熊本県と隣接する西側を除き、南生地域に囲まれている)
合併前は10の大字があったが、合併により新たな大字が発足し22に増加した。
- 久住
(くじゅう 久住小学校、白丹小学校)
- 都野
(みやこの 都野小学校)
- 直入
(なおいり 長湯小学校)
- 下竹田
(しもたけだ)
歴史
行政区画の変遷
- 1889年(明治22年)4月1日 町村制施行に伴い、現在の市域にあたる以下の町村が発足。
- 直入郡竹田町・豊岡村・明治村・岡本村・玉来村・松本村・入田村・宮砥村・嫗岳村・菅生村・城原村・宮城村・荻村・柏原村・白丹村・久住村・都野村・長湯村・下竹田村
- 1906年(明治22年)6月30日 【町制施行】玉来村⇒玉来町
- 1920年(大正9年)1月1日 【町制施行】久住村⇒久住町
- 1942年(昭和17年)4月1日 【新設合併】竹田町・豊岡村・明治村・岡本村⇒竹田町
- 1948年(昭和23年)4月1日 【町制施行】長湯村⇒長湯町
- 1950年(昭和25年)9月1日 【分立】竹田町⇒竹田町・豊岡村
- 1954年(昭和29年)3月31日
- 【新設合併・市制施行】竹田町・玉来町・豊岡村・松本村・入田村・宮砥村・嫗岳村・菅生村・城原村・宮城村⇒竹田市(初代)
- 【編入】白丹村⇒久住町
- 1955年(昭和30年)3月20日 【新設合併】久住町・都野村⇒久住都町
- 1955年(昭和30年)3月31日 【新設合併】長湯町・下竹田村⇒直入町
- 1955年(昭和30年)4月1日 【新設合併】荻村・柏原村⇒荻町
- 1955年(昭和30年)7月1日 緒方町の一部を竹田市に編入。
- 1957年(昭和32年)1月15日 【改称】久住都町⇒久住町
- 2005年(平成17年)4月1日 【新設合併】竹田市・荻町・久住町・直入町⇒竹田市
市政
歴代市長
市役所
- 〒878-8555 大分県竹田市大字会々1650番地
支所
- 〒879-6192 大分県竹田市荻町恵良原1772番地7
- 〒878-0201 大分県竹田市久住町大字久住6161番地1
- 〒878-0402 大分県竹田市直入町大字長湯8201番地
国政・県政
国政
衆議院小選挙区選挙では大分2区に属する。直近の第49回衆議院議員総選挙(2021年10月)での選出議員は以下のとおり。
- なお、吉川元(立憲民主党)が比例で復活当選している。
県政
本市でひとつの選挙区をなす。定数は1人。直近の2023年大分県議会議員選挙での選出議員は以下のとおり[11][12]。
公共機関
国の行政機関
国立大学法人
県の行政機関
司法機関
経済
産業
主要特産品
伝統工芸
竹田市に本社を置く企業
姉妹都市・提携都市
日本国内
- 1967年(昭和42年)1月18日親善都市提携
- 1967年(昭和42年)3月14日友好都市提携
- 2013年(平成25年)11月16日歴史文化姉妹都市提携
日本国外
- 1973年(昭和48年)10月28日姉妹都市提携
- 2004年(平成16年)10月姉妹都市提携
- 2017年(平成29年)2017年1月13日姉妹都市提携
地域
人口
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竹田市と全国の年齢別人口分布(2005年)
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竹田市の年齢・男女別人口分布(2005年)
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■紫色 ― 竹田市 ■緑色 ― 日本全国
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■青色 ― 男性 ■赤色 ― 女性
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竹田市(に相当する地域)の人口の推移
1970年(昭和45年)
|
42,873人
|
|
1975年(昭和50年)
|
38,359人
|
|
1980年(昭和55年)
|
36,011人
|
|
1985年(昭和60年)
|
34,693人
|
|
1990年(平成2年)
|
32,398人
|
|
1995年(平成7年)
|
30,368人
|
|
2000年(平成12年)
|
28,689人
|
|
2005年(平成17年)
|
26,534人
|
|
2010年(平成22年)
|
24,423人
|
|
2015年(平成27年)
|
22,332人
|
|
2020年(令和2年)
|
20,332人
|
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総務省統計局 国勢調査より
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合併前の旧・竹田市の人口は2000年(平成12年)10月1日時点で17,489人であり、市としては、大分県で最少、九州地方では福岡県山田市(現・嘉麻市)に次いで少なく、全国でも8番目に少なかった[15]。
教育
大学
高等学校
- 大分県立(2校)
- かつては大分県立竹田商業高等学校も存在したが、2006年(平成18年)、竹田商業高校と東に隣接する豊後大野市三重町にあった三重高校、三重農業高校、緒方工業高校の4校を統合し、総合選択制の三重総合高校が現在の三重農業高校の位置に開設。統合された4校は同年度より募集を停止し、在校生が卒業する2008年(平成20年)3月をもって閉校となった。竹田商業高校の跡地には、翌2009年(平成21年)8月に竹田中学校が移転した。
- 私立
- 2022年(令和4年)、竹田南高等学校から改称。
中学校
- 市立(4校)
- 竹田市立竹田中学校
- 2003年(平成15年)に旧竹田中学校と双城中学校を統合し、新たに竹田中学校となる。さらに2023年(令和5年)に久住中学校、都野中学校と統合。
- 竹田市立竹田南部中学校
- 生徒数の減少に伴い、2005年(平成17年)に南生中学校及び祖峰中学校を統合して設立。
- 竹田市立直入中学校
- 竹田市立緑ヶ丘中学校
小学校
- 竹田市立(11校)
特別支援学校
社会教育
文化施設
図書館・図書室
美術館・博物館
公民館
- 竹田市中央公民館
- 竹田分館
- 岡本分館
- 明治分館
- 豊岡分館
- 玉来分館
- 松本分館
- 入田分館
- 嫗岳分館
- 宮砥分館
- 菅生分館
- 宮城分館
- 城原地区館
- 荻中央公民館
- 柏原公民館
- 久住中央公民館
- 都野公民館
- 白丹公民館
- 直入中央公民館
- 山村交流センター
体育施設
- 竹田市直入総合運動公園
- 竹田市久住総合運動公園
- 竹田市立総合運動公園
- 竹田市体育センター(竹田市民体育館 旧・勤労者青少年ホーム体育館)
- 竹田市荻グラウンド
- 竹田市直入B&G海洋センター
郵便局
- 竹田郵便局(竹田町)(集配局)
- 竹田駅前郵便局(大字会々)
- 竹田明治郵便局(大字植木)
- 玉来郵便局(大字玉来)
- 菅生郵便局(大字菅生)
- 城原郵便局(大字米納)
- 岡本郵便局(大字三宅)
- 宮城簡易郵便局(大字炭竈)
- 入田郵便局(大字門田)
- 宮砥郵便局(大字次倉)
- 嫗岳郵便局(大字神原)
- 荻郵便局(荻馬場)(集配局)
- 柏原郵便局(荻瓜作)
- 久住郵便局(久住)(集配局)
- 都野郵便局(久住栢木)
- 白丹郵便局(久住白丹)
- 長湯郵便局(直入長湯)
- 下竹田郵便局(直入上田北)
交通
市内は市内中心部を除き、大半が鉄道空白地帯の為自家用車やバス・タクシーでの移動が主流である。
市の中心街の周囲は山に囲まれた盆地にあり、どこに出るにもトンネルを抜けなければならないほど多くのトンネルがあることから、「レンコンの町」の異名がある[1]。
空港
鉄道
- 九州旅客鉄道(JR九州)
路線バス
道路
地域高規格道路
有料道路
一般国道
県道
- 主要地方道
- 一般県道
道の駅
名所・旧跡・観光スポット・祭事・催事
名所・旧跡・観光スポット
自然
文化財等
温泉
その他
-
竹田湧水群(泉水湧水)
-
九重連山(大船山)
-
くじゅう花公園
-
冬の岡城
-
願成院本堂(愛染堂)
-
-
若宮井路笹無田石拱橋
-
明正井路一号幹線一号橋
-
キリシタン洞窟礼拝堂
-
扇森稲荷神社
-
武家屋敷通り
-
長湯温泉
祭事・催事
- 岡城桜祭り(4月4日)
- 竹田七夕まつり(8月第2土曜日・日曜日)
- 竹楽(11月第3土曜日・日曜日)
- 城下町花火大会(8月中旬)
- 都野秋季大祭(10月第2土曜日)
- 城原八幡社 大祭 (10月中旬)
百選
著名な出身者
脚注
関連項目
外部リンク
ウィキメディア・コモンズには、
竹田市に関連するカテゴリがあります。