ジョリオン・パーマー

ジョリオン・パーマー
ジョリオン・パーマー (2016年10月)
基本情報
フルネーム ジョリオン・カーライル・パーマー
Jolyon Carlyle Palmer
略称表記 PAL
国籍 イギリスの旗 イギリス
イングランドの旗 イングランド
出身地 同・ウェスト・サセックス州ホーシャム
生年月日 (1991-01-20) 1991年1月20日(33歳)
F1での経歴
活動時期 2016-2017
所属チーム '16-'17 ルノー
車番 30
出走回数 37 (35スタート)
タイトル 0
優勝回数 0
表彰台(3位以内)回数 0
通算獲得ポイント 9
ポールポジション 0
ファステストラップ 0
初戦 2016年オーストラリアGP
最終戦 2017年日本GP
テンプレートを表示

ジョリオン・カーライル・パーマーJolyon Carlyle Palmer, 1991年1月20日 - )は、イギリスウェスト・サセックス州イングランドホーシャム出身のレーシングドライバー2014年GP2シリーズ・チャンピオンであり、父は元F1ドライバーのジョナサン・パーマー[1]


経歴

Tカーズ (2005年-2006年)

2004年にミニマックス・カートで腕を磨いた後、2005年からはTカーズT Cars)選手権のオータム・トロフィーシリーズに参戦する。Tカーズ選手権は、14歳から17歳までのアマチュアレーサーをメインとするレーシングシリーズである。首位のエイドリアン・クアイフ=ホッブス英語版から46ポイント差の総合5位で終える。翌年はTカーズ選手権の本戦に参加し、ポールポジション1回・表彰台圏内4回を記録する。この年のタイトルを獲得したルチアーノ・バシェタ英語版から69ポイント差となる総合5位に入る。シーズン終了後は2年目のオータム・トロフィーシリーズに参戦し、全6戦中4回の優勝を果たしタイトルを獲得する。2007年シーズンも2レースに出場しどちらも優勝を果たしていたが、フォーミュラ・パーマー・アウディ英語版への参戦に専念するため離脱する事になった。

フォーミュラ・パーマー・アウディ (2007年-2008年)

2007年、パーマーは9年前に父ジョナサンが設立したフォーミュラ・パーマー・アウディに参戦する。デビューレースは12位でフィニッシュする。第9戦ブランズ・ハッチの第1レースではポールポジションを獲得。決勝レースでも首位をキープし初優勝を果たす。シーズン終盤にパーマーは、ウェスト・サセックス州の自宅付近でクワッドバイクを運転中に事故を起こし腹部に怪我を負ってしまう。その為残りのレースを欠場する事になってしまった。最終的には、優勝2回・表彰台圏内4回・ポールポジション2回を記録し総合10位で終える。

2008年のシーズン開幕前には事故の怪我は回復し、2年目に挑んだ。優勝回数こそ昨年を下回る1回だけだったが、表彰台圏内でのフィニッシュは11回と上位に食い込む走りを見せる。総合順位は3位となり躍進した。 シーズン終了後のオータム・トロフィーとショットアウトでもそれぞれ総合3位となる。

F2 (2009年-2010年)

2009年は、モータースポーツ・ビジョン英語版から25年ぶりに名称が復活したF2選手権へ参戦する事になった。カーナンバーは3。シーズンでの最高成績は、第7戦イモララウンドの第2レースで記録した6位。総合順位は21位だった。翌年の開幕戦・第1レースでは、いきなりハットトリックを達成。続く第2レースでも2位に入り絶好のスタートを切る。イギリス人におけるF2での優勝は、当時ヨーロッパF2選手権だった1983年の最終戦(ムジェロ・サーキット)で父ジョナサンが達成して以来27年ぶりの優勝となった。シーズンを通じてディーン・ストーンマンと共にタイトル争いを繰り広げたが、42ポイント差でタイトル獲得はならなかった。(優勝5回・総合2位) 2011年は一度、第4戦にエントリーするが出走はしなかった。

GP2シリーズ (2011年-2014年)

2011年

パーマーは、新たにアーデン・インターナショナル英語版からGP2シリーズフル参戦が決定した。チームメイトは、前年スーパーノヴァ・レーシングから出走したヨセフ・クラール。開幕戦イスタンブール・パークラウンドの第2レース、第4戦バレンシア・ストリートラウンドの第1レースにおいて入賞まであと一歩となる9位でフィニッシュする走りを見せた。最終戦終了後に行われたノン・チャンピオンシップラウンド(ヤス・マリーナ・サーキット)ではブロワ・アダックスから出走し、第1レースで3位、第2レースでは4位となる好成績を出した。

2012年

2年目は、iスポーツ・インターナショナルから参戦する事となる。チームメイトはマーカス・エリクソン。シーズン前半は電気系トラブルに泣かされ中々入賞圏内でフィニッシュする事も出来ない展開となった。調子を取り戻したのは、第5戦モナコラウンドだった。第1レースで6位入賞。第2レースではGP2本戦初優勝を果たした。その後、第7戦シルバーストンラウンド第1レースと第11戦モンツァラウンドの第2レースでそれぞれ3位表彰台を獲得する。

2013年

2013年は、カーリン・モータースポーツへ移籍する。チームメイトは2011年イギリスF3チャンピオンであるフェリペ・ナスル。この年は昨年以上の好成績を挙げたシーズンだった。第2戦バーレーンラウンドと第3戦カタロニアラウンドでは共に第1レースと第2レースで連続入賞を果たした。第7戦ハンガロリンクのラウンド第1レースではキャリア2回目優勝を遂げる。第10戦マリーナベイラウンドの第1レースではハットトリックも達成した。総合順位は昨年の11位から7位へ上昇した。

2014年

フランスの名門DAMSに移籍。シーズンを通じ、コンスタントに上位でポイントを積み重ねて入賞圏外でのフィニッシュは僅か2回(リタイアを含む)。第3戦モナコラウンドの第1レースでは2度目のハットトリックを達成している。優勝4回・表彰台圏内12回の大躍進を果たし、2位のストフェル・バンドーンに47ポイント差を付けGP2タイトルを獲得した[2]

F1

テストドライバーとして (2014年-2015年)

2014年11月25日、フォース・インディアからシーズン終了後にヤス・マリーナ・サーキットで行われるテスト走行に起用された[3]。当日のテストではエンジントラブルや技術的なトラブルが発生し中々走れない状態が続いたが、テスト終盤に3番手タイムをマーク。その後、0.004秒差でニコ・ロズベルグに抜かれたが4位のタイムでテスト走行を終える[4]

年が明けた2015年1月20日、ロータスF1チームよりパーマーのテストドライバー兼リザーブドライバー就任が発表された[5]。レギュラードライバーであるパストール・マルドナドロマン・グロージャンもそれぞれ2010年と2011年にGP2でタイトルを獲得した経験がある[6]

開幕前にカタロニア・サーキットで行われたバルセロナ合同テストにてロータスでの初走行を行った。開幕後はシーズンを通じて13度金曜日フリー走行に出走した。

ロータス/ルノー (2016年-2017年)

2015年10月23日、ハースF1チームへの移籍が決定したグロージャンの後任として、パーマーの2016年レギュラードライバー昇格が発表された[7]。同年12月4日にはルノーによるロータスF1チームの買収が確定し[8]2016年シーズンからはルノーのワークスチームとして活動することとなった。

2016年ルノー・R.S.16で全21戦中15戦を完走し安定感を見せたが、入賞は第16戦マレーシアGPでの10位1回のみであった。ハンガリーGPでは入賞圏内の10位を走行していたがスピンを喫しチャンスを逃す一幕もあった[9]。翌年に向けルノーはまずニコ・ヒュルケンベルグの加入を決定。もう一つのシートをチームメイトのケビン・マグヌッセンと争う事となったが、最終的にはマグヌッセンが自らルノーのオプション行使オファーを断りハースへの移籍を選んだことと、F1初年度にしてほぼ互角の成績を残していたパーマーの契約更新が決定した[10]

2017年、ルノーに残留しヒュルケンベルグとのコンビとなった。前年に続きパーマーの完走率は高かったが、入賞に届かないレースが続いた。ルノー・R.S.17は前年型より速さがあるマシンであり、ヒュルケンベルグはポイントを重ねた一方でパーマーは第13戦終了時点でノーポイントとコンストラクターズ・ランキング争いでの貢献度が低かった。第14戦シンガポールGP直前にルノーは翌シーズンからパーマーに変わってカルロス・サインツの加入を発表。直後のシンガポールGP決勝でパーマーは6位に入りシーズン初入賞を果たしたが[11]、第16戦日本GPでの12位完走を最後に、最終戦を待たずチームとパーマー双方合意の下でチームを離脱[12]。サインツのルノーへの加入が予定より早まることとなった。パーマーは以後F1シートを獲得することは無かった。

解説者

2018年はBBCのF1解説チームに加入し、ラジオ放送の解説者のほか、BBC公式サイトにコラムを寄稿する[13]

レース戦績

略歴

シリーズ 所属チーム レース 勝利 PP FL 表彰台 ポイント 順位
2005 Tカーズ オータム・トロフィー - 6 ? ? ? ? 92 5位
2006 Tカーズ パーマースポーツ・ジュニア 20 0 1 ? 4 92 5位
Tカーズ オータム・トロフィー 6 4 3 4 5 61 1位
2007 フォーミュラ・パーマー・アウディ - 15 2 2 ? 4 187 10位
Tカーズ パーマースポーツ・ジュニア 2 2 1 2 0 24 11位
2008 フォーミュラ・パーマー・アウディ - 20 1 3 3 11 338 3位
フォーミュラ・パーマー・アウディ オータム・トロフィー 6 0 0 0 3 89 3位
フォーミュラ・パーマー・アウディ ショットアウト 3 0 0 0 1 36 3位
2009 FIA フォーミュラ2選手権 モータースポーツ・ヴィジョン 16 0 0 0 0 3 21位
フォーミュラ・パーマー・アウディ パーマースポーツ 8 1 3 2 2 70 16位
2010 FIA フォーミュラ2選手権 モータースポーツ・ヴィジョン 18 5 5 3 10 242 2位
2011 GP2シリーズ アーデン・モータースポーツ 18 0 0 0 0 0 28位
GP2アジアシリーズ 4 0 0 0 0 0 19位
GP2ファイナル バルワ・アダックス・チーム 2 0 0 0 1 9 4位
FIA フォーミュラ2選手権 パーマースポーツ 2 0 0 0 0 0 NC
2012 GP2シリーズ iスポーツ・インターナショナル 24 1 0 0 3 78 11位
2013 カーリン・モータースポーツ 22 2 1 2 3 119 7位
2014 DAMS 22 4 3 7 12 276 1位
フォーミュラ1 サハラ・フォース・インディア・F1チーム テストドライバー
2015 ロータスF1チーム
2016 ルノー・スポールF1チーム 21 0 0 0 0 1 18位
2017 16 0 0 0 0 8 17位
  • * : 今シーズンの順位。(現時点)

FIA フォーミュラ2選手権

1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 11 12 13 14 15 16 17 18 DC ポイント
2009年 VAL
1

21
VAL
2

Ret
BRN
1

10
BRN
2

14
SPA
1

16
SPA
2

Ret
BRH
1

12
BRH
2

16
DON
1

16
DON
2

12
OSC
1

15
OSC
2

19
IMO
1

12
IMO
2

6
CAT
1

13
CAT
2

11
21位 3
2010年 SIL
1

1
SIL
2

2
MAR
1

Ret
MAR
2

5
MNZ
1

1
MNZ
2

1
ZOL
1

2
ZOL
2

2
ALG
1

1
ALG
2

2
BRH
1

8
BRH
2

Ret
BRN
1

5
BRN
2

1
OSC
1

3
OSC
2

12
VAL
1

7
VAL
2

13
2位 242
2011年 SIL
1
SIL
2
MAG
1
MAG
2
SPA
1
SPA
2
NÜR
1

DNS
NÜR
2

DNS
BRH
1
BRH
2
SPL
1
SPL
2
MNZ
1
MNZ
2
CAT
1
CAT
2
NC 0

GP2シリーズ

エントラント 1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 11 12 13 14 15 16 17 18 19 20 21 22 23 24 DC ポイント
2011年 アーデン・インターナショナル IST
FEA

17
IST
SPR

9
CAT
FEA

18
CAT
SPR

17
MON
FEA

NC
MON
SPR

11
VAL
FEA

9
VAL
SPR

Ret
SIL
FEA

20
SIL
SPR

16
NÜR
FEA

19
NÜR
SPR

Ret
HUN
FEA

22
HUN
SPR

18
SPA
FEA

Ret
SPA
SPR

14
MNZ
FEA

Ret
MNZ
SPR

19
NC 0
2012年 iスポーツ・インターナショナル SEP
FEA

17
SEP
SPR

12
BHR1
FEA

DNS
BHR1
SPR

7
BHR2
FEA

24
BHR2
SPR

22
CAT
FEA

9
CAT
SPR

DNS
MON
FEA

6
MON
SPR

1
VAL
FEA

Ret
VAL
SPR

Ret
SIL
FEA

3
SIL
SPR

5
HOC
FEA

18
HOC
SPR

18
HUN
FEA

6
HUN
SPR

5
SPA
FEA

Ret
SPA
SPR

10
MNZ
FEA

7
MNZ
SPR

3
MRN
FEA

Ret
MRN
SPR

Ret
11位 78
2013年 カーリン・モータースポーツ SEP
FEA

6
SEP
SPR

9
BHR
FEA

5
BHR
SPR

6
CAT
FEA

10
CAT
SPR

4
MON
FEA

Ret
MON
SPR

12
SIL
FEA

6
SIL
SPR

Ret
NÜR
FEA

24
NÜR
SPR

11
HUN
FEA

1
HUN
SPR

12
SPA
FEA

15
SPA
SPR

6
MNZ
FEA

Ret
MNZ
SPR

10
MRN
FEA

1
MRN
SPR

17
YMC
FEA

2
YMC
SPR

Ret
7位 119
2014年 DAMS BHR
FEA

3
BHR
SPR

1
CAT
FEA

2
CAT
SPR

2
MON
FEA

1
MON
SPR

7
RBR
FEA

5
RBR
SPR

6
SIL
FEA

2
SIL
SPR

4
HOC
FEA

3
HOC
SPR

6
HUN
FEA

4
HUN
SPR

2
SPA
FEA

6
SPA
SPR

3
MNZ
FEA

8
MNZ
SPR

1
SOC
FEA

1
SOC
SPR

10
YMC
FEA

2
YMC
SPR

Ret
1位 276

GP2アジアシリーズ

エントラント 1 2 3 4 DC ポイント
2011年 アーデン・インターナショナル YMC
FEA

14
YMC
SPR

10
IMO
FEA

19
IMO
SPR

Ret
19位 0

F1

エントラント シャシー エンジン 1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 11 12 13 14 15 16 17 18 19 20 21 WDC ポイント
2015年 ロータス E23 Hybrid メルセデス PU106B Hybrid 1.6 V6 t AUS MAL CHN
TD
BHR
TD
ESP
TD
MON
CAN
AUT
TD
GBR
TD
HUN
TD
BEL
TD
ITA
TD
SIN
JPN
TD
RUS
TD
USA
TD1
MEX
TD
BRA
TD
ABU
TD
- -
2016年 ルノー R.S.16 ルノー R.E.16 1.6 V6 t AUS
11
BHR
DNS
CHN
22
RUS
13
ESP
13
MON
Ret
CAN
Ret
EUR
15
AUT
12
GBR
Ret
HUN
12
GER
19
BEL
15
ITA
Ret
SIN
15
MAL
10
JPN
12
USA
13
MEX
14
BRA
Ret
ABU
17
18位 1
2017年 R.S.17 ルノー R.E.17 1.6 V6 t AUS
Ret
CHN
13
BHR
13
RUS
Ret
ESP
15
MON
11
CAN
11
AZE
Ret
AUT
11
GBR
DNS
HUN
12
BEL
13
ITA
Ret
SIN
6
MAL
15
JPN
12
USA MEX BRA ABU 17位 8

出典

  1. ^ ジョリオン・パーマー”. ESPN F1. 2015年12月13日閲覧。
  2. ^ ジョリオン・パーマー、GP2のチャンピオンを獲得”. F1-Gate.com (2014年10月11日). 2015年12月15日閲覧。
  3. ^ パーマーがフォース・インディアでテスト”. ESPN F1 (2014年11月19日). 2015年12月15日閲覧。
  4. ^ アブダビテスト初日:11月25日”. ESPN F1 (2014年11月26日). 2015年12月15日閲覧。
  5. ^ GP2王者のパーマーがロータスのリザーブに”. ESPN F1 (2015年1月21日). 2015年12月15日閲覧。
  6. ^ ジョリオン・パーマー、ロータスのリザーブドライバーに就任”. F1-Gate.com (2015年1月21日). 2015年12月15日閲覧。
  7. ^ ロータス、2人目はパーマーに決定!”. ESPN F1 (2015年10月24日). 2015年12月15日閲覧。
  8. ^ ルノー、来季F1復帰を発表”. ESPN F1 (2015年12月4日). 2015年12月15日閲覧。
  9. ^ 苦戦中の新人パーマー、F1の難しさを思い知る「路面もクルマも常に変わっていく」 オートスポーツ 2016年8月18日
  10. ^ ルノー、ジョリオン・パーマーの2017年の残留を正式発表 f1-gate 2016年11月10日
  11. ^ パーマー、キャリアベストの6位「次のレースではもっと良くなる」”. Auto Sport (2017年9月18日). 2017年9月24日閲覧。
  12. ^ パーマー、F1日本GPを最後にルノーを離脱。「鈴鹿でのラストレースで最高の結果を出したい」 F1速報 2017年10月7日
  13. ^ 元ルノーF1のパーマー、英国BBCのF1解説チームに加入決定 motorsport.com 2018年2月23日、同6月20日閲覧。

外部リンク