ガラテア [ 8] [ 9] (Neptune VI Galatea)は、海王星 の第6衛星 である。
発見と命名
ガラテアは、惑星探査機ボイジャー2号 が海王星をフライバイした際に撮影された画像の中から、1989年 7月に発見された。発見はデスピナ 、ラリッサ の発見と合わせて同年8月2日の国際天文学連合 のサーキュラーで公表され、「5日間に渡って10枚の画像を捉えた」とだけ報告されており[ 10] 、7月28日以前のいずれかの段階で発見されたとみられる。これに伴い、S/1989 N 4 という仮符号 が与えられた。
その後1991年 9月16日に、ギリシア神話 のネレイデス の1人、ガラテア に因んで命名され、Neptune VI という確定番号が与えられた[ 11] 。
特徴
ガラテアは海王星の衛星の中で4番目に海王星に近い軌道 を公転する衛星である。ガラテアは不規則な形状をしており、地質学的に変化を起こした兆候は見られない。他の衛星と同じく、トリトン が海王星によって非常に軌道離心率 が大きい軌道に捕獲された直後の摂動 によって破壊されたかつての海王星固有の衛星の破片が、再び降着して形成されたラブルパイル天体 だと考えられている[ 12] 。
ガラテアの軌道は海王星の静止軌道 の下にある。そのためガラテアは潮汐力 によってらせん状に軌道が減衰しており、いずれ海王星の大気に突入するか、ロッシュ限界 を超えて潮汐力で粉砕され、海王星の環 になると予想される。
環との関係
アダムズ環 の内側にあるガラテア (1989N4)
ガラテアの軌道の 1,000 km 外側には海王星の環 の一つであるアダムズ環 があり、ガラテアはこの環の羊飼い衛星 であると考えられる。アダムズ環の中にはアークと呼ばれる独特の構造があるが、ガラテアと環の 42:43 の共鳴 がこの構造を形作っていると考えられている[ 13] 。また、ガラテアによって環に誘起される半径方向の摂動 を元に、ガラテアの質量が推定されている[ 7] 。
出典
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関連項目
外部リンク