仏教において五位(ごい)とは、説一切有部によって唱えられた、一切法(あらゆる事象)を5種類に分類してまとめた説[1][2]。五法(ごほう)・五品(ごほん)などとも。仏教は一切法(sabba-dhammā)を、無為法と有為法に明確に二分して、両者を全く異質なカテゴリーとして扱う[2][3]。
五位は以下の5つであり、1~4は有為法である[2]。有為法とは生滅変化する現象界の要素[4]、因縁変化を成立させる法、原因・条件によって生滅する事物である[5]。
それぞれの五位に含まれる法の数は、宗派によって異なる。
五蘊・十八界・五位の関係(説一切有部によるもの)
五蘊 (五蘊説[8])・十二処・十八界という部類分けは、いずれも阿含以来のものである[14]が、部派仏教の時代になると、数多くの論師たちが自派の学説の正当性を主張して論争をたたかわし、学問的分析解明に力がそそがれた[8]。この時期に説一切有部の「五位」の範疇(五位説[8])が加わって、法の体系は一段と整備される。これは蘊・処・界の部類分けの中で、行蘊や法処・法界の部分をいっそうこまかに考察した結果である[14]。説一切有部の論が記された『倶舎論』では、色法11・心法1・心所法46・心不相応行法14・無為法3の75種(五位七十五法)と成す。
説一切有部は、すべての現象的存在はこの75種の法によって構成されていると主張する、つまり75種の法にのみ実在性を認め、それ以外には実在性を認めない[15]。
(ういほう、梵: saṃskṛta dharma、サンスクリタ・ダルマ)(72)
(しきほう、梵: rūpa dharma、ルーパ・ダルマ[16])(11)
(しんぼう、梵: citta dharma、チッタ・ダルマ)(1)
(しんじょほう、梵: caitasika dharma、チャイタシカ・ダルマ)(46)[注 2]
(だいじほう、梵: mahābhūmika、マハーブーミカ) [25]。 もしくは遍大地法(へんだいじほう)[5])(10)
- 最も普遍的な心作用[25]。いつも心とともにはたらく心作用[5]。心が生起すれば必ずともに生起する(倶生する)心作用[26]。
(だいぜんじほう、梵: kuśala-mahābhūmika、クシャラ・マハーブーミカ)(10)
- 善心とあい伴う心作用[5]。
(だいぼんのうじほう、梵: kleśa-mahābhūmika、クレーシャ・マハーブーミカ)(6)
- すべての不善心と有覆無記(うぶくむき)[注 3]心にあい伴うもの [34]。不善心と煩悩に覆われているが、有覆無記心をあい伴う心作用 [5]。
(だいふぜんじほう、梵: akuśala-mahābhūmika 、アクシャラ・マハーブーミカ)(2)
- 不善心とあい伴う心作用[5]。
(しょうぼんのうじほう、梵: parīttakleśabhūmika、パリーッタクレーシャブーミカ)(10)
- 不善心や有覆無記心とのみあい伴う心作用[5]。
(ふじょうほう、梵: aniyata dharma)[32]もしくは不定地法(ふじょうじほう[5])(8)
- あるときは善心と、あるときは不善心と、あるときは無記心とあい伴うもの[32]。
(しんふそうおうぎょうほう、梵: citta-viprayukta-saṃskāra dharma、チッタヴィプラユクタ・サンスカーラ・ダルマ)(14)[注 5]
- 心に伴わないもの[5]。
(むいほう、梵: asaṃskṛta dharma、アサンスクリタ・ダルマ)(3)
それまでの五蘊説と比較して、五位説は以下の特徴をもつ。
法(ダルマ)は次の性質をもつ。
また、法 のうち、心は次の性質をもつ。
一方、唯識派やその東アジア後継である法相宗では、『成唯識論』に則り、心法8・心所法51・色法11・不相応行法24・無為法6の100種(五位百法)とする。
(唯識の名の通り、こちらの教学では「心」(識) の優位性が詳細さを以て説かれるので、「心法」が冒頭に配置され、「色法」は後順に退く格好になる。)
漢訳名は普光の『大乗百法明門論疏』に従う。
このように立場によって数や順序、位置づけが異なっている。
また、実体の存在を認めるか否かについても異なっている(唯識宗の根幹にある喩伽唯識では実体を認めない)。
なお、上座部大寺派、すなわち現在の南伝上座部仏教では、『アビダンマッタ・サンガハ』などの記述に依り、以下の計170法を、「性質(=自性)が変わることが無い法」としての「勝義法」(第一義法、巴: paramattha dhamma, パラマッタ・ダンマ)として挙げる[66]。
これとは別に9世紀の唐の禅僧洞山良价が唱えた禅宗独自の五位(「洞山五位」)も存在する。これは生滅の現象を意味する正偏五位(しょうへんごい、正中偏・偏中正・正中来・偏中至・兼中到)と修行のあり方を示す功勲五位(くくんごい、向・奉・功・共功・功功)が存在する。
心王 - 心所 - 煩悩 - 末那識 - 阿頼耶識 - 種子 - 薫習 - 三類境 - 一水四見 - 遍計所執性 - 依他起性 - 円成実性 - 転識得智
弥勒 - 無著 - 世親 - 徳慧 - 安慧 - 親勝 - 歡喜 - 淨月 - 火辨 - 勝友 - 勝子 - 智月 - 陳那 - 無性 - 護法 - 戒賢 - 法称 - 寂護 - 蓮華戒
真諦 - 玄奘 - 基 - 慧沼 - 智周
道昭 - 智通 - 智鳳 - 行基 - 義淵 - 玄昉 - 徳一 - 真興 - 貞慶 - 良遍 - 光胤
華厳経 - 解深密経 - 大乗阿毘達磨経
瑜伽師地論 - 摂大乗論 - 唯識三十頌 - 唯識二十論 - 成唯識論 - 述記 - 了義燈 - 演秘 - 同学鈔 - 観心覚夢鈔
瑜伽行唯識学派 - 無相唯識派 - 有相唯識派
法相宗: 興福寺 - 薬師寺、北法相宗: 清水寺、聖徳宗: 法隆寺
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