ヨバニー・ガヤルド(Yovani Gallardo, 1986年2月27日 - )は、メキシコ合衆国ミチョアカン州ラ・ピエダード出身のプロ野球選手(投手)。右投右打。現在は、フリーエージェント(FA)。愛称はヨー/Yo、またはジョー/Yo[2]。
英語読みでヨバニー・ガヤードと表記されることもある。
経歴
プロ入りとブルワーズ時代
アメリカ合衆国テキサス州フォートワースで高校時代を過ごしたため、ドラフト対象となった。2004年のMLBドラフト2巡目(全体46位)でミルウォーキー・ブルワーズから指名を受け、プロ入り。
2007年2月にベースボール・アメリカが発表した有望株ランキングではブルワーズの組織内で最高評価を受けた[3]。2007年はメジャーのスプリングトレーニングのオープン戦に5回登板したが、防御率は7.27だった[4]。開幕をAAA級ナッシュビル・サウンズで迎え、6月14日にクリス・カプアーノの故障者リスト入りに伴い、メジャー昇格。AAA級ナッシュビルではメジャー昇格時点で8勝3敗・防御率2.90、奪三振はマイナーリーグ最多の110を記録[4]。6月18日のサンフランシスコ・ジャイアンツ戦においてメジャーデビュー。同年、20試合の登板で9勝を挙げた。
2008年は左ひざを痛め、故障者リストで開幕を迎え、4月20日にメジャー復帰[5]。5月1日のシカゴ・カブス戦、5回の先頭打者リード・ジョンソンは一塁方向へバントし、一塁へとヘッドスライディング。ベースカバーに入ったガヤルドと交錯。ガヤルドは6回が終わるまで投げた。しかし、前十字靭帯を損傷したため、故障者リスト入り[6]。その後、9月25日に1試合登板しただけで、レギュラーシーズンを終えた。フィラデルフィア・フィリーズとのディビジョンシリーズでガヤルドは第1戦に登板したが、コール・ハメルズに敗れ、チームは1勝3敗で2008年シーズンを終えた。
2009年のスプリングトレーニング中に第2回ワールド・ベースボール・クラシック(WBC)のメキシコ代表入りを打診されるが、シーズンの準備に集中するため、辞退した[7]。シーズンでは[月8日のジャイアンツ戦でランディ・ジョンソンから3点本塁打を放った。ジョンソンから本塁打を放った唯一の投手となった[8]。投球でも6回と2/3を投げ2失点に抑え、勝ち投手となった[9]。
4月24日のヒューストン・アストロズ戦では9回2失点7奪三振で、メジャー初完投を記録した[10]。この次の登板となった4月29日のピッツバーグ・パイレーツ戦では8回無失点11奪三振と好投し、7回には決勝本塁打を放ち、チームは1-0で勝利した。自ら本塁打を放ち、1-0で勝利したのは史上26人目。なおかつ10奪三振以上を奪ったのはレッド・ラフィング、アーリー・ウィンに次いで史上3人目[11]。シーズン終盤にはスタミナ不足もあり失速したが、最終的に30試合に先発し、13勝をあげた。
2010年4月7日にブルワーズと5年総額3000万1000ドルで契約した。2014年で契約を見直し、2015年の1300万ドルはオプションとなる[12]。5月28日のニューヨーク・メッツ戦でメジャー初完封を記録した。この年、自身初のオールスターに選出されるも、選出後に故障した。最終的に14勝をあげ、2年連続で200奪三振を記録した。また打撃でも投手ながら打率.254、4本塁打、長打率.504を記録した。ナショナルリーグのシルバースラッガー賞を受賞した。
2011年はエースのザック・グレインキーが故障者リスト入りしていたため、開幕投手に選ばれた。5月7日のセントルイス・カージナルス戦では7回まで無安打に抑える快投を見せる。しかし8回の先頭打者ダニエル・デスカルソにセンター前ヒットを打たれ、快挙はならなかった。最終的に自己最多の17勝をあげ、3年連続で200奪三振を記録した。25歳以下で3年連続200奪三振を記録したのは、ケリー・ウッド、フェリックス・ヘルナンデスに次ぎ、3人目。
2012年7月15日のパイレーツ戦では自己最多の1試合14奪三振を記録した。
シーズンでは16勝をあげ、204奪三振を記録し、4年連続200奪三振を達成した。
2013年開幕前の3月に開催された第3回WBCのメキシコ代表に選出された[13]。
2014年5月27日のボルチモア・オリオールズ戦の10回裏、代打として出場し、T.J.マクファーランドからサヨナラ二塁打を放った。投手がサヨナラ安打を打ったのは2003年のグレンドン・ラッシュ以来だった。尚、ラッシュのサヨナラ安打もラッシュがブリュワーズに所属し、延長戦で代打として起用された際に記録したものである。
レンジャーズ時代
2015年1月19日にコーリー・クネイブル、ルイス・サーディナス、マルコス・ディプラン(英語版)とのトレードで、テキサス・レンジャーズへ移籍した[14]。レンジャーズでも先発ローテーションに定着し、33試合に登板して2シーズンぶりの二桁勝利を記録。また、シーズン11勝目は自身通算100勝目の勝ち星だった。2009年の規定投球回到達以来自己ワーストの奪三振率(5.9)だったが、一方で防御率3.42[15]は同自己ベストだった。オフの11月2日にFAとなった[16]。
オリオールズ時代
2016年2月20日にオリオールズと3年3500万ドルの契約で合意したと報じられた[17]が、オリオールズによる身体検査で問題が見つかり、25日に2年2200万ドルに減額して正式に契約を結んだ[18]。シーズンでは開幕2戦目の4月6日のミネソタ・ツインズ戦で先発し、5回を1失点に抑えて移籍後初勝利を挙げた[19]。しかしシーズン全体では低調で、23試合の先発登板・2008年以来8年ぶりの規定投球回未達に終わった。防御率5.42と与四球率4.7は、いずれも自己ワーストだった。
マリナーズ時代
2017年1月6日にセス・スミスとのトレードで、シアトル・マリナーズへ移籍した[20]。2月8日に第4回WBC本戦のメキシコ代表に選出された[21]。レギュラーシーズンでは22試合先発含め28試合に登板したが、5勝10敗と2年連続1桁勝利に終わり、防御率も5.72と自己ワーストを更新した。オフの11月2日にFAとなった[22]。
レッズ時代
2017年12月21日にプロ入り時の古巣であるブルワーズと1年200万ドル(プラス出来高最大200万ドル)で契約を結んだ[23]が、2018年3月26日に自由契約となった[24]。
3月31日にシンシナティ・レッズと1年契約を結んだ[25]。4月6日のパイレーツ戦では、1⁄3回で6失点するなど、3試合の登板で21⁄3回、自責点8、防御率30.86の成績[16]で、4月10日にタナー・レイニーの昇格に伴ってDFAとなり[26]、12日に40人枠から外れて傘下のAAA級ルイビル・バッツに降格し、同日付でFAとなった[16]。
レンジャーズ復帰
2018年4月13日にレンジャーズとマイナー契約を結び[27]、20日に傘下のAAA級ラウンドロック・エクスプレスへ配属された[16]。6月17日にメジャー契約を結んでアクティブ・ロースター入りした[28]。オフの10月29日にFAとなった[16]。
投球スタイル
オーバースローから、平均90mph(約145km/h)速球(フォーシーム・ツーシーム)と、平均87mph(約140km/h)のスライダーを中心に、決め球の平均77mph(約124km/h)カーブ、その他に平均84mph(約135km/h)チェンジアップも使用する(2016年)[29]。
キャリアでの最速は2009年に計測した97.5mph(約157km/h)。2011年の速球の平均球速は92.6mph(約149km/h)だったが、この年をピークに以降減速傾向にある。
詳細情報
年度別投手成績
年
度 |
球
団 |
登
板 |
先
発 |
完
投 |
完
封 |
無 四 球 |
勝
利 |
敗
戦 |
セ 丨 ブ |
ホ 丨 ル ド |
勝
率 |
打
者 |
投 球 回 |
被 安 打 |
被 本 塁 打 |
与 四 球 |
敬
遠 |
与 死 球 |
奪 三 振 |
暴
投 |
ボ 丨 ク |
失
点 |
自 責 点 |
防 御 率 |
W H I P
|
2007
|
MIL
|
20 |
17 |
0 |
0 |
0 |
9 |
5 |
0 |
0 |
.643 |
466 |
110.1 |
103 |
8 |
37 |
2 |
2 |
101 |
3 |
0 |
48 |
45 |
3.67 |
1.27
|
2008
|
4 |
4 |
0 |
0 |
0 |
0 |
0 |
0 |
0 |
---- |
97 |
24.0 |
5 |
3 |
8 |
0 |
0 |
20 |
0 |
0 |
5 |
5 |
1.88 |
1.25
|
2009
|
30 |
30 |
1 |
0 |
1 |
13 |
12 |
0 |
0 |
.520 |
793 |
185.2 |
150 |
21 |
94 |
5 |
5 |
204 |
9 |
0 |
78 |
77 |
3.73 |
1.31
|
2010
|
31 |
31 |
2 |
2 |
1 |
14 |
7 |
0 |
0 |
.667 |
803 |
185.0 |
178 |
12 |
75 |
5 |
3 |
200 |
7 |
1 |
89 |
79 |
3.84 |
1.37
|
2011
|
33 |
33 |
1 |
1 |
0 |
17 |
10 |
0 |
0 |
.630 |
865 |
207.1 |
193 |
27 |
59 |
1 |
1 |
207 |
12 |
0 |
92 |
81 |
3.52 |
1.22
|
2012
|
33 |
33 |
0 |
0 |
0 |
16 |
9 |
0 |
0 |
.640 |
860 |
204.0 |
185 |
26 |
81 |
3 |
0 |
204 |
5 |
0 |
86 |
83 |
3.66 |
1.30
|
2013
|
31 |
31 |
0 |
0 |
0 |
12 |
10 |
0 |
0 |
.545 |
773 |
180.2 |
180 |
18 |
66 |
1 |
3 |
144 |
5 |
0 |
92 |
84 |
4.18 |
1.36
|
2014
|
32 |
32 |
0 |
0 |
0 |
8 |
11 |
0 |
0 |
.421 |
817 |
192.1 |
195 |
21 |
54 |
2 |
4 |
146 |
8 |
0 |
86 |
75 |
3.51 |
1.30
|
2015
|
TEX
|
33 |
33 |
0 |
0 |
0 |
13 |
11 |
0 |
0 |
.542 |
793 |
184.1 |
193 |
15 |
68 |
0 |
1 |
121 |
10 |
0 |
76 |
70 |
3.42 |
1.42
|
2016
|
BAL
|
23 |
23 |
0 |
0 |
0 |
6 |
8 |
0 |
0 |
.429 |
526 |
118.0 |
126 |
16 |
61 |
2 |
1 |
85 |
6 |
0 |
74 |
71 |
5.42 |
1.59
|
2017
|
SEA
|
28 |
22 |
0 |
0 |
0 |
5 |
10 |
1 |
0 |
.333 |
578 |
130.2 |
138 |
24 |
60 |
3 |
2 |
94 |
7 |
0 |
84 |
83 |
5.72 |
1.52
|
2018
|
CIN
|
3 |
0 |
0 |
0 |
0 |
0 |
0 |
0 |
0 |
---- |
19 |
2.1 |
8 |
1 |
4 |
0 |
0 |
2 |
0 |
0 |
8 |
8 |
30.86 |
5.14
|
TEX
|
18 |
18 |
0 |
0 |
0 |
8 |
8 |
0 |
0 |
.500 |
403 |
92.0 |
99 |
13 |
43 |
2 |
2 |
56 |
6 |
0 |
60 |
59 |
5.77 |
1.54
|
'18計
|
21 |
18 |
0 |
0 |
0 |
8 |
8 |
0 |
0 |
.500 |
422 |
94.1 |
107 |
14 |
47 |
2 |
2 |
58 |
6 |
0 |
68 |
67 |
6.39 |
1.63
|
MLB:12年
|
319 |
307 |
4 |
3 |
2 |
121 |
101 |
1 |
0 |
.545 |
7793 |
1816.2 |
1770 |
205 |
710 |
26 |
24 |
1584 |
78 |
1 |
878 |
820 |
4.06 |
1.37
|
- 2018年度シーズン終了時
- 各年度の太字はリーグ最高
表彰
記録
背番号
- 49(2007年 - 2017年、2018年6月17日 - 同年終了)
- 31(2018年 - 同年4月9日)
代表歴
脚注
関連項目
外部リンク
業績 |
---|
開幕投手 |
---|
|
---|
1960年代 | |
---|
1970年代 | |
---|
1980年代 | |
---|
1990年代 | |
---|
2000年代 | |
---|
2010年代 | |
---|
2020年代 | |
---|
|
---|
1960年代 | |
---|
1970年代 | |
---|
1980年代 | |
---|
1990年代 | |
---|
2000年代 | |
---|
2010年代 | |
---|
2020年代 | |
---|
|
|
WBCメキシコ代表 |
---|
|