ユニコーンステークス(Unicorn Stakes)は、日本中央競馬会(JRA)が京都競馬場のダート1900mで施行する重賞(GIII・統一GIII)である。
競走名は伝説上の動物、ユニコーンに由来する[6]。
正賞は地方競馬全国協会理事長賞、全国公営競馬主催者協議会会長賞。
概要
本競走は1996年の中央競馬のダート路線の整備に伴って創設された[7]。創設当初から2000年までは「3歳[注 1]ダート三冠」の一冠を成していたが、2001年から2023年まではジャパンダートダービーの前哨戦の位置付けとなっていた。
創設(4歳ダート3冠シリーズ)
1996年に中央競馬で最初の3歳[注 2]限定のダートの重賞競走として創設された[7][8]。
1996年は9月の中山競馬場でダート1800mの競走として行われ、負担重量は定量制(牡馬56kg、牝馬54kg)で、GIIIに格付けされた[7]。以来、2000年まで9月末もしくは10月初旬に開催された[9][注 3]。
創設時は芝のクラシック三冠競走に倣い、ユニコーンステークス(9月末~10月初旬)、大井のスーパーダートダービー(10月~11月)、盛岡のダービーグランプリ(11月~12月)と併せて4歳ダート三冠シリーズを形成した。三冠を達成した場合にはジャパンブリーダーズカップ協会から2000万円のボーナスが出ることになっていたが、達成馬は出なかった[10]。
6月開催へ移動
1999年から2001年にかけて、ダート路線の改編が行われた。夏(7月)にジャパンダートダービーが創設(1999年)され、秋のスーパーダートダービーは廃止(2001年)となった。また、11月下旬に行われていたダービーグランプリも9月後半に前倒しになった。
ユニコーンステークスは2001年から6月に移動し、7月のジャパンダートダービーの前哨戦としての性格を与えられた。これに伴い、開催競馬場は東京競馬場に、距離はダート1600mになった[注 4][7]。2002年からは負担重量を別定重量に変更となっている[6][注 5]。
ダートグレード競走の体系整備に伴い、京都開催へ移動
2024年からは全日本的なダート競走の体系整備に伴い、この年からダートグレード競走(JpnI)として開催される東京ダービーのトライアル競走に指定され、開催時期を前倒しするとともに、京都競馬場(3回京都3日目)ダート1900mでの開催となる。本競走で2着以内に入ったJRA及び地方所属馬の上位各1頭に東京ダービーへの優先出走権が付与され[11][12]、また負担重量も馬齢重量に変更されることになった。
過去の優勝馬
開催日が変更された2001年以前の第5回までの優勝馬全てが後にGIを制すほどの出世レースで[13]、6月へ移行してからもユートピア、カネヒキリなどのGI優勝馬を輩出し、出世レースの立場は守っている[8]。
競走条件
出走資格は、サラ系3歳(旧4歳)のJRA所属の競走馬、地方所属の競走馬(4頭まで)及び外国調教馬(8頭まで)。ただし未出走馬及び未勝利馬は除く。
負担重量は馬齢重量である57kg、牝馬は55kg。2023年までは更にGI競走1着馬は2kg増、GII競走1着馬は1kg増の負担が課せられていた。ただし、2歳時の成績を除く。
賞金
2024年の1着賞金は3700万円で、以下2着1500万円、3着930万円、4着560万円、5着370万円[3][4]。
歴史
- 1996年
- 中山競馬場のダート1800mの4歳(現3歳)限定の混合競走・指定交流競走の定量の重賞(GIII・統一GIII)競走、ユニコーンステークスとして創設(創設当初の負担斤量は牡馬・騸馬が55kg、牝馬が53kg)。
- 1位入線のバトルラインが進路妨害により10着に降着。
- 1997年 - 施行場を現在の東京競馬場のダート1600mに変更。
- 1998年 - 施行場を中山競馬場のダート1800mに変更。
- 2001年
- 馬齢表示の国際基準への変更に伴い、出走資格が「4歳」から「3歳」に変更。
- 施行時期を6月に変更。
- 施行場を現在の東京競馬場のダート1600mに戻す。
- 2002年
- 負担重量を別定重量に変更。
- 地方船橋所属のヒミツヘイキが地方所属馬として史上初の優勝。
- 2003年 - 基本負担斤量が牡馬・騸馬55kg、牝馬53kgから牡馬・騸馬56kg、牝馬54kgに変更。
- 2007年 - 国際セリ名簿基準委員会(ICSC)の勧告により、重賞格付け表記をJpnIII・統一JpnIIIに変更。
- 2009年
- 混合競走から国際競走に変更され、外国調教馬は8頭まで出走可能となる。それに伴い、重賞格付け表記をGIIIに戻す。
- 地方所属馬の出走枠が5頭から4頭に縮小。
- 8位入線のシンゼンオオジが進路妨害により15着に降着。
- 2010年
- 2011年 - 6月5日にJRAプレミアムレースとして施行予定が、3月11日に発生した東日本大震災及び東京電力・福島第一原発の事故による薄暮開催の中止に伴い、6月4日に開催。2009年以来2年ぶりの土曜開催およびそれ以来のメインレースとしての開催となる。
- 2013年
- 2019年 - 中央競馬競走除外多発事案により、15頭が出走予定だったが、サトノギャロス、ロードグラディオが除外となり、13頭立てとなった。
- 2020年
- 2024年
- この年からダートグレード競走となる東京ダービーの前哨戦に位置付けられることから、開催時期を4月末~5月初旬の第3回京都競馬3日目に前倒しされ、ダート1900mに変更[16]。
- 負担重量を馬齢重量に変更。
- 東京トゥインクルファンファーレ(TTF)によるファンファーレの生演奏が実施される[17]。
歴代優勝馬
備考
- 現在の優勝レイの配色は、紫色地に金色文字となっている。
脚注
参考文献
- 「ユニコーンステークス(GIII)」『中央競馬全重賞競走成績集【2歳・3歳編】』日本中央競馬会、2006年、735-756頁。
注釈
- ^ 当時の表記では「4歳」
- ^ 当時の表記では「4歳」
- ^ 1997年のみ10月初旬に東京競馬場(ダート1600m)で行われた。
- ^ 東京競馬場のダートコースには、中山競馬場のような1800mの設定がなく、1600mの次は2100mとなっている。
- ^ 一般に、全馬が同じ斤量を負担する定量戦は強い馬に有利であり、チャンピオン決定戦に相応しく、実績のある馬が重い斤量を負担する別定戦は強い馬に不利であるため、チャンピオン決定戦としては採用されない傾向がある。
- ^ これに伴い、安田記念がメインレースの第11競走、ユニコーンステークスは最終競走(第12競走)となった。但し、2011年は東日本大震災及び東京電力・福島第一原子力発電所事故発生に伴う「節電・省エネ」のため薄暮競走が5月以後見合わせとなったため、安田記念前日のメインとして開催され、「JRAプレミアムレース」や「被災地支援競走」としても行われない。本来なら当初はユニコーンステークスを被災地支援競走にする予定だったが、日程の変更により、日曜日最終を被災地支援競走とし、「ひかり賞」の競走名で1,600万下条件戦として行われた。
- ^ 2010年のこのレースには安田記念の歴代優勝馬の名前を副題につけて行うため「タイキシャトルメモリアル」として施行。なお、タイキシャトルは本競走の1997年優勝馬でもあり、偶然が重なっている。
出典
各回競走結果の出典
- 『中央競馬全重賞競走成績集【2歳・3歳編】』 第1回 - 第12回
- JRA年度別全成績
- (2024年)“第3回 京都競馬 第3日” (PDF). 日本中央競馬会. p. 6. 2024年4月28日閲覧。(索引番号: 13035)
- (2023年)“第3回 東京競馬 第6日” (PDF). 日本中央競馬会. p. 6. 2023年9月8日閲覧。(索引番号: 14071)
- (2022年)“第3回 東京競馬 第6日” (PDF). 日本中央競馬会. p. 6. 2022年6月27日閲覧。(索引番号: 14071)
- (2021年)“第3回 東京競馬 第6日” (PDF). 日本中央競馬会. p. 6. 2021年6月21日閲覧。(索引番号: 14071)
- (2020年)“第3回 東京競馬 第6日” (PDF). 日本中央競馬会. p. 6. 2021年6月14日閲覧。(索引番号: 14071)
- (2019年)“第3回 東京競馬 第6日” (PDF). 日本中央競馬会. p. 6. 2019年6月17日閲覧。(索引番号: 15071)
- (2018年)“第3回 東京競馬 第6日” (PDF). 日本中央競馬会. p. 6. 2018年6月22日閲覧。(索引番号: 15071)
- (2017年)“第3回 東京競馬 第6日” (PDF). 日本中央競馬会. p. 6. 2017年6月19日閲覧。(索引番号: 15071)
- (2016年)“第3回 東京競馬 第6日” (PDF). 日本中央競馬会. p. 6. 2016年6月20日閲覧。(索引番号: 15071)
- (2015年)“第3回 東京競馬 第6日” (PDF). 日本中央競馬会. p. 6. 2016年5月31日閲覧。(索引番号: 15071)
- (2014年)“第3回 東京競馬 第6日” (PDF). 日本中央競馬会. p. 6. 2016年5月31日閲覧。(索引番号: 15071)
- (2013年)“第3回 東京競馬 第6日” (PDF). 日本中央競馬会. p. 6. 2016年5月31日閲覧。(索引番号: 15071)
- (2012年)“第3回 東京競馬 第2日” (PDF). 日本中央競馬会. p. 6. 2016年5月31日閲覧。(索引番号: 14024)
- (2011年)“第3回 東京競馬 第5日” (PDF). 日本中央競馬会. p. 6. 2016年5月31日閲覧。(索引番号: 14059)
- (2010年)“第3回 東京競馬 第6日” (PDF). 日本中央競馬会. p. 11. 2016年5月31日閲覧。(索引番号: 14072)
- (2009年)“第3回 東京競馬 第5日” (PDF). 日本中央競馬会. p. 11. 2016年5月31日閲覧。(索引番号: 15059)
- (2008年)“第3回 東京競馬 第5日” (PDF). 日本中央競馬会. p. 11. 2016年5月31日閲覧。(索引番号: 14059)
- (2007年)“第3回 東京競馬 第5日” (PDF). 日本中央競馬会. p. 11. 2016年5月31日閲覧。(索引番号: 14059)
- (2006年)“第3回 東京競馬 第5日” (PDF). 日本中央競馬会. p. 11. 2016年5月31日閲覧。(索引番号: 14059)
- (2005年)“第3回 東京競馬成績集計表” (PDF). 日本中央競馬会. pp. 1608-1610. 2016年5月31日閲覧。(索引番号: 14058)
- (2004年)“第3回 東京競馬成績集計表” (PDF). 日本中央競馬会. pp. 1254-1255. 2016年5月31日閲覧。(索引番号: 11035)
- (2003年)“第2回 東京競馬成績集計表” (PDF). 日本中央競馬会. pp. 1247-1248. 2016年5月31日閲覧。(索引番号: 11035)
- (2002年)“第4回 東京競馬成績集計表” (PDF). 日本中央競馬会. pp. 1104-1105. 2016年5月31日閲覧。(索引番号: 11035)
- netkeiba.comによる。(最新閲覧日2020年6月17日)
- (1996-1999) - 1996年,1997年,1998年,1999年
- (2000-2009) - 2000年,2001年,2002年,2003年,2004年,2005年,2006年,2007年,2008年,2009年
- (2010-2019) - 2010年,2011年,2012年,2013年,2014年,2015年,2016年,2017年,2018年,2019年
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