府中牝馬ステークス(ふちゅうひんばステークス)は、日本中央競馬会(JRA)が東京競馬場で施行する中央競馬の重賞競走(GIII)である。競馬番組表での名称は「アイルランドトロフィー府中牝馬ステークス」と表記される[2](2024年まで)。
正賞は府中市長賞[1][2]。
概要
現在中央競馬で行われる4歳(現3歳)以上の牝馬限定重賞競走としては、最も長い歴史を持つ[3]。
1953年に「東京牝馬特別(とうきょうひんばとくべつ)」の名称で創設[4][5][3]。その後名称は幾度かの変遷を経て、1992年から現名称となった[4][5][3]。
創設時は東京競馬場の芝2000mでハンデキャップ競走として行われていた[4][5][3]が、距離は1955年より芝1600mに、負担重量は1969年より別定に変更[4][5][3]。1996年にエリザベス女王杯が古馬にも開放され4歳(現3歳)以上の牝馬限定戦に改められると、本競走は距離を芝1800mに延長し、エリザベス女王杯の重要な前哨戦として位置づけられた[4][5][3]。2014年からは、本競走の1着馬にエリザベス女王杯の優先出走権が与えられている[6][4][5][3]。
外国産馬は1994年から、地方競馬所属馬は1996年からそれぞれ出走可能になり、2005年からは外国馬も出走可能な国際競走となった[7][3]。
競走条件
以下の内容は、2024年現在[1][2][8]のもの。
出走資格:サラ系3歳以上牝馬
- JRA所属馬(外国産馬含む)
- 地方競馬所属馬(後述)
- 外国調教馬(優先出走)
負担重量:別定
- 3歳53kg、4歳以上55kg
- 2020年10月17日以降のGI競走1着馬2kg増、GII競走1着馬1kg増
- 2020年10月16日以前のGI競走1着馬1kg増(2歳時の成績を除く)
エリザベス女王杯のステップ競走に指定され、地方競馬所属馬はエリザベス女王杯の出走候補馬(3頭まで)に優先出走が認められている[8]。また、地方競馬所属馬は本競走で2着以内の成績を収めると、エリザベス女王杯の優先出走権が与えられる[8][6]。
賞金
2024年の1着賞金は5500万円で、以下2着2200万円、3着1400万円、4着830万円、5着550万円[1][2]。
歴史
- 1953年 - 4歳以上の牝馬による重賞競走として「東京牝馬特別」の名称で創設、東京競馬場の芝2000mで施行[5]。
- 1964年 - 名称を「東京タイムズ杯 東京牝馬特別」に変更[5]。
- 1965年 - 名称を「東京タイムズ杯 牝馬特別」に変更[5]。
- 1967年 - 名称を「牝馬東京タイムズ杯」に変更[5]。
- 1984年 - グレード制施行によりGIII[注 1]に格付け[5]。
- 1992年 - 名称を「府中牝馬ステークス」に変更[5]。
- 1994年 - 混合競走に指定、外国産馬が出走可能になる[7]。
- 1996年 - 指定交流競走となり、地方競馬所属馬(エリザベス女王杯の出走候補馬)が出走可能になる[7]。
- 2001年 - 馬齢表示の国際基準への変更に伴い、出走資格を「3歳以上牝馬」に変更。
- 2005年 - 国際競走に指定、外国調教馬が5頭まで出走可能になる[7]
- 2007年 - 日本のパートI国昇格に伴い、外国馬の出走枠を9頭に拡大[9]。
- 2011年 - 日本グレード格付け管理委員会の承認を得て、GIIに格上げ[5]。
- 2014年 - この年から1着馬にエリザベス女王杯の優先出走権を付与[5]。
- 2017年 - 日本とアイルランドの外交樹立60周年を記念し、名称を「アイルランドトロフィー府中牝馬ステークス」に変更[10][注 2]。
- 2025年 - 前年まで阪神競馬場で開催されていたマーメイドステークスの施行時期(6月)・重賞格付(GIII)・負担重量(ハンデキャップ戦)を引き継ぎ、東京競馬場・芝1800mで「府中牝馬ステークス」として実施。回次は第73回となり、併せて施行日を2011年以来の日曜日に変更する。
歴代優勝馬
コース種別を表記していない距離は、芝コースを表す。
優勝馬の馬齢は、2000年以前も現行表記に揃えている。
競走名は第11回まで「東京牝馬特別」、第12回は「東京タイムズ杯東京牝馬特別」、第13回・第14回は「東京タイムズ杯牝馬特別」、第15回から第39回は「牝馬東京タイムズ杯」、第65回から第72回は「アイルランドトロフィー府中牝馬ステークス」、その他の回次は「府中牝馬ステークス」[7][5]。
脚注・出典
参考文献
- 「府中牝馬ステークス(GIII)」『中央競馬全重賞競走成績集【古馬関東編】』日本中央競馬会、2006年、1569-1637頁。
注釈
- ^ 当時の格付表記は、JRAの独自グレード。
- ^ 2016年まではアイルランドトロフィーはオープン特別で行われていた[12]。現在のオクトーバーステークスに相当する[13][2]。
出典
各回競走結果の出典
- 『中央競馬全重賞競走成績集【古馬関東編】』 第1回 - 第53回
- JRA年度別全成績
- (2023年)“第4回 東京競馬 第4日” (PDF). 日本中央競馬会. p. 6. 2024年10月15日閲覧。(索引番号:27047)
- (2023年)“第4回 東京競馬 第4日” (PDF). 日本中央競馬会. p. 6. 2023年10月16日閲覧。(索引番号:27047)
- (2022年)“第4回 東京競馬 第4日” (PDF). 日本中央競馬会. p. 6. 2023年10月14日閲覧。(索引番号:27047)
- (2021年)“第4回 東京競馬 第3日” (PDF). 日本中央競馬会. p. 6. 2021年10月17日閲覧。(索引番号:27035)
- (2020年)“第4回 東京競馬 第3日” (PDF). 日本中央競馬会. p. 6. 2020年10月18日閲覧。(索引番号:27035)
- (2019年)“第4回 東京競馬 第5日” (PDF). 日本中央競馬会. p. 6. 2019年10月16日閲覧。(索引番号:27035)
- (2018年)“第4回 東京競馬 第4日” (PDF). 日本中央競馬会. p. 6. 2019年10月16日閲覧。(索引番号:27047)
- (2017年)“第4回 東京競馬 第4日” (PDF). 日本中央競馬会. p. 6. 2017年10月15日閲覧。(索引番号:27047)
- (2016年)“第4回 東京競馬 第4日” (PDF). 日本中央競馬会. p. 6. 2016年10月16日閲覧。(索引番号:27047)
- (2015年)“第4回 東京競馬 第4日” (PDF). 日本中央競馬会. p. 6. 2015年10月19日閲覧。(索引番号:27047)
- (2014年)“第4回 東京競馬 第4日” (PDF). 日本中央競馬会. p. 6. 2015年10月15日閲覧。(索引番号:27047)
- (2013年)“第4回 東京競馬 第5日” (PDF). 日本中央競馬会. p. 6. 2015年10月15日閲覧。(索引番号:27059)
- (2012年)“第4回 東京競馬 第4日” (PDF). 日本中央競馬会. p. 6. 2015年10月15日閲覧。(索引番号:27047)
- (2011年)“第4回 東京競馬 第5日” (PDF). 日本中央競馬会. p. 6. 2015年10月15日閲覧。(索引番号:29059)
- (2010年)“第4回 東京競馬 第4日” (PDF). 日本中央競馬会. p. 11. 2015年10月15日閲覧。(索引番号:28047)
- (2009年)“第4回 東京競馬 第4日” (PDF). 日本中央競馬会. p. 11. 2015年10月15日閲覧。(索引番号:28047)
- (2008年)“第4回 東京競馬 第4日” (PDF). 日本中央競馬会. p. 11. 2015年10月15日閲覧。(索引番号:28047)
- (2007年)“第4回 東京競馬 第5日” (PDF). 日本中央競馬会. p. 11. 2015年10月15日閲覧。(索引番号:28059)
- (2006年)“第4回 東京競馬 第4日” (PDF). 日本中央競馬会. p. 11. 2015年10月15日閲覧。(索引番号:28047)
- (2005年)“第4回 東京競馬成績集計表” (PDF). 日本中央競馬会. pp. 3112-3114. 2015年10月15日閲覧。(索引番号:28047)
- (2004年)“第4回 東京競馬成績集計表” (PDF). 日本中央競馬会. pp. 3131-3132. 2015年10月15日閲覧。(索引番号:28047)
- (2003年)“第3回 東京競馬成績集計表” (PDF). 日本中央競馬会. pp. 3103-3104. 2015年10月15日閲覧。(索引番号:28047)
- (2002年)“第3回 中山競馬成績集計表” (PDF). 日本中央競馬会. pp. 2952-2953. 2015年10月15日閲覧。(索引番号:27047)
- netkeiba.comより(最終閲覧日:2024年10月15日)
外部リンク