プロテウスの形状は、直径が 400 km を超える主に氷から成る天体であるにもかかわらず楕円体とは大きくかけ離れており、いくつかの窪んだ面と 20 km の起伏を持った多面体のような形状をしている。表面は暗く灰色じみており、大量のクレーターがある。プロテウス最大のクレーターは、直径が 230 km 以上のファロス (Pharos) である。大きなクレーターに関連して、いくつかの崖や溝、谷も存在している。
プロテウスは海王星で2番目に大きな衛星である。直径は約 420 km あり、これは2番目に発見されたネレイドよりも大きい。しかし海王星にとても近く、海王星が反射した太陽光の中に隠れていたため、地上の望遠鏡からは発見されなかった。プロテウスの表面は暗く、その幾何アルベドは約10%しかない。紫色から緑色にかけての波長で反射率が大きく変化しないので、表面の色は灰色じみていることになる[4]。波長約 2 μm の近赤外線波長ではプロテウスの表面の反射率が低くなるため、炭化水素やシアン化物などの複雑な有機化合物が存在している可能性がある。これらの化合物は、海王星の内衛星が低アルベドであることに関与している可能性がある。プロテウスはかなりの量の水の氷を含んでいると考えられているが、分光学的にはそれらは表面から検出されていない[13]。
プロテウスの形状は半径約 210 km の球体に近いが、球形からのずれは最大で 20 km と大きく、天体の大きさの割に形が歪なことが特徴の一つである。これは低温のためプロテウスを構成する氷が強固になり、重力に逆らって不規則な形状を保ちやすくなっているためだと言われる[14]。科学者たちは、プロテウスが自身の重力で完全な球形にならない程度の密度を持つ大きさの天体であると考えている[6]。土星の衛星ミマスは、おそらく土星付近の高温度や潮汐加熱によって温度が高くなっているため、プロテウスよりもわずかに質量が小さいにもかかわらず楕円体の形状をしている。プロテウスは、全体の形状が三軸楕円体よりも不規則な多面体に近いが、わずかに海王星のある方向に伸びている。プロテウスの表面はいくつかの平面と、直径 150~200 km の凹面がある。この凹面はおそらく劣化したクレーターであるとされている[4]。
プロテウスには大量のクレーターがあり、地質学的に変化している兆候は見られない[10]。最大のクレーター、ファロスは 230~260 km の直径を持ち、深さは 10~15 km である[4]。ファロスはプロテウスの表面で唯一名称が与えられている地形で、名称はギリシア神話でプローテウスが統治した島に由来する[15]。ファロスに加えて、いくつかの直径 50~100 km のクレーターもあり、直径 50 km 未満のものも数多く存在している[4]。
^ abcdefJacobson, R. A.; Owen, W. M., Jr. (2004). “The orbits of the inner Neptunian satellites from Voyager, Earthbased, and Hubble Space Telescope observations”. Astronomical Journal128 (3): 1412–1417. Bibcode: 2004AJ....128.1412J. doi:10.1086/423037.
^Dumas, Christophe; Smith, Bradford A.; Terrile, Richard J. (2003). “Hubble Space Telescope NICMOS Multiband Photometry of Proteus and Puck”. The Astronomical Journal126 (2): 1080–1085. Bibcode: 2003AJ....126.1080D. doi:10.1086/375909.