アレサ・フランクリン
(1968年)
基本情報 出生名
アレサ・ルイーズ・フランクリン 生誕
死没
ジャンル
職業
担当楽器
活動期間
1956年 - 2018年 レーベル
共同作業者
アレサ・フランクリン [ 注釈 1] (英語 : Aretha Louise Franklin 、1942年 3月25日 - 2018年 8月16日 )は、アメリカ合衆国 出身の女性シンガーソングライター 、ピアニスト [ 3] 、本名はアレサ・ルイーズ・フランクリン
英語
:Aretha Louise Franklin
グラミー賞 受賞回数は20回で、女性としては27回受賞のアリソン・クラウス に次ぐ記録である。2005年 には、大統領自由勲章 を受章。
人物
シングル「Baby I Love You」発表の頃(1967年)
ソウル・ミュージック 歌手の中でも、サム・クック と共に一際ゴスペル ・フィーリングの強い歌唱を持ち味としており、その圧倒的な歌声で、“クイーン・オブ・ソウル ”あるいは“レディ・ソウル ”の異名を持つ。
1960年代 後半の作品群が特に有名で、オーティス・レディング と共にサザン・ソウルの隆盛に寄与した。
1987年 、女性アーティストとして初めて『ロックの殿堂 』入りを果たした[ 4] 。
1999年 、タイム誌の「20世紀を代表する100人」に選ばれている。
「ローリング・ストーンの選ぶ歴史上最も偉大な100人のシンガー 」において第1位に選ばれている[ 5] 。
「ローリング・ストーンの選ぶ歴史上最も偉大な100組のアーティスト」において第9位に選ばれている。
「Q誌 の選ぶ歴史上最も偉大な100人のシンガー」において第2位[ 6] 。
経歴
メンフィス の生まれ、デトロイト 育ち。父C・L・フランクリン は説教者 として有名な教会 の牧師 であり、母バーバラ・シガーズ・フランクリン は優れたゴスペル 歌手であった。両親は、アレサが幼い頃から別居していたが、アレサは父のもとで育てられ、父の教会でゴスペルを歌っていた。
1961年 にはコロムビア・レコード からデビューするが、同社は彼女をポピュラー・シンガーとして売り出し、曲はジャズ色が濃く、ゴスペル・フィーリングを前面に出した曲は発表しなかった。このためか、当時のアレサのレコードは世間に大きなインパクトを与えるに至らなかった。この時期の録音は、後にデビュー50周年の2011年 にコンピレーション・アルバム『グレイト・アメリカン・ソングブック 』や、網羅的なボックス・セット『Take a Look: Aretha Franklin Complete on Columbia 』の形で再発されている[ 7] 。
1966年 11月、アトランティック・レコード に移籍[ 8] 。同社のプロデューサーであるジェリー・ウェクスラーは、彼女のゴスペル・フィーリングを前面に押し出す方針を採り、1967年1月、レコーディングを同社の本拠地であるニューヨーク ではなく、アラバマ州 マッスル・ショールズのフェイム・スタジオで行った。同社は、それまで南部色の強い歌手の作品をメンフィスのスタックス・スタジオ でレコーディングしていたが、この頃スタックスとの間に対立が起きた為、その代替地としてフェイムが選ばれたものである。しかし、レコーディング開始後にアレサの夫テッド・ホワイトとフェイムのオーナーの間に論争が起きたのに伴い、ウェクスラーはフェイムでリズム・セクションを務めていたミュージシャンをニューヨークへ連れて行き、レコーディングを続行した[ 9] 。
この方針は成功を収め、アレサはアトランティックからの第1弾シングル「I Never Loved A Man (The Way I Love You) 」(1967年2月)とアルバム『I Never Loved A Man The Way I Love You 』(1967年3月)をヒットさせた。
1967年4月、オーティス・レディング のカヴァー「Respect 」で全米1位を獲得し一躍スターの座に躍り出た。その後も『Lady Soul 』、『Aretha Live at Fillmore West 』などのヒット・アルバムを送り出し、サザン・ソウル 歌手としてはオーティス・レディングと人気を二分する存在となった。
代表曲は「チェイン・オブ・フールズ:Chain Of Fools 」(ドン・コヴェイ )、「ナチュラル・ウーマン:(You Make Me Feel Like) A Natural Woman 」(キャロル・キング )、「小さな願い:I Say A Little Prayer 」(バート・バカラック 、ハル・デヴィッド )、「Bridge Over Troubled Water 」(邦題:明日に架ける橋, サイモン&ガーファンクル )など。「Bridge Over Troubled Water」はゴスペル にアレンジされており、特に当時アパルトヘイト で苦しんだ南アフリカ でヒットし、教会で賛美歌 として歌われるようになる。
白人歌手の持ち歌のカヴァーも多いが、彼女が歌うと立派に“ソウルの名曲”となる。“単に男女の恋愛を描いた曲でも、アレサが歌うとまるで人類愛を歌っているように聞こえる”といった評価を受けている。
1971年にシングル「ロック・ステディ 」[ 10] 、1972年には「デイ・ドリーミング」を発表。1972年 には、ゴスペル ・アルバム『至上の愛〜チャーチ・コンサート〜 』を発表した。1974年にはスティーヴィー・ワンダー の未発表曲(オリジナル・ヴァージョンは1967年録音だが1976年まで発表されなかった)のカヴァー「アンティル・ユ-・カムバック・トゥ・ミー」がR&Bチャートで1位、ポップ・チャートでも3位のヒットとなり、フランクリンは全米ポップ・チャートにおいて、最高1位から10位までを網羅した史上初のアーティストとなった[ 11] 。また1976年にはカーティス・メイフィールドと組んで「ギヴィン・ヒム・サムシング・ヒー・キャン・フィール」がソウル・チャートでヒットした。
晩年のアレサ(2015年)
だが、1970年代 後半のディスコ・ブームの時代からは、ヒットに恵まれない時期が続く。また、1984年 より深刻な飛行機恐怖症 に悩まされ[ 12] 、海外公演を行うのが困難になり、来日公演は実現しなかった[ 13] 。しかし、1980年代 半ばに「Freeway of Love」、「I Knew You Were Waiting (For Me) 」(全米1位、ジョージ・マイケル とのデュエット で、作曲はクライミー・フィッシャー のサイモン・クライミー )などがヒット。かなりポップな曲調で賛否両論があるが、人気を復活させたプロデューサー、ナラダ・マイケル・ウォルデン の手腕は高く評価された。1987年 には15年ぶりのゴスペル・アルバム『One Lord, One Faith, One Baptism 』を発表した[ 14] 。
2003年 のアルバム『So Damn Happy 』をもって引退を表明したが、それを撤回してライブなど精力的に活動した。
2009年 1月20日、アメリカ合衆国 第44代大統領 バラク・オバマ の就任式式典にて「My Country, 'Tis of Thee 」("America")を祝唱した。
アリスタ・レコードとの契約は2003年で終了した模様だが、2007年には過去のデュエット曲に新曲2曲を加えたコンピレーションアルバム『Jewels in the Crown』を発売。2008年には、書店チェーンのボーダーズ 独占で、クリスマス・アルバム『This Christmas, Aretha』をリリースした。その後、自身のインディーズレーベルAretha Recordsを立ち上げ、2011年に『A Woman, Falling Out of Love』を発売した[ 15] 。
2018年8月16日9時55分、膵臓がん のため、ミシガン州 デトロイト の自邸で死去[ 16] 。
アルバム
発表年
オリジナルタイトル
日本語タイトル
Billboardチャート
1956
The Gospel Soul of Aretha Franklin
1961
Aretha
1962
The Electrifying Aretha Franklin
1962
The Tender, The Moving, The Swinging Aretha Franklin
69
1963
Laughing on the Outside
1964
Unforgettable: A Tribute to Dinah Washington
1964
Runnin' Out of Fools
84
1965
Yeah!: Aretha Franklin in Person
101
1966
Soul Sister
132
1967
Take It Like You Give It
1967
I Never Loved a Man the Way I Love You
貴方だけを愛して
2
1967
Aretha Franklin's Greatest Hits
94
1967
Aretha Arrives
アレサ・アライヴス
5
1967
Take a Look
173
1968
Lady Soul
レディ・ソウル
2
1968
Aretha Now
アレサ・ナウ
3
1968
Aretha in Paris
アレサ・イン・パリス
13
1969
Soul '69
ソウル'69
15
1969
Aretha's Gold
18
1970
This Girl's in Love With You
ジス・ガールズ・イン・ラヴ・ウィズ・ユー
17
1970
Spirit in the Dark
スピリット・イン・ザ・ダーク
25
1971
Aretha Live at Fillmore West
アレサ・ライヴ・アット・フィルモア・ウェスト
7
1971
Aretha's Greatest Hits
19
1972
Young, Gifted and Black
ヤング・ギフティッド・アンド・ブラック
11
1972
Amazing Grace
至上の愛〜チャーチ・コンサート〜
7
1972
In the Beginning / The World of Aretha Franklin 1960-1967
160
1973
Hey Now Hey (The Other Side of the Sky)
ヘイ!ナウ・ヘイ!
30
1974
Let Me in Your Life
輝く愛の世界
14
1974
With Everything I Feel in Me
燃える愛の炎
57
1975
You
ユー
83
1976
Sparkle
スパークル
18
1976
Ten Years of Gold
135
1977
Sweet Passion
甘い情熱
49
1978
Almighty Fire
オールマイティ・ファイア
63
1979
La Diva
146
1980
Aretha
アレサ
47
1980
Aretha Sings the Blues
1981
Love All the Hurt Away
想い出の旅路
36
1982
Jump to It
ジャンプ・トゥ・イット
23
1983
Get It Right
ゲット・イット・ライト
36
1985
30 Greatest Hits
1985
Who's Zoomin' Who?
フリーウェイ・オブ・ラヴ
13
1986
Aretha
ジャンピン・ジャック・フラッシュ
32
1987
One Lord, One Faith, One Baptism
ゴスペル・ライヴ
106
1989
Through the Storm
愛の嵐
55
1991
What You See is What You Sweat
ホワット・ユー・スウェット
153
1992
Queen of Soul: The Atlantic Recordings
1994
Greatest Hits (1980-1994)
85
1994
The Very Best of Aretha Franklin: The 60's
1994
The Very Best of Aretha Franklin: The 70's
1996
Aretha Sings Standards
1997
Love Songs
1998
The Delta Meets Detroit: Aretha's Blues
スリル・イズ・ゴーン(アレサ、ブルースを歌う)
1998
A Rose is Still a Rose
ア・ローズ・イズ・スティル・ア・ローズ
30
1999
Greatest Hits
2001
Aretha's Best
2002
Queen in Waiting: Columbia Years 1960-1965
クイーン・イン・ウェイティング
2003
So Damn Happy
ソー・デム・ハッピー
33
2007
Jewels in the Crown: All-Star Duets With the Queen
54
2007
Rare & Unreleased Recordings from the Golden Reign of the Queen of Soul
レア&アンリリースド・レコーディングス
54
2008
This Christmas, Aretha
2011
A Woman, Falling Out of Love
54
2014
Aretha Franklin Sings The Great Diva Classics
13
シングル
アトランティック・レコード時代 (1967-1979)
発表年
タイトル
チャート順位
US Hot 100
US R&B
UK
1967
"I Never Loved A Man (The Way I Love You) " (A-Side)
9
1
--
1967
"Do Right Woman - Do Right Man" (B-Side)
--
37
--
1967
"Respect "
1
1
10
1967
"Baby I Love You"
4
1
39
1967
"(You Make Me Feel Like) A Natural Woman "
8
2
--
1967
"Chain Of Fools "
2
1
43
1968
"Satisfaction" (UK release only)
37
1968
"(Sweet Sweet Baby) Since You've Been Gone" (A-Side)
5
1
47
1968
"Ain't No Way" (B-Side)
16
9
--
1968
"Think " (A-Side)
7
1
26
1968
"You Send Me" (B-Side)
56
28
--
1968
"The House That Jack Built" (A-Side)
6
2
--
1968
"I Say a Little Prayer " (B-Side)
10
3
4
1968
"See Saw" (A-Side)
14
9
--
1968
"My Song" (B-Side)
31
10
--
1969
"The Weight " (A-Side)
19
3
--
1969
"Tracks of My Tears " (B-Side)
71
21
--
1969
"I Can't See Myself Leaving You" (A-Side)
28
3
--
1969
"Gentle On My Mind " (B-Side)
76
50
--
1969
"Share Your Love With Me"
13
1
--
1969
"Eleanor Rigby "
17
5
--
1970
"Call Me "
13
1
--
1970
"Spirit In The Dark "(with the Dixie Flyers)
23
3
--
1970
"Don't Play That Song (You Lied)"(with the Dixie Flyers)
11
3
13
1970
"Border Song (Holy Moses)" / "You And Me"
37
5
--
1971
"You're All I Need to Get By"
19
3
--
1971
"Bridge Over Troubled Water " / "Brand New Me"
6
1
--
1971
"Spanish Harlem "
2
1
14
1971
"Rock Steady " (A-Side)
9
2
--
1971
"Oh Me Oh My (I'm A Fool For You Baby)" (B-Side)
73
9
--
1972
"Day Dreaming"
5
2
--
1972
"All The King's Horses" / "April Fools"
26
7
--
1972
"Wholly Holy"
81
49
--
1973
"Master Of Eyes (The Deepness Of Your Eyes)"
33
8
--
1973
"Angel"
20
1
37
1973
"Until You Come Back to Me (That's What I'm Gonna Do)"
3
1
26
1974
"I'm in Love"
19
1
--
1974
"Ain't Nothing Like the Real Thing"
47
6
--
1974
"Without Love"
45
6
--
1975
"With Everything I Feel In Me"
--
20
--
1975
"Mr DJ (5 For The DJ)"
53
13
--
1976
"You"
--
15
--
1976
"Something He Can Feel"
28
1
--
1976
"Jump" / "Hooked On Your Love"
72
17
--
1977
"Look Into Your Heart"
82
10
--
1977
Break It To Me Gently"
85
1
--
1977
"When I Think About You"
--
16
--
1978
"Almighty Fire (Woman Of The Future)"
103
12
--
1978
"More Than Just A Joy"
--
51
--
1979
"Ladies Only"
--
33
--
1979
"Half A Love"
--
65
--
アリスタ・レコード時代以降 (1980-2014)
発表年
タイトル
チャート順位
US Hot 100
US R&B
UK
1980
"United Together"
56
3
--
1980
"What A Fool Believes "
--
17
46
1981
"Come To Me"
84
39
--
1981
"Love All The Hurt Away" (with George Benson)
46
6
49
1982
"It's My Turn"
--
29
--
1982
"Jump To It"
24
1
42
1982
"Love Me Right"
--
22
--
1983
"This Is For Real"
--
63
--
1983
"Get It Right"
61
1
74
1983
"Every Girl (Wants My Guy)"
--
7
--
1985
"Freeway Of Love"
3
1
68
1985
"Who's Zoomin' Who"
7
2
11
1985
"Sisters Are Doin' It For Themselves" (with Eurythmics)
18
66
9
1986
"Another Night"
22
9
54
1986
"Ain't Nobody Ever Loved You"
--
30
78
1986
"Jumpin' Jack Flash " (with Keith Richards)
21
20
58
1987
"Jimmy Lee"
28
2
46
1987
"I Knew You Were Waiting (For Me) /愛のおとずれ" (with ジョージ・マイケル )
1
3
--
1987
"Rock-A-Lott"
82
25
84
1987
"If You Need My Love Tonight" (with Larry Graham)
--
88
--
1988
"If Ever A Love There Was" (with Four Tops)
--
18
--
1989
"Through The Storm"(愛の嵐) (with エルトン・ジョン )ダイアン・ウォーレン 作
16
17
41
1989
"It Isn't, It Wasn't, It Ain't Never Gonna Be" (with Whitney Houston)
41
5
29
1989
"Gimme Your Love" (with James Brown)
--
48
79
1990
"Think" (UK release only) (from movie The Blues Brothers)
31
1991
"Everyday People "
--
13
69
1991
"Someone Else's Eyes"
--
53
--
1991
"Ever Changing Times" (with Michael McDonald)
--
19
--
1992
"Someday We'll All Be Free"
--
--
--
1994
"A Deeper Love" (with Lisa Fischer)
63
30
5
1994
"Willing To Forgive"
26
5
17
1994
"Honey"
114
30
--
1996
"It Hurts Like Hell"
116
51
--
1998
"A Rose Is Still A Rose"
26
5
22
1998
"Here We Go Again"
76
24
68
1998
"In Case You Forgot"
--
--
--
1999
"In The Morning"
--
--
--
1999
"How Many Times"
--
--
--
2003
"The Only Things Missin'"
--
53
--
2003
"Wonderful"
--
46
--
2007
"Put You Up On Game" (with Fantasia)
--
41
--
2011
"How Long I've Been Waiting"
--
91
--
2014
"Rolling In The Deep"
--
47
--
出演映画
2005年11月9日、ホワイトハウスでの大統領自由勲章授与式後、涙をぬぐうアレサ(中央)。同受章したロバート・コンクエスト (左)、アラン・グリーンスパン (右)
Black Rodeo(1972年)
ブルース・ブラザース - The Blues Brothers (1980年)
彼女の歌唱シーンで完全にリップシンクしていないのは、同じ歌でも2度と同じように歌えない歌手だからである。
ツイスト - Twist (1992年)
ブルース・ブラザース2000 - Blues Brothers 2000 (1998年)
トム・ダウド/いとしのレイラをミックスした男 - Tom Dowd & The Language Of Music (2003年)
黄金のメロディ マッスル・ショールズ - Muscle Shoals (2013年)
アメイジング・グレイス アレサ・フランクリン - Amazing Grace (2018年)
リスペクト - Respect (2021年)
脚注
注釈
^ 名前について、アリーサ・フランクリン という表記も見られる[ 2] 。ファーストネームの発音は。
出典
外部リンク
スタジオ・アルバム ライヴ・アルバム サウンドトラック コンピレーション・アルバム 主な楽曲 関連人物 関連項目
カテゴリ