1987年の世界ツーリングカー選手権は、1987年3月22日にイタリアのモンツァ・サーキットで開幕し、11月8日に日本の富士スピードウェイで閉幕するまで、全11戦で争われた。
概要
ヨーロッパツーリングカー選手権(ETC)から世界ツーリングカー選手権(WTC)に改まるに伴い、大きな変更として、選手権へのエントリー費用として6万ドルを求めるようになったが、これが敬遠され、選手権への参戦チーム数は40チーム(40台)近くもあった前年から大幅に数を減じ、10チーム(10台)強にとどまった。選手権ポイントの獲得は認められないものの選手権に参加しないチームのレース参戦は認められたため、各レースの参戦台数は40台程度と前年並みを保った。しかしながら、チームにかかるコストの問題は避けられず、WTCはこの年限りの短命に終わった。
見落とされがちなことであるが、ヨーロッパツーリングカー選手権については、前年限りで消滅したわけではなく、エントリー費用がより安い(6,000ドル)選手権として、この年も存続した。CiBiEmmeスポーツなど、幾つかのチームはWTCとは別に車両やドライバーをエントリーさせたが、選手権を分割させたこの試みは混乱を助長させたのみで終わり、翌年は再びヨーロッパツーリングカー選手権(ETC)として一本化された。しかしながら、この年に引き起こされた混乱と低迷は尾を引き、ETCは1988年をもってその歴史に一旦幕を下ろすこととなる。
2005年から「世界ツーリングカー選手権(World Touring Car Championship, WTCC)」という同じ名前の選手権が開催されることとなるが、耐久レース色の強いWTCに対してスプリントレースとなっているなど、内容としては大きく異なるものである。
車両
Div. |
車種 |
排気量・種別
|
3
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マセラティ・ビトゥルボ
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2,491cc・ターボ
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フォード・シエラRSコスワース フォード・シエラRS500
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1,993cc・ターボ
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ホールデン・コモドア
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4,980cc・NA
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フォード・マスタング
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4,968cc・NA
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BMW・635CSi
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3,475cc・NA
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トヨタ・スープラ ターボ
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2,954cc・ターボ
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ボルボ・240 ターボ
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2,141cc・ターボ
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日産・スカイラインGTS-R (R31)
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2,029cc・ターボ
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日産・スカイラインRSターボ (R30)
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1,990cc・ターボ
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三菱・スタリオンターボ
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1,998cc・ターボ
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2
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BMW・M3
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2,332cc・NA
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アルファロメオ・75ターボ
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1,779cc・ターボ
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メルセデス・ベンツ・190E
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2,323cc・NA
|
1
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アルファロメオ・33
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1,498cc・NA
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日産・パルサーEN13
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1,598cc・NA
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アウディ・80GLE
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1,596cc・NA
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フォルクスワーゲン・ゴルフGT1
|
1,596cc・NA
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ホンダ・シビック
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1,595cc・NA
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トヨタ・カローラGTなど
|
1,587cc・NA
|
BMW(BMW・M3)、フォード(フォード・シエラRSコスワース、シエラRS500)、アルファロメオ(アルファロメオ・75ターボ、33)、マセラティ(マセラティ・ビトゥルボ)が選手権にエントリーした。
エントリー費用値上げの影響により前年度に参戦したチームから選手権への参戦見合わせが相次いだため、前年度参戦していた車の中で、前年のマニュファクチャラーズタイトルホルダーであるトヨタほか、メルセデス・ベンツ、ボルボ、アウディ、フォルクスワーゲンの車両については、ワークスチームも含め選手権非参戦組のみが用いた。
タイヤは、選手権に参戦したチームを含め大部分がダンロップ、ピレリ、ヨコハマのいずれかを装着したが、それ以外ではブリヂストンを履いた車両(日産・スカイライン)もいた。
区分
車両区分(ディビジョン)については、排気量1,600cc以下の車両は「ディビジョン1」、1,600ccを超え2,400cc以下の車両は「ディビジョン2」、2,400ccを超える車両もしくは1,800ccを超えかつターボチャージャーを搭載している車両については「ディビジョン3」となっている(右表。太字は選手権参戦車両)。
エントリーリスト
(選手権参戦チームのみ。各チームのドライバーの配列は参戦順)
開催カレンダー
* 斜体のドライバーは2人(3人)の正式ドライバーの中には含まれない3人目(4人目)であるため、選手権ポイントは与えられない(同一レースでも自分が登録されている他の車両で獲得したポイントは有効)。
ランキング
ドライバー
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色 |
結果
|
金色 |
優勝
|
銀色 |
2位
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銅色 |
3位
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緑 |
ポイント圏内完走
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青灰色 |
ポイント圏外完走
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周回数不足 (NC)
|
紫 |
リタイヤ (Ret)
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赤 |
予選不通過 (DNQ)
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予備予選不通過 (DNPQ)
|
黒 |
失格 (DSQ)
|
白 |
スタートせず (DNS)
|
エントリーせず (WD)
|
レースキャンセル (C)
|
空欄
|
欠場
|
出場停止処分 (EX)
|
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* 各レースの総合順位(選手権ポイントの獲得資格がないチームを除く)と各ディビジョンでそれぞれ上位から20点-15点-12点-10点-7点-6点という形で、6位までにポイントが与えられその合算となる。仮にレース総合で3位で、属するディビジョンで1位だった場合、3位12ポイントと1位20ポイントの合計で32ポイントを得ることとなる。すなわち、1レースにおいて獲得可能な得点は最大で40ポイントとなる。
チーム
順位
|
チーム
|
ディビジョン
|
Rd 1
|
Rd 2
|
Rd 3
|
Rd 4
|
Rd 5
|
Rd 6
|
Rd 7
|
Rd 8
|
Rd 9
|
Rd 10
|
Rd 11
|
合計ポイント
|
1
|
Eggenberger Texaco Ford No 7
|
3
|
-
|
30
|
25
|
40
|
-
|
40
|
30
|
-
|
23
|
40
|
40
|
268
|
2
|
Schnitzer BMW M3 No 46
|
2
|
-
|
40
|
-
|
27
|
12
|
25
|
40
|
-
|
35
|
35
|
35
|
249
|
3
|
Schnitzer BMW M3 No 40
|
2
|
-
|
30
|
30
|
35
|
-
|
-
|
-
|
24
|
27
|
25
|
27
|
198
|
4
|
Eggenberger Texaco Ford No 6
|
3
|
-
|
23
|
32
|
-
|
-
|
30
|
16
|
-
|
40
|
27
|
25
|
193
|
5
|
Bigazzi BMW M3 No 43
|
2
|
-
|
24
|
-
|
22
|
40
|
32
|
-
|
30
|
-
|
-
|
16
|
164
|
6
|
CiBiEmme Sport BMW M3 No 42
|
2
|
-
|
16
|
40
|
-
|
-
|
20
|
-
|
40
|
22
|
-
|
20
|
158
|
参照
関連項目
外部リンク