ニヴルヘイム(ニフルヘイム)(古ノルド語: Niflheimr、「霧の国」または「暗い国」)は、北欧神話の九つの世界のうち、下層に存在するとされる冷たい氷の国。ギンヌンガガプと呼ばれる亀裂を挟んでムスペルヘイムの北方にある。ロキの娘ヘルが投げ込まれた場所であり[1]、時にヘルヘイムと同一視される。
天地創造以前から存在し、ニヴルヘイムには世界樹の根の一つが伸びているが、その下にはフヴェルゲルミルと呼ばれる泉がある。この泉には世界樹の根を齧るニドヘグという蛇が住み[2]、フヴェルゲスヴォル、グンスラー、フィヨルム、フィンブルスル、スリーズ、フリーズ、シュルグ、ユルグ、ヴィーズ、レイプト、ギョッルなどの川の源とされているが、このうちギョッルがニヴルヘイムとヘルヘイムを隔てている[3]。そこにはギャラルブルという黄金の橋が架かっており、モーズグズという女巨人が守っていると考えられていた[4]。
また、ニヴルヘイムにはエーリヴァーガルという川があり、凍りながら北のギンヌンガガプに至るとされている[5]。
脚注
- ^ 『エッダ 古代北欧歌謡集』249頁(「ギュルヴィたぶらかし」34章)
- ^ 『エッダ 古代北欧歌謡集』239頁(「ギュルヴィたぶらかし」15章)
- ^ 『エッダ 古代北欧歌謡集』227頁(「ギュルヴィたぶらかし」4章)
- ^ 『エッダ 古代北欧歌謡集』272頁(「ギュルヴィたぶらかし」49章)
- ^ 『エッダ 古代北欧歌謡集』227頁(「ギュルヴィたぶらかし」5章)
参考文献
- V.G.ネッケル他編『エッダ 古代北欧歌謡集』谷口幸男訳、新潮社、1973年。
関連項目