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この項目では、イギリスのTVドラマについて説明しています。
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『名探偵ポワロ』(めいたんていポワロ、原題:Agatha Christie's Poirot、2003年以降の第9シリーズからはAgatha Christie:Poirotに変更されたが日本版の題名は変わらず)は、1989年から2013年にかけて、イギリスのロンドン・ウィークエンド・テレビ(London Weekend Television)が主体となって制作した、アガサ・クリスティ原作、探偵エルキュール・ポワロ[注 1]を主人公としたテレビドラマ。
概要
原作を重んじた丁寧な作りが放映開始当初から支持を集め、「エルキュール・ポワロ・シリーズの映像化作品における決定版」といわれる本作は、
初期は短編の映像化をメインに、短編を消化した後は長編に移行して制作された。
そのため原作全ての映像化が期待され、本作でポワロ役を演じたデヴィッド・スーシェ自身も前向きであったが、シリーズ中期以降、企画当初からのプロデューサーの退任や制作母体の変遷など苦難が続き、制作されない時期もあった(2007年に予定されていた第11シーズンの放送が2008年にズレ込み、告知のあった『オリエント急行の殺人』を含む各エピソードも先送りされるなどしていた)。こうした困難を経ながらも、長年のファンの期待に後押しされるように断続的に制作は続けられた。
そして2013年6月、第13シリーズをもってついにほぼ全て[注 2]の原作の映像化という偉業を達成。放映開始から24年目にしてシリーズ完結となった。
キャスト
最も原作に近いポワロとしばしば賞賛されるデヴィッド・スーシェの演技が良く知られている。スーシェは原作を徹底的に研究し[1][2][3]、多くの俳優に演じられてきた「名探偵エルキュール・ポワロ」のイメージを決定付ける名演を見せた[4]。
原作においては部分的な登場であった助手のアーサー・ヘイスティングズ大尉(ヒュー・フレイザー)、スコットランドヤードのジェームス・ハロルド・ジャップ警部(フィリップ・ジャクソン)、秘書のミス・レモン(ポーリーン・モラン)をほぼレギュラーとして登場させることで、ポワロを取り巻く人間関係にドラマオリジナルのキャラクター性を加えられている。彼らのユーモラスな掛け合いもドラマ版ポワロの魅力として認識されており、2004年の第9シリーズ以降登場していなかったが、最終シリーズである第13シリーズにおいて再集結を果たした。またゲストヒロインを始めレギュラー以外の登場人物の年齢が原作より高めに設定されており、「大人のドラマ」という側面が強調されている[要出典]。
時代設定
原作の「エルキュール・ポワロ」シリーズは第一次世界大戦直後の1920年代から時代が進んでいくのに対し、このドラマでは1930年代に概ね固定されている。特にジャロー十字軍(『ヒッコリー・ロードの殺人』)やフレッド・ペリーの全仏オープン優勝(1935年)などのエピソード(『雲をつかむ死』)が物語に絡められている事から、第二次世界大戦前夜の1930年代後半期が背景にされていると見られる[注 3]。
こうした時代設定を踏まえて、美術面などでアール・デコ風の装飾を採用しており[注 3]、原作の持つ独特の雰囲気を演出することに成功している。
日本放映
日本ではNHKが1990年から日本語版の放映を開始。ポワロの吹き替えにはベテラン声優の熊倉一雄を起用し人気を博した。熊倉とスーシェの声質は必ずしも似ているわけではないが、その独特の語り口はスーシェ同様日本におけるポワロのイメージとして定着するに至った。スーシェ本人からも「熊倉の声が最もポワロの声によく似合う」とお墨付きをもらっている[注 4]。ヘイスティングスの吹き替えは第45話(『もの言えぬ証人』)まで富山敬が担当、富山の死後となる第47話(『エッジウェア卿の死』)から安原義人が新たに担当した。
NHKの日本語版はオリジナル版とは放送順が替えられていたり、放送時間の関係で数分のカットシーンが存在する(カットシーンについてはソフト化の項を参照)。またオリジナル版の後期シリーズでは使われていないオープニング・エンディング映像は、日本語版では短縮された形で使用され続けた。新作が作られる度に、版権処理や日本語化作業のためオリジナル版から1~3年程遅れて、主に海外ドラマ枠として年末年始や夏休みに放送されていたが、後期シリーズは衛星放送のみの場合が多かった。再放送も随時行われているが、近年ではAXNミステリーやシネフィルWOWOWといったCSでも放送されている。
最終第13シリーズの日本語版初回放送に先立ち、ドラマ制作にまつわる秘話・最終収録に臨む想いなどをまとめた特別番組『さよならポワロ!〜世界が愛した名探偵・25年の軌跡〜』が放送された[注 5]。
イギリスにおいてリマスター版が制作されたことを受け、2015年10月24日よりNHK BSプレミアムにて『名探偵ポワロ ハイビジョンリマスター版』が放送された(カットシーンのない完全版仕様。第62話以降は本放送もハイビジョン制作のため、番組名はリマスター版とはせずに、本放送と同じものを放送)。ただし、NHKがBSプレミアムの最終話まで地上波版のオープニング映像をアップコンバート・流用したのに対し、シネフィルWOWOWの放送ではNHK版に準じつつ再制作されたタイトルロゴがみられる。NHKでの放映直前となる2015年10月12日にポワロの吹き替えを演じた熊倉一雄が亡くなった為、NHKの番組HPには追悼のコメントが記載された。
登場人物
吹き替えはNHK版 / デアゴスティーニ版の順
- エルキュール・ポワロ
- 演:デヴィッド・スーシェ(声:熊倉一雄 / 大塚智則)
- 主人公。元ベルギー警察の警官で原作では警察署長まで務めたが、ドラマでは触れられていない。首都ブリュッセルで活躍していたが、第一次世界大戦の影響でイギリスに亡命。受け入れ先「スタイルズ荘」で起こった殺人事件を解決し、一躍有名になる。事務所兼住居である、ロンドンのホワイトヘブン・マンションを拠点に、舞い込んできたりしばしば自分から首を突っ込む事件を灰色の脳細胞を用いて解決していく。
- 推理方法としては相手の心理や行動を分析するプロファイリングに近い推理法を得意とし、証人への質問も返答の内容より相手の顔色や反応を見るという、いかにも元警官らしい手法を使うが現場の証拠やそれが示すものを見逃すことはない。
- 秩序と方法をモットーとし、かなり几帳面な性格。曲がったことを許さず、机の上の物を始め、少しでも秩序を乱していると感じるものを並べ直してしまう癖がある。野趣をよしとするイギリス式庭園より、きちんと整備されたフランス式庭園を好む。ベンチに座る時など常に綺麗かどうか確認するなど、潔癖症の気もある。当然、潮風と船酔いが伴う船旅や埃っぽい中近東旅行は嫌っているが、いざ実際に行くと大いに楽しむ。ちなみに飛行機も苦手で、窓の外を見ようとしない。ドラマ版では切手収集を趣味としている。
- 世界一の探偵を自称する自信家で、誰もが自分のことを知っていると思っている。だが案外知られておらず、肩を落としてはヘイスティングスに八つ当たりしたりする。この件もあって、何度となく引退をほのめかしてはヘイスティングスをやきもきさせていた。一度だけ本当に引退を表明し田舎に落ち着いたこともあったが、その村で発生したアクロイド氏の殺人事件に関わり、再会したジャップの言葉に押される形で、再びロンドンのずっと押さえてあったホワイトヘブン・マンションの部屋に戻り探偵業に復職している。
- 自慢の口ひげは、カモメの羽を逆さにした感じ(ガルウィング風)で、先端はシリーズ初期と後期とでは微妙に変わっており、先端が少しカールしているものから先端が上を向いているものとなっている。原作では髭の形は明確に書かれていないため、スーシェの顔に似合い気に入るこの形にされた。
- 祖国ベルギーへの愛国心は人一倍。ベルギーが馬鹿にされると癇癪を起こす。また自身の言葉の訛りからフランス人と誤解されることがあり、この時も機嫌を悪くする。フランス語の発音に慣れない英語圏の登場人物から姓名を間違って発音され、むっとすることもしばしばある。面倒とばかりに「ミスターP」などと呼ばれることさえあった。初期には丁寧に訂正を求めていたこともあるが、その後は苦笑しながらも指摘しないことも増えた。
- 太り気味であることを周囲にからかわれているが、大食漢ではなく美食家。健康ブームの影響か体型について小言を言われることが多いが「私の身体は完璧。今は絶好調です。」と全く動じず、医師から肥満を窘められた際にはセカンドオピニオンを要求していた。「灰色の脳細胞には栄養が必要」と語るなど食事を大切にしており、減量中に事件が起きた際には事件解決の一歩としてまず昼食を取りに向かっていた。なお役を演じるスーシェ本人はスマートで、ポワロを演じる際は胸や肩に大量のパッドを入れている。他に虫歯を患っているが、歯医者は苦手。話によっては右足を少し引きずっている。
- このように一癖も二癖もある人物だが、それがどこかチャーミングで憎めない、人を惹き付ける一面となっている。
- 原作のポワロはかなり高慢で嫌味なキャラクターで、アガサ自身『一作目でポワロが嫌いになった。』と語っているが、本ドラマではむしろより高貴で誇り高い人物描写がなされている。長編もの、特に後期シリーズではその「孤高さ」が老いの侘しさとあいまって「孤独さ」へ、そして寂しさへと変化していった。
- 女性に対してはきわめて紳士的で、聞き込み先のメイドに椅子を引いて座らせる(『コックを捜せ』)ことまでしている。女性心理の読み取りにも長けており、反対に鈍感なヘイスティングスの行動に眉をひそめることもしばしば。
- 真相の究明を恐れた犯人や、事件の関係者から殺されかけた経験が数度ある(『スペイン櫃の秘密』『マギンティ夫人は死んだ』『杉の柩』『オリエント急行殺人事件』など)。犯人を逮捕寸前まで追い詰めながら自殺阻止に失敗したり、自殺の可能性を予見しつつあえて看過する展開も少なくない。
- アーサー・ヘイスティングス大尉
- 演:ヒュー・フレイザー(声:富山敬〈「もの言えぬ証人」まで〉 → 安原義人〈「エッジウェア卿の死」以降〉 / 宮健一)
- ポワロの友人にしてパートナー。イギリス陸軍の退役将校(大尉)で、現役時には中尉として第一次世界大戦に従軍していた。その後負傷し傷痍軍人としてイギリスに戻り、『スタイルズ荘の怪事件』の際に亡命中のポワロと再会、それを機にポワロの助手になる決意をした。退役後も予備役士官として軍人年金を受け取っている描写があり、初対面の相手には「ヘイスティングス大尉」と紹介される事が多い。
- 退役軍人ながら優しく温厚な性格で、物腰は柔らかくとも容易に相手を信用しないポワロに比べ、相手をすぐ信用するお人好しである。特に美人の女性には弱く、何度か恋に落ちては淡い失恋に終わっている。『ゴルフ場殺人事件』で最愛の女性を見つけめでたく結婚、アルゼンチンで地主として暮らす為にポワロの元から去るが、原作ではそのままアルゼンチンに定住し、出演機会が激減するのに対し、ドラマ版では経営に失敗してイギリスに戻っている。結婚生活については妻を深く愛しているが、妻からは自分が旅行先から帰るのと入れ違いで旅行に出て行ったりと微妙な態度を取られている。『ビッグ・フォー』では、アルゼンチンのラ・パンパ州サンタロサの、おそらくは郊外に隠居していた。『カーテン』では妻は死亡し、娘のジュディスは「スタイルズ荘」で働いている。
- 友人に勧められて買った株が、事件関係者が流布した風評で下落する(『プリマス行き急行列車』等)など投資に失敗するエピソードがあり、性格からか商才に乏しいようである。
- 性格は純粋かつ正義感の強い行動派。視聴者に近い視点で事件を見ているという点でワトソン役であり、推理もジャップと同じく短絡的な結論に陥りがち。だが愚鈍というわけではなく、時としてポワロにヒントを与えることもある。
- 趣味はゴルフと車。ゴルフの練習のため海外に行くこともあった。車はスポーツカーがお気に入りで、乗り回すだけでなく話が止まらない。その熱中ぶりはポワロによく呆れられている。愛車はラゴンダだが、ぶつけられたり、ポワロに「車のせいで風邪をひいた」と言われるなど、あまりいい思いはしていない。この他、カメラに凝り、浴室を占領して暗室代わりにしていたこともある(『スズメバチの巣』)。
- ジェームス・ハロルド・ジャップ警部
- 演:フィリップ・ジャクソン(声:坂口芳貞 / 弓家保則)
- ロンドン警視庁(スコットランド・ヤード)の主任警部(chief inspector)(「ビッグ・フォー」登場時には警視監(assistant commissioner)に出世している)。ポワロがベルギー警察にいた頃からの知り合い。ポワロが探偵業を始めた当初は対立することもあったが、互いの才能を認め合っており、よき協力者、よき友人として長年つきあっている。口元に金髪の口ひげを蓄えている。
- 性格は頑固。事務処理が苦手で、人員削減のあおりで報告書をタイプする羽目になったときは愚痴をこぼしていた。探偵ものに登場する典型的な警察官でポワロに先を越されることも多いが、法的処理等の問題があり自由に動けないためでもある。推理については理屈よりも先に身体を動かすタイプで、常に直線的に物事を考える。従ってポワロの周到で慎重な推理作業については「あんたは何でも物事を複雑にしたがるんだ」と不満を口にするが、一方で実際に難事件を解決してみせるポワロを深く信頼している。チャリティー講演を頼まれた際には、一般的な私立探偵に嫌悪感をあらわにしながらも、ポワロのことは絶賛した(『二重の罪』)。
- 捜査活動でのシンプルで実直な気質と同じく、私生活でも必要時以外は家事を行わない大雑把な性格で、何事にも神経質な程に几帳面なポワロとは対照的に描かれている。自宅でポワロに夕食に招待した時は、遠慮から本音をいえないポワロに満面の笑みで「男の料理」を振舞っていた。良く言えばタフ、悪く言えば無神経な人物で少しの事ではへこたれないが、ギャング絡みの事件でFBIに指揮権を取り上げられた時はすっかり落ち込んでいた。
- 既婚者で子供はいないが、エミリーという妻と27年間過ごしている。愛妻家ないしは軽い恐妻家で『ABC殺人事件』では、職場に買い物を頼む電話がかかってきて、律儀にメモをとっている姿が描写されていた。エミリーは、『刑事コロンボ』の妻(かみさん)と同じく話には登場するが顔は出てこない。その設定は『チョコレートの箱』で見事に生かされている。同エピソードは原作では終始ポワロとヘイステングスの対話で進むエピソードだが、ドラマ版ではブリュッセルで行われたジャップの「黄金の枝」の授章式にポワロが付き添い、昔を振り返りながら事件を説明するエピソードとなっている。なぜ夫人が付いてこなかったかと聞かれたジャップは一言、「妻は長旅が嫌いでね」と返している。『スズメバチの巣』ではジャップが妻は後からやってくる、と発言していたが来られなくなった。もっとも『ポワロのクリスマス』においてジャップ警部が妻の実家でウンザリしているシーンがあり、そこに登場する女性2人のうちのいずれかが妻ではないかとも考えられる。
- ミス・レモン
- 演:ポーリーン・モラン(声:翠準子 / ひなたたまり)
- 本名:ミス・フェリシティ・レモン。ポワロの有能な秘書。原作では完璧な機械と称されるほど、人間味がなく冷たい印象だが、ドラマでは人間味のある女性として登場している。
- 原作ではクリスティの別の探偵パーカー・パイン氏の秘書として初登場し、後にポワロシリーズに登場する。ドラマでは第1話から既にポワロの秘書として登場、これまでの経歴は触れられていない。
- 性格はポワロと同じく几帳面。決まった時間に行動し、決まった時間にポワロにハーブティーを差し出す(ポワロは紅茶(tea)が嫌い)。完璧なファイリングシステムの構築を目指しており、取り扱った事件のデータを事細かに、ファイリングしている。ただしこのシステムは、彼女しか使いこなせないのが難点。ヘイスティングスが動けないとき、女性の視点を必要とするときなどは、ポワロと一緒に捜査をすることもある。一人で外出するときは、笛でタクシーを呼びつけたこともあった。第一次世界大戦中には病院の遺体置き場で働いていたらしく、死体は見慣れているという(『あなたの庭はどんな庭?』)。
- 身内は母と姉ハバード夫人が確認できる。姉の事はフローレンスと呼んでおり、ミス・レモンを通した姉からの相談によってポワロが事件に関わることとなる(『ヒッコリー・ロードの殺人』)。一度だけ、恋人が出来たこともあった(『イタリア貴族殺害事件』)。
- アリアドニ・オリヴァ夫人
- 演:ゾーイ・ワナメイカー(声:藤波京子〈「ひらいたトランプ」のみ〉 → 山本陽子〈「マギンティ夫人は死んだ」以降〉 / 北林早苗)
- 後期作品『ひらいたトランプ』より登場。以後「マギンティ夫人は死んだ」「第三の女」「ハロウィン・パーティ」「象は忘れない」に登場、『複数の時計』では、登場はしないが、彼女自身の脚本でスヴェンものが舞台で上演されている。後期シリーズではヘイスティングスなどに代わりポワロの助手役として比較的出番が多く、ポワロの執事ジョージとともに実質的な準レギュラーとなっている。
- 著名な女流推理作家。フィンランド人探偵スヴェンシリーズは人気があり、長く書き続けられているが、当初本人は続けるつもりはなかったため、フィンランド人、ベジタリアンなどの奇抜な設定をもてあまし、書き続けなければならないことをしばしば愚痴っている。彼女はアガサ・クリスティ本人がモデルであるとされる。アガサ・クリスティもポワロシリーズに半ばうんざりしながら創作を続けていたという証言があり、それになぞらえた設定と考えられる。
- 「作品の参考にする」という口実で事件に首を突っ込むが、無意識に重要なヒントを与える一方で、事件を引っかき回したり関係者に襲われる等してポワロをやきもきさせる。
- ジョージ
- 演:デイビット・イェランド(声:堀部隆一〈「満潮に乗って」のみ〉 → 坂本大地〈「マギンティ夫人は死んだ」以降〉 / 真田雅隆)
- ポワロの執事[注 6]。原作ではおなじみの登場人物だが、このドラマでは後期シリーズの準レギュラーとして第57話で初登場、最終話にも顔を見せる。実直な人柄で、主人のポワロに忠実に仕える。ポワロの身の回りの世話をするほか、時には彼に命じられて事件の調査をしたり、意見を求められることもある。料理の腕も一流らしくグルメなポワロも絶賛している(『第三の女』)。
スタッフ
- Agatha Christie's Poirot
- 原作:アガサ・クリスティ
- 製作:ブライアン・イーストマン他
- 製作総指揮:ニック・エリオット他
- 脚本:クライブ・エクストン/マイケル・ベイガー/アンソニー・ホロヴィッツ 他多数
- 監督:エドワード・ベネット/レニィ・ライ他多数
- 音楽:クリストファー・ガニング(含テーマ曲)/クリスチャン・ヘンソン/スティーブン・マッキーオン
- 主演:デヴィッド・スーシェ(エルキュール・ポワロ)
- 制作:カーニバル・フィルム/英LWT/グラナダ・プロダクション/米A&Eテレビジョンネットワーク/ITV プロダクション/WGBHボストン/エーコン・プロダクションズ/マスターピース/アガサクリスティLtd.
- NHK日本語版『名探偵ポワロ』
- 完全版追加録音部分
- デアゴスティーニ版
- 翻訳:安本熙生
- 演出:椿淳
- 録音・編集:恵比須弘和
- 制作:高砂商事(CROSS-GATE)
エピソード
イギリスでの初回放送順に準ずる。なお作品間の時系列は不特定で、台詞を確認すると細かく前後していたりする。日本での放送日は初回放送日。
※「NHK版吹き替え出演者」で1役2名記載の場合は2005年の完全版制作時の追加吹き替え時の代役キャスト。
第1シリーズ(第1 - 10話)
各52分。
第2シリーズ(第11 - 19話)
第11話:103分、第12 - 19話:各52分。
第3シリーズ(第20 - 30話)
第20話:103分、第21 - 30話:各52分。
第4シリーズ(第31 - 33話)
各103分。
第5シリーズ(第34 - 41話)
各52分。
第6シリーズ(第42 - 45話)
各103分。
第7シリーズ(第46・47話)
各103分。このシリーズから16:9ワイドスクリーンでの収録になる。
第8シリーズ(第48・49話)
各103分。
第9シリーズ(第50 - 53話)
各103分。
第10シリーズ(第54 - 57話)
各103分。
第11シリーズ(第58 - 61話)
各94分。
第12シリーズ(第62 - 65話)
各90分。日本語では放送順がイギリスと異なっている。DVD-BOXやストリーム配信では『複数の時計』が最初のエピソードとされている。
第13シリーズ(第66 - 70話)
各90分。
ソフト化
放送当初から数社がVHSでの発売を行っていたが、これらは全て英語音声日本語字幕で、サブタイトルもNHK版には依っていなかった。
NHKの日本語版がソフト化されたのは2001年から2002年にかけてビームエンタテインメント(現ハピネット)より発売されたDVDが最初で、第47話まで発売された。ただし、NHK総合で放送された第49話までは放送時間の都合上カットシーンが存在したため、その部分のみ英語音声日本語字幕での収録だった。その後2005年にNHK版と同じキャスト(ヘイスティングスは逝去した富山の後任の安原が担当、ゲスト側も一部を除いて同じ声優を起用)を起用しカットシーンの追加吹き替えを行い[注 22]、加えてNHKで放送された当時の映像(放送枠に合わせカット・編集された日本語版)も全話分収録、パッケージも一新した完全版が第49話まで発売された(旧DVDに収録されていない第48、49話のパッケージはリバーシブルになっており、裏返すと旧DVDのフォーマットに揃えることができた)。
2007年には第9シリーズ第50~53話が、仕様は完全版ながらパッケージを旧版に戻した『ニュー・シーズン DVD-BOX 1』として発売されると、以降シリーズが制作される度にDVD-BOX化され、最終第13シリーズ収録の『同 DVD-BOX 5』まで発売された。なお、NHK BS2で放送されるようになった第50話以降はカットシーンは存在しないため、完全版とは明記していない。
また2011年にデアゴスティーニ・ジャパンから『名探偵ポワロ DVDコレクション』としてDVDマガジンが発刊(隔週刊行で1巻1作)。2013年7月9日発行の65巻で完結し2013年6月以降放送の最終シリーズは収録されていない。マガジンではあらすじ、原作との相違、作品の時代背景やクリスティの生い立ちの解説がなされ、レギュラー出演者へのインタビューとあわせた出演者紹介・ロケ地・撮影の裏話なども掲載されている。ただし収録されている吹き替えはデアゴスティーニが新録したものとなっており、登場人物の項に記載のとおりNHKの日本語版とはキャストが異なる。また、ゲストキャラクターは何人かの声優が話数によって役柄を変えながら演じているため、キャストが重複している。
Blu-Rayディスクでのソフト化については、イギリスにおいてITVスタジオとAcorn Media制作によるリマスター版が発売された。2015年日本でもBOXが第49話まで発売された。本編はイギリス版ではリマスターできずにカットされたシーンを国内のSD素材をアップコンバートして復元、さらにオリジナル版と日本放送版(OP・EDをNHK版の映像に差し替え)2種類を収録している。
関連商品
- 1997年に日本クラウンから、14曲収録のサウンドトラックCDが発売された。ただし、タイトルは同社から発売されていたVHSに依って『名探偵エルキュール・ポアロ』となっている。現在は廃盤。
- 1998年に求龍堂から、ドラマシリーズ唯一の解説本『テレビ版名探偵ポワロ』(ピーター・ヘイニング著)が翻訳出版。現在は絶版。
- 2015年にスタジオ・エコーから、熊倉一雄、安原義人他による原作のオーディオブックが5作、配信の形で発売された[6][7]。
- 2022年に原書房から、スーシェがこの作品について語った著書『ポワロと私 デビッド・スーシェ自伝』が翻訳出版された。
- またイギリスでは上記以外のサウンドトラックCD、スーシェやフレイザーが朗読する原作のオーディオブック等が発売されており、これらは日本でも輸入盤として購入できる。
参考文献
脚注
注釈
- ^ 一般的には日本での原作の販売権を持つ早川書房が使用する「ポアロ」表記を用いるが本作は「ポワロ」表記
- ^ ドラマ化に向かない小品や、他の原作と要素が被るもの、戯曲などは映像化されていない。
- ^ a b [5]。作中のせりふ等から明らかになるものとしては、初期の短編『消えた廃坑』では、登場人物がホテルの宿帳に記載した日付(8/2/35)から1935年8月の事件であることがわかる。『あなたの庭はどんな庭』では毎年5月に開かれるチェルシーフラワーショーの1935年度の垂れ幕が見られる。『ポワロのクリスマス』では「1896年」の「40年後」とのキャプションが出ていることと作中の人物の台詞から、1936年のスペイン内戦勃発後のエピソードであることが明らかにされている。『100万ドル債券盗難事件』では1936年のクイーン・メリー号の処女航海途上で事件が起こる。『黄色いアイリス』では、「2年前」に死亡した女性の没年が「1934」と刻まれている。『負け犬』の冒頭に登場するベルリンからの手紙の消印は「18 6 36」となっている。『死との約束』では、「1937年 シリア」のキャプションが冒頭に登場し、また、『杉の柩』では、劇中に登場する新聞記事から最初の事件が1937年9月半ばに発生したことがわかる(このとき売られていた新聞は同年7月に亡くなったジョージ・ガーシュウィンの特集記事を組んでいた)。『オリエント急行の殺人』では劇中の台詞から、『象は忘れない』ではキャプションから、捜査が1938年に行われていることが明かにされている。他にも登場する資産家が「もうすぐドイツが戦争を起こす。そうすれば真っ先にベルギーがまた征服される。手間はかからんだろうね」(『負け犬』)と発言する、進歩的な青年貴族が「失業者があふれ、ドイツじゃ扇動政治家が台頭しているのに、騒ぎになるのは親友の婚約者を取った話」と嘆く(『ナイルに死す』)など、1930年代の不穏な情勢を伝えるエピソードも多い。ポワロの最初の事件として知られる『スタイルズ荘の怪事件』は第1次大戦中の設定。入院した病院でヘイスティングスが見ているニュース映画として1917年6月7日のフランドルでの戦闘(メシヌ高地の戦い)が映写されており、事件は1917年6月19日発生したとの設定。なお、最終作「カーテン」は、ポワロの手紙に書かれた日付から1949年10月に設定されていることがわかる。
- ^ 橋本達典「アガサ・クリスティー特集 熊倉一雄Special Comment」『ジェイコムマガジン』第21巻第9号、ジェイコム東京、23頁。
- ^ 特別番組の日本語版キャストは小宮和枝、多田野曜平などテアトル・エコー(ポワロ役・熊倉一雄が主催する劇団)のメンバー。演出は「青列車の秘密」など4話を担当した高橋剛による。
- ^ 正確にはバトラー(butler)ではなくヴァレット(valet: 従者)。
- ^ 第62・63話
- ^ 第64話
- ^ a b 第65話
- ^ 第66話・68 - 70話
- ^ 第67話
- ^ 第10シリーズのみ「音声」でクレジット。
- ^ 第10シリーズまでは録音担当のクレジットなし。
- ^ 第58・60・65話
- ^ 第59・61 - 64話
- ^ 第9シリーズまで
- ^ 第10シリーズ以降
- ^ 第8シリーズまでは制作統括のクレジットなし。
- ^ 第62 - 64話
- ^ 本作のみ、ほぼ完全なオリジナル作品(原作からは一部キャラクターのみ流用)
- ^ NHK初回放送時には「25年間ご覧いただき ありがとうございました」というテロップが最後に表示された。
- ^ ただしカットシーンのみならず前後のシーンにも追加吹き替えが行われており、NHK版の時点で吹き替えが存在していたシーンも差し替えられている場合がある。
出典
関連項目
外部リンク
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長編推理小説 |
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短編集 | |
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その他書籍 | |
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戯曲 | |
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登場人物 | |
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映像化作品 |
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関連項目 | |
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