赤道傾斜角(せきどうけいしゃかく、英語: axial tilt、obliquity)とは、惑星や衛星など、自転(あくまでも天体は地球のように天の北極から見て反時計回りに、すなわち西から東へ自転するのが通常と仮定した場合)しつつ公転運動する天体の軌道面と赤道面のなす角である。自転軸と公転軸のなす角に等しいため、自転軸傾斜角とも言う。この角は、自転と公転の軸のずれを表す。
似た語として軌道傾斜角があるが、軌道傾斜角は天体の軌道面の傾きを表す別の量である。
概要
赤道傾斜角は0度から180度の範囲の値をとる。赤道傾斜角が0の場合、その天体の自転軸は軌道面に垂直である。赤道傾斜角が90度の場合にはその天体の自転軸は軌道面に対してちょうど横倒しとなっている。赤道傾斜角が90度を超える場合はその天体は倒立している、つまり南極を軌道面の北側に向けており、軌道面の北側から見た時の自転の向きが逆転して時計回りの回転になっていることを表す。
惑星の赤道傾斜角
地球
地球の赤道傾斜角を黄道傾斜角という。汎用的には「23.4度」という値が用いられているが、この値は年月の経過に伴って変化しており、現在は年々減少している。2000年1月1日12:00 (UT) における値は23度26分21.406秒である。すなわち地球の地軸は軌道面の垂線から23度26分21.406秒傾いている。約1万2000年後には、最小の約22度になると予測されている。変化の式については、黄道傾斜角を参照のこと。この地軸の傾きによって四季が生じる。また、北緯66.6度(=90度-23.4度)以北と南緯66.6度以南では、一日中太陽が沈まない白夜や一日中太陽が昇らない極夜を生じる。この地域を北極圏あるいは南極圏と呼ぶ。さらに、北緯23.4度の地点では夏至の日に太陽がちょうど天頂を通過する。南緯23.4度の地点では冬至の日に太陽が天頂を通過する。この2本の緯度線をそれぞれ北回帰線、南回帰線と呼ぶ。
太陽系の惑星
太陽系の惑星の赤道傾斜角は以下の通りである。天王星は自転軸がほぼ横倒しになっているので、環や衛星の位置も横向きになっている。金星は自転軸がほぼ完全に倒立しており、他の惑星と逆方向に自転していることになる。水星や木星は自転軸がほぼ垂直に直立している。
脚注
- ^ 21世紀初頭における数値
- ^ なるべく数値を有効数字3桁に揃える。
- ^ IAU, 0 January 2010, 0h TT, Astronomical Almanac 2010, pp. B52, C3, D2, E3, E55
- ^ 回転の方向を考慮した数値。
- ^ 地球の公転面(黄道面)が基準
- ^ "en:Invariable_plane" - すべての惑星の軌道を加重平均した仮想面
- ^ 180°-177.36°=2.64°(正味)
- ^ a b c 逆向
- ^ 180°-97.8°=82.23°(正味)
- ^ 180°-119.59°=60.41°(正味)
- ^ CNN.co.jp 「冥王星、自転軸の傾きと揺らぎで地表の環境が激変 観測結果」 冥王星の自転軸の傾きは数百万年の間に約20度の幅で変動している。
- ^ “Planetary Satellite Mean Orbital Parameters”. Jet Propulsion Laboratory, California Institute of Technology. 2019年1月28日閲覧。
- ^ 衛星の公転軌道の傾斜は対「ラプラス面(英語版)」の値。例外は月の対黄道面。
- ^ 地球の赤道面に対しては18.29°から28.58°
- ^ 対月の公転面。対黄道面=1.54°、対地球の赤道面=24°
- ^
Lang, Kenneth R. (2011), The Cambridge Guide to the Solar System Archived 1 January 2016 at the Wayback Machine., 2nd ed., Cambridge University Press.
- ^ 太陽には公転という意味での主星は存在しないが、銀河面内で天の川銀河の中心である銀河核の周りを約2.2億年余り(銀河年)をかけて回っている。
- ^ 理科年表 平成22年版、国立天文台、丸善 「太陽、惑星および月定数表」、対黄道面。
- ^ 銀河面に対しては67.23°である(en:sunより)。
- ^ 赤道面で。緯度75度で31.8。
関連項目