渡部 昇一(わたなべ しょういち、1930年〈昭和5年〉10月15日 - 2017年〈平成29年〉4月17日[1])は、日本の英語学者、哲学者。歴史論・政治・教育・社会評論家。上智大学名誉教授。
専攻は英語文法史。学位はミュンスター大学(ヴェストファーレン・ヴィルヘルム大学)哲学博士。ミュンスター大学名誉哲学博士。公益財団法人日本財団評議員[2]。
山形県鶴岡市出身。旧制山形県立鶴岡中学校在学中に学制改革が実施され、1949年に山形県立鶴岡第一高等学校(現・山形県立鶴岡南高等学校)を卒業。なお同校は新制高等学校であるが、渡部は「私にとっての友達をつくる上で一番よかった時代は、やはり旧制高校に通っていたときだと思う」「旧制高校には各地域から選ばれた優秀な人間が集まってきていたので、周りを見渡せば『すごい』と思える人間ばかりだった」と回顧している[3]。
同年、上智大学文学部英文学科に入学。1955年、上智大学大学院西洋文化研究科修士課程修了、同科助手。同年、ドイツのヴェストファーレン・ヴィルヘルム大学(通称ミュンスター大学)に留学。1958年、同大学よりDr.Phil (哲学博士号) を受ける。1958年、イギリス・オックスフォード大学ジーザス・カレッジ寄託研究生。
1960年上智大学英文科講師、助教授を経て教授。助教授の頃、フルブライト・ヘイズ法(旧フルブライト・プログラム。法制化された)によるアジアからの訪問教授プラン(VAPP)によって渡米、4つの州の6つの大学で半学期ずつ講義を行う[4]。1994年、ミュンスター大学名誉哲学博士(Dr.Phil. h.c.)。2001年退職、上智大学より名誉教授の称号を受ける。
古書の蒐集家であり、専門の英語学関係の洋書だけで約1万点を所有。その蔵書目録はA4判600ページあり[5]、日本ビブリオフィル協会会長を務めた。
他に主な役職としては、インド親善協会理事長、日本財団理事、グレイトブリテン・ササカワ財団(在イギリス日本財団)理事、野間教育財団理事、イオングループ環境財団評議員、エンゼル財団理事、「日本教育再生機構」顧問、「道徳教育をすすめる有識者の会」代表世話人[6]。
2017年4月17日、心不全により東京都杉並区の病院で死去、享年86[1]。
専門の英語学以外にも歴史論、政治・社会評論を著している。1976年刊の『知的生活の方法』は、内面の充実を求める生活のさまざまなヒントとアイデアを示しベストセラーとなった[9]。歴史学を専門としたことはなく、「単に歴史を好んできた人間」であると自称する[10]。
政治・歴史に関する評論については、保守系オピニオン誌である『正論』や『諸君!』『WiLL』『voice』『致知』など保守派寄りのメディアへの寄稿が多い。
晩年は魂の存在を肯定する発言を行なうなど、スピリチュアリズムに関する著作を出版していた[11]。
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