日本とルワンダの関係 (にほんとルワンダのかんけい、ルワンダ語 : Umubano hagati yUbuyapani nu Rwanda 、フランス語 : Relations entre le Japon et le Rwanda 、英語 : Japan-Rwanda relations 、スワヒリ語 : Uhusiano kati ya Japan na Rwanda ) では、日本 とルワンダ の関係について概説する。日本とルワンダ共和国の関係 とも。ルワンダ内戦 終結以降、平和的かつ友好的な関係が続いている。
両国の比較
歴史
1962年 7月 、ベルギー から独立したルワンダを日本は国家承認し、直後に外交関係を樹立した[ 3] 。しかし、独立直後はフツ族 とツチ族 の対立が激しかったため治安の関係上交流は少なく、ゆえに大使館 は未設置であった。1993年 にようやくナイロビ にある在ケニア日本国大使館 がルワンダの兼轄を始めた。ルワンダ紛争 終結後、ルワンダは「アフリカの奇跡 」「ルワンダの奇跡 」などと呼ばれる高度経済成長 を経験し、ゆえに日本と経済的な交流が増加[ 21] 。それに伴って2010年 1月 には首都キガリ に在ルワンダ日本国大使館 が開館した[ 3] 。一方のルワンダは1979年 5月 に東京 に駐日ルワンダ大使館 を開設、2000年 9月 に閉鎖されたが2005年 1月 に再開している[ 3] 。
またルワンダ内戦終結後において、日本は国際平和協力法 に基づいて自衛隊 を派遣し、積極的にルワンダ支援を実施した経緯がある。ルワンダ大虐殺 後に国外に避難したルワンダ難民を支援するため、1994年 の9月から12月にかけて、ザイール共和国 (当時、現コンゴ民主共和国 )のゴマ 等に約400名の難民救援隊・空輸隊等を派遣していた[ 3] 。
この他、1964年から1971年まで世界銀行 副総裁の服部正也 氏がルワンダ中央銀行の総裁として技術援助計画を行っている。
外交
二国間関係
ルワンダ内戦終結後、ルワンダはツチ族 かフツ族 かを示す身分証明書を廃止するなどして自由主義 や人権の尊重 といった価値観を、さらには市場経済 を活性化させて資本主義 といった価値観を日本とともにしており、ゆえに二国間関係は友好的なものとなっている。さらにはルワンダがアフリカ有数のIT立国となりキガリ がアフリカ有数の世界都市になるなど経済的重要性が高まっており、経済的な結びつきも年々強まっている。
政治的には2009年 にはボツワナ で中曽根弘文 とローズマリー・ムセミナリ (英語版 ) が外相会談を実施[ 22] 。2018年 にマプト で河野太郎 とルイーズ・ムシキワボ (英語版 ) が外相会談を実施[ 23] 。2021年 6月にはイタリア で茂木敏充 とヴィンセント・ビルタ (英語版 ) が外相会談を実施[ 24] 。同年8月には2022年 チュニジア で開催予定の第8回アフリカ開発会議 に向けて電話外相会談も実施された[ 25] 。いずれも友好的な交流である。
日本要人のルワンダ訪問
ルワンダ内戦終結後、21世紀 に入るとルワンダは「アフリカの奇跡」とも呼ばれる高度経済成長 を経験した。それに伴い日本との経済的な結びつきが強まったことから、21世紀になってから日本要人のルワンダ訪問が増加している[ 3] 。
ルワンダ要人の訪日
独立以来、ルワンダにとって日本は主要な支援ドナー国であり続けており、2000年 から長らくルワンダ大統領 を務めているポール・カガメ を筆頭に多くのルワンダ要人が訪日を実施している[ 3] 。
経済交流
キガリ のスカイライン
2020年 のルワンダの対日貿易は、輸出額3.1億円、輸入額9.7億円となっている。これは国家間の貿易額としてはやや小さい数字である一方、アフリカの内陸国の中では大きな数字である。主要な輸出品目はコーヒー 、非鉄金属 など。主要な輸入品目は医薬品 や自動車 などである[ 3] 。
日本はルワンダにとってアメリカ合衆国 やイギリス と並ぶ主要な経済援助国でもある。2018年 までの援助実績は有償資金協力192億円、無償資金協力481.48億円、技術協力170.79億円である。近年の主要な援助は以下の通り[ 3] 。
「地方給水施設運営維持管理強化プロジェクト (2015年‐2019年)」‐技術協力。地方給水施設の改修・運営・維持。管理のための効果的で持続可能な実施体制・枠組みや国家ガイドライン・マニュアルの整備などを支援[ 44] 。
「キガリ市無収水対策強化プロジェクト (2016年‐2020年)」‐技術協力。水衛生公社の無収水削減に係る計画策定能力の向上、職員の基本的知識、技術、技能の習得を支援[ 45] 。
「キガリ市上水道改善整備マスタープランプロジェクト (2019年‐2021年)」‐技術協力。キガリおよび周辺7地域を対象に、既存上水施設の分析や水需要予測などを行い、上水道 のマスタープランの策定を支援[ 46] 。
「教員間の校内相互研鑽強化プロジェクト (2013年‐2015年)」‐技術協力。研修を受講した教員への学校でのフォローアップ活動の導入、現職教員研修の実施・運営管理能力の強化を行い、教員間の研鑽活動活性化と教員の能力強化を図った[ 47] 。
「障害を持つ元戦闘員と障害者の社会復帰のための技能訓練及び就労支援プロジェクト (2011年‐2014年)」‐技術協力。元戦闘員と障害を持つ一般市民を対象とする技能訓練と就労支援を実施[ 48] 。
「ICTイノベーションエコシステム強化プロジェクト (2017年‐2020年)」‐技術協力。関連省庁や商工会議所などのICTセクター関係者、新たに参入するICT企業、投資家、教育機関等の国内外の多様な関係者が効果的・効率的につながりあい、新規ビジネスを立ち上げるための環境基盤となる「ICTイノベーションエコシステム」の強化支援を実施[ 49] 。
「効率的な電力システム開発のための電力公社能力向上プロジェクト (2011年‐2014年)」‐技術協力。キガリ を中心とした都市部では配電網が劣化し停電が頻発していた。そのため訓練センターの機能強化、配電網データベースの構築などを支援[ 50] 。
「灌漑水管理能力向上プロジェクト (2019年‐2024年)」‐技術協力。対象地域となる南部州 および東部州 において灌漑施設管理移管の実施手順や、水利組合の支援体制の構築・制度化を図り、灌漑地区の管理能力向上を支援[ 51] 。
「小規模農家市場志向型農業プロジェクト (2014年‐2019年)」‐技術協力。市場志向型農業普及パッケージの普及活動を支援[ 52] 。
「東部県農業生産向上プロジェクト (2010年‐2013年)」‐技術協力。東部州 を対象地域として、水稲生産者組合(低湿地)と園芸作物生産者組合(丘陵地)に所属する農家の栽培技術向上、農民組織運営や水管理能力の向上、農業技術普及者の能力向上を支援[ 53] 。
「ルスモ-カヨンザ区間道路改良事業 (2016年、68.89億円)」‐円借款事業[ 54] 。タンザニアとの国境に位置する都市ルスモは物流・輸送の面で重要であるが、こことカヨンザを結ぶ区画の幹線道路は老朽化が著しい。そのためルスモ-カヨンザ区間の道路の改修・拡幅を支援し、周辺国と一体となった経済発展に寄与する[ 55] 。
「ンゴマ-ラミロ区間道路改良事業 (2018年、76.70億円)」‐円借款事業[ 56] 。東部州 のンゴマからラミロ区間において未舗装道路を舗装・拡幅することにより、対象地域の効率的輸送ルートの確保および輸送能力の増強を図り、ルワンダ国内と周辺国との物流の活性化に寄与[ 57] 。
「キガリ市ンゾベ-ノトラ間送水幹線強化計画 (2019年、31.91億円)」‐無償資金協力。キガリ を支えるンゾベ浄水場とノトラ配水池間の送水管、ポンプ設備およびノトラ配水池の施設整備[ 58] 。
「ルスモ国際橋及び国境手続円滑化施設整備計画 (2011年、18.6億円)」‐無償資金協力。タンザニア への入口になる老朽化したルスモ国際橋の架け替えと、両国の国境手続円滑化のための施設建設を支援[ 59] 。
「ルワンダ国営テレビ番組ソフト整備計画 (2010年、0.46億円)」‐無償資金協力。国民の学術や情操教育振興に資することを目的とし、日本の良質かつ優良なドキュメンタリーや教育番組ソフトの整備を支援[ 60] 。
「ルワマガナ郡灌漑施設改修計画 (2010年、0.46億円)」‐無償資金協力。既存の低湿地灌漑施設が老朽化しており、その改修を実施[ 61] 。
「ンゴマ郡灌漑開発計画 (2014年、15.49億円)」‐無償資金協力。ンゴマ郡において丘陵地灌漑に必要な灌漑用貯水池および灌漑施設の建設と資機材の調達を支援[ 62] 。
また技術分野でも協力があり、ルワンダ初の人工衛星「RWASAT‐1」は東京大学 、ルワンダICT・イノベーション省、ルワンダ公共事業規制庁(RURA)が共同事業で製作したもので、この打ち上げを担ったのは宇宙航空研究開発機構 であった[ 63] 。2019年 11月20日 、「きぼう 」よりRWASAT-1の放出に成功[ 64] 。
21世紀 に入りルワンダは「アフリカのシンガポール 」になることを目指してICT分野の成長に力を入れ、現在ではアフリカ有数のICT立国となっている。そのことから将来性が高く、日本企業の進出や投資も増加している[ 65] 。
文化交流
在ルワンダ日本国大使館が主体となってルワンダにおいて文化事業を実施している。代表的なものは空手道大使杯、日本映画祭などの開催[ 3] 。2018年には、外務大臣表彰を受けたルワンダ空手連盟に対し空手用マットや畳400枚などを供与した[ 66] 。
学術的な交流も増えつつあり、2021年 には四天王寺大学 がルワンダの家庭との交流プログラムを実施した[ 67] 。
外交使節
駐ルワンダ日本大使
駐日ルワンダ大使
駐日ルワンダ大使館
脚注
参考文献
ルワンダ共和国(Republic of Rwanda)基礎データ 外務省
服部正也(著)『ルワンダ中央銀行総裁日記』2009/11/1
関連項目
外部リンク
アジア
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