『ギャラガ』 (GALAGA) は、ナムコ(現・バンダイナムコアミューズメント)が1981年9月に発売したアーケードゲーム。
宇宙での戦いをイメージした固定画面型のシューティングゲームである。同社のゲーム『ギャラクシアン』(1979年)の後継として登場。ゲームデザイナーは横山茂。現在はUGSFシリーズの一作として扱われる。同社として初のスコアランキング(1位~5位、初期ハイスコア=20000)とネームエントリー(アルファベット3文字)を採用。
タイトルの「ギャラガ」とは、「ギャラクシー」+「蛾」の造語である[1]。その名の通り、前作『ギャラクシアン』に比べ、敵キャラクターのデザインが蛾を連想させるものとなっている。
ファミリーコンピュータ等の家庭用ゲーム機や、電波新聞社により多くのパソコンにも移植された他、続編の『ギャラガ'88』(1987年)が発売されている。また、2007年3月にはTシャツブランドMARS16からオフィシャルのTシャツもリリースされた。
1981年登場以来、その人気は5年間も継続しており「『ギャラガ』ほど長く人々に愛されたシューティングゲームはないのではないか」との声もある[2]。その人気どおり、前述のファミリーコンピュータ移植版も定番ゲームとして広く一般層に受け入れられた[2]。
自機(ファイター)を操り、各ステージに現れる40機の敵機(ギャラガ)を倒して行く。ステージ数の表示がされてから暫く経つと、画面外(上・左下・右下)から敵の編隊が画面内に飛来し所定の位置に整列する[3]。この時点では敵は積極的な攻撃はして来ないが、ステージ数が進むと数発の攻撃弾を自機にめがけて放って来たり、数機の編隊の余剰敵が自機にめがけて体当たりをして来たりすることがある。
全ての編隊が画面内に入ってから少しすると、自機にやや近い側の敵から順に降下攻撃を仕掛けてくる[3]。単機で攻撃を仕掛けて来る敵も有れば、ボス・ギャラガと共に編隊を組んで向かって来る敵、分裂を起こして3機編隊で向かって来る敵も有り、編隊で向かって来る敵は順番、連続で撃破すると多めのボーナスが貰えるようになっている。このボーナスのシステムは前作『ギャラクシアン』を受け継いでいる。
また、敵機を倒した時の得点は待機時より降下攻撃中の方が点数が高くなっている。
以下の方法により自機がパワーアップし、デュアル・ファイターとなることができる。デュアル・ファイターとは自機を2機並列に合体させた状態のもので、1回の攻撃で弾を2発同時に発射できるようになる[3]。結果として攻撃範囲が広くなるが、当たり判定も大きくなる。
ただし、あくまで「攻撃中」にボス・ギャラガを倒さなければならず、待機中に倒してしまうと、捕虜となった自機は敵として、ギャラガと同じ動きで攻撃してくる。しかし、それを打ち落とさずに画面外に逃がすと、そのステージでは出て来なくなり、次のステージの最後に現れ、左から2番目のボス・ギャラガの真上に整列する。その後、改めてボス・ギャラガが連れて来るので、改めて奪還可能となる。
捕虜となった自機を撃ち落としてしまうと「救出失敗」であり、1000点は獲得できるものの、結果的に自機を1機失うことになる[3]。
自機のストックがない状態でボス・ギャラガのトラクタービームに引っかかって捕虜にされてしまうと、ゲームオーバーになる[3]。デュアル・ファイターの時はボス・ギャラガはトラクタービームを放って来ない。
最初は2ステージをクリアした後、以降は3ステージをクリアする毎に「チャレンジングステージ」(ボーナスステージ)が出現する。これは様々な編隊飛行をする敵機を撃ち落として得点を稼ぐ内容であり、全部で8種類ある。このステージでは敵は飛び回るだけで全く攻撃せず、自機と当たる位置まで降下することもないので、チャレンジングステージでは自機を失うことはない。編隊飛行は各編隊8機ずつ5組あるが、2組目にはボス・ギャラガが含まれており、勿論2発撃ち込む必要がある。
チャレンジングステージのボーナスはパーフェクトを除き撃墜数×100点で、上手く全てを撃ち落としてパーフェクトを出すと、スペシャルボーナス10000点が得られる。他にも各編隊を全滅させた際にはボーナス点が入る。
またエブリエクステンド設定であっても、100万点を超えると自機が増えなくなる。 なお1000万点超までプレイしたプレイヤーも複数存在する。マイコソBASICマガジソ別冊 ALL ABOUT ベーマガCHALLENGE HIGH SCORE!
ステージ255(チャレンジングステージ)をクリアすると、次はステージ0が始まり、開始後にギャラガが1匹だけ飛来してきて強制リセットが掛かったり、フリーズして、ゲームが続行できなくなる。(ランク設定によって挙動が異なる)
神田商会によりおもちゃを指定商品に含む「ギャラガー」の商標(登録番号1258022)が1974年に申請、1977年に登録されていた[4]。1982年発売のm5版の名称はギャラックスに変更され、1983年発売のPV-2000版では神田商会の登録商標マークがつけられてギャラガのままリリースされた[5]。その後、登録番号1258022の「ギャラガー」の商標はバンダイナムコエンターテインメントに移転している[4]。
※ 下記表における社名「バンナム」は、ナムコの家庭用ゲーム事業社名が後に「バンダイナムコゲームス」→「バンダイナムコエンターテインメント」に変わった事により略記したもの。
『ギャラクシアン』とその基板を流用した『キング&バルーン』がまだ多くのゲームセンターで稼働する中、ナムコ社内では『ギャラクシアン』のイメージを持った「スペースもの」の企画が挙がった[21]。横山は後年のインタビューの中で、具体的な作品名の指定はなかったものの、他社が『ギャラクシアン』と似たような作品を作っている間、自分達は『パックマン』や『ラリーX』といったドットイートを作ってきたため、営業からの後押しも受けて引き受けたと話している[21]。
『ギャラクシアン』の基板を流用する前提で試作が始まった矢先、ハードウェアの責任者である石村繁一から新たな基板を作ろうという話がプロデューサーの横山茂の元に寄せられ、企画の見直しへとつながり、『ギャラガ』誕生のきっかけとなった[21]。
最初の試作の段階では画面上の敵が『ギャラクシアン』とは異なる飛び方をすることが決まっていたものの、試遊した横山は同作の二番煎じのようでインパクトに欠けると感じていた[21]。そこで彼は敵の攻撃方法を違うものにしようと考え、ある映画をヒントに相手を捕らえるトラクタービーム(英語版)を導入することを思いついた[21]。当初トラクタービームから解放された捕虜を残機として戻すことも考えたが、それではエクステンドと変わらないということで、デュアルファイターの採用に至った[21]。
『パックマン』のコーヒーブレイクや『ラリーX』のチャレンジングステージのように、横山が何か演出が欲しいと思っていたがいい案が浮かばなかった[21]。その矢先、画面上の敵が何もせずに揃ってその場を去ってしまうバグが出る様子を見たプログラマーの小川徹から呼び出され、何かに使えないかと相談を持ち掛けられる。敵を下から撃つ面白さに気づいた横山はこれをチャレンジングステージとして採用した[21]。作り込みを進める中で、横山は長く親しんでもらいたいという想いから、チャレンジングステージの数を追加した[21]。
グラフィックデザインを手掛けた小野浩は、『ディグダグ』や『ボスコニアン』と並行して開発を進めていたこともあったと2016年の鴫原盛之とのインタビューの中で語っている[22]。とりわけ『ボスコニアン』とは宇宙というテーマが共通していたため、どうしてもデザインが似てしまっていた。そのため、本作では機体をシャープなデザインにして、『ボスコニアン』と差をつける試みが行われた[22]。
ナムコ社内での評判は良かったものの、ロケーションテストではあまりのインカムの悪さにドキッとしたと横山は後年のインタビューの中で振り返っている[23]。これは、本作の平均プレイ時間が7,8分だったことに由来しており、横山はそのことを指摘されたが、長く遊べるしインカムが下がらないのでこのままにさせてくれと説得したと語っている[23]。
他の人気作品同様、本作にも多くのコピー版も登場した。名前も様々なものがあり、例えば『GALLAG(ギャラッグ)』『ギャンダ』『NEBULOUS BEE(ネブラスビー:星雲蜂)』等。更に『GATS BEE(ギャッツビー)』はゲーム内容そのものにもアレンジを加えており、自機の8方向移動を可能にした他、チャレンジングステージの編隊飛行パターンも変更している。21世紀になってもコピー基板が作られているという稀有なタイトルである(JAMMAハーネス対応)。ギャラガ全体の設置数が多かったため、今でも設置されている場所が見つかることがある。また、ダイソーのコンピューターゲームの中にかなり酷似したゲームがある。
1998年に刊行されたゲーメストムック『ザ・ベストゲーム2』では、「固定画面で自機が左右にしか移動できないことや、画面上に編隊を組んでいる敵を全滅させると面クリアとなるルールなどは『ギャラクシアン』からの流れであり、そのシンプルなゲーム性に新フューチャー〔ママ〕を無理なく組み込んだのがこの『ギャラガ』である」、「一番大きな特徴としては、ボス的キャラクターが放つ『トラクタービーム』がある」、「デュアルファイターこそが自機パワーアップの起源とも言えるのではないだろうか」と紹介されている[28]。
『ファミリーコンピュータMagazine』の1991年5月10日号特別付録の「ファミコンロムカセット オールカタログ」では、「『ギャラクシアン』を発展させたシューティングゲームの秀作」、「(デュアルファイターは)近頃のハデなパワーアップと異なり、合体した分、敵弾にあたりやすいというハンデを背負っているのが非常にシブイ」、「今でも十分に楽しめる内容を持っており、機会があればプレイしてもらいたい」と紹介されている[10]。
ゲームソフトならびケースに"namcot"と表記されているパソコン、ゲーム機種のみ。関連会社は、ナムコットから発売されたゲーム作品の開発に携わったゲーム会社を表記。ナンバリングされて発売された作品には、ゲームタイトルの前に二桁の数字を表記。