風来坊探偵 赤い谷の惨劇

風来坊探偵 赤い谷の惨劇
Wandering Detective:
Tragedy in Red Valley
Duel in the Valley
千葉真一(手前)と北原しげみ(奥)
監督 深作欣二
脚本 松原佳成
神波史男
出演者 千葉真一
曽根晴美
北原しげみ
音楽 池田正義
撮影 飯村雅彦
編集 鈴木寛
製作会社 ニュー東映
配給 東映
公開 日本の旗 1961年6月9日
上映時間 62分
製作国 日本の旗 日本
言語 日本語
次作 風来坊探偵 岬を渡る黒い風
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風来坊探偵 赤い谷の惨劇』(ふうらいぼうたんてい あかいたにのさんげき、Wandering Detective: Tragedy in Red Valley [注釈 1])は、1961年日本映画主演千葉真一監督深作欣二製作ニュー東映モノクロ東映スコープ、62分。『風来坊探偵シリーズ』の第一作である。

概要

墜落事故に隠されていた陰謀を風来坊探偵が縦横に駆け巡り、謎を解き明かしていくアクションサスペンスミステリ映画[1]。千葉真一が映画初主演で深作欣二が監督デビューとなる本作は[2]、彼らが初めてコンビを組み、後にヒットを連発していく第一弾となった[3]曽根晴美と“拳銃コンビ”で売り出された千葉は[1][4]東映から常にアクションスターであることを、これ以降も求められていくこととなる[5]

ストーリー

香山美佐子の兄と新日本開発の社長・南雲の乗ったセスナ機信州の赤岩岳に墜落し、彼らは死亡。優秀なパイロットである兄の死が信じられない美佐子は赤岩岳山麓の村へ着き、上田牧場の娘・ちか子に教えてもらい、墜落現場へ向かう。セスナ機の残骸は残されたままだったが、美佐子は場違いなマニキュアの小瓶をみつけたことから、この事故に違和感を抱く。すると彼女をそれまで尾けていたヨダレの政と2人のヤクザが、突然襲いかかってきて拉致しようとした。そこに颯爽とハンター姿の男が登場。政たちを叩きのめし、危うい彼女を救い、小瓶をチェックし立ち去っていく。この男は風来坊探偵の異名を持つ、西園寺五郎。五郎は新日本開発から依頼を受け、捜査していたのだ。この付近一帯が観光事業の利権が絡んでいることを突き止めた五郎に、上田牧場を地上げし赤岩岳周辺にスキー場ゴルフ場を造り独占しようと企む北東観光のボス・鬼頭とその配下である用心棒サウスポーの源とヨダレの政らヤクザたちが立ちふさがり、正体不明の拳銃使い・スペードの鉄も関わってくるが、五郎は真相を暴いていく。

キャスト

スタッフ

※クレジットタイトル順。

製作

降雪した浅間山セスナ機を置いてオープンセットを立て、セスナ機の衝突では特撮を使用するなど、ふんだんに予算が使われている[6]雪渓での格闘やダイナマイトに吹き飛ばされ、乗馬しながら攻防など、吹き替え無しで演じる千葉真一の勇姿を迫真のカメラロケで迫っている[1]。時代は公開年に設定しているものの、牧場高原が舞台であることから、西部劇を彷彿させるような出で立ちで現れる登場人物がおり、千葉演ずる主人公がウィンチェスターM1892を駆使し[7]、敵と戦い、クライマックスの銃撃戦・爆破も西部劇的な展開となっている。

雪山でのロケでは撮影中に雪が降ってきてしまい、出演者・スタッフは景色が繋がらないので撮り直しになると、気分が沈んでしまうところを深作欣二は、合羽そりにして雪上を滑りだし、みんなで誰が一番飛べるかと競争が始まった[6]。千葉真一はとにかく出演者・スタッフを乗せようとする深作の手法を、驚きと同時に全然偉ぶらない姿勢に感心している[6]室田日出男もキャスティングされていたが、クランクインの前夜に酔って暴れ、ホテルガラスを叩き割ったので、深作欣二は室田を降板させた[8]

小山内美江子は深作欣二から本作を観てほしいと誘われ、その感想は「うまい。本当にうまかった」と後年、述懐している[9]

参考文献

  • 千葉真一「第4章 現代日本のサムライ三傑 - 深作欣二、高倉健、大山倍達」『千葉流 サムライへの道』(初版第1刷)ぶんか社、2010年9月20日。ISBN 4821142694OCLC 662404923 

脚注

注釈

  1. ^ Duel in the Valley という英語タイトルもある[1]

出典

  1. ^ a b c d 風来坊探偵 赤い谷の惨劇 - 日本映画製作者連盟
  2. ^ 風来坊探偵 赤い谷の惨劇”. 東映チャンネル. 2021年10月1日時点のオリジナルよりアーカイブ。2021年10月1日閲覧。
  3. ^ 【復刻・日曜のヒーロー】待っていて下さい 必ずや ハリウッドの千葉真一”. nikkansports.com. 日曜日のヒーロー. 日刊スポーツ新聞社 (2021年8月20日). 2021年8月23日時点のオリジナルよりアーカイブ2022年4月4日閲覧。
  4. ^ 月刊誌『東映の友』、1961年東京国立近代美術館フイルムセンター4階図書室所蔵。
  5. ^ 脇田巧彦「アクションに賭ける男・千葉真一」『戦国自衛隊』、角川春樹事務所、1979年12月15日、21頁、ASIN B004M0T1C2 
  6. ^ a b c 「世界で勝負してほしかった、私にとって唯一無二の監督、Mr.キンジ・フカサク」、139頁。
  7. ^ 「世界で勝負してほしかった、私にとって唯一無二の監督、Mr.キンジ・フカサク」、136頁。
  8. ^ 千葉真一、深作欣二の初監督の怒号に驚いた”. アサ芸+. 芸能. 徳間書店 (2012年11月27日). 2024年4月6日時点のオリジナルよりアーカイブ2024年4月6日閲覧。
  9. ^ 立松和平「第一章 『仁義なき戦い』まで」『映画主義者 深作欣二』(第1刷)文藝春秋、2003年6月1日、36頁。ISBN 4-89036-181-2OCLC 54088600 

外部リンク