『仮面ライダーリバイス』(かめんライダーリバイス、欧文表記:KAMEN RIDER REVICE)は、2021年9月5日から2022年8月28日まで、テレビ朝日系列で毎週日曜9時 - 9時30分(JST)に全50話が放送された、東映制作の特撮テレビドラマ[1]、および作中に登場するヒーローの名称。
キャッチコピーは「ヒーローと悪魔が相棒(タッグ)…つまり最強!」[2]。
仮面ライダー生誕50周年記念作品[3]。令和仮面ライダー第3弾となる本作品では、悪魔と契約して変身する1人で2人の仮面ライダーが主役となる[1]。
1971年、人間の体内にいる悪魔と契約し、分離させることができる謎のスタンプバイスタンプが中南米の古代遺跡で発掘されてから50年の月日が流れ、現代では悪魔崇拝組織デッドマンズが、同じく遺跡で発掘されたギフの棺に納められていたギフを、人間を生贄にすることで復活させようと政府特務機関フェニックスからバイスタンプを強奪する。フェニックスはデッドマンズの野望を阻止すべくリバイスシステムの開発に着手していた。
下町にある銭湯、しあわせ湯を営む一家[5][6]。3兄妹は元太がギフの細胞を持つことから、ギフの末裔であるが、彼らが生み出したバイスやラブコフといった悪魔をも家族として迎える暖かさを持っている[6]。
幸実の作るカレーが好きで、何か良いことがあった際にはすき焼きをみんなで囲むという習わしを持つ[6]。
欧文表記は「FENIX」。政府直属の特務機関で、デッドマンズに対抗する[出典 21]。飛空型指令母艦「スカイベース」を本拠地とする[78]。白を基調とした制服を身につけ、一般隊員は脱着可能な胸のプロテクターを着用している[78]。一般隊員は、リボルバー型のハンドガンやアサルトライフル、ガンデフォン50など、バイスタンプの技術などが応用されていない装備を使用している[78]。
1996年、ノアの壊滅騒動により、流出したギフの棺などによる悪魔の流出やデッドマンズの創設に対応するため、赤石の発案で結成された[18]。その後、各地で発生したデッドマンによる犯罪を監視するため、スカイベースを建造し、各地の地上部隊と連携ししてデッドマンの暗躍に対応する[78]。
そして、悪魔をドライバーとバイスタンプによってコントロールし、戦力化するライダーシステムを開発し、業務委託の形をとっていたリバイスや正規に所属するライブとデモンズによってデッドマンズを壊滅させ、ギフの棺を押収する[78]。
だが、カメレオン・デッドマンが若林を殺害して組織に潜入するなど、組織内部に不穏な状況が判明し、復活したギフによってスカイベースが撃沈し、赤石の提唱で、ギフに降伏することを是とする組織になっていった[78]。
後に、赤石英雄が自らの野望のため発足したことが判明する[3][18]。
ギフとの戦いが終わった後は組織を再編して後継として大二によって平和維持組織「ブルーバード」が創設され、フェニックスのほかにウィークエンドからも参加した[3][46]。
デッドマンを生み出し、人間社会の秩序を壊そうと企む悪魔崇拝組織[出典 26]。
拠点としているクラゲを彷彿とさせる宇宙船デッドマンズベースの奥に奉られている中南米某所の遺跡で発掘されたギフの棺の状態で眠る悪魔の始祖であるギフの復活のためにバイスタンプを使用してデッドマンを生み出し、その生贄となる人材を揃えることを目的とする[出典 27]。しかし、実際はノアを前身とした組織で[3]、ギフ復活のための狂言回しにすぎなかったことが赤石によって明かされた[95]。
ギフの棺が南米由来であることから、南米調の衣装となっており、幹部は「グラシアス、デッドマンズ」の口上とともに暗躍する[93]。密かに20数年前から暗躍し、デッドマンを生み出して社会秩序を破壊する反社会組織だが、一部の現代社会に不満を持ち、社会を破壊しようと思っている人々からは信者として支持されており、隠れ信者も多い[93][96]。
世間にもその危険性は広く認知されており、ニュースで怪物(デッドマン)の事件が日常的に取り上げられている[16]。
後に一輝たちとフェニックスがデッドマンズベースに潜入、リバイにデッドマンズベースを破壊されてしまう。ギフの棺はフェニックスに回収され、オルテカがアギレラとフリオから決別。その後ギフスタンプを手に入れたオルテカが散り散りになった信者を集め新生デッドマンズを立ち上げるが[3]、オルテカの死によって組織は完全に消滅した[97]。
幹部はいずれも何らかの理由があって人類に絶望している[16]。
フェニックスを監視してギフの排除を目的とするレジスタンス組織[出典 34]。牛島家の地下に基地があり、主に家族をデッドマンの事件で失った者で構成されている[117]。
戦略的人類退化政策を赤石が掲げたことで彼を止めるために表舞台に現れ、後にさくらと花、玉置が参加したほか、フェニックスから脱退したヒロミも参加した[3][117]。
赤石の推進する国家戦略特区アララトとギフへの降伏に疑問を抱く人々を受け入れるために、複数の避難用シェルターを用意した[117]。
第46話でギフが倒されたことで組織の目標が達成され、第47話で解散した。
本作品に登場する仮面ライダーは、ギフスタンプを基に開発したバイスタンプをドライバーに押印・装填して変身する。
仮面ライダーリバイと仮面ライダーバイスのコンビ。
変身時には、一輝とバイスのチャットログが背後に表示される[16][20][注釈 12]。
派生形態は、狩崎の趣味で、平成仮面ライダーと最強生物2つのモチーフを掛け合わせたデザインコンセプトとなっている[16][143]。
五十嵐一輝がリバイスドライバーで変身する仮面ライダー。キーカラーはコーラルピンクとターコイズブルー、差し色はパープル[16][152][146]。
バイスタンプに記録された生物の遺伝子情報を再構成したその生物の能力を秘めた強化スーツを装着し[79][155]、一輝の肉体そのものが遺伝子変化したイメージとなっている[11][126]。
バイスがリバイスドライバーのバディアップに伴い、一輝と同時に変身・戦力化する仮面ライダー[185]。基本カラーはピンクとブラック[16][152]。
変身前に実体化している状態やアルティメットバイス時を除いて、リバイがゲノムチェンジを行う合間、あるいは敵の攻撃を受けるなどをして変身が解除されると、バイスは実体化を維持できなくなり変身も解除される。
最終話では、アルティメットバイスの変身が解けた状態でバイス自らがリバイスドライバーにバイスタンプを装填してゲノムチェンジした[185]。
バイスがリバイスドライバーによって制御され、強化ヘルメットなどのアーマーを装着しており[79]、ぬいぐるみのような親しみやすさが特徴[11]。
リバイとバイスが必殺技時に組体操のようなポーズに合体し、各バイスタンプに宿された生物種の遺伝子情報の限界を超え、その生物種の野生を引き出すために再変身した形態[11][185]。
第22話から登場。五十嵐一輝とバイスがローリングバイスタンプとリバイスドライバーで変身する特殊形態[出典 88]。キーカラーは黒[153]。
変身音声は「バイスアップ! ガッツリ! ノットリ! クロヌリ! 仮面ライダーリバイス! バイス! バイス! バイス!」[195]。
バイスが一輝の体に同居したまま、バイスが体の主導権を持った変身であり、初変身はリバイが使用して変身したが、変身解除後は一輝と入れ替わったバイスの意思で変身したほか、ローリングバイスタンプにレックスバイスタンプを媒介にして一輝を収め、バイスに一輝を上塗りすることで、一輝に体の主導権を戻し、一輝とバイスが一輝の身体を共有した後もこの姿で戦った[34][195]。バイスが体の主導権を持って変身していた際はプロレス技など荒々しい戦法で戦っていた[出典 89]。
餓死の危機に陥った一輝に体の主導権を戻し、2人の意識が混在した状態となったが、悪魔の力がギフ復活の影響で増大し、この姿で暴走してしまった[197]。
五十嵐一輝とバイスがサンダーゲイルバイスタンプとリバイスドライバーで変身する仮面ライダー[出典 91]。キーカラーはコーラルピンク、ターコイズ、パープル、蛍光イエロー[153]。
変身音声は「一心同体! 居心地どうだい? 超ヤバい! 轟雷と嵐でニュースタイル! 仮面ライダーリバイス!」[197]。
一輝とバイスが一心同体となったことでバイスが分離せずにリミックス形態に近い状態で一体化した姿で、初変身した際にはジャックリバイスから変身し、その身体を割って誕生した[34][197]。2人の力を併せ持つため、高い戦闘力を持ち、その名の通り、轟雷と竜巻を操り、リバイスラッシャーやローリングバイスタンプなどの武器にその力を付加することも可能[出典 92]。
五十嵐大二がツーサイドライバーで変身する仮面ライダー[3]。
決め台詞は「大事に決めようか!」[64][46]。
カゲロウがツーサイドライバーで変身する仮面ライダー[12][3]。
五十嵐さくらがリベラドライバーで変身する仮面ライダー。
決め台詞は「サクッと倒すよ!」[64]。
デモンズドライバーで変身する仮面ライダー[3]。第7話から第20話、第44話は門田ヒロミ、第21話から第26話まではオルテカ、第27話ではジョージ・狩崎が変身する。
ヒロミが変身した際の決め台詞は「我が命をかけて、世界を守る!」[64][86][注釈 23][注釈 24]。
一輝たちとは異なり悪魔を伴わずに変身する[64]。
改良型デモンズドライバーで変身するデモンズの改良型[3]。第35話から第43話までは牛島光、第46・47話と『バトルファミリア』『MOVIEバトルロワイヤル』では玉置豪が変身する。
ウィークエンドの構成員が量産型デモンズドライバーで変身する量産型のデモンズ[出典 109]。
変身音声は「Rise. Rage. Requiem.(のぼる、怒り、悲しみ)仮面ライダー」[224]。
人間の体内に潜む悪魔の力を制御して戦力にすることで、誰でも変身が可能となったため、ヒロミの指揮の下、多くのデモンズトルーパーによってデモンズ軍団が編成されて戦った[133]。また、武器管制補助エンジン「I.M.P.R.O.V.E(インプローブ)」によってオーインバスター50やリバイスラッシャーを扱うことが可能[224]。
第25話に登場。五十嵐元太に憑依したベイルがカブトバイスタンプとベイルドライバーで変身する仮面ライダー[出典 110]。軍事目的で25年前に作られたバイスタンプで変身する仮面ライダー第1号[227]。
変身音声は「Bane up! 破壊! 世界! 奇々怪々!(Break Broke Broken) 仮面ライダーベイル!」[226]。
ベイルドライバーに宿るベイルを中枢に、カブトバイスタンプから引き出した凄まじいエネルギーによって、強大な戦闘力を発揮する[226]。非武装だが、強化スーツ・アーキゲノミックススーツや人工筋肉・アーキゲノマッスルによって変身者が強化され、強靭な肉体を誇り、人体の限界を超えたキックやパンチなどの格闘技で戦うが、軍事用に作られていることから、変身者の安全性が考慮されていないため、全力で戦うと全身の骨格がバラバラに砕ける危険性も有する[出典 111]。特殊な装甲・ウインガルシェードを右腕に持ち、禍々しいエネルギーを指先から発する[226]。
五十嵐元太がデストリームドライバーで変身する仮面ライダー[出典 114]。
夏木花がウィークエンドライバーで変身する仮面ライダー[3]。
第47・48話に登場。ジョージ・狩崎がジュウガドライバーとジュウガバイスタンプで変身する仮面ライダー[3][242]。
変身音声は「スクランブル! 十種の遺伝子、強き志、爆ぜろ、吠えろ、超越せよ仮面ライダージュウガ! Go Over…!」[242]。
狩崎曰く「最高の仮面ライダー」で、ジュウガバイスタンプの10種の遺伝子情報から人工ゲノムをリアルタイムで生成し、それぞれの生物の能力をゲノムチェンジせずに瞬時に引き出し、超パワーを発揮する[3][242]。
『ジュウガVSオルテカ』ではりんなによって耐久力を向上させる圧縮SO-1合金が加えられるアップグレードが行われた[243]。
『TTFC産直シアター』に登場。玉置豪がリバイスドライバーで変身する仮面ライダー。その姿は仮面ライダーリバイ レックスゲノムと同様。夢の中の出来事のため、あくまで空想上のライダーと思われる。
『仮面ライダージュウガVS仮面ライダーオルテカ』に登場。オルテカがデモンズドライバーとクラーケンバイスタンプで変身する仮面ライダー[243][247]。
変身音声は「Rise. Rage. Requiem.(昇る、怒り、悲しみ)仮面ライダー」[243]。
敵に右肩の触手を伸ばして襲う[243]。
デッドマンズや赤石から「ギフ様」と崇められる悪魔の始祖と呼ばれる存在で、南米の遺跡で発掘された「ギフの棺」と呼ばれるミイラの状態から触手を伸ばして多くの人間やデッドマンを捕食したことで本来の姿へと復活した[74][96]。吸収したや人間や悪魔を繭に包んで貯蔵する亜空間に普段は潜んでおり[96]、赤石とは何らかの方法でコミュニケーションをとり、ギフテリアンを体内のギフスタンプによって生み出している。一瞬で人々を消し去るなど、到底人間が敵わない力を持っている[96]。
その正体は、太古に故郷を追われて宇宙から地球に来訪した地球外生命体で、ギフスタンプを人類に押したことで、生物から分離した悪性エネルギーが具現化したものが人が「悪魔」と呼ぶものであり、それを食料として捕食することで餌としていた[出典 127]。だが、強い悪意を持ち、種族間で戦争を起こす人類は、次々と種が減って自滅によって楽園が滅びるというのを危惧していたため、約3千年前に赤石やアヅマを人類文明の行く末を決める監視者に置き、種を増やしていったものの、また争いが起きて地球は戦争によって滅びて人類が自滅するため、赤石を使って人類の調整に乗り出した[出典 128]。だが、高度に発達させたテクノロジーを用いた人類によってギフの細胞を使った人間ではない亜種のようなものである五十嵐元太を作り、そこから悪魔のベイルが生まれ、その息子の一輝からはバイスも生まれたことで、自らの細胞を受け継いだ五十嵐家は悪魔と共存できる人間の亜種=新たな人類であることに気付く[154]。
そして、赤石を見限って人類を絶滅させ、五十嵐家の血統のみで新たな種を繁殖させて人類を再編成しようとするが[96]、五十嵐三兄妹が変身したライダーによって倒される。
本作品における敵怪人。バイスタンプを強い悪性エネルギーを持つ人間に直接押印することによって人間の体内に潜む悪魔を分離させ、人間が宿している生物の遺伝子と悪魔を引き出し、実体化させて生み出す悪魔獣[出典 129]。上半身をプロトバイスタンプに秘められた生物種の能力を加えたアーマーで包み、本来の悪魔以上の戦闘力を持つ[116]。
いずれもスタンプの印面の生物の姿を模しているが、その資質は生み出す人間によって個人差があり、一般の人間はギフジュニアが関の山で、デッドマンを生み出せば上出来とされている[出典 130]。主にデッドマンズの信者が生み出すが、金品の強奪などデッドマン関連の犯罪に手を染める者も多い[96]。
プロトバイスタンプによってコントロールすることが可能で、宿主の秘めた願望を実現するために暗躍し、さらなる上級契約をノーマルのデッドマンと結ぶことで、一体化した人間がギフの生贄になる資格を得る[16]。これをフェーズ2と呼称し、ギフによる選別に合格すると生贄の一角となるフェーズ3であるギフテクスに進化するが、不合格者は選別時に消滅する[74]。フェーズ2の場合は高い戦闘力を得る代償として元の人間としての姿を失うも[74]、仮面ライダーのライダーキックによってデッドマンと分離可能である。だが、ギフテクスに進化すると人間の姿に戻ることは可能なものの[74][116]、通常の必殺技ではデッドマンと分離することが出来ず、そのまま粒子化して消滅する。
デッドマンが倒された後は、デッドマンを生み出した人間はフェニックスの更生施設で治療を受ける必要がある[ep 3]。
ギフスタンプを人間に押印することで解放される新たな悪魔の種[出典 136]。
両前腕から突き出した剣・フェアグドが武器で、その戦闘力はフェーズ2のデッドマンをはるかに上回る[出典 136]。デッドマンとは違い、ギフスタンプでは制御できず、宿主の人間を誕生とともに喰らって成体となるため[74][96]、押印された人間との分離は不可能。
人間がギフから授かった力によって禍々しく変貌した姿[74][96]。劇中では御子柴朱美と赤石英雄が変貌した。
朱美が変化したギフデモスは左前腕から突き出した空間をも切り裂く剣・デスペティアで戦う[出典 136]。赤石が変貌したギフデモスは風林火山のような格闘術と高速移動で攻撃し、超修復能力も備えている[74][96]。両拳から衝撃波やエネルギー波を放つことで独自の力場を発生させたり[74]、雷撃能力や発火能力、ステルス能力なども兼ね備え[96]、デッドマンやギフテリアンをも凌ぐ能力を有する。
例年であれば、終盤は新番組にスーツアクターが行ってしまうこともあるが、リバイとバイスのスーツアクターを務めた縄田と永徳は、最終回まですべて担当したという[20]。
メインスタッフは『仮面ライダードライブ』以来の参加となる望月卓が仮面ライダーシリーズではチーフプロデューサーを初担当[292][23]。パイロット監督は柴﨑貴行が前作『仮面ライダーセイバー』に引き続き担当[292]。柴﨑は望月が初めてスーパー戦隊シリーズでチーフプロデューサーを務めた『宇宙戦隊キュウレンジャー』を撮影していたことから望月が選んだといい、前作『セイバー』がコロナ対策が出来なかったことからリベンジという意味でも柴﨑に依頼したという[19][45]。
メインライターはアニメや特撮などのキャラクター作品は初めてとなる小説家の木下半太が担当[16][292]。脚本に木下を起用したのは、仮面ライダー未経験であり、木下の作品が、あまり人から褒められた人間ではない底辺の人間やアウトローが主人公で、人間の恥部や暗部などの負の部分を隠さずに描くような、実は暗いテーマや陰惨な話である一方で、それを親しみやすく提示できる、生き生きと前向きに明るく生きていたり、何かに抗い、バッドエンドでも希望が感じられる読後感があり、そこはかとなく明るい作風であるため、ストーリーが展開するなかでどうしても暗い方向に進んでしまう仮面ライダーにおいても全体のムードを明るく保ち続けられると考えたからだといい、シリーズ構成に紐づく部分のある商品展開は望月が担当し、望月ができない台詞やキャラクター作りなどを任せられ、個性的でパンチ力がある新しい人として、声を掛けたという[出典 155]。また、マンネリ打破の意味も込められており、『仮面ライダー鎧武/ガイム』の虚淵玄のように未経験の人物を入れて化学反応を期待したとしている[25]。
新型コロナウイルスの影響を受けて、企画当初は希望的観測として多少は環境が良くなり、ロードムービーのようなアフターコロナの時代を見据えたコンセプトを想定していたが[注釈 48]、一向に収束する気配もなく、状況が状況であったことから、子供たちは特別な行事だけでなく日常も制限されて普通の幸せを奪われているため、高みを目指すというよりは、元のころのような水準の状況に戻せるように、子供たちだけでなくとにかく観てくれる人に楽しんでもらえるよう心がけている[302][25]。当初はコロナからの復活というのもテーマにあったため、再生や復活などを意味する「仮面ライダーリバイブ」というタイトルであった[24]。
プロデューサーの望月は、体制側よりもデッドマンズのような反体制側の方が日常や社会に対して正しいことを言っている場合もあり、体制側で作っている社会で生きている我々は反体制を悪とみなすが、反体制を許容する作品を作りたいわけではなく、世の中は善と悪が表裏一体であるということを意識して、本作品では「This is 正義」や「This is 悪の組織」のようなことはやらないという[19]。また、前作『仮面ライダーセイバー』が序盤では何と戦っているのかわかりにくかったことから、分かりやすい構造にするためにフェニックスとデッドマンズという対立する二つの組織を据えたという[25]。
なお、メインライターの木下半太は当初の会議で1号ライダーは女性にしたいと提案したが、国民的ヒーロー番組と謳われる「仮面ライダーシリーズ」はメインターゲットが男子であり、女子にも好きになってもらえる番組でもあることから、すぐに却下された[7][303]。だが、年齢の幼い女子は、カッコいい女性を見て憧れる方が基本であることから、主役に匹敵するほど強い女性ライダーを登場させることとなった[7]。また、さくらとライバル関係で描く場面が多かったアギレラとともに「ツイン仮面ライダー」にしたことは、仮面ライダーを見た小さな女の子にも憧れてほしいという思惑の表れであるという[21]。
前作『仮面ライダーセイバー』は、新型コロナの対策としてゲスト中心ではなくレギュラーメンバーのみで回していくストーリーをメインとしていたが、本作品ではゲストを絡めた物語にしていき、街の人々を助ける世直しライダーということとなった[16]。当面の間は、『仮面ライダーW』や『仮面ライダーオーズ/OOO』のようにゲストがエピソードごとに出てきて、そのゲストを中心に物語が進む構成が考えられているとしており[16]、序盤は『W』のように単発のエピソードを重ねて世界観を作っていったという[25]。だが、序盤で新型コロナウイルスの第5波、中盤で第6波を経験したため、初期のようなゲスト回がリスクを考えて出来ず、内容が段々とレギュラーキャスト同士の絡みにシフトしていったという[304]。
また、前作で使用していたリアルタイム合成は前作のファンタジーのような背景を持つ作品には有効であるが、本作品はリアルな日常空間の中で展開するため、中々使い所がイメージできないという[16]。そのため、複数のセットを作って、最悪そこを舞台にして撮影すればいいという算段で、状況に応じてしあわせ湯、デッドマンズベース、ウィークエンド本部の3か所を使い分けるイメージとなっており、ロケセットであるフェニックスベースのみは自由度が下がるが、撮影所内でアクションをやれば、撮影所内で全てを何とか完結できるようになっている[304]。また、前作ではコロナ禍でロケが出来なかったが、本作品では万全な感染予防対策をしてロケに臨めるようになり、銭湯のシーンでも実際の銭湯を使用して撮影している[45]。番組序盤では明確に銭湯らしさを見せるため、多めに風呂のシーンを入れているという[45]。
感染症流行の影響で家族と過ごす時間が増えた人にとっても、逆に簡単には会えなくなった人にとっても、以前とは異なる家族の景色を見る中で、その大切さに気づいてほしいという思いから家族をテーマとしている[302]。
当初は銭湯や家族という設定がなく、『ウエストワールド』のような世界観をイメージしており、主人公を人工島にあるテーマパークで働くそれぞれ異なる出自の血縁関係のない孤独を抱えた3人の男の子がそれぞれ3つの勢力に分かれて戦う群像劇であったが、人間の負の側面を描く作品であり、新型コロナがいつ流行して撮影に制限が出るかわからないため、もう少し最初は規模を小さくして、ロケなどに出られなくなった場合を想定して、バラバラになったメンバーが辛いことがあった時に戻れる共通の場所があり、最悪の場合、セットでその3人が会話するのみで成立するホームドラマのようなミニマムな展開に誘導したエピソードも作らなければいけなくなると思い、木下の提案でその3人を一番最小の大事な集団である家族の兄妹に変更し、兄は銭湯の経営、弟は政府軍のような組織に所属することとなった[出典 156][注釈 49]。令和に作るライダーの進化系として、3人の兄妹全員がライダーであり、三者三様に考え、異なる選択をしていくが、帰る先に母親が待っており、全ての根源に父親があることは当初の時点で決まっていたという[145]。
「家族」がテーマの一つとなっているのは、パワーの源泉や枷にもなる表裏一体であることと、ほのぼのとしたホームドラマをやるのではなく、本作品が主人公を取り巻くコミュニティの、主に取り巻く部分が家族であるというニュアンスからであるといい、戦う宿命にある仮面ライダーという文法の中で、本作品らしい家族の描き方をしていくという[16]。また、悪魔とかけ離れたものとして家族を掛け合わせることとなり、悪魔と相反する要素として日常を取り入れ、銭湯を営む普通の家族ということとなった[25]。第1話で母親が怪人に襲われた際に、母親が亡くなるという案もあったが、それでは1年間を通してのテーマが家族ではなく復讐となることから、テーマを家族としているため、家族という存在を「主人公の守るべきものや帰る場所」ということとなり、家族の象徴として第1話ではすき焼きを囲んで食事するシーンが入れられた[19]。
主人公が家族で銭湯を営んでいる設定は、家族をテーマとして描く上で、全員が共通で大事にしているものとして、なかなか遊園地のスタッフというアイデアがピンとこず、脚本の木下やパイロット監督の柴﨑が銭湯好きであることから自粛要請のかかっていない銭湯が舞台に決まっていった[出典 158]。また、全国の銭湯を始めとした自営業がコロナ禍で経営が苦しくなっていることから、それを応援したいという想いがあり、木下自身が風呂に入ることで気持ちが復活することから、それを視聴者にも伝えたいと思ったという[19]。前作『セイバー』でも作品舞台として銭湯が取り入れられる予定で、主人公の神山飛羽真が経営する本屋『ファンタジック本屋かみやま』も銭湯を改装したという設定があったが、コロナの影響で理髪店が改装されたという設定に変更となっていた[45][注釈 50]。
また、他の動物よりも高い知性を持つ本能的に悪性の強い人間が社会生活を送る上で、凶暴性や悪い感情をコントロールする際や、子どもが善悪を自分で判断した際に自分の意思で生きていけるようにサポートする際に大事になる「自分の心の中の善と悪との対話」というマインドを仮面ライダーという作品にするために、我慢を強いられる時代だからこそ、自分の内側に潜む悪魔のささやきが聞こえやすくなり、屈しやすくなるため、それを制御するための力を身につけてほしいという比喩表現として[302][44]、また、単純な勧善懲悪ではなく悪の力で敵を倒すという善悪の曖昧さや表裏一体の二面性を内包する仮面ライダーの原点に立ち返る意味で[305][44]、人間の心の中の天使と悪魔という提案の悪魔の方が残って「自分自身に潜む悪魔との契約」というコンセプトとなり[16]、話し合いの中で主役ライダーが負の要素が可視化された二人に分離する設定となった[出典 159]。
1人で2人、バディもの、怪人との契約などの要素は、過去の作品のマッシュアップしたもののように見えるが、リサーチ先行ではなく、過去作品とは被らない道筋を、自分のやりたいことを突き詰めて盛り込むことを優先してから探っていくかたちで、過去の同様のコンセプトの作品とは異なるオリジナリティを探す、というフローとなっている[16]。その中で人間誰しもが持つ負の要素をどういうものとして設定するかという中で、『ジキルとハイド』のような主人公では、二重人格を描くのが難しいテレビの事情を踏まえ[注釈 51]、『チェンソーマン』や『呪術廻戦』といった悪魔を題材とした作品が話題となっており、「悪魔のささやき」という言葉も一般的であったことから、ベターである悪魔が相棒となった[261][23]。また、仮面ライダーシリーズのバディものの代表作である『仮面ライダー電王』や『仮面ライダーW』のどちらでもないもの、として2人の別のライダーがいる、というものを目指しており、主人公と悪魔がニコイチではなく、互いが独立した別人格の存在であるため、2人には異なる行動をさせたかったという[304]。ただし、バイスは『仮面ライダーオーズ/OOO』のアンクなどとは異なり、仮面ライダーに変身するため、裏切ってまた手を組むといった展開は当初から想定しておらず、と言って毎回闇落ちしたり揉めたりして、復活やパワーアップをするわけにもいかないため、第2話の時点で早くも本作品が「はちゃめちゃだかがともに戦うライダー」という宣言をしたという[304][23]。
人間のマイナスなところや弱い部分が悪魔という形で出ているというつもりで書き、脚本の木下の作品では勧善懲悪のような分け方はせず、正義だがいけない部分もあったり、悪だがいい部分もある、というふうに書いていたため、本作品でも誰一人として完璧な人間は描かなかったという。悪魔として出てくる負の部分が悪いとは限らず、悪い部分と向き合うことでバランスが取れるため、自分の悪いところは否定ではなく肯定して、というメッセージを込めて書いたという[24]。
ただ、人間の内に潜む表に出せない何らかの「負の感情」や「悪意」を「悪魔」として具現化したのは、作品のキャッチ―さを優先したからであり、「ギフ○○」や「○○オーラ」などの造語であると一から説明する必要があるため、「悪魔」というワードを使ったが、すでに一定の共通認識やイメージが出来上がっており、それがイメージを想像以上に固定化してしまったといい、プロデューサーの望月は「契約」の概念が設定を複雑化させたものとしている[304][23]。また、ギフは宇宙から来た超常生命体であり、「悪魔」も地球外生命体であり、バイスたちも悪魔ではなくて人間の細胞とギフの細胞が融合して生まれた「新種の生物」であることを提示すべきであったが、最後まで「悪魔」という呼び方を登場人物たちがしていたため、そこを説明できていればもう少し異なる印象になったものとしている[304]。
50周年記念作品ではあるものの、すでに『仮面ライダーディケイド』や『仮面ライダージオウ』があるため、その差別化として、本作品では大勢のレジェンドライダーが出てくるようなものはイメージしづらいため、直接的に関わるのではなく、レジェンドの力を借りずに大勢のヒーローがいる中で、仮面ライダーがなぜ市民権を得ているのか、仮面ライダーとはどういうヒーローなのか、ということを改めて提示できるものにするということから始まったといい、50周年をフックにしてレジェンドライダーをデザインなどのモチーフにするのに留めており、初期の構想ではレジェンド要素を全面に出すつもりはなかったといい[260][16][注釈 52]、当初は劇中ではレジェンドライダーを絡めるような描写を抜いて独自の方向性で動いていたが、諸事情によって方針が変わり、レジェンドキャストが出演した過去の仮面ライダーやスーパー戦隊のアニバーサリー作品とは異なる設定、切り口、見せ方として、仮面ライダーが大好きな狩崎という設定が生まれたといい、『海賊戦隊ゴーカイジャー』の伊狩鎧のようにすべてのレジェンド要素を背負わせることで、他の登場人物は知らぬ存ぜぬでいけ、ドラマに落ち着いて集中できるものとしている[出典 160]。
劇中でのレジェンドライダーの描き方についても、明言はしないものの、主人公たちと同じ世界に過去の仮面ライダーが存在する世界観となっている[16]。ただ、どう設定してもレジェンドライダーの存在が到底消化できずに矛盾が生じるため、劇中では詳しく触れないもののライダーというものが認知されている世界というようにあえて抽象的にしている[83]。
YouTubeの以下のチャンネルにて1・2話の全編無料配信が行われた。
テレビシリーズの第1 - 4・25・26・28 - 31・34・35話については、東映特撮ファンクラブでオーディオコメンタリー版が限定配信された。出演は、第1話は木下半太×望月卓、第2話は柴﨑貴行×望月卓、第3話は渡辺淳×百瀬龍介、第4話は杉原輝昭×望月卓[342]、第25・26話は前田拳太郎×日向亘×井本彩花(司会進行は望月卓)[343]、第28・29話は濱尾ノリタカ×小松準弥[344]、第30話は前田拳太郎×木村昴×永徳、第31話は前田拳太郎×木村昴×伊藤美来、第34話は渡辺淳×永徳×木村昴[345]、第35話は渡辺淳×永徳[346]。
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