座標 : 北緯51度29分54秒 西経0度10分37秒 / 北緯51.498308度 西経0.176882度 / 51.498308; -0.176882
インペリアル・カレッジ・ロンドン (Imperial College London、略称 ICL )は、イギリス ・ロンドン に本部を置く英国屈指の理工系名門国立大学 である。1907年設立。2007年まではロンドン大学 に所属しており、ロンドン大学インペリアル・カレッジ の名称であった。
概要
インペリアル・カレッジ・ロンドン正門
イギリスのエリート大学群であるゴールデン・トライアングル (英国版アイビーリーグ )の1校で[ 5] 、世界大学ランキング では、QS世界大学ランキング 2025で世界第2位[ 6] 、THE世界大学ランキング 2024で世界第8位にランクインした[ 7] 。メインキャンパスはロンドンで高級住宅街 として知られるケンジントン・アンド・チェルシー区 サウス・ケンジントンに位置し、周囲にはケンジントン宮殿 、ロイヤル・アルバート・ホール 、ハロッズ 本店などがある。
医学部 、工学部 、理学部 からなる理工系大学であり、学生数は学部生が約10,000人、大学院生が約9,000人である。世界中から優秀な学生が集まり、2018/2019年度では、全学生の50.7%がイギリス国外からの留学生であった[ 8] 。これまでに、14人のノーベル賞 受賞者、3人のフィールズ賞 受賞者、74人の王立協会フェロー 、87人のRoyal Academy of Engineering のフェロー 、85人のAcademy of Medical Sciences のフェローを輩出している。
日本との関係では、東京大学 、東京医科歯科大学 などと学術協定を結んでおり[ 9] [ 10] 、日本人留学生数は各年度10名弱で推移している。ICLに在籍した者の日本における同窓会組織として、ICL公認のサウスケンジントン会(Imperial College Alumni Association, Japan)がある。
沿革
1907年にシティ・アンド・ギルド・カレッジ 、ロイヤル・スクール・オブ・マインズ (英語版 ) 、ロイヤル・カレッジ・オブ・サイエンス (英語版 ) の3つのカレッジが合併して、インペリアル・カレッジ・ロンドンが発足した。同年7月8日に当時の国王であるエドワード7世 より大学設立を正式に許可されロンドン大学に統合、ロンドン大学インペリアル・カレッジの形になった。
その後聖メアリー病院医学学校が1988年、ナショナル・ハート・アンド・ロング・インスティチュートが1995年、チャリング・クロス・アンド・ウェストミンスター医学学校が1997年に合併された。
2000年にはロンドン大学の農学部カレッジであるワイ・カレッジが合併したが、2007年9月からはワイが位置するケント州にあるケント大学 によって運営される事となった。これによりワイ・カレッジの学生は学士をケント大学及びインペリアル・カレッジ提携ワイ・カレッジから受け取ることになる。
2004年には卒業生であるゲイリー・A・タナカ の贈与でタナカ・ビジネス・スクール(現 インペリアル・カレッジ・ビジネス・スクール )が作られ、英国女王のエリザベス2世 により開校された。インペリアル・カレッジ・ビジネス・スクールはマネジメント教育を評価する3つの国際認証機関全てから認証を受けている世界でもごく少数のトリプルクラウン校 (世界のビジネススクール 13670校のうち58校)であり、MBA やマネジメントの学位を取得することが出来る。
創立100周年にあたる2007年の7月にはロンドン大学群から独立し、現在のインペリアル・カレッジ・ロンドンの名称になり、独自に学位を授与することになった。
学術
インペリアル・カレッジ・ビジネス・スクール
Faculty of Engineering: 工学部
航空宇宙工学科[1] (Aeronautics)
生物工学科[2] (Bioengineering)
化学工学科[3] (Chemical Engineering)
土木・環境工学科[4] (Civil & Environmental Engineering)
計算機工学科[5] (Computing)
地球科学科[6] Earth Science & Engineering)
電気・電子工学科[7] (Electrical & Electronic Engineering)
材料工学科[8] (Materials)
機械工学科[9] (Mechanical Engineering)
Faculty of Natural Sciences: 理学部
化学科[10] (Chemistry)
数学科[11] (Mathematics)
物理学科[12] (Physics)
生物学科[13] (Life Sciences)
環境政策学センター[14] (Centre for Environmental Policy)
Faculty of Medicine: 医学部
医学科[15] (Medicine)
イギリス国立心肺研究所[16] (National Heart & Lung Institute)
公衆衛生スクール[17] (School of Public Health)
外科・癌生物学科[18] (Department of Surgery and Cancer)
学部間で行われる科目
医用生体工学研究所[19] (Institute of Biomedical Engineering)
ケミカルバイオロジー研究所[20] (Institute of Chemical Biology)
未来エネルギー研究所 [21] (Energy Futures Lab)
グローバルヘルスイノベーション研究所 [22] (Institute of Global Health Innovation)
ナノサイエンス・ナノテクノロジー科 [23] (Nanoscience and Nanotechnology)
システム生物学・合成生物学研究所 [24] (Institute of Systems and Synthetic Biology)
キャンパス
サウス・ケンジントン・キャンパス
ロイヤル・アルバート・ホール 大学の本部はロンドン西部、ハイドパーク に隣接するサウス・ケンジントン に置かれている。合計所有地は52万5233平方メートルであり、これは英国の高等教育機関の中で最大である。[ 11] この地区は高級住宅街として知られており、またロイヤル・アルバート・ホール やハロッズ 、博物館、教育機関、大使館などがあり観光客で賑わっている。
サウス・ケンジントン・キャンパス付近にある教育機関・博物館
ICLを含むこれらの教育機関や博物館の基礎はロンドン万国博覧会 を企画開催したアルバート公 と妻のヴィクトリア女王 によって築かれた。これらの建物群は彼の名を冠しアルバートポリス(Albertopolis)と呼ばれている。
この他にはハマースミス病院のあるハマースミス・キャンパスやケント州にあるワイ・カレッジなどがある。
サウス・ケンジントン・キャンパスのエントランスは卒業生のゲイリー・A・タナカ による2700万ポンドの出資で建築したタナカ・ビジネス・スクールで、2004年にエリザベス2世 女王によってテープカットが行われた。2009年以降、タナカ・ビジネス・スクールはインペリアル・カレッジ・ビジネス・スクールへと名称を変えている。
現在サウス・ケンジントン・キャンパスは創立100周年による改築・増築が行われている。キャンパスに隣接するスポーツセンター「Ethos」が2006年にオープン、大学図書館は2008年に工事作業を終え、大学に隣接する学生寮も改築が完了し、学部棟の増築などが現在も進行中の状態である。2012年ロンドン夏季オリンピックの際には、Southside及びEastsideの学生寮が日本から来たJOC関係者や一部選手団の宿泊地として利用された[ 12] 。
医学部と提携している病院
チェルシー・ウェストミンスター病院 聖メアリー病院
聖メアリー病院
チャリング・クロス病院
セントラル・ミドルセックス病院
イーリング病院
ヒリントン病院
ノーウィック・パーク病院
ウェスト・ミドルセックス病院
アッシュフォード & 聖ピーター病院
ハマースミス病院
施設
サウスケンジントンキャンパスでは学生・職員が利用する図書館が学期中の金曜日11時~土曜日10時以外24時間利用可能である。2013年現在、1090人分用の勉強スペースの他、241台のWindows 7搭載PCが設置されている。[ 13] 同じ敷地にカフェも隣接されている。
図書館隣のSherfield Building内には8室の音楽練習室が設けられており、クラビノーバ 1台、アップライトピアノ 6台とグランドピアノ5台が事前に予約の上利用可能な状態にある。
ロンドンキャンパス付近ではスポーツセンター「Ethos」など数カ所に合計でジムが4つ、プールが2つとスポーツホールが2つ設置されている。[ 14] またヒースロー空港 近くにスポーツグラウンドを所有しており、ラグビー場3面、サッカー場10面などがある。ホッケー、クリケット、ラクロス用のスペースも確保されている他、2011年2月には新たに野球場も建設された。[ 15]
またキャンパス内にはバーが2カ所存在する。学生自治会本部建物内と、Eastside学生寮にそれぞれ設置されている。
主な関係者
出身者
ノーベル賞受賞者
フィールズ賞受賞者
講師・研究員
評価
世界における最難関大学の一つであり、2014/2015年度の大学ランキングでは米マサチューセッツ工科大学 に次いで世界第2位である(英ケンブリッジ大学 と同位2位、QS 2014/2015年版)[ 16] 。過去に14名のノーベル賞受賞者と3名のフィールズ賞受賞者を輩出している。
理系大学であるICLは総合ランキングよりも専門分野でのランキングの方が順位が高いことが多い。例えば2006年度The Times Higher Education Supplement ランキングのテクノロジー部門ではMIT 、バークレー 、IITs に続き世界第4位、ヨーロッパでは第1位。
フィナンシャル・タイムズ はタナカ・ビジネス・スクールをヨーロッパで4位に選んだ。[ 17] 又、計算機科学部はガーディアン大学ガイドの中のComputer Science & IT部門で1位に選ばれた。[ 18]
1999年から2012年の受験生の合格倍率は常に5倍を超えている。[ 19] 国内ではオックスフォード・ケンブリッジに次ぐ成績を求められる大学である。2013年度の合格倍率は学部で6.6倍(最大は医学部の8.0倍)、大学院で5.6倍(最大は工学研究科の7.0倍)であった。[ 20]
ラッセル・グループ 、IDEAリーグ、Association of MBAs(AMBA)、The Association to Advance Collegiate Schools of Business、欧州品質改善システム (EQUIS)に所属している。
2005年より東京医科歯科大学 と医学部生の交換留学を実施している。毎年4、5人の学生が10月から2月まで過ごしている。[ 21]
世界大学ランキング
QS World University Ranking
2014-2015
2013-2014
2012-2013
2011-2012
2010-2011
2009-2010
2008-2009
2007-2008
総合
2= [ 22]
5 [ 23]
6 [ 24]
6 [ 25]
7 [ 26]
5= [ 27]
6 [ 28]
5 [ 29]
工学&IT
6
6
6
6
6
6
7
6
自然科学
11
9
11
11
11
10
14
13
生命科学
9
14=
12
11
11
17
11=
7
社会科学
67=
49=
71
69
65=
77=
85
73
人文科学
145=
156=
177
146
144=
136=
208=
170=
新聞社による評価
その他
ICLの学生自治会(Student Union)には300以上のクラブがあり、これはイギリスの大学の中で最多である。自治会はサバティカル制度を活用した学生5人の幹部や大学職員によって運営されている。
学生によって運営されているラジオ(ICRadio)[26] (1975年創立)、新聞(Felix)[27] (1949年創立)、テレビチャンネル(stoic TV)[28] (1969年創立)がある。
理系大学は男性の割合が女性に比べ高くなりがちだが、ICLでは平均して男6:女4と総合大学に近い比率になっている。一部の工学部では5:1になるが、医学部など生物系の学部では1:1に近い割合になる。
自動車部のエンジニア達によってメンテナンスされているクラシックカー 「Boanerges」(Bo'と呼ばれている)が学生のマスコットである。[29]
ICLの音楽イベントを手配するJazz and Rock Societyではこれまでにクイーン を始めとする様々なバンドを招いてイベントを行ってきた。
ICLで演奏したことのあるバンドは以下の通りである[ 57] 。ブライアン・メイ
関連項目
脚注
外部リンク
ウィキメディア・コモンズには、
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