トイレの神様「トイレの神様」(トイレのかみさま)は、植村花菜による楽曲、およびこれを始めとする同名著書などの作品群である。 楽曲
2010年(平成22年)3月10日に発売された通算5作目のミニアルバム『わたしのかけらたち』に収録されているリード楽曲である。 自身と鹿児島県沖永良部島出身の祖母[2]との生前の会話を歌った楽曲で、小学校3年生から23歳頃[3]までの実体験がベースとなっている。アコースティック・ギター1本で伴奏が始まるが、最後はバンドとオーケストラのバックとなる。 2010年(平成22年)2月、TOKYO FMで1か月期間限定番組『TOKYO FM MONTHLY SPECIAL 植村花菜〜トイレの神様』が月曜日1:00 - 1:30(日曜深夜25:00 - 25:30)に4回にわたって放送された[4]。その後も多くのラジオ番組等で流され、同年11月24日にはシングルカットされた。同年12月30日の第52回日本レコード大賞で優秀作品賞および作詩賞を受賞し、翌12月31日には『第61回NHK紅白歌合戦』で披露された。 同年開催された上海国際博覧会でも、中国語字幕付きで流されたほか、植村自身も日本産業館のステージで7月に歌った。 2011年(平成23年)2月24日より花王「トイレクイックル『べっぴんさん編』」のCM曲として使用されている。 制作の経緯音楽プロデューサーに寺岡呼人を迎え、自己紹介を兼ねて自分の生い立ちなどを話していくうちに亡き祖母の話になり、「それいいね。ぜひ曲にしよう」と言われた[5]。植村は「ホンマですか? 曲になりますか? タイトルも『トイレの神様』ですよ」と驚いたが、最終的には曲作りに励むこととなった。彼女はいつも曲を先に作っていた[要出典]が、本曲では詞を先に作ることにした[6]。出来た詞は作文のようで、また長かったが、曲をつける際には本人が「降りてきました」と語るほど素晴らしい曲に仕上がった[要出典]。 祖母の和嘉は、鹿児島県大島郡和泊町手々知名出身[2]で、トイレをきれいにすると美人になるというのは、この地区の言い伝え[2]。10代の時に家族と沖永良部島を離れた[2]が、大久保利通の異母兄弟タケの曽孫にあたり[2]、植村花菜は来孫にあたる。植村は祖母と共に沖永良部島を訪れる約束をしていたが果たせず、本作のヒット後、2011年(平成23年)3月に初めて島を訪れ、言い伝えや姻戚関係について知った[2]。 歌詞の中に登場する「新喜劇」は、毎日放送で土曜日の昼に放送される『よしもと新喜劇』のことである。曲の大ヒットを機に植村は2011年(平成23年)1月1日放送の『吉本新喜劇正月スペシャル』にゲスト出演している。 タイトルは『トイレの神様』だが、歌詞中に用いられているフレーズは「女神様」である。 曲の構成・長さについて
曲はこの表のような構成となっており、自身の小学校3年生からの祖母との思い出を歌っている。 1 - 3番では上京するために家を離れるところまでを歌っている。ここまではAメロとBメロを繰り返す二部形式となっている。演奏は2番まではアコースティック・ギターとコントラバスのみだが、3番以降他の楽器も入っていく。 間奏を挟み4番に入ると、ドラムが入り曲の流れが変わる。Cメロからは祖母との思い出を振り返るシーンに入り、一番の盛り上がりに向けて曲が進む。最後にAメロに戻り、後奏に入る。 曲の長さは約10分(アルバム、シングル収録のトラックでは9分52秒で、MVでは10分4秒)に及ぶ。この様な長い曲の場合、一般的にラジオでもかけやすいように短くまとめた(Radio Edit)バージョンを作るが、この曲では詞の世界観を守ることを理由に作られていない。 ラジオではなかなかフルコーラスでかけてもらえないのでは、と考えた事務所の社長が、自らフルコーラスでの放送をラジオ局に頼んだこともあった[要出典]。フルコーラスにこだわる理由は、3番までで終わると本曲の一番の盛り上がりを聴けずに終わり趣が半減されてしまうためである。 「第61回NHK紅白歌合戦」出場が決まった際に曲の長さのことも話題になったが、植村は事前の会見で「どこも削るところがないので全部歌わせていただきたい」と述べている[7]。ただし実際に歌われたのは、歌詞はそのままで8分弱に短縮された紅白バージョンであった。 シングルシングルは2010年(平成22年)11月24日にキングレコードからリリースされた。当初は売上枚数が伸びなかったが、同年末の「第52回日本レコード大賞」と「第61回NHK紅白歌合戦」での披露後に急上昇を果たし、2011年(平成23年)1月10日付のオリコンシングルチャートでは、前週の15位からジャンプアップし、発売6週目にして植村の初のオリコン首位獲得となった。尚、週間売上枚数は11,327枚でオリコン史上最少枚数での首位(当時)であった[8]。1月17日付のオリコンシングルチャートで、前週に続いて2週連続で首位を獲得。当時、シングルの2週連続の首位は、Mr.Childrenの「HANABI」が2008年9月15・22日付で記録して以来、2年4ヶ月ぶりであった。女性アーティストでは、宇多田ヒカルの「Flavor Of Life」が2007年3月12日 - 26日付で記録して以来、3年10ヶ月ぶりであった。発売から1ヶ月以上が経過した作品では、森山直太朗の「さくら(独唱)」(2003年3月5日発売)が2003年5月12日 - 26日付の3週連続で首位を獲得して以来、7年8ヶ月ぶりであった[9]。 2010年7月11日より配信開始した着うたフルでは、翌年の2011年10月に75万ダウンロードに到達[10]。PC・スマホ計でも既に25万ダウンロード[11]に到達していたため、フル配信での売上は100万件を達成している。 収録作品・カバー
小説
2010年7月9日に、宝島社より発売された植村花菜による著書である。同人の同名楽曲についてや、自身についてつづられたノンフィクション小説である。 2011年1月7日に23万部を突破したことが[12]、同年1月13日に、オリコン1月17日付で“本”ランキングBOOK(総合)部門では前週70位から27位と大きくジャンプアップ、タレント本部門では前週2位から初めて首位を獲得したと報じられた[13]。 絵本
2010年9月3日に、講談社より発売された植村花菜による絵本である。ストーリーは同名楽曲や同名著書(上記のノンフィクション小説)を元にしたものである。 作画は、絵本作家のとりごえまりが担当している。 テレビドラマ
「毎日放送開局60周年記念のスペシャルドラマ」として、毎日放送制作、TBS系列で、2011年1月5日の21:00 - 22:58(JST)に放送した。またTBS系列以外では、同系列局のない秋田県の秋田テレビ(フジテレビ系列)で、3日遅れの2011年1月8日の13:00 - 14:54(JST)に放送された。視聴率は関東9.8%、関西16.1%(いずれもビデオリサーチ調べ)。 植村本人の高校生までの生活をベースとしたオリジナルストーリー。2011年6月3日にDVDが発売された。 主な出演者
スタッフ
備考大手トイレメーカーのINAX(現:LIXIL)がメインスポンサーとなり[14][15]、劇中で幼少期の花菜がトイレを掃除している場面がCMとして流された。尚、上海万博での植村のスペシャルライブもINAXが協賛している。 放送から2ヶ月後の2011年3月11日に東北地方太平洋沖地震(東日本大震災)が発生した影響で番組が差し替えとなり、同年3月16日の21:00 - 22:48枠で急遽このドラマが再放送された。被災地にある系列局に配慮してTBS・MBSがローカル差し替えができるように措置をとったためで、本来はバラエティ番組『イチハチ』の最終回2時間スペシャルが放送される予定だった[16]。実際東北放送は大震災に関する報道特別番組を、テレビユー福島はTBSニュースバードのサイマル放送をそれぞれ20時台から放送していた。 2011年5月に、上海で開催の『第17回上海テレビ祭国際番組コンテスト』の「テレビフィルム部門」で入賞(ノミネート)したことが明らかになった[17]。 2011年6月4日の14:52 - 17:00に、前述の上海テレビ祭国際番組コンテストで入賞したのを記念して、毎日放送で2回目の再放送が関西ローカルで放送された。 来歴
関連項目
脚注
外部リンク |