R は、ラテン文字 (アルファベット )の18 番目の文字。小文字は r 。ギリシア文字 のΡ (ロー)に由来し、キリル文字 のР (エル)と同系の文字である。
字形
筆記体
ジュッターリーン体
大文字は、縦棒の上部右に右半円を付け、線中央から右下に斜線を付加した形である。フラクトゥール は
R
{\displaystyle {\mathfrak {R}}}
。
小文字は、縦棒と上部右に接する左上四半円ないし上半円である。ρ (ロー)の円の下半分を略した形といえるかもしれない。または、大文字Rの下半分ないし左下部分と見ることもできる。フラクトゥール は
r
{\displaystyle {\mathfrak {r}}}
。手書き書体では、縦棒を先に書き、折り返して半円を書く。筆記体では、縦棒の上部に前の字からの接続線が左下から、次の字への接続線が半円の右端から右上に続く。
このとき、前からの接続線が縦棒に緩やかに半円を描いて続いていれば、本来の半円は円弧を描かず、鋭く山形に曲がることがある。
別の小文字筆記体では、左下から上がって、頂点で鋭く山形に右下に方向を変え(このとき逆時計回りに非常に小さな円を描くことがある)、右下に少し下がってから真下やや左向きに進路を変え、そのまま右に弧を描きながらベースライン に達し、右上に抜ける。
呼称
拉 ・仏 ・蘭 ・洪 ・羅 ・葡 ・諾 ・波 ・尼 :エル(エール)
独 ・丁 :エァ /ɛɐ/
西 : erre (エレ)
伊 : erre (エッレ)
英 : ar (アー)/ɑː/
土 :レ /ɾe/
典 ・芬 :アェル
エス :ロー
音価
この文字が表す音素は、歯茎ふるえ音 (/r/ )ないしその類似音である(R音 )。言語によってさまざまであるが、舌を上歯茎にしっかり付けて発音するL と異なる音であるところで共通する。しばしばべらんめい のようないわゆる巻き舌 (舌を数回硬口蓋 にはじかせる)となる。軽い巻き舌で硬口蓋に1度だけはじかせると、日本語 のら行 の子音 に似る。英語では、舌を硬口蓋に付けることなく接近させる。フランス語のパリ 方言では、舌を硬口蓋に付けずに舌先を下げ、奥のほうで摩擦する。
アメリカ英語 では母音字の後ろにあるrを発音するが、イギリス英語 では発音しないか黙字 (スコットランドやイングランドの3分の1くらいの地域では発音されている)となっている。
ドイツ語の多くの無強勢音節末のr, 複音節 語における語末の er は、ゆっくり発音するような特別な場合をのぞき [ɐ] となる。
フランス語では語尾が -er で終わる単語の大半で語末の r を黙字とする。ただし、後続の単語が母音で始まっていれば、リエゾン が起こり発音する。
中国語 のピンイン では、音節頭位では有声そり舌摩擦音 (声母"日")である。これは日本人には「リ」とも「ジ」とも聞こえるような音で、ウェード式 では"j"と書かれる。また、"er"(韻母"児")と書かれたときはそり舌の曖昧母音で、声調によっては主母音はアに近くなる。また"児"が接尾辞として用いられたときは、児化 を起こす。
歯茎ふるえ音
イギリス英語:歯茎接近音
アメリカ英語、中国語:そり舌接近音
ドイツ語:口蓋垂ふるえ音
フランス語:有声口蓋垂摩擦音
日本語、朝鮮語 :歯茎はじき音
スペイン語:語頭や n, l の後の"r"、語中の"rr"は歯茎ふるえ音 、それ以外は歯茎はじき音 という風に弁別する。
多くの言語で、他の子音、特に破裂音に続いて現れたときは、一気に発音され、その間で音節を区切ることはしない。
歴史
ギリシャ文字 のΡ (ロー)に由来する。ギリシア文字Π (ピー、パイ)が、右足を曲げ、P (ピー)のようになって、Ρ(ロー)に似てきたため、区別するために線を付加したものである。
R の意味
主に大文字
主に小文字
数学、図面 などで半径 (r adius) を表すのによく用いられる。
回転数 (r evolution) を表す。rpm は一分間あたりの回転数。
r SI接頭語 ロント (ronto)(10−27 )
R SI接頭語ロナ (ronna)(1027 )
地域通貨 アースデイマネー の単位
Rをもとにした記号
符号位置
大文字
Unicode
JIS X 0213
文字参照
小文字
Unicode
JIS X 0213
文字参照
備考
R
U+0052
1-3-50
R
R
r
U+0072
1-3-82
r
r
R
U+FF32
1-3-50
R
R
r
U+FF52
1-3-82
r
r
全角
Ⓡ
U+24C7
‐
Ⓡ
Ⓡ
ⓡ
U+24E1
1-12-43
ⓡ
ⓡ
丸囲み
🄡
U+1F121
‐
🄡
🄡
⒭
U+24AD
‐
⒭
⒭
括弧付き
𝐑
U+1D411
‐
𝐑
𝐑
𝐫
U+1D42B
‐
𝐫
𝐫
太字
他の表現法
その他
大文字R には、以下のような特徴があるため、上下逆・左右逆・反転の有無が容易に識別できる。このため、プリンター やコピー機 などの給紙方法の例示としてよく使われている[ 1] 。
線対称 ではない
点対称 ではない
四隅が空白ではない、かつ、すべて形が異なる
脚注
関連項目