ガブリエラ・パパダキス(フランス語: Gabriella Papadakis、1995年5月10日 - )は、ギリシャ系のフランスの元女性フィギュアスケート選手(アイスダンス)。
パートナーはギヨーム・シゼロン。
世界フィギュアスケート選手権優勝5回。ヨーロッパフィギュアスケート選手権優勝5回。2022年北京オリンピック金メダル。2018年平昌オリンピック銀メダル。
バイセクシャルである[1]。
経歴
9歳から10歳の頃にかけて、コーチでもある母のカトリーヌの勧めで幼馴染だったシゼロンとチームを結成した。[2]2009-2010シーズンにジュニアグランプリシリーズにデビューした。
2012-2013シーズン、リヨンに移籍しミュリエル・ザズーイのチームに加わった。ジュニアグランプリシリーズでは2大会連続で金メダルを獲得。フランスのカップルでは初めてのこととなる。続くジュニアグランプリファイナルでは銀メダルを獲得、フランスのカップルでは初めてのメダル獲得となった。世界ジュニア選手権ではSD2位。FDに向けての練習中に足首を負傷し、テーピングをして挑んだFDでは演技の中断があったものの、銀メダルを獲得した。
2013-2014シーズン、シニアクラスに移行。初めてのシニアの大会のニース杯で優勝。エリック・ボンパール杯で5位、ロステレコム杯で7位。欧州選手権はナタリー・ペシャラ/ファビアン・ブルザ組の代わりに出場し15位。
2014-2015シーズン、コーチのロマン・アグノエルと共にカナダのモントリオールに練習拠点を移し、マリー=フランス・デュブレイユ/パトリス・ローゾン夫妻のチームに加わった。中国杯ではグランプリシリーズ初の表彰台を優勝で飾った。エリック・ボンパール杯でも優勝し、グランプリファイナルに進出。そこでは銅メダルを獲得した。欧州選手権ではSDで初の70点台を出し1位、FDでも自己ベストを更新し初優勝。前年の15位から大きくジャンプアップした。世界選手権ではSD4位スタート、FDでは大きく自己ベストを更新し逆転優勝。フランスのカップルとしては7年ぶりに世界選手権の頂点に立った。10代での優勝は1975年のイリーナ・モイセーワ以来40年ぶりのことである。
2015-2016シーズン、8月の下旬の練習中に転倒し脳震盪を起こした[3]。その影響で、パニック発作やうつ病、記憶障害、失読症に苦しみ、治療を受けていると報じられた[4]。医師や神経学者との相談の結果大事を取り、エリック・ボンパール杯とNHK杯の出場は辞退した[5]。フランス選手権では連覇を果たした。欧州選手権ではSD2位から逆転優勝した。世界選手権では、SD・FDすべてのエレメンツでレベル4を獲得。FDの歴代最高得点を更新し、連覇を果たした。
2016-2017シーズン、フランス杯で優勝。NHK杯では、同門のテッサ・ヴァーチュ/スコット・モイア組に次ぐ2位。続くグランプリファイナルでは2年前から順位を上げ銀メダルを手にするも、ヴァーチュ/モイア組に敗れた。欧州選手権では、タチアナ・ナフカ/ロマン・コストマロフ組以来、11年ぶりに3連覇。ヴァーチュ/モイア組と3度目の直接対決となった世界選手権では、FDで歴代最高得点をマークするも、SDの出遅れが響き2位だった。
2017-2018シーズン、中国杯からISU公認の大会4連勝、いずれも連勝するたびにFDと総合の歴代最高得点を更新するという快挙であった。グランプリファイナルではSDFD総合の得点がヴァーチュ/モイア組を上回り優勝した。しかし、ヴァーチュ/モイア組と5度目の直接対決となった平昌オリンピックはSDで演技中に衣装がはだけるアクシデントに見舞われてヴァーチュ/モイア組に続く2位と遅れた[6]。パパダキスは「とても気になって仕方なかった。五輪の舞台で最低の悪夢です」と話した。翌日のFDでは自らの2種目の歴代最高得点を更新したが、直後に最終滑走のヴァーチュ/モイア組に更に総合の最高得点を更新されて銀メダルに終わった。ヴァーチュ/モイア組が休養に入った世界選手権はSDでの衣装アクシデントがなく完璧な演舞を見せると勢いが止まらずに3種目での歴代最高得点を更新。2年ぶりの優勝を飾った。
2018-2019シーズン、NHK杯からの始動予定だったが、現地10月31日の練習中にシゼロンが転倒し腰を負傷したためNHK杯を棄権。フランス国際からの始動となり、連覇を狙っていたグランプリファイナルは絶望的となったが、それでもフランス国際以降のISU公認の大会3連勝を3種目での歴代最高得点更新連発で決めた。その後の国別対抗戦はフランスチームのアイスダンスメンバーとして出場したがRDでシゼロンがツイヅルでふらついたのが響いて連続の3種目歴代最高得点更新こそ止まったが、FDと総合得点で歴代最高得点を更新。アイスダンス部門のトップとなった。
2019-2020シーズンは前年度に続いてフランス国際から始動し、RDで歴代最高得点を記録したがFDは思ったより得点が伸び切れなかったものの優勝だけは確保した。その後のNHK杯はRDでアイスダンス初の90点台を記録するなど3種目の歴代最高得点を更新しての圧勝で2年ぶりにグランプリファイナルの舞台に立った。しかし、GPファイナル本番はRDでミッドラインステップのスタンブルとツイヅルでの緩い回転が響いたどころかFDも得点が伸びず、2017年中国杯から続いたISU公認大会での1つ以上の種目歴代最高得点更新が途絶えたが2年ぶりの優勝を果たした。6連覇を目指した欧州選手権はRDで首位に立つが、2位のヴィクトリヤ・シニツィナ/ニキータ・カツァラポフ組とは僅か0.05ポイント差と逆転されてもおかしくない位置に立ってしまう。そんな中で迎えたFDはステップのミスや自らがスタンブルする等、本来の出来ではない結末となり、シニツィナ/カツァラポフ組の逆転優勝を許して準優勝に終わった。
2020年の世界選手権は新型コロナウイルスの影響で中止となり、翌シーズンは全ての試合を欠場したものの最優先目標を北京オリンピックでの金メダル獲得として調整に入った。
2021-2022シーズンから活動を再開し、ISU公認の大会を全て勝ったものの序盤はスコアの伸び悩みに苦しんだ。しかし、年明けの北京五輪でRDとトータルの歴代最高得点更新で前回大会の雪辱を果たし金メダルを獲得。地元フランス・モンペリエの開催となった世界選手権は3種目の歴代最高得点を更新しての圧勝で3年ぶりの優勝となり、五輪金メダル獲得後の凱旋試合に花を飾った。
2024年12月、競技からの引退を発表[7][8]。
主な戦績
詳細
プログラム使用曲
脚注
- ^ Barrington, Talia (2023年4月19日). “A Once Unthinkable Revolution Is Coming to Figure Skating. Is the Sport—and the World—Ready?” (英語). Slate. ISSN 1091-2339. https://slate.com/culture/2023/04/figure-skating-2023-same-sex-gender-pairs-rules.html 2023年7月5日閲覧。
- ^ Papadakis, Cizeron amazed by sudden success
- ^ Victime d’une commotion cérébrale, Gabriella Papadakis est de retour sur la glace
- ^ パパダキス/シゼロン組、エリック・ボンパール杯とNHK杯を欠場へ
- ^ Papadakis, Cizeron withdraw from Grand Prix
- ^ “「アイスダンスで仏代表の衣装はだける、選手は「悪夢」と涙 平昌五輪」”. Yahoo!ニュース (2018年2月19日). 2018年2月19日閲覧。
- ^ “Gabriella Papadakis et Guillaume Cizeron mettent un terme à leur carrière” (フランス語). Eurosport (2024年12月3日). 2024年12月4日閲覧。
- ^ @NickMcCarvel (2024年12月3日). "Gabriella Papadakis and Guillaume Cizeron have announced they are ending their competitive careers". X(旧Twitter)より2024年12月4日閲覧。
- ^ オープン参加でジュニアクラスとして出場。
外部リンク
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2020年 |
最優秀選手賞 | |
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エンターテインメント賞 | |
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最優秀新人賞 | |
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最優秀衣装賞 | |
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最優秀コーチ賞 | |
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最優秀振付賞 | |
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特別功労賞 | |
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2021年 |
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1948: Jacqueline Meudec & Henri Meudec •
1953: Claude-Gisele Weinstein & Claude Lambert •
1954-1957: Fanny Besson & Jean Paul Guhel •
1958-1962: Christiane Guhel & Jean Paul Guhel •
1964: Ghislaine Bertrand-Houdas & Pierre Brun •
1965-1967: Brigitte Martin & Francis Gamichon •
1968: Claude Cousté & Jean-Pierre Noullet •
1969: Eliane Vachon-France & Jean-Pierre Noullet •
1970: Elisabeth Bugiel & Michel Bouttier •
1971-1973: Anne-Claude Wolfers & Roland Mars •
1974: ミュリエル・ザズーイ & イブ・マラティエール •
1975-1976: Marie-Joëlle Michel & Frédéric Garcin •
1977-1978: ミュリエル・ザズーイ & イブ・マラティエール •
1979: Martine Olivier & Yves Tarayre •
1980-1984: Nathalie Hervé & Pierre Béchu •
1985: Sophie Mérigot & Philippe Berthe •
1986-1987: イザベル・デュシュネー & ポール・デュシュネー •
1988: Corine Paliard & Didier Courtois •
1989: Dominique Yvon & Frédéric Palluel •
1990-1991: イザベル・デュシュネー & ポール・デュシュネー •
1992: Dominique Yvon & Frédéric Palluel •
1993-1995: ソフィー・モニオット & パスカル・ラヴァンシー •
1996-2001: マリナ・アニシナ & グウェンダル・ペーゼラ •
2002: Alia Ouabdelsselam & Benjamin Delmas •
2003-2008: イザベル・ドロベル & オリヴィエ・シェーンフェルダー •
2009: ナタリー・ペシャラ & ファビアン・ブルザ •
2010: ペルネル・キャロン & ロイド・ジョーンズ •
2011-2014: ナタリー・ペシャラ & ファビアン・ブルザ •
2015-2017: ガブリエラ・パパダキス & ギヨーム・シゼロン
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ISUグランプリシリーズ(1995-) |
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名称の変遷:ラリック杯(1987-2003)/ISUグランプリシリーズ ラリック杯(1995-2003)/ISUグランプリシリーズ エリック・ボンパール杯(2004-2015)/フランス杯(2016)/フランス国際(2017-現在) |
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