完全生産限定盤特典の『I LOVE YOU -now & forever- 完全本』の表紙は大谷鬼次の奴江戸兵衛風のイラストがエレキギターを抱えたもので[5]、裏表紙も富士山や桜、そして下記のツアー会場にちなんだイラストになっており、全体的にこのツアーのコンセプトの「和」の要素がデザインに反映されている[6]。
リリース
Disc1には2012年9月から始まった5年ぶりのツアーから、自身初となるさいたまスーパーアリーナの公演を収録。Disc2には完全密着ドキュメント映像が収録されている。また、完全生産限定盤の特典としてオフショットや桑田やサポートメンバーのインタビューを収録した『I LOVE YOU -now & forever- 完全本』も封入された[7]。
先述した通りこのライブは「和」のコンセプトで行われており、桑田はベスト・アルバム『I LOVE YOU -now & forever-』の発売に伴い放送されたWOWOWでのインタビューで「今興味があるのは日本の『和』。そういったものをステージに取り入れられないかと考えているところです」と発言し[12]、ツアー初日に発売された著書『やっぱり、ただの歌詩じゃねえか、こんなもん』でも「古の日本文化を、ステージなどに取り入れるのも有りだろう」[13]と演出の構想を述べていた。実際のライブでは本編で着用した鯉のぼり柄(最終日は波柄に変更される)[14]:222,223[10]のジャケット・Tシャツ[注 1][15][16] といった衣装や、オープニングでの歌舞伎風の口上(『青砥稿花紅彩画』の名科白のパロディ)[16]、アンコールのエンディングでのダンサーの花魁風の口上などの「和」をモチーフとした演出が随所に取り入れられた[14]:184[15]。これについては「ブラタモリ」(NHK総合)を少し意識したと述べている[14]:184。また、この「和」の意味合いがライブをしているうちに「和む」や「輪」という意味に変わっていったという発言もしている[15]。桑田は翌年以降のサザンオールスターズの活動の際にも「”和”という言葉が好き」[17][18] と述べており、日本的なものから「世界平和[19]」などの幅広い定義で「和」の要素を部分的に取り入れている[20]。
「幸せのラストダンス」では結婚を控えた、もしくはしたカップルを一組客席から探し、祝福する演出が行われた[14]:121。北海道以外のすべての公演で前年のライブのオープニングで歌った「青葉城恋唄」をご当地に合わせたものや時事ネタ、自身の心情を投影した替え歌[注 2]にして歌われた。なお、北海道公演では「てぇへんだ(大変だ)」などに代表される江戸っ子の口調を取り上げたうえで、北海道を「へっけぇでぇ」と発音した桑田のオリジナルのご当地ソングが歌唱された[14]:74,75,114,115。「現代東京奇譚」「白い恋人達」では赤いジャケット、「ダーリン」ではマドロス帽を着用しており、曲の雰囲気に合わせた演出を行っている[14]:61,129。「Let's try again ~kuwata keisuke ver.~」ではバックモニターに東日本大震災の被災地の映像を流した。これについては、前年のライブで被災者の感情に配慮して流さなかったが、このライブでは「リアルなものに近づいて表現しよう」「お客さんと直に触れ合って共有していくことも必要なんじゃないか」という意識の下、「決して忘れてはいけない」という意味で行ったことを述べている[14]:190,191。「波乗りジョニー」では桑田の指示により、ダンサーとの絡みが毎回変化し、最終的には桑田とダンサーに対立関係を設定し、プロレスを意識した図式を作るに至った[14]:193。また、当初は普通に楽曲を締めていたが、最終的にはダンサーが桑田のマイクを奪い、観客をあおるスタイルに変更された[15]。「100万年の幸せ!!」では前半はメンバーが当てぶりで演奏し、後半からは大仏に扮したビクターのスタッフと共に全員で踊る演出が行われた。これはゴールデンボンバーを意識して行われたものだった[14]:131,194[15]。福岡公演2日目より、当時は未発表だった「涙をぶっとばせ!!」がアンコール一曲目より演奏され、同時に「CAFE BLEU」が演奏されなくなった。「涙をぶっとばせ!!」の歌唱シーンはDISC2に一部が収録されている[15]。また、同曲のPVでは、このライブの最終日の模様が映像に使用された[10]。「ROCK AND ROLL HERO」では当時の日本や世界の情勢がバックモニターに映され、野田内閣から第2次安倍内閣への政権交代などもあって映像も時期に合わせて作り替えられていた。また、ツアー期間中に2012年アメリカ合衆国大統領選挙があったため、「オバマが負けたらそれも変えなきゃ」という話をスタッフとしたという。一方で「ただ、オスプレイの写真とかも出てきましたけど、沖縄の問題というのは急に解決することでもないでしょうし、歌っていて何だか申し訳ない気持ちになっちゃったりもしたんですよね」といった思いがあったことも述べている[14]:197。「可愛いミーナ」では当初は大サビをカットしていたが、ツアー終盤からは大サビも含めすべて歌われるようになった[15]。「月光の聖者達」では終盤に夕陽と日の丸をオーバーラップさせる演出の映像[注 3]がバックモニターに投影された[10][24]。
前年の『宮城ライブ』でも同様の演出を行っている[25]。「明日晴れるかな」では冒頭は桑田がアカペラで歌い、途中からバンドの伴奏が入り、コーラス隊に扮したダンサーと共に歌い上げる壮大な演出を行った[14]:133,197[15]。大阪公演のみ「OSAKA LADY BLUES 〜大阪レディ・ブルース〜」を歌唱し、12月12日にはゲストとして金本知憲が登場した[14]:187。MC内のメンバー紹介では当初こそはごく普通に手を振るのみだったが[26]、桑田の要望により、金原千恵子が犬の鳴き声の真似をしたり、深町栄が指人形で観客を楽しませたり、佐藤嘉風がご当地ネタを絡めたイラストを発表したりするなど、メンバーそれぞれがサービス精神を発揮するようになった[15]。
ダンサーはEBATO DANCING TEAM(本作では“I LOVE YOU” special dancersとクレジットされている[14]:7[15])が参加しており、このライブでは「北国踊る維新の会」(北海道公演)、「踊る伊予ちゃんず」(愛媛公演)、「中洲明太ダンシングアカデミー」(福岡公演)など、チーム名がその土地の名産品や当時の時事ネタを連想させるものに変更された[30]。