京阪特急(けいはんとっきゅう)は、京阪電気鉄道の京阪本線・鴨東線で運行されている特急列車の通称である。
「京阪特急」という名称は本来、列車種別の1つである「特急」に加えて派生種別である「快速特急」・「K特急」(現在は廃止)、および、これらの種別で主に運用される特急専用車両を指す。
本項では京阪特急の歴史に加え、事実上その前身となったかつての「急行」および「最急行」や全車指定席列車の「ライナー」、さらには、特急を補完する種別である「快速急行」・「通勤快急」[注 1]についても記述する。
以下はK特急当時の「おりひめ」の特記事項である。
2008年10月19日ダイヤ改定時に設定。
いずれの列車も交野線内は各駅に停車していた。
以下の車両は特急運用を前提として設計・製造された特急専用車両である。
カッコ内の太字は特急車としての期間、細字は一般車[注 39]としての期間を表す。
1954年8月に1800系に白黒テレビを設置して以来、1810系・1900系・3000系(初代)・8000系に導入され、2013年3月31日の3000系(初代)(8000系30番台)の営業運転終了まで運行されていた車両である。1800系・1810系・1900系は白黒テレビ、3000系(初代)・8000系はカラーテレビが設置され、車両側面の外板窓上に大きく朱色の書き文字で「テレビカー」と表示されていた[注 43]。
なお、「テレビカー」の名称は京阪ホールディングスの登録商標(第4045693号)であるため、無許可では使用できない。
くずはモール南館の「SANZEN-HIROBA」にデジタル動態保存されている3505号車や富山地方鉄道「ダブルデッカーエキスプレス」にてテレビカーが復元されている。
1995年の3000系(初代)の車体更新時に3600型中間付随車(旧車番は3608)を、自社の寝屋川車両工場で平屋車両から2階建車両に改造し、1995年12月25日に営業運転を開始した[3]。平屋車両を2階建車両に改造するのは珍しいケースであり、日本で唯一である。その後、自社製ダブルデッカー車の評判は良く「8000系編成にも」と要望があったため[42]、1997年にはダブルデッカーを新たに製造し8000系にも連結した。「ライナー」を除き乗車券のみ(追加料金不要)で利用可能である。旧塗装でのダブルデッカーには時代祭絵巻のイラストが描かれていたが、8000系の新塗装への塗り替えと3000系(初代)の運用終了によって消滅した。
なお、富山地方鉄道に譲渡された3000系(初代)のダブルデッカーには時代祭絵巻が残され、車内もほぼ原形のまま現在も「ダブルデッカーエキスプレス」[注 44]として運行されている。
以下の車両は、特急を含む優等列車運用を考慮した車内設備などを持つ。 セミクロスシート(旧塗装)時代の9000系および3000系(2代)は8000系特急車を補完する役割を担う[44]。 カッコ内の太字は当該設備を備えた期間、細字は一般車(ロングシート車)としての期間を表す。
以下の車両は京阪が臨時特急使用車両として指定していた形式である。ただし、車両運用の都合により他形式が充当される場合もあった。カッコ内は臨時特急に優先的に使用された期間を表す。 なお、1700系・1800系・1900系はこの時点で既に特急専用車の座を後継系列に譲り一般車化されている。
現在は一般車(6000系全編成[注 54])8両編成の運用が基本であるほか、2017年3月から13000系20番台7両編成が優先運用される[47]。
2017年8月20日より導入された有料座席指定特別車両である。利用方法は#有料座席指定サービスを参照。
2015年9月30日、2017年上半期をめどに、有料の座席指定車両「京阪特急プレミアムカー(仮称)」を8000系特急に導入すると発表した。投資額は約16億円[48][49]。
利用者から「追加料金を払ってでも座りたい」といった要望があったほか、2013年に発足された「鉄道活性化委員会」[注 55]において、当時の総務課長が座席指定席やリクライニングシートの導入を提案したことから、具体化へ動き出した。プロジェクトチームは名古屋鉄道など各地の有料特急を乗って回り仕様や乗車率を調べ、内装担当者はJR東日本「成田エクスプレス」や新幹線などを研究した[50]。
2016年9月1日、名称が「プレミアムカー」に正式決定し[51][35]、車両の改造工事・組込み作業を経た上で、2017年8月20日のダイヤ改定より営業を開始した[52]。
「プレミアムカー」改造工事開始に伴い、2016年9月24日から8000系5編成が7両に短縮され、2017年2月25日から同年8月18日までは8000系全編成が7両となった。一連の改造工事・組込作業は、営業開始日である同年8月20日までに完了した[注 56]
8000系の6号車(京都側から6両目)の大阪方の扉を埋めて[注 57]、京阪特急伝統の赤色を基調に、特別車両としての存在感をより際立たせる金色を扉周りに配した外観、「静寂の月夜」を空間イメージとし、漆黒色と生成り色を基調とした落ち着きある空間に、月光のきらめきを表す金色をアクセントカラーとして配した内装に改め、「鳩」に三つ星を加えたエンブレムを車内外にちりばめた、有料座席指定特別車両「プレミアムカー」とした。
エントランスと客室を隔てるスモークガラスのパーティションが設けられ、一層落ち着いた空間となった車内には、枯山水をイメージしたカーペットが敷かれ、プライベート感を高める大型ヘッドレスト・ヘッドカバーを備えた「プレミアムカー」オリジナル仕様の回転式リクライニングシートが2+1列で配置される。座面幅は460mm(現行430mm)、座席幅は600mm(1人あたり)、背もたれ[注 58]の高さは770mm(現行640mm)、座席間隔は1,020mm(現行920mm)、リクライニング角度は最大20度で、座席定員は40名である。全席電源コンセント(許容電流2A)を完備し、一部の席を除き大型テーブルが使用可能となっている[注 59]。専属のアテンダント(全日本空輸子会社のANAビジネスソリューションに委託[50])が乗務しており、観光案内などのきめ細かなサービスが提供される[注 60]。
天井付近には微粒子イオン発生器「ナノイーX」[注 61]を、足下にはフットライトを備えるほか、無料Wi-Fiサービス「KEIHAN FREE Wi-Fi」が利用可能であり、エントランス付近には大きな荷物に対応するラゲッジスペースが設けられている。
車内は種別を問わず座席指定である性質上、優先座席は設定されていない。また、エントランスと客室が完全に分離された構造ではないため、この車両に限り携帯電話の使用ルールは「マナーモードに設定、通話は自粛(混雑時電源オフのルールは非適用)」に統一されている。
2018年7月9日、プレミアムカーを3000系にも拡大予定であると一部マスコミが報道[53]し、同年11月8日に3000系へのプレミアムカー導入が公式発表され[54]、2021年1月31日のダイヤ変更に合わせて営業を開始した[55][注 62]。
8000系プレミアムカーの仕様を踏襲しつつ、3000系と調和する紺色(エレガント・ブルー)と金色の外装とした新造車で、出入口扉を両開きとすることで全座席の側窓形状を統一、さらなる座り心地向上のため座席クッションを調節し、座席間隔を20mm拡大した1,040mmとした。また、パーティションの構造を見直して大型テーブルの使用が可能な座席を増やし、京都方車端部4席にのみ背もたれヒーターが設置された[56]。なお、フットライトは廃止された。
「プレミアムカー」導入に合わせて、有料座席指定サービスを開始した。プレミアムカー(6号車・指定席)への乗車には、乗車券の他に「プレミアムカー券」が必要となる。後述のライナーを除き、プレミアムカー以外の車両については従来通り乗車券のみで利用可能である。
ライナーは全車両座席指定で、ライナー席(プレミアムカーを除く7両)への乗車には乗車券の他に「ライナー券」が必要となる。ライナーのプレミアムカーへの乗車にはプレミアムカー券のみが必要(ライナー券は不要)となる。なお、ライナー席は8000系1編成あたり約400席で、車端部のロングシートはライナー券を発売するが、ダブルデッカー2階の進行方向逆向きとなる座席はライナー券の発売を行わない[57][注 63]。
ダイヤ乱れなどでプレミアムカーを連結しない編成での代走となった場合、プレミアムカー券は発売中止となる。やむを得ずプレミアムカーを連結しない列車がプレミアムカー連結編成での運行となった場合や、座席指定サービスが中止となった場合、プレミアムカーは締切扱いとなるほか、ライナーを臨時特急に変更して運転する場合がある。
プレミアムカー券・ライナー券は、会員制インターネット予約専用サイト「プレミアムカークラブ」または「プレミアムカー券・ライナー券うりば」(快速急行停車駅のインフォステーション・窓口など)にて、乗車14日前の午前10時から列車出発時刻の3分前(ネット予約は1分前)まで購入可能である。また、特急停車駅のホーム乗車位置付近やコンコースに設置の「プレミアムカー券・ライナー券キャッシュレス券売機」でも、直近の5列車まで購入できる。クレジットカード、PiTaPaなど各種交通系ICカード、電子マネー、QR決済など多様な決済手段に対応している[58][注 64]。
プレミアムカーの乗車口付近には、空席状況の案内モニターが設置されており、空席がある場合には車内でアテンダントに申告することによりプレミアムカー券を購入できる。
サービス開始から2018年9月15日ダイヤ改定までは、平日早朝および土休日の朝・夜に8000系で運転する急行が設定されており、プレミアムカーの営業も行っていた。ただし、一部駅の空席案内モニターには表示されていなかったほか、特急停車駅でのみの発売だった。
本項では、愛称付きの快速特急・臨時特急・特急専用車使用の臨時列車および掲出されるヘッドマーク(副標識)について、以下「愛称板」と表記のうえ記述する。
2012年、京橋駅 - 七条駅間ノンストップの快速特急に「洛楽」(らくらく)の愛称が与えられた。以降、「洛楽」愛称板を掲出して運転される。使用車両は転換クロスシートを備えた特急専用車および3000系(2代)限定であるが、やむを得ず6000系・9000系(8両編成)での運転となる場合がある。臨時快速特急「洛楽」の場合は、2016年7月から臨時種別標識を兼ねた「臨 洛楽」板を掲出する。
正月ダイヤの「洛楽」愛称板には、西暦とその年の干支のイラストが描かれる。試行的に運転された2014年の正月は「洛楽初詣」という愛称であったが[65]、2015年以降は正月も「洛楽」に統一された。使用車両に3000系(2代)が加わった2018年は、車両のイラストが描かれた[66]。3000系(2代)への「洛楽」愛称板掲出は、液晶ディスプレイの設置に伴い、正月および臨時列車のみとなった。
2014年秋から2017年にかけて、出町柳駅で大原行き特急バスと連絡する列車には「大原連絡」、叡山電鉄の観光列車「きらら」と連絡する列車には「比叡山連絡」「鞍馬連絡」[注 68]、2018年春には「ひえい」デビュー記念として「八瀬・比叡山へ」と書かれた、イラスト付きの「洛楽」愛称板を掲出した。
快速特急が中書島駅・丹波橋駅にも停車していた時期には、以下の愛称付き臨時快速特急が8000系(新塗装車)にて運転された。
2005年以降、行楽期の臨時特急に、毎年デザインの異なる季節に応じた愛称板を掲出して運転。2006年春は愛称板を正面左右に2枚掲出、同年秋以降は愛称板と臨時種別標識を掲出して運転された。特急専用車のほか9000系、6000系、7200系、3000系(2代)も使用された。
愛称は以下の通りであった。
2002年春には、臨時特急に代わり、8000系を使用した臨時「京都ロマンス快速」が上りのみ運転された。当時、朝ラッシュ時下り以外の特急は通過していた枚方市駅にも停車した。種別幕は「臨時」で、正面左右にはデザインの異なる愛称板を2枚掲出、さらに鳩マークを掲出した。同年秋には愛称を「もみじエクスプレス」とし、下りも運転された。この時以降、愛称板は1枚掲出となった。2003年春には「桜エクスプレス」「わかばExpress」として上りのみ運転され、これらの愛称は上記の臨時特急に受け継がれた。
京阪間ノンストップ(京橋駅 - 七条駅間無停車)時代には、三条駅で連絡する京津線準急(1971年8月以前は急行)を介して、浜大津駅(大津港)で江若鉄道(1969年廃止)や琵琶湖汽船への乗り継ぎに便利な上り列車に以下のような副標識を掲出して運行していた。
また、夏の水泳シーズンに三条駅から琵琶湖畔の近江舞子駅に向かう専用バスに接続する便には「まいこ」、比叡山ドライブウェイ納涼バスに連絡する便には「ひえい」の副標識が掲出された(「まいこ」の副標識には同じ図柄で一部の色が異なる2種類が存在した)[72]。
「まいこ」は1973年8月を最後に掲出を終了。「比良」は江若鉄道の廃止後もその代替交通となった江若交通バスへの連絡便に掲出されたが、1974年7月の国鉄湖西線開通に伴い掲出を終了。琵琶湖汽船連絡の副標識も1997年に京都市営地下鉄東西線の開通に伴い、京津線と京阪本線との接続が断ち切られたことで掲出は行われなくなった。
2003年から1年間、京阪本線の淀屋橋駅延長40周年を記念して1900系1編成の特別塗装(特急色への塗り替え)が実施された際には、2004年にファイナルイベントとしてこれらの副標識を掲出し、7年ぶりの「復活運行」となった。また、2008年12月20日に1900系が「ラストラン」を行った際にも、特急色に復元された1929編成が「びわこ連絡」の副標識をつけて「リバイバルびわこ号」、一般色の1919編成が「比良」の副標識をつけた「リバイバル比良号」として運行された。
2012年には、3000系(初代)の引退に伴う関連イベントとして、「びわこ連絡」「ミシガン」が職人の手書きによって復元され掲出された。2014年の4月19日から6月29日までの土休日には、淀屋橋9時発の定期特急列車を「比叡山きらら連絡特急」として、ヘッドマークを掲出して運転、出町柳駅で叡山電車「新緑・比叡山きらら」号(出町柳駅10:07発八瀬比叡山口行き)に連絡した。
1969年まで沿線の特急停車駅付近での催事にちなんだ「ルーブル号」などの副標識が特急に掲出されていた。2008年、3000系(2代)にて掲出が再開され、これまでに「水都大阪2009」「ルーブル美術館展」や「長谷川等伯展」の副標識が掲出された。
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