『フランダースの犬』(フランダースのいぬ)は、1975年1月5日から同年12月28日まで、フジテレビ系列で毎週日曜19:30 - 20:00(JST)に全52話が放送された、日本アニメーション制作のテレビアニメ、およびそれを基にした劇場版アニメなど派生作品の総称。『世界名作劇場』の第1作に当たる。
概要
原作はイギリス人作家ウィーダの同名小説『フランダースの犬』。オープニングでの原作のクレジットは、ウィーダの本名ルイス・ド・ラ・ラメー(ルイスの前の「マリー」が欠落した誤記)となっている。物語の舞台であるベルギーでは、イギリス文学である原作の知名度がそれほど高くないうえ、内容も評価されていなかった(フランダースの犬#各国での評価を参照)こともあり、本作品が放送されることもなかった。しかし、本作品の影響で日本から多くの観光客が訪れることもあり、アントワープに記念碑や銅像が建てられた[1]。
今日でこそ『世界名作劇場』の第1作として認知されているが、初回放送当時は第26話まで、ズイヨー映像制作のもと『カルピスまんが劇場』のタイトルで放送されていた。第21話より日本アニメーション制作に切り替わった際にタイトルも『カルピスこども劇場』に変更(※ただし、第24話 - 第26話では『カルピスまんが劇場』に戻っている)。後年リリースされたDVDなどでは、日本アニメーション表記のオープニング映像を使用している都合上、全話とも『カルピスこども劇場』に統一の上で収録されている。
最終話の視聴率はビデオリサーチ・関東地区調べで30.1%を記録したが、これは『世界名作劇場』枠内アニメの視聴率で最高記録である。特にラストシーンは悲劇の代表格として現在でも広く知られ、『なつかしのアニメ名場面特集』などのテレビ特番では定番シーンとなっている[2]。他方で、前作『アルプスの少女ハイジ』と次作『母をたずねて三千里』の主要スタッフであり本作品にもわずかながら参加していた宮崎駿は、「視聴率的には成功したんですが、僕はゴミみたいな作品だと思うんですけどね」と本作品を評している[3]。
2010年3月、世界名作劇場放送35周年を迎えた日本アニメーションは、本作品に登場するパトラッシュの名前を冠した「パトラッシュ基金」を発足させ[4]、盲導犬育成普及事業の支援を開始した。
原作との相違点
原作小説と本作品の設定にはかなりの相違点がある。
原作は短編(新潮文庫版では60ページほど)のため、本作品の序盤から中盤までのほとんどがオリジナルストーリーで占められている。終盤についても、展開や時系列が原作とは異なっている[注釈 1]。オリジナル部分の方針について黒田監督は「ネロはジェハンやアロア、パトラッシュと一緒にいられるだけで幸せだったんだと思う。悲しくするのをやめて、明るさを徹底的に出したかった」と語っている[5]。他の主な相違点は以下の通り。
- 本作品オリジナルのキャラクターが多数登場している。ミシェルやヌレットのように原作では名前しか登場しないキャラクターも、本作品の制作に当たって詳細な設定が与えられた。このようにオリジナルストーリーが多数を占め、オリジナルキャラクターが多数登場する制作スタイルは、後番組『母をたずねて三千里』にも踏襲された。
- 原作ではネロ15歳、アロア12歳(本作品ではネロ10歳、アロア8歳)という設定だった。コゼツがネロを嫌っているのも、「(未だに)画家になろうなどと馬鹿げた夢ばかり見ている乞食」[注釈 2]とネロを評しており、その一方で美男子でもあった[6]ため、万が一アロアと間違いを起こされては困るから[7]というのが理由だった。
- 本作品のパトラッシュは人語を解するように描写されているが、原作ではパトラッシュの心情が具体的かつ明確に描写されている。
- 作中で印象的に登場する風車小屋はコゼツの家に併設されているもので、村の共有財産ではないなど設定も多くが異なる。終盤の風車小屋の火災の話も原作では中盤に起こり、納屋と小麦が燃えただけで風車自体は無事、小麦にも保険がかけられていて金銭的損害は皆無だったため、村人の損害にコゼツが頭を痛めるといった話はない。
- 本作品にてネロがコンクールに応募した絵は、ジェハンとパトラッシュを描いたものだったが、原作では木こりのミシェルの絵だった。
- クリスマスイブの夜、本作品ではコゼツ家や村の人々がネロの行方不明に気付いて必死にネロを探している。一方、原作では、コゼツは大金が戻ったことに、アロアはまたネロと付き合えることに大喜びし、村人も総出のクリスマスパーティで浮かれており翌日まで誰もネロの失踪に気付かなかった[8]。
- 原作のラストは、(本作品最終話の翌日にあたる)クリスマスの日の昼近く、大伽藍でルーベンスの絵を見て微笑むように死んでいるネロを町の人々が見つけ、駆けつけたコゼツたちが悲嘆に暮れるというもので、本作品のそれとは全く異なる[注釈 3]。このような原作のラストであるにもかかわらず、これを知っている視聴者によるネロたちの助命嘆願がすでに多く局に寄せられ、その後も多く嘆願が来るほどだった(44話のジェハンの死を受けても「かわいそう」などという声が1000通以上も寄せられた)。フジテレビ広報部は「子供たち夢を与える結末に絶対します」としながらも、原作通りの結末にするのかどうかの決断を迫られていた[9]。そしてテレビシリーズの最終話でネロとパトラッシュが天使にかかえられて召天するシーンをイメージし実現させたのは、スポンサーのカルピスの当時の社長の土倉冨士雄である。土倉は熱心なクリスチャンであり、死は終わりではなく天国への凱旋だという考えを持っていたためである[10]。
- ジェハンは原作ではナポレオン戦争の戦傷の影響で足が不自由であり、リューマチの持病もあってネロが6歳の頃には荷車を引けなくなっている。その後、長い間寝たきり状態の果てに亡くなった。パトラッシュを拾ってきた経緯はほとんど変わらないものの、原作ではジェハンが80歳、ネロが2歳のころの出来事である。
- パトラッシュの元の飼い主である金物屋は、原作では酔っ払った勢いで起こした喧嘩によって殺されている[11]ため、パトラッシュの代金としてジェハンに大金を支払わせるといった話は無い。
パトラッシュの犬種
本作品ではパトラッシュの犬種について言及がなく、原作でも「フランダース産の大きな労働犬」としか書かれていないが、原作本文では「フランダースの犬は、一体に頭も四本の脚も大きく、耳は狼のようにぴんと立っていて、何代も何代も親ゆずりの荒い労働で鍛え上げたがっしりしたその足は、何(いず)れも外側にひらいてふんばっていて、見るからに異常な筋肉の発達を示しています」[12]と外見について説明する一文が存在する。一般的に言われているブーヴィエ・デ・フランドルとは外見上の特徴が全く異なり[13]、どちらかと言えば本作品のデザインに近い。
このように実際のフランドル犬と大きくイメージの異なる外見に変更した理由について、監督の黒田昌郎は労働犬として飼われることや写真を見てパトラッシュのイメージと大きく違うと感じて[14]、「子供たちに馴染んでもらい易くするため、セント・バーナードや和犬を参考にデザインした」と語っている。
ストーリー
ある村にネロという心の優しい少年がいた。彼は両親を幼くして亡くし、祖父と二人暮らしで一緒に牛乳運びの仕事をしながら暮らしており、ガールフレンドのアロアとは大の仲良しだった。ある日のこと、ネロは乱暴な飼い主に休ませずこき使われている老犬のパトラッシュと出会った。弱った彼を助けたネロはパトラッシュを飼うことにした。
パトラッシュと出会ってからはネロは、彼やアロア、友達と楽しく過ごしていた。しかし、それもつかの間だった。ある時、優しかった祖父が死に、ネロとパトラッシュは悲しみに暮れる。さらにしばらくたったある晩、アロアの家の風車小屋が火事になってしまった。アロアの父のコゼツは前からネロを嫌っていたせいか、ネロが犯人ではないかと疑いだす。それ以来、コゼツに逆らえられない村人たちは、ネロに牛乳運びを頼もうともしなくなってしまった。
祖父の死、火事としての疑いによって仕事を断念、そして念願の夢だった絵画コンクールの落選、絶望の連続に暮れたネロは生きる気力さえ失う。そんな時、パトラッシュはコゼツが落とした大金の入った財布を見つけ、ネロはそれをコゼツ家に届ける。アロアと母・エリーナは喜びネロを家に招き入れようとしたが、ネロはそれを拒絶しコゼツ家にパトラッシュを預けて家に戻った後、置き手紙と全財産を残して去ってしまう。財布を探していたコゼツが家に戻った後、アロアから財布を渡されそれが今まで嫌っていたネロが届けたものだと知らされると、今までネロに辛く当たってきた自分を恥じてネロに償いをすることを決心する。
クリスマスの夜、風車職人の老人からネロは無実だという話を聞かされたコゼツと村人たちはネロに謝罪するために、ネロの家に向かい、さらに絵画コンクールの審査員がネロを引き取りに来たが、ネロは既に姿を消した後だった。村人たちは何とかネロを必死に探すが、すべてが手遅れだった。
コゼツ家を抜け出したパトラッシュは大聖堂でルーベンスの絵を見ながら行き倒れになっているネロを見つけた。ネロはパトラッシュに「パトラッシュ、疲れたろう。僕も疲れたんだ。なんだか、とても眠いんだ。」と言う。そして、ネロは両親や祖父のいる天国へと旅立った。もう辛いこともなく、みんな一緒にいつまでも末永く平和に暮らすのだった。
登場人物
- ネロ・ダース(Nello Daas)
- 声 - 喜多道枝
- 主人公。幼くして両親を亡くし、祖父のジェハンと2人で生活している10歳の少年。素直で正直な働き者で、ジェハンに似て心が優しく、どんな不運に見舞われても誰一人恨んだりしない。瀕死のパトラッシュを助け、以後一緒に生活する。パトラッシュのことを何よりも大切にし、苦しんでいる時には親身になり、身を惜しまずに助けることも多々あった。
- 絵を描くことが好きで将来の夢は絵描き。才能を認められながらも、技術力は身についておらず、勉強している。この夢に対する姿勢は理解されないこともあり、バース・コゼツからは「働きもせずに絵ばかり描いている怠け者」と思われている。実際にはノエルの仕事に興味を持って手伝ったり、ミシェルの木こりの仕事の手伝いをしたりとそれなりに働いている[注釈 4]。調子が悪かった風車の修理のための木材を一人で切り出したため、風車にはかなりの愛情を持っている。
- 隣家に引っ越してきた野菜売りのために牛乳運びの仕事が激減したり、風車小屋の火事で放火の疑いをかけられて村八分にされたりと不運に不運が重なり続けた末、生きることに絶望する。そんな中、雪に埋もれていたコゼツの財布をパトラッシュが見つけそれをコゼツ家に届けた。その際アロアとエリーナはお礼をしようとしたが、全てに絶望していたネロにはその言葉は届かずパトラッシュをコゼツ家に残していき、家に戻った後ずっと使っていた荷車に役に立ってくれた感謝の言葉を残し楽しかった頃の想い出を思い返した後、家の中の家具全てを片付け、吹雪の夜の中へと独り姿を消す。あてもなく彷徨う内に、偶然宿願だったアントワープの大聖堂にたどり着く[注釈 5]。
- 最終話にて、大聖堂に飾られているルーベンスの絵を見て今までで一番の幸せを感じて「マリア様、ありがとうございます。これだけで僕はもう何にもいりません」と心から満足し、跡を追ってやってきたパトラッシュを快く迎え「ぼくは一番見たかったルーベンスの2枚の絵を見たんだよ。だから、ぼくは今すごく幸せなんだよ」と共に天へ召された[注釈 6]。
- コンクールの審査員であるヘンドリックによると、絵の才能はルーベンスを継ぐことができるレベルとのこと。ただ、絵画コンクールで次点で落選(第50話)したことで、ネロは最後の心の支えをも失ってしまった。
- 文字の読み書きができたかどうかは設定が一貫しておらずシーンごとに異なるが、最終話ではアロアたちに向けて手紙を書いている[注釈 7]。
- ジェハン・ダース(Jehan Daas)
- 声 - 及川広夫
- ネロの祖父。ネロの両親が亡くなった後、ネロを引き取って共に生活している。アントワープまでの牛乳運びと庭で育てている薬草の販売のわずかな収入で生活を営んでいる。ネロの良き理解者。
- 「ネロ、良い絵を描くんだぞ」という言葉を残し第44話で息を引き取った。
- ネロがコンクールに応募したのはジェハンとの思い出を題材にしたジェハンとパトラッシュの絵だった。
- 原作の設定では足に戦傷を受けた帰還兵の傷痍軍人で、足を引きずるようにしか歩けず、さらにリューマチを患っている。また亡くなったのはアニメではアロアの誕生日の前日だが、原作ではそれよりもずっと後で、風車小屋の火事やコンクールへの出品よりも後でクリスマスの1週間前となっている。
- パトラッシュ(Patrasche)
- 金物屋に酷使されていた大型犬。非常に頭が良くネロたちの言うことを理解し、自分で考えてネロたちのためになる行動を取る。
- 瀕死のところをネロに助けられ、以後ネロやジェハンと一緒に毎朝荷車を引いて牛乳缶をアントワープまで運んでいた。助けられた恩義からネロのことを誰よりも大事に思っており、全てに絶望したネロからコゼツ家に預けられても、最期の時まで主人であるネロと一緒の道を選び吹雪の中ネロを探す。村人たちが探し出せなかった中、パトラッシュだけは雪に埋れていたネロの手袋を見つけそれを手がかりにアントワープの大聖堂にネロがいることを突き止め、ネロと再会を果たして寄り添い共に天に召された。
- 原作の設定では老犬で、ジェハンが『自分といっしょに墓場で休むことになるだろう』とネロの将来を心配する描写がある(新潮文庫では49ページ)。
コゼツ家
- アロア・コゼツ(Alois Cogez)
- 声 - 桂玲子(#1#2話麻上洋子、#12のみ松尾佳子)
- ネロの幼なじみで白い三角巾を被った8歳の少女。勝ち気で天真爛漫な性格をしている。ネロが大好きでとても信頼しており、いつも一緒に遊んでいる。好奇心旺盛で、ネロが何かをしていると自分もやりたがり、ネロの心配をよそに「へいきよ〜」と少々危なっかしい行動をすることも多い。ネロに会えないと元気を無くしてしまうほど、彼女にとってネロは掛け替えの無い大事な存在となっている。ネロの絵に関しても好意的で、コンクールでは落選してもヘンドリック・レイがネロの才能を見出し迎えに来たことで、「ネロ、あなたが描いた絵は誰にも負けやしなかったのよ」と最終話で語っていた。ネロが風車小屋の放火の疑いをかけられた時も、絶対無実だと最後まで信じ切っていた。
- 一時期行儀見習としてイギリスに留学させられるが、ほどなくして心を病んで戻ってきた(これは、ネロとアロアを引き離したいというコゼツの下心もある様子でもあった)。その後寝たきりとなってしまうが、ネロの励ましで回復し、またネロに会えることを喜んだ(それでも父はネロを認めるまでには至らず、懲りずに再度イギリスに行かせようとしたがバートランド先生に止められる)。
- ネロに冷たく当たる父と衝突することがしばしばあり、その強い姿勢が最終的に父を改心させることになるが時既に遅く、ネロは闇夜の吹雪の中に消えてしまっていた。最終話でネロが家を出て行ってしまった時はネロを誰よりも心配し、「どうして行ってしまったの?ネロ、お願い帰ってきて」と涙する。両親や親友、村人がネロを捜索する中、自分はネロの家に残り「マリア様、お願いです。私は死んでもいいから、ネロを助けてください」と祈るがそれも虚しく、終盤ではネロの死を感じ取るかのように吹雪の中外へ飛び出して、ネロの名を悲しみながら大声で呼び続けたがネロは天に召され、クリスマスに最愛の友を喪うという悲しい結末を迎えることとなってしまった。
- 劇場版では成人して修道院でシスターとなっており、子供たちの世話をしながらネロとの想い出を見つめ直している。
- トレードマークである三角巾にエプロン姿は、フランダース地方の習俗に馴染みが薄い日本人のために、オランダの民族衣装を基にデザインされたものである。
- バース・コゼツ(Baas Cogez)
- 声 - 大木民夫
- アロアの父親。村一番の金持ち。
- 原作では粉屋だが、アニメ版では村の土地のほとんどを所有する大地主で事業家[注釈 8]になっている。アロアを溺愛しているが躾には厳しい。
- 貧しい家に生まれながらも苦学して一代で財をなした努力家ではあるが、成金特有の傲慢さや善悪基準の疎さがある。そのため、自身の貧乏育ちを省みず、身分の低い者に対して無理解な態度を取るなど、人間としての器の小ささが目立っていた。加えて、アロアに対する躾の厳しさがアロアを苦しめていることにも気付いていないなど(ネロとの交流を禁じる、行きたくもないイギリスに行かせるなど)、独善的な思考をしている。
- 貧乏人であるネロを見下しており、彼がアロアと仲良しでいるのが気に入らない。そのため、ネロに対して「馬鹿げた夢を見ている怠け者」と見做して冷酷な態度で当たる[注釈 2]。上記のことからネロが働き者であることすら知らない。アロアに関わる悪いことが起きると、ハンスが何の確証もなく思い込みで発言した「きっとネロの仕業に違いない」などの言葉を鵜呑みにした。
- 風車小屋の火事でもネロが放火したというハンスの思い込みの言葉に惑わされてネロに対する(身勝手な)怒りを爆発させ、情け容赦なく罵倒した。大地主であるコゼツに逆らう者はおらず、結果としてネロは村八分にされることになる。
- 後に自らが紛失した二千フランが戻ってきた際、アロアからネロが届けたものと知らされると、今までネロにしてきた仕打ちを深く後悔し、その罪の重さと己の愚かさ・弱さを実感すると同時にネロの優しくて正直な気持ちを初めて知る。さらにはネロの風車小屋の放火は無実のうえ、火事の真の原因は自分とハンスにあること[注釈 9]をノエルから聞かされると、今までのことも含みネロに謝罪し償いとして我が家に迎え入れアロアと同じようにどんな勉強でもさせてあげようと決心するも、ネロは既に家を出て行ってしまった後であった。村人に協力を要請して、自身も「帰ってきて、このわしを許すと言ってくれ」と泣きながら探すが手遅れに終わった。
- クレジット表記は「コゼツ」で、また周囲からも「コゼツの旦那」とのみ呼ばれており、「バース」という本名は劇中では一度も登場したことがない。
- エリーナ・コゼツ(Ellina Cogez)
- 声 - 中西妙子
- アロアの母親。
- 非常に思いやりがあり、両親のいないネロに対しても親切を惜しまない。しかし、その親切をいつも夫にとがめられるため、密かにネロを支援する。綺麗なチューリップの花畑を所有している。
- 最終話で家を出て行方不明になってしまったネロを探す際、一緒に探しに行こうとしたアロアに「いけません。あなたが出て行ってもどうなることではないんです。皆さんがきっとネロを探し出してくださるわ。あなたまでこんな雪の中に出て行ったらどんなことになるかわかりません。心配しないで待っているのよ」と制して「私たちが悪かったのよ。お願いアロアも心配してるから姿を見せてちょうだい」とネロを探したが、結局ネロを救うことは叶わずアロアとの約束も果たせぬまま終わった。
ネロの友達
- ジョルジュ
- 声 - 駒村クリ子
- アニメオリジナルキャラクター。12歳。アントワープで知り合ったネロの親友。弟が川で溺れかけた所をネロに助けてもらったことが縁で、感謝と尊敬の念を抱いている。
- 牛乳運びが終わった後のネロと遊んだり、交際を禁じられたネロとアロアの間を取り持った。
- 一見わんぱくな少年のようだがとても面倒見がよく、ネロの良きアドバイザー。また、牛乳運びの仕事が減ったネロに仕事を探してくれたり、ネロのことを大切に思っている。洞察力にも長けていて、ハンスの悪巧みを見抜いている。
- 後に鍛冶屋の見習いとして働きに出ることになり、ネロとは別れることになる。
- 最終話では行方不明になってしまったネロを探すため、弟と共に泣きながら鐘を鳴らしていた。ネロの家に来た際、ネロを村から追い出そうとさえ考えていたというコゼツの心情に憤りを見せていた。
- ポール
- 声 - 菅谷政子
- ジョルジュの弟で、同じくアニメオリジナルキャラクター。6歳。誤って川に落ち溺れかけた所をネロに助けてもらい、以降ネロを慕う。
- いつもジョルジュにぴったりくっついていて、ジョルジュがなにか言うたびに仕草や言葉(例:ジョルジュ「ネロ、元気だせよな!」、ポール「だせよな!」など)をマネするのが特徴。
- 元気で明るく頑張り屋だが、張り切りすぎて失敗することもある。
- ジョルジュが働きに出た後、ジョルジュの代わりにネロを気にかけてくれる。ジョルジュのいない寂しさからクロを弟としてネロから借り、後に引き取ることになる。
ネロに関わる大人たち
- ハンス
- 声 - 村松康雄
- コゼツ家の商業使用人[注釈 10]。コゼツ家の事業の手伝い、風車小屋の管理、ネロの家を含む貸家管理などをしている。村で2番目に金持ちだが守銭奴で、ほとんどコゼツの腰巾着となっている。
- 底意地の悪い性格であり、相手が自分より弱い立場だと傲慢な言動をするが、相手から毅然とした態度や正論で返されると途端に逃げ腰になる。コゼツの頼みを忘れたりするなどかなりルーズな一面もある。風車の調子が悪くてもその作業を明日に回してしまうなど、怠慢かつずさん。
- 息子のアンドレを将来アロアと一緒にしようと企んでおり、アロアと仲の良いネロに対して冷酷な仕打ちを行う。何か問題が起きると全てネロに責任を押し付ける。
- また、ジェハンが亡くなった直後に家賃の取り立てに現れ、支払いが遅れれば追い出すと言い放つが、劇場版ではそのやり口を後に改心したコゼツにも咎められている。
- 風車小屋の火事でも何の証拠もなくネロが放火したと真っ先に疑い出したが、前述のとおりネロの放火は無実のうえ、火事の真の原因は自分とコゼツの過失だった[注釈 9]。ノエルにネロの風車小屋への放火の濡れ衣を指摘された際も、最初は「そんな噂もちらほら」とはぐらかしていたが、これが結果的にノエルにさらに怒りを募らせることとなり、怒鳴りつけられた。
- 最終的には自分のこれまでの行いを反省して改心し、ネロ探しの際にも「俺が悪かった。もう意地の悪いことなんか金輪際しないからアンドレと仲良くしてくれ」と泣き叫びながら探していたが全ては後の祭りであり、結果として自身の行いがネロの死という悲劇を招いた一因となってしまった。
- 本作品には登場しないが、原作にはアニメ版でのハンスの役回りに当たる人物として、ネロの家の大家としてコゼツの家に週一で通う「欲の深い冷酷な金好き(新潮文庫55ページより引用)」の靴屋が登場している。この靴屋はジェハンの葬儀の翌日に家賃を滞納したネロから家財道具一切を取り上げて追い出すなど、情のない人物である。
- ヌレット(Nulette)
- 声 - 遠藤晴
- ネロの家の隣に一人で住んでいる老婆。
- 非常に人がよく、ネロの母親代わりのように接するが体を壊し、娘夫婦に引きとられて遠くに引っ越すことになる[注釈 11]。その際、ネロにクリスマスには戻ってくると約束、52話で再登場し、ネロが姿を消したことに最初に気付く。そして、ミシェルにジェハンの死を知らされその場に泣き崩れる。ネロの家に向かう際パトラッシュとすれ違うも事情を知らなかったため、「(ネロとずっと一緒にいる)パトラッシュがこんな所にいるはずない」と解釈してしまう。
- 原作では名前のみ登場。寝たきりになったジェハンの様子見をしてくれていたらしい。
- ミシェル
- 声 - 雨森雅司
- 森の中で一人で生活している木こり。ジェハンの古き友人でネロの数少ない理解者の一人。
- 銃声が嫌いで、ハンスが銃を撃ったことがわかった時、彼に対して怒鳴っている。
- 怪我で働けなくなった際に幼いネロが一人で注文の木材を切り出したことで彼を木こりにしようと思うようになる。ジェハンの死を知った後、一人ぼっちになったネロを引き取ろうとするが、コンクールの結果が出るまではジェハンと生活した家にいたいというネロの願いを優先した。
- 最終話でネロを引き取ろうと家に迎えに来るが、全てに絶望したネロは既に家を出てしまっていた。その際、先に来ていて現状を知らないヌレットにジェハンの死を知らせた。そして、ヌレットからネロがいないことを教えられるとヌレットと共にネロを探した。
- 字幕や台詞ではミシェルになっていたり、ミッシェルになっていたりと統一されていない。原作では名前のみの登場だが、コンクールに提出された絵の題材はミシェルである。
- ノエル
- 声 - 永井一郎
- 腕の良い風車職人の老人。頑固で大層変わり者だが、実は常識人で、ネロのことを正しく評価して理解を示す。
- 縦笛で陽気な曲を吹きながらロバ公と呼ぶロバと共に風車のある土地を周っている。酒好きで、革袋に入れた酒を仕事終わりなどに飲んでいる。
- 普段は温厚な性格だが、最終話でネロを犯人扱いしたハンスに激怒し、「馬鹿者!あの風車を火事にした犯人はお前だぞ!」と怒鳴り散らし、火事の真の原因を作ったコゼツとハンスにその詳しい原因を説明した後、「それをネロが火をつけたなどと言いふらしたのは一体誰なんだい?!」とハンスを徹底的に責め続けた。その後、ネロを探すのに協力した。
- アンソール
- 声 - 飯塚昭三
- パトラッシュの元の飼い主で、髭面で残忍な金物屋。商品が売れると酒を飲んでばかりいる。
- 水も飲ませず酷使していたパトラッシュが瀕死の状態になると、死んだと思って捨てるという冷酷極まりない行為をした。しかし、恢復したパトラッシュとアントワープで再会するや罪の意識も無く所有権を主張し奪い去ろうとする。
- ジェハンと話し合いの末、分割払いで3フランで売ることに同意する。ジェハンからの支払いがタイミング悪く受けられなかったことに怒り、パトラッシュを強奪するが、途中で逃げられる(第19話、第20話)。
- 第19話でジェハンが、金物屋が常連として通っている飲み屋の主人に「金物屋さんが来たら渡してください」と3フランを預かってもらった。
- 第21話以降登場しないため、その後どうなったのかは不明。
- 放映時には、その素行の悪さから視聴していた子どもたちやその親から嫌悪され、金物商に対する職業蔑視や嫌がらせ行為などが起こり、社会現象ともなった[要出典]。演出家の唐沢俊一のツイートによると、担当声優の飯塚もアンソールは大嫌いと述べていたという[15]。
- 原作では、酔った勢いで起こした喧嘩が原因で死亡している。
- 貴婦人
- 声 - 北浜晴子
- 第28話で登場する親切な貴婦人。
- 息子を亡くした悲しみを癒すため旅行に来ていたアントワープで、荷車が壊れて立ち往生していたネロと出会った。ネロに亡くした息子の面影を見出し優しく接する。大聖堂にルーベンスの絵があと2枚あることを教えてくれた。
- 第30話でネロと偶然再会し、イギリスへの帰国前にルーベンスの2枚の絵を一緒に見る約束をするも、ネロがジェハンの急病とハンスの嫌がらせによって遅参したために果たせぬままイギリスへと帰って行った。
ネロが住む村の人たち
- グレタ
- 声 - 市川千恵子
- ハンスの妻。第23話のアロアの誕生日のみ登場している。
- 一度きりの登場であるが、ネロがアロアにプレゼントした花に対して侮辱的な発言をしたことから、夫同様にネロを蔑んで嫌っていることが分かる。また、息子であるアンドレに対する当たりも厳しく、人前でも「愚図」と怒鳴りつけるなどヒステリックな一面も持つ。
- アンドレ
- 声 - 白川澄子
- ハンスの1人息子。太い眉とたれ目が特徴。
- 内気でおどおどしており、窮地に追い込まれると泣き出したり、他人に責任をかぶせてしまうところがある。
- ただし、両親とは異なりネロに対して悪意は持っておらず、風車小屋の火事で(父親の手により)村八分になってしまったネロにパンを譲ったり無実だと信じていると励ましたりもしている。最終話でも、行方不明になったネロを「ネロ帰ってきてよ。みんなで一緒に遊ぼうよ」と泣きながら探した。
- ジェスタス
- 声 - 水鳥鉄夫
- ネロの村に住む農夫。牛乳を無料で運ぶというセルジオの申し出を断った唯一の村人。
- 風車小屋の火事でネロが地主であるコゼツの怒りを買ってしまったため、仕方なくネロの牛乳運びを断ることになる。最終話ではハンスの呼びかけで、ネロを探すため村中に声をかけて回りネロを探していたが、見つけられなかった。
- 字幕では最初に登場した時にはジェフタフと表示されていたが、次に登場したときはジェスタスに修正されている。
- イザベル
- 声 - 鈴木れい子
- ジェスタスの妻。ジェスタスと同様にとても親切な人。
- ヘルモンド
- 声 - 中村武己
- 農夫の一人。
- 日和見主義な性格。当初はネロに牛乳運びをまかせた理解者の一人だったが、セルジオと取引をしたことで断る。ネロに放火の疑いがかかると彼を無視し、冷たく接するようになった。最終話においてもネロ探しに参加することはなかった。
- セルジオ
- 声 - 矢田耕司
- ヌレットおばさんが引っ越した後、隣の家に引っ越して来る。
- アントワープの市に出店する野菜の商人で、村人に野菜を安く売ってもらう代わりに牛乳運びを無料で行う。しかし、これが結果としてネロの仕事を奪ってしまう格好となり、彼の死を招く遠因の一つとなった。
- 原作ではアントワープの牛乳商が直接買い付けに来るようになるため登場しない。
パトラッシュ以外の動物
- クロ
- ヌレットの家で飼われているイタズラ好きなアヒル。
- 勝手に柵から飛び出しては、いつもヌレットに迷惑ばかりかけている。
- 初期の頃はパトラッシュのしっぽを引っ張ってちょっかいを出していたが、ある時川近くの岩の隙間に落ちて出られなくなった時にパトラッシュに助けてもらってからは、仲良くなった。
- ヌレットが引っ越す際にネロが引き取ることになったが、後にジョルジュがネロに頼んでポールに弟として引き取られることになる。ただし、第3話でヌレットが「クロが産んだ卵だよ」とネロに卵を譲ったことがあるため、メスである。
- ダックス
- アンドレの飼っている犬。ダックスフンド。ハンスがアンドレにプレゼントしたらしい。
- 人懐っこいが落ち着きがなく、エリーナが大事に育てた花畑に誤って踏み入ってしまうなど時々騒動を巻き起こす。
- ロバ公
- ノエルの飼っているロバ。
その他
- ミレーヌ
- 声 - 藤田淑子
- ヌレットの娘。クロードと結婚し、今は馬車で3日もかかる遠方に住んでいる。母親思い。
- 初登場時は一児の母親であったが、第33話の段階で第二子を妊娠している(ヌレット宛の手紙より)。
- クロード
- 声 - 富山敬
- ミレーヌの夫で優しそうな人。
- ソフィア
- コゼツの妹でイギリスに住んでいる。立ち居振る舞いの優雅な美人。名門学園出身。
- アニー
- 声 - 岡本茉利
- ソフィアの娘でアロアの従姉妹。知的な雰囲気の美少女。名門女子学園に通っており礼儀正しい。
- 傲慢ともとれる勝ち気な性格で、ネロの絵を「遠近法がなっていない」とこき下ろす。また、犬嫌いでもありパトラッシュを拒絶した。
- ダントン
- 声 - 大宮悌二 ※声の出演欄には大宮剃二と誤記
- アントワープに住む商人。
- コゼツと取引をしている模様で、アロアの誕生日に大きな人形を送り届けている。
- 第23話のみ登場。
- 牛乳集配所主人
- 声 - 西尾徳
- アントワープの牛乳集配所の主人で、ジェハンたちが運んだ牛乳の量により賃金を渡している。
- バートランド
- 声 - 田村錦人
- アロアが病気になった時の主治医。
- アロアの病気が薬や医者の力ではなく、ネロの励ましで治ると見抜いていた。
- ステファン
- 声 - 山岡葉子
- アントワープに住む富豪の息子。
- 日頃から画家の指導を受けており、絵画コンクールではネロの作品を抑えて1等を受賞した。
- ファミリーネーム(Kiesslinger)の日本語読みは原作(キイスリング)、テレビ版(キースリンガー)、劇場版(キースリンゲル)で各々異なっている。
- ヘンドリック・レイ
- 声 - 家弓家正
- ネロが応募した絵画コンクールの審査員の一人。偶然出会ったネロと長く関わるようになる。
- ネロの将来性を見抜き1等に推したが、他審査員たちの反対に遭い落選させざるを得なくなった。
- 第3話ではネロに絵を描く時の心構え(「心の目で見る」「自分が感じたことを描けばいい」)などをアドバイスしている。
- 第52話で再登場、ルーベンスを継げる才能があると見込んだネロを引き取って学校に通わせたいと村を訪れるが時既に遅く、落選したことで全てに絶望したネロは姿を消した後だった。村人たちがネロを捜索する中、自身はネロの家にアロアと共に残りネロが描いた天使の絵を意味深く見つめる。アロアがネロの異変を察して家を飛び出した際は、引き止めはしなかった。
- 原作では名前不出だが、「世界的に有名な画家」と説明されている。劇場版では「アイク」の名で登場。
- ナレーター
- 声 - 武藤礼子
スタッフ
- 原作:ルイス・ド・ラ・ラメー(マリ・ルイーズ・ド・ラ・ラメーの誤記。アニメ版では筆名の「ウィーダ」が出されていないが理由は不明)
- 演出(監督):黒田昌郎
- シリーズ構成:六鹿英雄、松木功、中西隆三
- キャラクターデザイン:森康二
- 場面設定:坂井俊一
- 美術監督:伊藤主計
- 編集:瀬山武司
- 仕上検査:保田道世
- 音響監督:佐藤敏夫
- 音楽:渡辺岳夫
- 制作デスク:佐藤昭司(「まんが劇場」時代)→遠藤栄
- 担当プロデューサー:中島順三(「まんが劇場」時代)
- プロデューサー:高橋茂人(「まんが劇場」時代)→中島順三、松土隆二(「こども劇場」以降)
- 企画:瑞鷹エンタープライズ(「まんが劇場」時代)、日本アニメーション株式会社(「こども劇場」以降)
- 制作:日本アニメーション(第1話)、ズイヨー映像、フジテレビ(第2話~「まんが劇場」時代)、日本アニメーション、フジテレビ(「こども劇場」以降)
主題歌
オープニングテーマ、エンディングテーマ、挿入歌などが合計6曲作られ、前作の『アルプスの少女ハイジ』同様、岸田衿子が作詞、渡辺岳夫が作曲、松山祐士が編曲を、それぞれ担当した。
なお、1975年3月発売のシングル盤(SCS-248)のB面には、正規エンディングテーマの「どこまでもあるこうね」ではなく、歌詞が似ている「パトラッシュぼくの友達」が収録された。そのため、後年CDで発売された「テレビまんが懐かしのB面コレクション」シリーズに収録されているのも後者である。
また、これらとは別に、賛美歌調のコーラス曲も製作された。
1975年6月発売のLPレコード(CW-7020)には、全6曲の歌とともに「(おはなし)フランダースの犬」も収録された{Efn|LPレコードは1995年に「フランダース うたとおはなし」というタイトルでCDとして復刻された。なお、「おはなし」(約26分)は、第1話から最終話までのダイジェスト版ストーリーになっている。}}。その他、カセット絵本も発売された。
- オープニングテーマ - 「よあけのみち」
- 歌:大杉久美子、アントワープ・チルドレン・コーラス
- 歌い出しの"Zingen Zingen Kleine Vlinders"はフラマン語で「歌え 歌え 小さな蝶々」の意味。
- 第1話から第8話まではエンディングテーマとしても使用された。
- 1975年の日本コロムビアのゴールデン・ヒット賞を受賞した[16]。主題歌シングルは、オリコンの「TVマンガ・童謡部門」のチャートで1975年度の年間チャート1位を記録した[17]。
- エンディングテーマ - 「どこまでもあるこうね」
- 歌:大杉久美子
- 第9話から最終話まで使用。
- 挿入歌
-
- 「まどをあけて」
- 歌:大杉久美子
- 「あおいひとみで」
- 歌:大杉久美子
- 「パトラッシュぼくの友達」
- 歌:大杉久美子、アントワープ・チルドレン・コーラス
- イメージソング-「手をつないで」
- 歌:大杉久美子、コロムビアゆりかご会
- 「(おはなし)フランダースの犬」劇中音楽[注釈 12]
- 作曲:渡辺岳夫 / 編曲:増田順平 / 歌(コーラス):サニー・シンガーズ / 伴奏:コロムビア・オーケストラ
各話リスト
話数 |
放送日 |
サブタイトル |
脚本 |
絵コンテ |
作画監督
|
1 |
1975年 1月5日 |
少年ネロ |
吉田義昭 |
黒田昌郎 |
坂井俊一
|
2 |
1月12日 |
アロアと森へ |
柴田一
|
3 |
1月19日 |
アントワープの町で |
山崎修二
|
4 |
1月26日 |
新しい友達
|
5 |
2月2日 |
パトラッシュ |
奥田誠治 |
羽根章悦
|
6 |
2月9日 |
がんばれパトラッシュ |
斧谷稔
|
7 |
2月16日 |
スープをおのみ |
加瀬高之 |
奥田誠治
|
8 |
2月23日 |
ほえたよおじいさん |
斧谷稔
|
9 |
3月2日 |
おもいでの鈴 |
奥田誠治
|
10 |
3月9日 |
アロアのブローチ |
伊東恒久
|
11 |
3月16日 |
エリーナの花畑 |
斧谷稔
|
12 |
3月23日 |
おじいさんの小さな壺 |
加瀬高之 |
奥田誠治 |
岡田敏靖
|
13 |
3月30日 |
ナポレオン時代の風車 |
羽根章悦
|
14 |
4月6日 |
夜空に描いた絵 |
吉田義昭
|
15 |
4月13日 |
古い帳簿 |
高畑勲
|
16 |
4月20日 |
10サンチームの写生帳 |
奥田誠治
|
17 |
4月27日 |
丘の上の木の下で |
加瀬高之
|
18 |
5月4日 |
いたずらっ子のクロ |
横田和善 佐々木正広 |
岡田敏靖
|
19 |
5月11日 |
金物屋が村に |
奥田誠治 |
羽根章悦
|
20 |
5月18日 |
どこまでも |
岡田敏靖
|
21 |
5月25日 |
船で来たお客さま |
吉田義昭 |
羽根章悦
|
22 |
6月1日 |
イギリスからの贈物 |
松島昭 |
岡田敏靖
|
23 |
6月8日 |
アロアの誕生日 |
加瀬高之 |
羽根章悦
|
24 |
6月15日 |
アロアの絵 |
中西隆三 |
岡田敏靖
|
25 |
6月22日 |
アロアがいない |
雪室俊一 |
羽根章悦
|
26 |
6月29日 |
さようならアロア |
岡田敏靖
|
27 |
7月6日 |
アロアのいないクリスマス |
佐藤道雄 |
羽根章悦
|
28 |
7月13日 |
親切な貴婦人 |
岡田敏靖
|
29 |
7月20日 |
ルーベンスの2枚の絵 |
高山由紀子 |
羽根章悦
|
30 |
7月27日 |
雪の中の約束 |
岡田敏靖
|
31 |
8月3日 |
ネロの決意 |
安藤豊弘 |
羽根章悦
|
32 |
8月10日 |
大きなカシの木 |
西牧秀雄 |
岡田敏靖
|
33 |
8月17日 |
こころの手紙 |
佐藤道雄 |
奥田誠治 |
羽根章悦
|
34 |
8月24日 |
ヌレットおばさん |
岡田敏靖
|
35 |
8月31日 |
お帰りアロア |
雪室俊一
|
36 |
9月7日 |
アロアのくすり |
水沢わたる |
羽根章悦
|
37 |
9月14日 |
うれしい知らせ |
安藤豊弘 |
横田和善
|
38 |
9月21日 |
ネロの大きな夢 |
雪室俊一 |
奥田誠治
|
39 |
9月28日 |
心をつなぐ二つの旗
|
40 |
10月5日 |
おじいさんの口笛 |
岡田敏靖
|
41 |
10月12日 |
なつかしい長い道 |
安藤豊弘 |
羽根章悦
|
42 |
10月19日 |
となりに来た人 |
佐藤道雄 |
柴田一 |
岡田敏靖
|
43 |
10月26日 |
アロアのおてつだい |
奥田誠治 |
羽根章悦
|
44 |
11月2日 |
おじいさんへのおみやげ |
岡田敏靖
|
45 |
11月9日 |
ひとりぼっちのネロ |
安藤豊弘 |
羽根章悦
|
46 |
11月16日 |
おじいさんの顔 |
岡田敏靖
|
47 |
11月23日 |
風車小屋の火事 |
佐藤道雄 |
羽根章悦
|
48 |
11月30日 |
なくなった仕事 |
岡田敏靖
|
49 |
12月7日 |
描けたよおじいさん |
雪室俊一 |
羽根章悦
|
50 |
12月14日 |
発表の日 |
岡田敏靖
|
51 |
12月21日 |
二千フランの金貨 |
中西隆三 |
羽根章悦
|
52 |
12月28日 |
天使たちの絵 |
岡田敏靖
|
ネット局
※放送日時・系列は本番組終了時(1975年12月)のもの。
日本以外での放送
- 韓国では、TBCでは1976年8月13日から同年11月5日に、KBS 1TVでは1981年9月13日から翌年1月24日、放送曜日が日曜から月曜に変更され1982年1月25日から同年4月26日に、EBSでは2007年8月27日から同年11月22日にそれぞれ放送された。この他SBSで放送されたこともある。
再放送
アンコール名作劇場
放送終了から半年後の1976年7月から1978年6月にかけて、フジテレビで再放送が行われた。再放送に際し、「アンコール名作劇場」とオープニング前に表示されていた。
放送時間は、1976年7月から12月24日までは毎週金曜19:00 - 19:30。12月31日のみ、子供向け年末特別番組『'76わんぱくチビッコ大集合!』(19:00 - 20:54)のために金曜16:30 - 17:00に繰上げ、1978年1月1日から6月までは毎週土曜18:00 - 18:30だった。いずれの放送枠ともローカルセールス枠のため、本放送時とは異なり一部遅れネットや未放送の地域も存在した。
HDリマスター
CS放送のキッズステーションで2009年11月からHDリマスター版が放送されている。これまでの標準画質からハイビジョン放送に対応するため、オリジナルでは見えなかった部分の引き伸ばし処置や解像度の修正、さらに4:3から16:9のトリミング(画面の上下カット)が施され、以降の世界名作劇場作品でもこのフォーマットが踏襲された。
劇場映画版
概要(劇場映画版)
『THE DOG OF FLANDERS(劇場版 フランダースの犬)』として、テレビ版と同じ黒田昌郎監督、日本アニメーション制作により松竹系で1997年3月15日より全国公開された。前年公開の『BLACK JACK』に端を発した、松竹主導のテレビアニメの映画化リメイク企画の一環でもあり、このリメイク企画はその後同じスタッフの制作による、『MARCO 母を訪ねて三千里』(1999年)まで続くこととなる。
設定はテレビシリーズをおおむね踏襲しているが、ストーリーは「修道女に成長したアロアがアントワープの大聖堂を訪れ、ネロとの20年前の記憶(アロアがネロやパトラッシュと仲良くなった時点から、ネロたちの死まで)を回想する…」という回顧録的な構成になっており、各エピソードも劇場版独自の翻案・演出が加えられて進行していく。ネロとパトラッシュの死の場面もテレビシリーズとは異なり、天使に抱えられ召天するシーンはなく、またテレビシリーズの各所で挿入されていた(主に子供向けの)ナレーションも存在しない。成人のアロアが幻想の中でネロの声を聴き、明日への決意を新たにするというラストシーンで終了しており[5]、エンディングテーマ(主題歌)の歌詞はアロアによるエピローグになっている。これはテレビシリーズのラスト以降、アロアの描写がおざなりだったことへの反省が込められているという[18]。
音楽・映像も刷新され、情景は当時のフランダース地方のものに近づけて描かれている。また、一部にCGが使用されている。
キャスト
スタッフ(劇場映画版)
- 制作:松竹、日本アニメーション、三井物産、フジテレビジョン
- 企画:佐藤昭司、本田慶充
- 監督:黒田昌郎
- 脚本:丸尾みほ
- キャラクターデザイン、作画監督:佐藤好春
- オリジナルキャラクター:森康二
- 作画監督補佐:諸橋伸司
- レイアウトチェック:田辺修
- 原画:山口明子、石川哲也、尾崎和孝、山川浩臣、入好さとる、鈴木博文、中村裕之、林浩一、坪内克幸、西村貴世、大久保富彦、立石良子、入江篤、真庭秀明、宮本英子、大森幸夫、遠藤靖裕、榎本綾子、坂井俊一、香月邦夫、鷲田敏弥、吉野高夫、新山歌子、山崎登志樹、平松禎史、加瀬政広、水畑健二、田野光男、黒沢守、金田伊功
- 美術設定:伊藤主計
- 美術監督:石橋建一
- 撮影監督:森下成一
- 音響監督:藤野貞義
- 色彩設計:古里久代
- 編集:名取信一
- ネガ編集:上遠野英俊
- 音楽:岩代太郎
- キーアートデザイン:ウォーレン・ナン、ジョニー・クワァン
- 製作者:奥山和由、本橋寿一、小浜廉太郎、重村一
- 制作担当:田中伸明
- プロデューサー:中島順三
関連商品
映像ソフト
- テレビアニメのDVDは1999年8月25日 - 11月25日にかけて13巻が発売された。
音楽メディア
- 世界名作劇場メモリアル音楽館 フランダースの犬 SoundTrack
- フランダースの犬 イメージ音楽集
- フランダースの犬 オリジナル・サウンドトラック
ゲーム
1995年に本作品を含めた4作品を題材にした『世界名作劇場』のピコソフトがセガ・エンタープライゼスより発売。本作品はその3ページ目で、パズルゲームにあたる。時間内に抜けたピースをはめ込むと、その続きを見ることができる。
書籍
- TVアニメコミックス フランダースの犬(主婦の友社)
- フランダースの犬 その愛と涙(JTB):フランダースの犬を題材にした現地ガイドブック。
- フランダースの犬大百科(勁文社)
- 私たちの好きなフランダースの犬(宝島社):ストーリーガイド本。
関連作品
2008年3月よりパチンコ『CRフランダースの犬と世界名作劇場』(銀座)が導入された。絵柄に世界名作劇場のアニメキャラクターが用いられたほか、「昇天予告」などアニメのシークエンスを再現したムービーが挿入された(なお、厳密には「昇天」は誤用)。
コラボレーション
2008年9月に、Lil'Bが『キミに歌ったラブソング』のPVでコラボレーションを果たした。
2011年10月、森永乳業とクラフトフーヅジャパンで、本作品とのコラボレーションキャンペーン「クラフト おうちで幸せ カルボナーラキャンペーン」を実施し、ネロたちが登場する新作アニメ『幸せのカルボナーラ』(脚本:真保裕一)をホームページ上で公開した[19]。
2015年1月10日、世界名作劇場40周年記念出版として、登場人物の言葉を紹介する『フランダースの犬 心がピュアになる言葉』がPHP研究所より刊行された。
2015年5月13日に公開されたアニメーション映画『天才バカヴォン〜蘇るフランダースの犬〜』に登場する『フランダースの犬』の登場人物・ネロと愛犬・パトラッシュのデザインは本作品のそれをベースにしており、クレジットにも「©NIPPON ANIMATION CO.LTD.」と記載されている。ネロの声は瀧本美織が演じる。
2018年11月、日清食品カップヌードル「ヤバい。なんか熱い。」の第3弾として制作されたテレビCM「北海道ミルクシーフー道『フランダースの漢篇』」で最終話の終盤シーンが使われた。ネロと天使たちが「北海道ミルクシーフー道」を食べるシーンは、制作元である日本アニメーションのスタッフによって新たに書き起こされている。また、「北海道ミルクシーフー道」を食べて変身したネロ役に関口メンディーが起用されている。
脚注
注釈
- ^ 原作では、コンクールへの出品→風車小屋の火事→牛乳運びが減る→ジェハンの死→発表(落選)→家を追い出される→二千フランを拾う、という展開になっている。また、ネロが聖堂に向かったのは自殺のため(新潮文庫では63ページ)で、死因は餓死だった。
- ^ a b 原作によると当時フランダース地方ではルーベンスの偉業が広く知れ渡っていて、絵画で身を立てることはルーベンスと肩を並べることと同義であり、ネロのように貧乏で学がない者には不可能と思われていた。加えて原作でのネロは15歳の青年という設定であり、コゼツがネロを“未だに画家になろうなどと馬鹿げた夢ばかり見ている乞食”と断じるのはこうした背景に起因している。
- ^ 本放送では召天するシーンの後にCMを挟みどうやっても離れなかったネロとパトラッシュがそのままジェハンの墓の隣に埋葬されたというナレーションと埋葬シーンの一枚絵が映された。再放送に当たりこのCM後のパートがカットされており、このため多くの人が召天するシーンをラストだと思っている[要出典]。
- ^ ミシェルはネロの働きぶりを見てネロを木こりにしようとジェハンに相談したこともある。
- ^ アロアやコゼツ一家、ミシェルやヌレットやノエル、そして画家のヘンドリックが自分を迎えに来ていて、探して救いたい、謝罪したいという思いを知る由もなかった。
- ^ 原作ではよく分からない理由で絵を隠すカーテンが突然開く(新潮文庫では67ページ)が、アニメではミサの後にカーテンを戻し忘れたために誰にでも見られる状態になっていた。また、ネロたちはアニメでは凍死のように描かれているが、原作ではネロは飢えと衰弱(寒さが体力を著しく奪ったのは事実)、パトラッシュは老衰により死亡している(新潮文庫では68ページくらい)。
- ^ 内容は家賃を払えない代わりに品物を代わりに受け取ってくださいというハンスへの伝言と、エリーナに対する今まで親切にしてくれた感謝とパトラッシュの面倒を見てくださいという依頼、そしてアロアへのさようならと言うお別れの言葉。
- ^ 第51話でコゼツが紛失する二千フランの金貨(20フラン貨100枚)は事業資金として銀行から借り入れたものとのこと。
- ^ a b 火事の原因は、注油や掃除を怠ったまま風車を使い続けたため、溜まったホコリが軸の摩擦熱により発火し、それが小麦袋に燃え移ったことによるもの。つまり、ハンスの怠慢とコゼツの管理不足だった。
- ^ 第51話でコゼツが落とした二千フランを探す際にコゼツの「君の給料が払えなくなる」といったセリフがある。
- ^ これがネロたちとの今生の別れとなってしまった。
- ^ クレジットはCD「フランダースの犬 うたとおはなし」付属パンフレットによる。アニメ本編の最終話で使用されたコーラス曲と同音源かどうかは不明。
- ^ a b 長崎放送(NBC)と大分放送(OBS)のネットは1975年3月まで。1975年4月以降はフジ系列局のテレビ長崎(KTN)・ テレビ大分(TOS)へ放映権が移動。
- ^ a b c d 本来の時間帯に当時クロスネットの日本テレビ系番組『すばらしい世界旅行』を同時ネットしていたため、時差ネット。
出典
関連項目
外部リンク
フジテレビ系 日曜19:30 - 20:00 (カルピスまんが劇場) |
前番組 |
番組名 |
次番組 |
|
フランダースの犬 (1975年1月5日 - 12月28日) ※放送期間中に「カルピスこども劇場」に移行
|
|
フジテレビ 金曜19:00 - 19:30 |
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アンコール名作劇場 フランダースの犬 (1976年7月 - 12月) ※本番組までテレビアニメ
|
|
フジテレビ 土曜18:00 - 18:30 |
名馬フリッカ(再) ※一旦中断
|
アンコール名作劇場 フランダースの犬 (1977年1月 - 6月) ※本番組のみ テレビアニメ
|
名馬フリッカ(再) ※再開
|
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テレビアニメ |
1970年代 | |
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1980年代 | |
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1990年代 | |
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2000年代 | |
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2010年代 | |
---|
2020年代 | |
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TVスペシャル | |
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劇場アニメ | |
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OVA | |
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Webアニメ | |
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- 共:共同制作
- 世:世界名作劇場
- 1:第2巻・第4巻・第5巻のみ
|