『地獄門』(じごくもん、英題:Gate of Hell)は、1953年(昭和28年)10月31日公開の日本映画である。大映製作・配給。監督は衣笠貞之助、主演は長谷川一夫。イーストマンカラー、スタンダード、89分。
日本初のイーストマン・カラー作品で[3]、大映にとっても初の総天然色映画となる。『平家物語』や『源平盛衰記』などで語り継がれた、袈裟と盛遠の物語を題材にした菊池寛の戯曲『袈裟の良人』が原作[4]。色彩指導に洋画家の和田三造を起用して平安時代の色彩(和色)の再現に努めた。本作は第7回カンヌ国際映画祭で最高賞であるグランプリ[注 1]、第27回アカデミー賞で名誉賞と衣裳デザイン賞を受賞した[5]。
ストーリー
平清盛の厳島詣の留守を狙って起された平治の乱で、平康忠は、焼討をうけた御所から上皇と御妹・上西門院を救うため、身替りを立てて敵を欺いた。上西門院の身替りとなった袈裟の車を護る遠藤武者盛遠は、敵をけちらして彼女を彼の兄・盛忠の家に届けたが、袈裟の美しさに心を奪われる。清盛派の権臣の首が法性寺の山門地獄門に飾られ、盛遠は重囲を突破して厳島に急行した。かくて都に攻め入った平氏は一挙に源氏を破り乱は治った。袈裟に再会した盛遠はますます心をひかれ、論功行賞に際し、清盛から「望み通りの賞を与える」と言われるや、即座に袈裟を乞うが彼女はすでに御所の侍、渡辺渡の妻だった。しかしあくまで彼女を忘れえない煩悩に苦しむ盛遠は、加茂の競べ馬で渡に勝利、その勢いのまま祝宴の席で場所柄もわきまえず渡に真剣勝負を挑み、清盛の不興を買う。自制心を失い、ついに狂気にとりつかれた盛遠は刀を手に袈裟と叔母の左和を脅かす。従わねば渡の命が無いと知った袈裟は、「夫・渡を殺してくれ」と偽り、自らその身替りとなって盛遠の手により絶命する。数日後、頭を丸め僧衣をまとった盛遠は、都を離れて苦悩の旅に出て行く[6]。
スタッフ
キャスト
作品解説
奥田久司によると、大映本社でこの映画の企画が上がった際、社長の永田雅一が大乗り気だったのに対し、社員たちは全員反対した。これに怒った永田社長は「それなら俺一人でやる!」と、強引に本作品の製作に踏み切った[7]。結果、カンヌ国際映画祭でグランプリ、アカデミー賞で衣裳デザイン賞と名誉賞を獲得した。カンヌ国際映画祭で審査委員長を務めたジャン・コクトーは、「これこそ美の到達点」と本作を絶賛した[8]。
2011年(平成23年)、東京国立近代美術館・フィルムセンターと角川映画の共同事業として、撮影助手として本作に関わった森田富士郎の監修、IMAGICAの協力の下、オリジナル・ネガより三色分解したマスター・ポジなどを素材に、当時の色彩を復元した初のデジタル・リマスター版が制作され、同年5月2日、NHK BSプレミアムで放映された[4][6]。
受賞歴
脚注
注釈
- ^ 1954年当時、カンヌ映画祭の最高賞はパルム・ドールではなくて、グランプリだった。
出典
外部リンク
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