「東京VICTORY 」(とうきょうヴィクトリー)は、サザンオールスターズ の楽曲。自身の55作目のシングル として、タイシタレーベル / SPEEDSTAR RECORDS から12cmCD ・12インチレコード で2014年 9月10日 に発売された。キャッチコピー は「サザンオールスターズの、心高鳴る “アンセム” 誕生-」 。
2014年12月17日 からはダウンロード配信、2019年 12月20日 からはストリーミング配信が開始されている[ 10] [ 11] 。
背景・制作
前作の「ピースとハイライト 」から約1年1か月ぶりとなるシングル[ 12] 。
2014年6月25日のデビュー36周年記念日にオリジナルアルバムの制作(後の『葡萄 』)の告知と同時に発売が発表された作品である[ 13] 。本作の製作は後に「東京VICTORY」と「天国オン・ザ・ビーチ」が収録された『葡萄』と同時に製作をしていたことが明らかになっている[ 14] 。
「東京VICTORY」のミュージックビデオ は2014年8月に撮影し、「天国オン・ザ・ビーチ」は同年7月に撮影を行った[ 15] 。「東京VICTORY」は丹修一 が監督を務め、「天国オン・ザ・ビーチ」は前作の「ピースとハイライト」も担当した川村ケンスケ が監督を務めた[ 16] 。
サザンのシングルとしては現時点で本作を最後にCDリリースが途切れ、次作「闘う戦士たちへ愛を込めて 」以降は配信限定リリースとなっている。
リリース
本作は完全生産限定盤、通常盤、アナログ盤の3種類あり、完全生産限定盤「“フレ!フレ!パッケージ”」には「サザンの“フレ!フレ!”FLAG[ 注釈 1] 」が付属[ 13] 。そのフラッグの苗のイラストは、前作の「ピースとハイライト」の“希望の苗を植えていこうよ”の歌詞からとったものである[ 20] 。
プロモーション
発売関連企画
発売当日の読売新聞 の番組欄の下の部分に本作の広告が掲載された[ 21] 。
タイアップ先のTBSのサイトでは楽曲の歌詞・解説及び高橋尚子 、吉田沙保里 、石川佳純 、木村沙織 による「東京VICTORY」に対するコメントが掲載された[ 22] 。
テレビ放送
本作の発売に合わせ、NHK ではSONGSスペシャル 「時を駆けるサザンオールスターズ 変わりゆくニッポン」という特番を2014年9月11日に放送し、桑田・原・関口とは青山学院大学 の後輩で、前年にブエノスアイレス で開かれたIOCの夏季東京五輪誘致 に出席した滝川クリステル がナレーションを務め、1964年の東京五輪 ・第125次IOC総会 の映像が流れたり、サザンの活動期間中の社会情勢、桑田の音楽性のルーツなどを特集したりした[ 23] 。
2014年9月27日にWOWOW でスペシャル番組『サザンオールスターズ「東京VICTORY」スペシャル』が放送され、桑田へのインタビュー、「東京VICTORY」「天国オン・ザ・ビーチ」のミュージック・ビデオ、密着ドキュメントを放送した[ 24] 。
テレビ披露
受賞歴
チャート成績
2014年9月22日付のオリコン 週間ランキングで、初週9.3万枚を売り上げ初登場1位を獲得した。2006年に発売した「DIRTY OLD MAN 〜さらば夏よ〜 」から4作連続・通算16作目の首位獲得を記録した[ 34] 。オリコンによる本作の登場週数は20週である[ 5] 。
オリコンと同週に発表されたBillboard Japan Hot 100 では、9万枚でCDセールス1位、ラジオ1位、ルックアップ3位、Twitter7位で総合1位を獲得した[ 35] [ 36] 。
日本音楽著作権協会 (JASRAC)の著作権使用料分配額(国内作品)ランキングでは、2019年度の年間8位を獲得した[ 37] 。
収録曲
本作のレコーディングが行われたビクタースタジオ[ 38] 。
日本の国旗。これまでにも桑田のソロライブ『宮城ライブ 〜明日へのマーチ!!〜 』『I LOVE YOU -now & forever- 』でバックモニターに掲揚されたことがあり[ 39] [ 40] 、「東京VICTORY」では「Rising sun」という言葉でモチーフとして登場している[ 41] [ 42] 。同楽曲のタイトルの「東京」の部分は日本そのもののことを表し、聴き手に対して「故郷日本を大切に感じてほしい」という思いが込められている[ 43] 。桑田は生粋の純日本人であり、かねてから公の場で日の丸を掲揚及び国歌「君が代 」を歌唱することを肯定している[ 44] [ 40] [ 45] 。
東京VICTORY (5:09)
(作詞・作曲:桑田佳祐 / 編曲:サザンオールスターズ)
桑田出演の三井住友銀行 「Lady, Fight!」CMソング。TBS 系列 「2014 アジア大会 &世界バレー 」「2018 アジア大会 &世界バレー 」テーマソング[ 注釈 2] 。SUBARU 「フォレスター 」CMソング[ 注釈 2] 。TBS系列スポーツ 情報番組 『東京VICTORY 』テーマソング[ 注釈 3] 。ユニクロ 「感謝祭 40周年の初心と感謝」CMソング[ 46] [ 注釈 4] 。
高揚感のある歌詞とアップテンポな曲調となっている。ドラムの松田弘 の「この曲は『ロックンロール・スーパーマン 〜Rock'n Roll Superman〜 』みたいだね」という発言が歌詞の方向性に影響しているという[ 41] 。イントロの”Wow Wow …“のコーラスは製作途中からのアイディアで、後半のハモリを提案したのはキーボードの原由子 である[ 41] 。
歌詞は2020年東京オリンピック を意識している。タイトルの「東京」は日本の象徴や「母国」「祖国」といった意味合いがあり[ 41] 、桑田は聴き手に対して「タイトルは東京ですけど、それぞれ自分の故郷を大切にしようと思っていただけたら」「これからは皆が元気で笑顔で日本中が住みやすい街になっていかないといけない」とも述べている[ 47] [ 41] 。また、桑田はそれと同時に日本中の過疎化 や商店街の活気がない街が存在することなどを憂いており、「これからはちゃんと地方のことも考えていかないとダメな時代なんだろうな」といった発言も行っている[ 注釈 5] [ 47] [ 41] 。2番の歌詞中の「金色に光る一番星」は金メダル [ 41] 、「Rising sun」は日の丸 [ 41] [ 42] 、ラストサビの「時が止まったままのあの日の My home town」は東日本大震災後の福島県 を指している[ 49] 。特に日の丸を歌詞のモチーフに取り入れた理由に関しては「戦場にもっていくとか、Show the flag じゃなくて(中略)スポーツとか音楽とか映画とか文化的なもので日本の国旗がたなびく感じ」「”金メダルを獲りました! “とか”頑張れ~!“的な、そんなイメージもあるんですよね」と語っている[ 41] 。また、「VICTORY」は日本語で「勝利」を意味している[ 50] 。桑田は最初こそは東京オリンピックに対して前向きな気持ちが持てなかったものの、結局気持ちを切り替えたといい[ 51] [ 41] 、「日本は今多くの問題をかかえているけど、後ろ向きにならずに“VICTORY”な気持ちを持って前を向いて行こう」という思いを楽曲に込めたことを発売当時に述べている[ 41] 。裏のイメージとして自身が長年使用してるビクター のスタジオの所在地である「千駄ヶ谷 物語」があり、「この景色も2020年のオリンピックにはどう変わっていくのか」という想いもあるといい[ 38] 、桑田が言うには「VICTORY」は「ビクター」にも通ずるとしている[ 38] 。本楽曲のタイトルと歌詞に対して日経エンタテインメント! では「桑田の日本 に対する強い愛情がにじみ出た」と高く評価されている[ 52] 。前作の「ピースとハイライト」とアプローチは違うものの「平和への願い」が根底にあふれているとも評されている[ 41] 。また、前述の日本人スポーツ関係者のコメントにあるように、本楽曲を聴いて自らを鼓舞させる要素があるのも特徴の一つである[ 22] 。このこともあり、一部では「東京オリンピックのテーマ曲にしてほしい」などといった声も存在した[ 53] 。
桑田はこの曲に対し加藤登紀子 の「知床旅情 」のようなイメージを持っていたとのことで、「やはり僕は日本人 [ 注釈 6] 。いくらロックに憧れても、僕らは発祥地たる西洋の人たちと同じにできないじゃないですか。それより日本人には日本人のボディサイズに合った歌があって、僕は何とかそれを見つけたい」「森繁久彌 さんの歌詞と、生ギター一本で歌う加藤さんの姿は今回、僕にとっての”いい歌”の基準でした」と『週刊文春 』2014年9月18日号でのインタビュー特集『僕はポップスとニッポンを愛す』の中で述べている[ 44] [ 注釈 7] 。
レコーディングでは様々な試みを行い、伴奏はシンセサイザーや打ち込みを多用している。松田のドラムの音を加工し、関口和之 が考案したベースのフレーズを自身と曽我淳一 がシンセで打ち込み、桑田もギターやアンプを当初録音したものと違うものに替えて録り直した。サビのフレーズでは原の考案したカウンターメロディーと桑田が弾いたギターを機械的にループさせる形をとった。原のピアノには特殊な音響処理を施している。本楽曲に挑む桑田の姿勢に関してはレコーディングエンジニアからも「当初から全体的に"攻めよう"という気運が感じられた」と評されていた[ 57] 。また、コールドプレイ の「美しき生命 」からの影響も語られている[ 58] 。
2017年3月12日〜15日にアメリカ合衆国 のテキサス州 オースティンで開かれた“SXSW 2017”で「8K:VR Ride featuring “Tokyo Victory”」というコンテンツが出展され、上映BGMとして本楽曲が使用された[ 59] 。
サザンの楽曲をカラオケのレパートリーにしている落語家の林家たい平 は『キャラオケ18番 』2015年5月31日放送分(日本テレビ )や『金曜プレミアム 今夜復活! 歌がうまい王座決定戦 』2015年7月17日放送分(フジテレビ 系列 )などで本楽曲を熱唱している[ 60] [ 61] [ 62] 。
伊達みきお (サンドウィッチマン )は2023年10月24日に放送された『バナナサンド 』(TBS)のコーナー「ハモリ我慢ゲーム 」で本楽曲を選曲し、コーラス隊のハモリにつられることなく歌い切っている[ 63] 。
松岡茉優 は元気になりたい時に聴く曲として本楽曲を挙げている[ 64] 。
女子レスリング 選手の藤波朱理 は試合当日に聴く曲として本楽曲を挙げている[ 65] 。
天国オン・ザ・ビーチ (3:59)
(作詞・作曲:桑田佳祐 / 編曲:サザンオールスターズ / 管・弦編曲:曽我淳一)
サザンが得意とする「エロ歌 」である。歌詞は「亀 」・「トーテムポール 」・「アワビ 」などの性的なスラングと、近藤真彦 の「ギンギラギンにさりげなく 」・城みちる の「イルカにのった少年 」・郷ひろみ の「GOLDFINGER '99 」・西城秀樹 の「ブルースカイ ブルー 」・ザ・スパイダース (レインボウズ )の「バラバラ 」・橋幸夫 の「あの娘と僕 」・ザ・ドリフターズ の「パイノパイノパイ 」・海援隊 の「JODAN JODAN 」など数多くのヒット曲へのオマージュ で構成されている。桑田のイメージとしてはテレビドラマ『ハレンチ学園 』の主題歌「ハレンチ学園ソング」のような「昭和の演芸的なナンバー」である[ 38] 。「SPECIAL MAGAZINE サザンオールスターズ『葡萄』」内の「エロ歌の37年史」では、本楽曲がサザンオールスターズのエロ歌史上最強の下品度だと記載されている[ 66] 。レコーディング時はその下品度ゆえに原由子はともかく、桑田を除いた男性メンバーのテンションは低かったといい、桑田はそうしたサブカルチャーを理解してくれる斎藤誠 がいなかったらほぼ四面楚歌だったという旨を回想している。桑田やスタッフによると、歌入れの直後に関口が「還暦が近いのによくこういうのができるね」と言っていたという逸話がある。一方でメンバーは演奏自体は真剣に取り組んでおり、桑田は本楽曲での関口のベースアレンジを絶賛している。コーラスをしている「MCビーチギャルズ」はアミューズとビクターの女性社員である[ 67] [ 68] 。
レコーディング自体はスムーズに進み、歌詞はメンバーにイメージが伝わりやすいという理由で急遽書かれたものだった。作者である桑田ですら歌入れの時点であまりのバカバカしさに吹き出してしまったという[ 67] [ 68] 。『葡萄』初回生産限定盤A・B特典『葡萄白書』には当時書いた仮の歌詞の一部の写真が載っている[ 69] 。
前述の告知の際にYouTube にて配信されたトレーラーで先行で流された[ 70] 。
ミュージックビデオの振り付けはパパイヤ鈴木 が担当[ 71] 。
ミュージックビデオには、19人の有名人が出演している[ 1] (50音順)。
パリの痴話喧嘩 (1:45)
(作詞・作曲:桑田佳祐 / 編曲:サザンオールスターズ)
桑田出演のサッポロビール 「プレミアムアルコールフリー」CMソング。
本格的なシャンソンのメロディに、日本語 がさもフランス語 に聞こえるようになっており、最後には朝鮮料理 の名前も登場する[ 72] [ 注釈 9] 。曲中においての女声ヴォイスは本物のフランス語であり、女声を収録した大漉真実子はサザンやアクト・アゲインスト・エイズ のライブにも出演しているダンサーである[ 73] 。
CMの打ち合わせを行った翌日にはレコーディングを行ったとのこと[ 73] 。
参加ミュージシャン
桑田佳祐 :Vocal、Acoustic&Electric Guitars、Bicycle Horn、Blues Harps、Cowbell、Hand Claps、Tambourine、Backing Vocal
関口和之 :Bass
松田弘 :Drums&Tambourine
原由子 :Piano、Synthesizer、Backing Vocal
野沢秀行 :Percussion
東京VICTORY
斎藤誠 :Acoustic&Electric Guitars
曽我淳一:Computer Programming、Piano&Synthesizer
401STオールスターズ:Shout
天国オン・ザ・ビーチ
斎藤誠:Electric Guitar
曽我淳一:Computer Programming、Piano&Synthesizer
西村浩二:Trumpet
菅坡雅彦:Trumpet
村田陽一 :Trombone
金原千恵子 ストリングス:Strings
MCビーチギャルズ:Backing Vocal
パリの痴話喧嘩
曽我淳一:Computer Programming
大漉真実子:French Voice&Backing Vocal
収録アルバム
ミュージック・ビデオ収録作品
ライブ映像作品
脚注
注釈
出典
関連項目
外部リンク
桑田佳祐 (ボーカル・ギター) | 原由子 (キーボード・ボーカル) | 関口和之 (ベース) | 松田弘 (ドラム) | 野沢秀行 (パーカッション) 元メンバー : 大森隆志 (リードギター) シングル
オリジナル
1970年代
1980年代
1990年代
90年 91年 92年 93年 95年 96年 97年 98年 99年
2000年代
2010年代
配信
アルバム
楽曲 企画作品 ライブ 出演 関連項目
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