2018年の野球において、メジャーリーグベースボール(MLB)のポストシーズンは10月2日に開幕した。ナショナルリーグの第49回リーグチャンピオンシップシリーズ(英語: 49th National League Championship Series、以下「リーグ優勝決定戦」と表記)は、12日から20日にかけて計7試合が開催された。その結果、ロサンゼルス・ドジャース(西地区)がミルウォーキー・ブルワーズ(中地区)を4勝3敗で下し、2年連続23回目のリーグ優勝および20回目のワールドシリーズ進出を果たした。
両球団がポストシーズンで対戦するのはこれが初めて。ドジャースのナショナルリーグ優勝回数は今シリーズ制覇により、サンフランシスコ・ジャイアンツと並ぶ歴代最多タイとなった[3]。ブルワーズは、レギュラーシーズン終盤から11連勝継続中のままリーグ優勝決定戦進出という歴代最長記録に並んだものの[注 1][4]、今シリーズではドジャースにその勢いを止められ、36年ぶりのワールドシリーズ進出を逃した。シリーズMVPには、第4戦・延長13回裏のサヨナラ適時打や最終第7戦での逆転・決勝2点本塁打などの殊勲打を放ち、7試合で打率.200・1本塁打・4打点・OPS.591を記録したドジャースのコディ・ベリンジャーが選出された。しかしドジャースは、ワールドシリーズではアメリカンリーグ王者ボストン・レッドソックスに1勝4敗で敗れ、30年ぶり7度目の優勝を逃した。
今シリーズの冠スポンサーは、Google開発のバーチャルアシスタント "Google アシスタント" が務める[5]。したがって大会名はナショナルリーグチャンピオンシップシリーズ presented by the Google アシスタント(英語: National League Championship Series presented by the Google Assistant)となる。
10月7日にまずブルワーズ(中地区優勝)が、そして8日にはドジャース(西地区優勝)が、それぞれ地区シリーズ突破を決めてリーグ優勝決定戦へ駒を進めた。
ブルワーズは2016年の73勝89敗・地区4位から2017年は86勝76敗・地区2位と成績を上げ、ポストシーズン進出圏へ1.0ゲーム差まで迫った。これを受け、2018年1月にはいずれも外野手のクリスチャン・イエリッチとロレンゾ・ケインを相次いで獲得し、2011年以来のポストシーズン出場を目指す姿勢を明確にした[6]。開幕後はシカゴ・カブスと地区首位を争う。5月中旬に首位へ浮上し、6月中旬には0.5ゲーム差の2位カブスとの直接対決に2勝1敗と勝ち越して差を広げた[7]。だが前半戦終了直前に8戦7敗の不振に陥り、カブスに順位を逆転されて2.5ゲーム差をつけられた[8]。後半戦に入っても調子は上向かず、一時はカブスに追いつくどころかセントルイス・カージナルスにも抜かれて地区3位に落ちた。7月から8月にかけてチームは補強に動き、トレードでマイク・ムスタカスやジオ・ゴンザレス、カーティス・グランダーソンらを加えた。9月に入るとイエリッチの打撃が絶好調となり[9]、チームも一転して月間19勝7敗の高勝率を残す。その結果、162試合を95勝67敗で終え、カブスと地区首位に並んだ。そして直接対決の1試合プレイオフに3-1で勝利し、地区優勝を果たした。平均得点4.63はリーグ7位、防御率3.73はリーグ4位。新加入のイエリッチとケインはともに攻守に優れた活躍を見せ[10]、ジョシュ・ヘイダーら救援投手陣が相手打線の反撃を断って勝利を積み重ねた[9]。地区シリーズではコロラド・ロッキーズを3勝0敗で下した[11]。
ドジャースは前年のワールドシリーズでヒューストン・アストロズに敗れたが、その後のオフはあまり動かなかった。12月にはアトランタ・ブレーブスとのトレード交渉をまとめ、エイドリアン・ゴンザレスら4選手との交換でマット・ケンプを獲得したが、これは年俸総額調整が目的であり、ケンプを戦力とは見なしていなかった[12]。シーズン序盤のドジャースは、コーリー・シーガーやクレイトン・カーショウら主力の故障離脱が相次ぎ、抑えのケンリー・ジャンセンが救援失敗を重ねたこともあって、一時は16勝26敗で負け越し数が2桁に達した[13]。しかしそこから盛り返して、前半戦終了時には53勝43敗で地区首位に浮上していた。前半戦途中で2桁負け越しのチームが前半戦終了時にここまで勝率を上げたのは史上初である[14]。ケンプやマックス・マンシー、ロス・ストリップリングらが、期待以上の働きで離脱者の穴を埋めた[13]。7月18日にはシーガーの代役としてマニー・マチャドをトレードで獲得し、後半戦はアリゾナ・ダイヤモンドバックスやロッキーズと地区優勝を争う。結局、162試合終了時点では91勝71敗でロッキーズと並び、直接対決の1試合プレイオフに5-2で勝利して地区6連覇を決めた。投手陣に規定投球回到達者がおらず、野手でもシーガーやジャスティン・ターナーらが長期欠場しながらも、平均得点4.93と防御率3.38のいずれもリーグ最高と選手層の厚さが光った[15]。地区シリーズではブレーブスを3勝1敗で下した[16]。
リーグ優勝決定戦の第1・2・6・7戦を本拠地で開催できる "ホームフィールド・アドバンテージ" は、地区優勝球団どうしが対戦する場合はレギュラーシーズンの勝率がより高いほうの球団に、地区優勝球団とワイルドカード球団が対戦する場合は地区優勝球団に与えられる。したがって今シリーズでは、ブルワーズがアドバンテージを得る。この年のレギュラーシーズンでは両球団は7試合対戦し、ドジャースが4勝3敗と勝ち越していた[17]。
両チームの出場選手登録(ロースター)は以下の通り。
ブルワーズは地区シリーズのロースターから、外野手のキーオン・ブロクストンに代えて投手のゼイビア・セデーニョを加えた。ブロクストンは地区シリーズで2試合に途中出場し、第3戦ではソロ本塁打も放った。ただ外野は、既にドミンゴ・サンタナやカーティス・グランダーソンを擁するうえ、内野手登録のエルナン・ペレスもこなせるため、人員が余っていた[18]。リーグ優勝決定戦では最大試合数が地区シリーズより2試合増え、地区シリーズにはない3連戦が挟まることから、ブルワーズは投手の数を増やすことにした[19]。対戦相手のドジャース打線には、シーズン25本塁打以上の左打者がマックス・マンシーをはじめ3人おり[20]、セデーニョには試合終盤で彼らを抑える役割が期待される[18]。
ドジャースは地区シリーズのロースターから救援左腕を入れ替え、スコット・アレクサンダーを外してフリオ・ウリアスを登録した。アレクサンダーは地区シリーズ第3戦で1点ビハインドの8回裏に登板し、1イニングを三者凡退に封じた。ウリアスは2017年6月に左肩の手術を受けて1年以上欠場し、この年9月に復帰したあとは3試合4.0イニングに登板したのみだった。救援左腕どうしを入れ替えた理由についてGMのファーハン・ザイディは、両者の投球スタイル――アレクサンダーの投球の85%を92〜93mph(148.9km/h前後)のシンカーが占めるのに対し、ウリアスは最速97mph(約156.1km/h)の速球と複数の変化球を織り交ぜる――とブルワーズ打線との相性を考慮したと説明する[21]。
CBSスポーツが自社の記者6人にどちらがシリーズを制するか予想させたところ、ブルワーズ支持とドジャース支持で3人ずつに分かれた[22]。『スポーツ・イラストレイテッド』も同様の企画を記者6人で実施し、こちらではドジャース勝利予想が4人に対しブルワーズ勝利予想が2人という結果となった[23]。
2018年のナショナルリーグ優勝決定戦は10月12日に開幕し、途中に移動日を挟んで9日間で7試合が行われた。日程・結果は以下の通り。
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