ハタ(羽太、英名:Grouper)は、スズキ目ハタ科ハタ亜科[1] Epinephelinae に属する魚の総称。ハタ亜科はマハタ亜科とよぶ場合もある。英語ではgrouperというが、香港やシンガポールではポルトガル語風にガルーパgarrupaと呼ばれる事も少なくない。
マハタ・バラハタ・クエ・タマカイ・アカハタ・ユカタハタ・サラサハタなど、16属約175種が知られる大きなグループである。
すべてが海水魚で、熱帯から温帯の浅い海に広く分布し、ほとんどの種類は岩礁やサンゴ礁に生息するが、マングローブなどの汽水域に侵入する種類や、水深200m 以深の深海まで生息する種類もいる。
成魚の大きさは全長10cm そこそこの種類から、全長2m を超える大型種まで様々である。多くの種類が雌性先熟の性転換を行う[2]ので、大きく成長した個体のほとんどはオスである。
形態上の特徴としては、口が大きくて、下あごが上あごより前に突き出ること、体に対する頭とひれの割合が大きいこと、体の断面は下がふくらんだ楕円形であることなどが挙げられる。体色は種類や成長段階によって非常に多彩で、赤、橙、黄、青、灰色などの鮮やかな色が、水玉模様、大小の斑点、しま模様など様々に配されている。
単独で生活し、ほとんどの種類は海底近くをあまり離れずに生活するが、中にはバラハタのように底から離れて泳ぐものもいる。
食性は肉食性で、他の魚類や甲殻類、頭足類などを大きな口で捕食し、時には自分の体の半分ほどもある獲物にも貪欲に襲いかかる。水族館などで飼育する場合も、飼育自体はわりと簡単だが、たまに「野性を発揮」して同居魚の数が減るのが難点となる。
繁殖は夏におこなわれる。親は卵を保護せず、卵はプランクトンとなって海中を浮遊しながら発生する。孵化した稚魚は海岸のごく浅い場所にもやってくるが、成長するにつれ深場へ移動する。
本亜科には16属約175種が含まれ、日本からは11属70種が知られる[1]。
大型で色彩も美しく、食用でも美味な種類が多いので、観賞魚や高級食材として利用される。ただし、食用の際はシガトキシンなどのシガテラ毒を体内に蓄積するバラハタなどもいるので注意が必要である。
ハタ類のことを九州では「アラ」と呼び、魚偏に荒(𩺊)の国字(和製漢字)が作られている。鹿児島県のトカラ列島(十島村)までアラという言い方が使われている。それより南の南西諸島の内、奄美大島などで「ネィバリ」、「ネバリ」、与論島で「ニーバイ」、沖縄本島以南で「ミーバイ」と呼ぶが、これらは「目張り」の変音で、ハタ類の突出した目を表現している。沖縄県では地域により漁師がハタ類を「メバル」と呼ぶこともあるが、標準和名が同じであるメバルが沖縄県周辺に生息しないため、混同されることはない。ただし、同じハタ類の魚でも、色や大きさによって「アカジン」、「カンナギ」など別の名で呼ばれる種もある。
香港では「石斑魚」(広東語 セッパーンユー sek6baan1yu2)と称して、蒸し魚やフライにして食べることが多いが、近年は広東料理の普及とともに、中国各地でも消費されるようになり、広東省、福建省。台湾などで大量に養殖されている。
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