2017年オーストリアグランプリ (2017 Austrian Grand Prix) は、2017年のF1世界選手権第9戦として、2017年7月9日にレッドブル・リンクで開催された。
正式名称は「FORMULA 1 GROSSER PREIS VON ÖSTERREICH 2017」。
レース前
このレースでピレリが供給するドライタイヤのコンパウンドは、ソフト、スーパーソフト、ウルトラソフトの3種類[1]。
ホンダは前戦アゼルバイジャンGPのフリー走行でフェルナンド・アロンソのみ使用した「スペック3」を、アロンソとストフェル・バンドーンの2台に供給する[2]。
メルセデスは7月4日(火曜日)の時点で、ルイス・ハミルトンのギアボックスを交換することを決定。6戦連続使用という規定を満たすことができないため、ハミルトンは5グリッド降格となる[3]。
レッドブル・リンクは2014年のF1カレンダー復帰以降、F1でのコーナー数は「9」としていたが、ターン1とターン2の間のキンクをコーナーと見なしているMotoGPと同じ「10」に変更した[4]。
フリー走行
開催日時は現地時間 (UTC+2、以下同じ)。
1回目
2017年7月7日 10:00
気温22度、路面温度34度、晴天のドライコンディション。このセッション限定で、フォース・インディアはセルジオ・ペレスに代わりアルフォンソ・セリスJr.が、ルノーはニコ・ヒュルケンベルグに代わりセルゲイ・シロトキンがドライブした。34分にマックス・フェルスタッペンがターン7でクラッシュした。高速コースであるがゆえにスピンやコースオフの場面が多々見られた。トップタイムはハミルトンの1:05.975だが、他の上位勢がスーパーソフトで自己ベストを出した中、唯一ソフトで記録している。スペック3を投入したマクラーレン勢はバンドーン7位、アロンソ9位と初日から好調な仕上がりを見せた。なお、両者ともウルトラソフトで自己ベストを出している[5]。
2回目
2017年7月7日 14:00
気温30度、路面温度43度、昼ににわか雨が降ったが路面はすぐに乾き、晴天のドライコンディションで行われた。マクラーレン勢とペレスはマシンの整備が遅れたためコースインが遅れた。アロンソは7周でフロアを壊し、さらに交換作業も必要になってしまった。1回目に続いてコースのあちこちでマシンコントロールを失う場面が見られた。52分にターン9でコースオフしたカルロス・サインツJr.がフロア周りに大きなダメージを負い、ダニール・クビアトも「何かパーツを失ってパワーもなくなった」とピットに戻る。クビアトはコースに復帰したものの、再びパワーユニットにトラブルが発生してしまった。トップタイムは1回目に続きハミルトン(1:05.483)で、セバスチャン・ベッテルが0.147秒差で2位[6]。
3回目
2017年7月8日 11:00
気温22度、路面温度30度、晴天のドライコンディション。アロンソは「スペック3」パワーユニットのMGU-Hにトラブルが発見されたため、旧仕様の「スペック2」パワーユニットに載せ替えた[7]。4分にサインツが1コーナーを回ったところでストップ。エンジンの再始動を試みるも復帰できなかった。10分にサインツのマシンが撤去され、各車続々とコースインする。なお、サインツはセッション後半に復帰している。まず、フェルスタッペンがウルトラソフトで1:06.387でトップタイムをマークし、続けて1:06.015までタイムを更新した。20分にベッテルが1:05.384でトップとなり、バルテリ・ボッタス、ハミルトンが続く。セッション後半にハミルトンがウルトラソフトで1:05.361のトップタイムを出すも、ベッテルが1:05.092で塗り替える。ハミルトンは残り10分にブレーキトラブルが発生し、スロー走行のままピットに戻った[8]。
予選
2017年7月8日 14:00
ボッタスが2度目のポールポジションを獲得した。
経過
気温30度、路面温度47度、晴天のドライコンディションで行われた[9]。
- Q1
- ロマン・グロージャンがターン7でコースオフするが、クラッシュを回避しコースへ復帰。ケビン・マグヌッセンはサスペンションのトラブルでピットへ戻った。ハミルトンがウルトラソフトでトップタイムを出し、ベッテルはスーパーソフトで2番手に続いた。フリー走行から不調のウィリアムズとザウバーの各2台、そしてジョリオン・パーマーがQ1敗退となった。
- Q2
- Q3進出者にとってはレーススタート時のタイヤを決めるセッションでもあるが、各車ウルトラソフトでアタックを開始する中、既に5グリッド降格が決まっているハミルトンのみスーパーソフトを選択した。1回目のアタックでトップに立ったのはボッタスで、ハミルトンが2番手に続いた。ハミルトンは2回目のアタックもスーパーソフトで走り3位。ベッテルが2位となった。マグヌッセンはサスペンションの修理が間に合わず、タイムを出せなかった。
- Q3
- 最初のアタックでボッタスがトップに立ち、ベッテルとハミルトンが続く。フェルスタッペンはターン1のミスが響き6位。各車2回目のアタックに臨もうとしたが、グロージャンがターン3出口のコース上にストップし黄旗が出される。これによりタイム更新ができず、ボッタスがそのままポールポジションを獲得した。
結果
- 追記
- ^1 - ハミルトンは6戦以内のギアボックス交換のため5グリッド降格[3][12]
- ^2 - ウェーレインは予選後にICE(エンジン)を交換したため、決勝はピットレーンからスタート[13]
決勝
2017年7月9日 14:00
ボッタスが初のポール・トゥ・ウィンで2勝目を飾った。
展開
気温28度、路面温度48度、湿度37%、曇天のドライコンディションで行われた[14]。
ボッタスが好スタートで首位をキープ。ターン1でクビアトがアロンソに追突しフェルスタッペンも巻き込まれた。アロンソはコースに復帰を果たすもピットに戻りリタイア、フェルスタッペンはチームからの指示でマシンを止めリタイアした。
ギアボックス交換により8番グリッドからスタートとなったハミルトンは徐々に順位を上げていき5位まで浮上し、20周目にはライコネンの背後まで迫ったが、ここからは膠着状態となる。30周目、ストロールと入賞圏内の10位を争っていたマグヌッセンがギアを失いリタイア。
32周目にハミルトンが上位勢では一番先にピットインし、スーパーソフトからウルトラソフトに交換した。続いてリカルドとベッテルもタイヤ交換を済ませる。ボッタスは41周目まで引っ張ったが、流石にタイヤの摩耗が激しく「もうタイヤが残っていない」という本人の訴えもありピットイン。ベッテルの3秒前でコースに復帰するが、まだタイヤ交換を済ませていないライコネンが前に立ちふさがる。フェラーリはライコネンにボッタスを抑えさせ、ベッテルとの差を詰める作戦であったが、ライコネンのタイヤも限界に来ており、44周目にボッタスがライコネンをパスしてトップに返り咲いた。ライコネンはこの直後にタイヤ交換を行った。
以後しばらく上位陣に変動はなかったが、レース終盤になって先頭のボッタスが2位ベッテルに、3位リカルドが4位ハミルトンに猛烈なプレッシャーをかけられる。ファイナルラップまでこの接近戦が見られたが、ボッタスとリカルドの両者とも最後までポジションをキープした。ボッタスは初のポール・トゥ・ウィンで今シーズン2勝目を飾った。ベッテルは0.6秒及ばず2位に終わったが、ハミルトンが4位に終わったため、2人のポイント差は20に広がった。3位のリカルドは5戦連続、レッドブルはホームレースで初の表彰台となった。予選で振るわなかったウィリアムズ勢はマッサ9位、ストロール10位で今シーズン初のダブル入賞を果たした。
結果
- ファステストラップ[16]
- ラップリーダー[17]
- 追記
- ^1 - バンドーンは青旗無視のため、ドライブスルーペナルティとペナルティポイント2点が科された[18]
- ^2 - クビアトはスタート直後にアロンソと接触したため、ドライブスルーペナルティとペナルティポイント2点が科された[19]
第9戦終了時点のランキング
- ドライバーズ・チャンピオンシップ
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- コンストラクターズ・チャンピオンシップ
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- 注:ドライバー、コンストラクター共にトップ5のみ表示。
脚注