ジャズ・ロック

ジャズ・ロック
現地名 Jazz rock
様式的起源
使用楽器
派生ジャンル
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ジャズ・ロック (Jazz Rock) とはジャズ音楽のジャンルで、1960年代後半にジャズおよびロックより発展した音楽ジャンルである。欧米ではJazz fusion、あるいはジャズ・ロック・フュージョンの一部に含む考え方もある。

概要

1960年代には、ビートルズローリング・ストーンズなどの電気楽器を使用したロックが台頭し、ジャズは退潮傾向となった。ジャズでも電気楽器(エフェクトを多用したエレクトリック・ギターや、エレクトリックピアノ)を使用したロック的サウンドを取り入れ、ロックでもジャズ的な長尺の即興演奏をするバンドが現れた。これがジャズ・ロックである。NYタイムズに寄稿したロバート・パーマーは、コマーシャルなポップ・ジャズと創造的なジャズ・ロックは区別するべきだと主張している。[2]

ジャズ・マンのマイルス・デイヴィスジミー・スミスジョン・マクラフリンハービー・ハンコックらは音楽的試みとして、演奏に取り入れた。さらに、1970年代にはクロスオーバーや、商業主義的なポップ・ジャズのフュージョンへと変化していった。

1960年代末から70年代初頭にかけて、英国のロック及びジャズ系のミュージシャンがジャズ・ロック・アルバムを発表した。コロシアム[3]ソフト・マシーンニュークリアスらが代表格である。他にフィル・コリンズが在籍したブランドX、グラハム・コリアーマイク・ウェストブルックニール・アードレイらがいた。[4]

アメリカのジャズ・ミュージシャンによる電気楽器の使用は、その後クロスオーバーなどに発展したが、英国でのロック系音楽家によるジャズ・ロックは1970年代後半に衰退した。英国以外では、イタリアのアルティ・エ・メスティエリをはじめ、欧州の各国でプログレ的なアプローチが試みられた。[5]

代表的なアーティスト

エレクトリック・ジャズ

ジャズ・サイドでロックの影響を受けたジャズメンは、それまでの4ビートのジャズにはなかった8ビートや16ビートを取り入れた。ただし、ジャズ・サイドから電気的アプローチをしたため、ジャズ・ロックとは若干異なる「エレクトリック・ジャズ」へと発展した[6]。マイルス・デイヴィスの「ビッチェズ・ブリューは」は、クロスオーバーが登場する以前は、エレクトリック・ジャズ、ジャズ・ロックの代表的なアルバムとして位置付けられた[7]

脚注

  1. ^ a b Jazz-Rock Music Genre Overview - オールミュージック. 2021年12月29日閲覧。
  2. ^ Palmer, Robert (13 February 1977). “Jazz Pop—A 'Failed Art Music' Makes Good”. The New York Times. https://www.nytimes.com/1977/02/13/archives/jazz-popa-failed-art-music-makes-good.html 
  3. ^ Deming, Mark. Colosseum Biography, Songs & Albums - オールミュージック. 2021年12月29日閲覧。
  4. ^ Biography”. Neilardley.com. 14 January 2025閲覧。
  5. ^ プログレッシブ・ロック入門 p/.158
  6. ^ Electric Jazz Music Genre Overview - オールミュージック. 2021年12月29日閲覧。
  7. ^ Stuart Nicholson, JAZZ ROCK: a History, 1998

書籍

  • 細川周平、後藤雅洋、村井康司、寺島靖国、小川隆夫、加藤総夫、柳沢てつや、北里義之、大村幸則、瀧口秀之、西島多恵子、山下泰司、黒田京子、桜井圭介、上野俊哉、米田栄、田辺秀樹、高橋順一、川竹英克、田村和紀夫、大宅緒、高見一樹、島原裕司、柴俊一『新版 ジャズを放つ』洋泉社、1997年2月、23頁。ISBN 4896912500 
  • 『ヨーロッパのジャズ・ディスク1800』 ジャズ批評社 1998年3月
  • 松井巧著『ブリティッシュ・ジャズ・ロック』 エクシードプレス〈EXCEED PRESS POP CULTURE SERIES〉1999年7


関連項目