N-WGN(エヌ ワゴン)は、本田技研工業が生産・販売している軽トールワゴン型の軽自動車である。
N-WGNは2011年(平成23年)11月に発売したN-BOX(N-BOX+含む)を皮切りに展開している「Nシリーズ」の第4弾で、軽自動車の「新しいベーシック」を目指し、基本性能を高次元で備えた軽自動車規格のミニバンともいえる軽ハイトワゴン[注 1]として開発された。開発責任者(LPL=ラージ・プロジェクト・リーダー)はフィット等のLPLを歴任した人見康平。全高はFF車で1,655mm、4WD車で1,675mmとなっており、既発売のN-BOX(1,780 - 1,800mm)より低く、N-ONE及び先代モデルのライフ (1,610 - 1,630mm)より高くなっている。
2019年(令和元年)7月にNシリーズではN-BOXに次いで2車種目となるフルモデルチェンジが発表された。LPLはN-VANのLPLも担当した古舘茂に交代。全高は初代モデルより20mm高くなった[注 2]。Customはアンテナがシャークフィンタイプに変更されたことでさらに30mm高くなり、1,700mmを超える[注 3]。
パワープラントはS07A型エンジンとCVTを搭載する。なお、エンジン型式そのものはN-BOX/N-ONEと同様だが、ホンダの軽自動車では初となるツインインジェクションシステムや金属ナトリウム封入中空排気バルブを新たに採用。自然吸気(NA)車は高圧縮比化[注 5]されたが、ナトリウム封入バルブの採用により排気バルブ近辺の温度を下げることでノッキングの発生を抑え、高出力・高トルク性能を保持したまま低燃費化を実現し、NA車及びターボ・FF車は「平成27年度燃費基準+20%」を、ターボ・4WD車は「平成27年度燃費基準+10%」をそれぞれ達成している。
CVTも従来より軽量化・高効率化を進めており、アイドリングストップ時に油圧を保持する電動油圧ポンプはより軽量な機械式の蓄圧タイプに変更された。アイドリングストップの上限作動速度も減速時10km/h以下まで引き上げられた。
安全性能においても、N-BOX/N-ONE同様に急ブレーキ時にハザードランプを高速点滅させることで後続車に注意を促すエマージェンシーストップシグナル、車両挙動安定化制御システム(VSA)、坂道発進時の後退を抑制するヒルスタートアシスト機能(HSA)を全タイプ標準装備するほか、約30km/h以下の前方車両との衝突の回避・被害軽減をサポートするシティブレーキアクティブシステム(CBAS)とサイドカーテンエアバッグシステム・前席用i-サイドエアバッグシステムをセットにした「あんしんパッケージ」がタイプ別に設定(標準装備、またはオプション設定)されている。
エンジンはS07B型に換装。WLTCモード走行による排出ガス並びに燃料消費率に対応しており、NA・ターボ問わず全タイプで「平成30年排出ガス基準75%低減レベル(☆☆☆☆☆)」認定を取得。また、全タイプ2020年度燃費基準(NA・FF車は+10%)を達成した。
安全装置は運転支援システム「Honda SENSING」となり、全タイプ標準装備となった。N-WGNの「Honda SENSING」は軽乗用車で初となる横断自転車の検知が可能となり、街灯のない夜間の歩行者検知が強化された衝突被害軽減ブレーキ(CMBS)をはじめ、誤発進抑制機能、歩行者事故低減ステアリング、先行車発進お知らせ機能、標識認識機能、路外逸脱抑制機能、渋滞追従機能付ACC(アダプティブ・クルーズ・コントロール)、LKAS(車線維持支援システム)に、後方誤発進抑制機能とオートハイビームを追加した10の機能で構成されている。また、初代ではタイプ別設定だった前席用i-エアバッグシステム+サイドカーテンエアバッグシステム<前席/後席対応>も全タイプ標準装備となった。2022年9月のマイナーチェンジではHonda車初導入となる急アクセル抑制機能を追加。ペダルの踏み間違いや踏み過ぎを検知した場合に急加速が抑制され、音とディスプレー表示で警告し、ドライバーに注意喚起する。既に誤発進抑制機能や後方誤発進抑制機能で対応している前後方に障害物がある場合に加えて、障害物がない場合でもペダルの踏み間違いなどによる加速抑制が可能となった。この機能は販売店で専用機器を用いてのセッティング作業(ディーラーオプション扱い)を受けることでオンとなり、オン設定後はスマートキーで解錠又はエンジン始動すると自動でシステムが起動するようになる。
駐停車機能も強化され、リアバンパーに搭載された4つの超音波センサーで車両後方の障害物の接近を検知し、アラーム音とメーターディスプレイ表示でドライバーに知らせるパーキングセンサーシステム、スイッチ操作で作動し坂道や信号待ちで停車の際にブレーキペダルから足を離しても停車状態を保持し、アクセルペダルを押し込むことでブレーキが自動解除され再発進が可能なオートブレーキホールド機能が備わり、パーキングブレーキはスイッチを引き上げるだけで作動し、アクセルを踏むと自動解除(スイッチを押すことで手動による解除も可能)する電子制御式となった[注 7]。
Nシリーズが提案する『次世代の軽ワゴン』を表現したものである。「WGN」は、ワゴンの略称をロゴタイプにしたもので、ステップワゴン(STEP WGN)と商標を共有している。
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