鳥羽市(とばし)は、三重県南東部にある市。
1954年(昭和29年)志摩郡鳥羽町・加茂村・長岡村・鏡浦村・桃取村・答志村・菅島村・神島村が合併して発足した。
地理
位置
志摩半島の北東端にあり、西を伊勢市、南を志摩市と接する。北と東は海に面し、伊勢湾と太平洋を分ける位置にある。気候は温暖で、美しいリアス式海岸が広がっていることから、市域全体が伊勢志摩国立公園に指定されている[1][2][3]。
鳥羽港は漁港と海上交通の両方で重要な存在である。伊良湖水道を挟んだ対岸に渥美半島(大半が愛知県田原市)があり、伊勢湾フェリーによって連絡する。4つの有人島のうち、神島は田原市の伊良湖岬からの方が距離が近く、鳥羽港・伊良湖港の双方と船便で結ばれている。
地形
島嶼
- 主な島
河川
- 主な川
山岳
- 主な山
- 朝熊山(鳥羽市・伊勢市境、555m)
- 青峰山(鳥羽市・志摩市境、336m)
- 鳥羽三山(日和山・樋ノ山・城山)
気候
鳥羽(1991年 - 2020年)の気候
|
月 |
1月 |
2月 |
3月 |
4月 |
5月 |
6月 |
7月 |
8月 |
9月 |
10月 |
11月 |
12月 |
年
|
最高気温記録 °C (°F)
|
18.2 (64.8)
|
21.4 (70.5)
|
24.1 (75.4)
|
28.7 (83.7)
|
32.6 (90.7)
|
35.9 (96.6)
|
37.0 (98.6)
|
38.3 (100.9)
|
36.6 (97.9)
|
30.4 (86.7)
|
25.6 (78.1)
|
24.5 (76.1)
|
38.3 (100.9)
|
平均最高気温 °C (°F)
|
8.9 (48)
|
9.5 (49.1)
|
13.2 (55.8)
|
18.6 (65.5)
|
23.0 (73.4)
|
25.9 (78.6)
|
30.0 (86)
|
31.2 (88.2)
|
27.4 (81.3)
|
21.9 (71.4)
|
16.5 (61.7)
|
11.4 (52.5)
|
19.8 (67.6)
|
日平均気温 °C (°F)
|
5.2 (41.4)
|
5.5 (41.9)
|
8.6 (47.5)
|
13.7 (56.7)
|
18.2 (64.8)
|
21.7 (71.1)
|
25.8 (78.4)
|
26.9 (80.4)
|
23.5 (74.3)
|
18.1 (64.6)
|
12.6 (54.7)
|
7.6 (45.7)
|
15.6 (60.1)
|
平均最低気温 °C (°F)
|
1.6 (34.9)
|
1.7 (35.1)
|
4.3 (39.7)
|
9.0 (48.2)
|
13.7 (56.7)
|
18.2 (64.8)
|
22.5 (72.5)
|
23.5 (74.3)
|
20.3 (68.5)
|
14.6 (58.3)
|
8.7 (47.7)
|
3.7 (38.7)
|
11.8 (53.2)
|
最低気温記録 °C (°F)
|
−5.2 (22.6)
|
−4.9 (23.2)
|
−2.9 (26.8)
|
−0.2 (31.6)
|
5.5 (41.9)
|
11.4 (52.5)
|
15.6 (60.1)
|
17.4 (63.3)
|
12.4 (54.3)
|
5.8 (42.4)
|
−0.5 (31.1)
|
−3.4 (25.9)
|
−5.2 (22.6)
|
降水量 mm (inch)
|
82.4 (3.244)
|
90.2 (3.551)
|
174.3 (6.862)
|
212.2 (8.354)
|
256.3 (10.091)
|
264.3 (10.406)
|
204.6 (8.055)
|
187.0 (7.362)
|
399.0 (15.709)
|
330.1 (12.996)
|
141.9 (5.587)
|
86.4 (3.402)
|
2,428.5 (95.61)
|
平均降水日数 (≥1.0 mm)
|
5.6
|
6.2
|
9.9
|
10.0
|
10.9
|
13.1
|
11.6
|
8.9
|
12.6
|
11.1
|
6.9
|
5.9
|
112.7
|
平均月間日照時間
|
180.6
|
167.6
|
191.4
|
194.9
|
199.4
|
148.9
|
182.9
|
215.6
|
152.1
|
158.3
|
160.2
|
176.9
|
2,128.7
|
出典1:Japan Meteorological Agency
|
出典2:気象庁[4]
|
町名
歴史
鳥羽港#歴史も参照。
近世以降、志摩国の政治・経済・文化の中心地、鳥羽藩の城下町として発展してきた。明治以降も志摩地方の行政・経済の中心として栄えた。
沿革
人口
|
鳥羽市と全国の年齢別人口分布(2005年)
|
鳥羽市の年齢・男女別人口分布(2005年)
|
■紫色 ― 鳥羽市 ■緑色 ― 日本全国
|
■青色 ― 男性 ■赤色 ― 女性
|
鳥羽市(に相当する地域)の人口の推移
1970年(昭和45年)
|
29,462人
|
|
1975年(昭和50年)
|
29,346人
|
|
1980年(昭和55年)
|
28,812人
|
|
1985年(昭和60年)
|
28,363人
|
|
1990年(平成2年)
|
27,320人
|
|
1995年(平成7年)
|
26,806人
|
|
2000年(平成12年)
|
24,945人
|
|
2005年(平成17年)
|
23,067人
|
|
2010年(平成22年)
|
21,435人
|
|
2015年(平成27年)
|
19,448人
|
|
2020年(令和2年)
|
17,525人
|
|
|
総務省統計局 国勢調査より
|
行政
市政
市長
- 歴代市長
- 初代 - 中村幸吉(1954年12月11日 - 1966年12月10日)
- 2代 - 谷本荘司(1966年12月11日 - 1985年3月20日)
- 3代 - 浜口光彦(1985年4月21日 - 1989年4月20日)
- 4代 - 水谷皓一(1989年4月21日 - 1997年4月20日)
- 5代 - 井村均(1997年4月21日 - 2005年4月20日)
- 6代 - 木田久主一(2005年4月21日 - 2017年4月20日)
- 7代 - 中村欣一郎(2017年4月21日 - )
- 消防
入湯税
鳥羽温泉郷の温泉宿があるにもかかわらず、温泉開発が民間主導であり市が源泉を持っていない、運び湯の旅館も多いなどの理由で、鳥羽市は入湯税を徴収していなかった。市は民間と協議を重ね、使途比率について合意形成ができたことから、2007年(平成19年)4月より入湯税の徴収を開始した。2006年(平成18年)度までは入湯税収入が0だったが、2019年(平成31/令和元年)度の収入は1億7362万7千円と、日本全国で第17位(三重県1位)に位置する[9]。
鳥羽市は「鳥羽市鉱泉源保護管理整備補助金交付規定」を制定し、使途を観光振興に5割、鉱泉源保護に3割、消防施設等と環境衛生施設に1割ずつと定めた。このうち鉱泉源保護の分は鳥羽市温泉振興会へ補助金として交付し、残る7割は「鳥羽市観光振興基金」として積み立て、適宜、観光振興事業に使うという仕組みを導入した。使途は観光基本計画やアクションプログラムに明記されたものに限定し、基金は財政課が管理することになった。この仕組みは「鳥羽方式」と呼ばれるようになった[13]。
基金化したことで、単年度主義・予算主義に陥らずに済むという利点がある。例えば、東日本大震災が発生した際に、基金を利用してすぐに観光キャンペーンを打つことができた。また基金の創設により、観光行政を担当する職員数や観光関連の予算が増加した。市観光課では、基金の使い勝手が良いだけに、結果・成果をきちんと示す必要があると考えている。
国の機関
県の機関
議会
鳥羽市議会(真珠議会)
鳥羽市議会議員定数 条例定数14人 現員数14人[14] 任期:平成23年5月1日から平成27年4月30日
- 議長:野村保夫 就任:平成25年5月14日
- 副議長:坂倉広子 就任:平成25年5月14日
2011年(平成23年)より、鳥羽市議会では6月定例会を「真珠議会」と位置付けた[15]。鳥羽出身の真珠王・御木本幸吉像や御木本の語録のパネルを議場内外に設置したり、各議員が真珠製品を身に付けて議会に出席するなどして真珠養殖発祥の地をアピールしている[15]。
※なお、衆議院議員選挙の選挙区は「三重県第4区」[16]、三重県議会議員選挙の選挙区は「鳥羽市選挙区」(定数:1)[17]、となっている。
経済
産業
変化に富んだリアス式海岸の海を、観光業と水産業の両面に活用している。市内には大規模なホテルから小規模の民宿まで、多くの宿泊施設が立地する。
鳥羽市の漁業は鳥羽磯部漁業協同組合が管轄する[18]。養殖業ではカキ(浦村かき)や真珠が有名。海の幸としてはこのほかイセエビやアワビ、海苔なども産する。日本国内では珍しい市立の水産研究機関「鳥羽市水産研究所」がある[19]。畜産では加茂牛の飼育が行われている。
漁港
海女のまち条例
上記のように貝類などを豊富に産する志摩地方では、それらを潜って採取する海女漁が古くから盛んである。海女がとった水産物や海女による語りを売り物にする料理店や、ミキモト真珠島での実演は観光資源にもなっている。全国におよそ2000人程度いる海女のうち、鳥羽市は約500人(2010年時点)と最多である。「鳥羽・志摩の海女漁の技術」が国の無形民俗文化財に指定されたことを受けて、鳥羽市議会は2017年10月2日「海女のまち条例」を全会一致で可決し、即日施行された。海女漁の振興や、後継者育成による文化継承などに取り組む[21][22]。2017年に海女漁業と真珠養殖業が評価され日本農業遺産に認定された[23]。
本社を置く企業
日本郵政グループ
(2012年12月現在)
- 鳥羽郵便局(鳥羽) - 集配局。
- 鳥羽錦町郵便局(鳥羽)
- 長岡郵便局(相差町=おうさつちょう)
- 鳥羽鏡浦郵便局(浦村町)
- 加茂郵便局(岩倉町)
- 鳥羽坂手郵便局(坂手町 ※坂手島)
- 鳥羽答志郵便局(答志町 ※答志島)
- 桃取郵便局(桃取町 ※答志島)
- 鳥羽菅島郵便局(菅島町 ※菅島)
- 鳥羽神島郵便局(神島町 ※神島)
- 小浜(おはま)簡易郵便局(小浜町)
- 鳥羽池上(いけがみ)簡易郵便局(池上町)
- その他簡易郵便局を除く各郵便局にATMが設置されており、鳥羽郵便局ではホリデーサービスを実施。なお、離島の各郵便局は平日(月〜金)のみの稼働となっている。
※離島を含む鳥羽市全域の郵便番号は「517-00xx」(鳥羽郵便局の集配担当/伊勢市(朝熊町の一部)もこれに該当)となっている。
姉妹都市・提携都市
海外
- 姉妹都市
日本国内
- 姉妹都市
交通
鉄道
市の中心となる駅:鳥羽駅
- 東海旅客鉄道(JR東海)
- ■ 参宮線:(伊勢市) - 鳥羽駅
- 近畿日本鉄道(近鉄)
- M 鳥羽線:(伊勢市)- 池の浦駅 - 鳥羽駅
- M 志摩線:- 鳥羽駅 - 中之郷駅 - 志摩赤崎駅 - 船津駅 - 加茂駅 - 松尾駅 - 白木駅 - (志摩市)
路線バス
- かもめバス(鳥羽市営路線バス) - 2009年10月1日に運行開始。(三重交通の市内路線から転換)
- 三重交通 - 市外との連絡路線、およびCANばすを運行。
高速バス
道路
- 有料道路
- 地域高規格道路
- 一般国道
- 主要地方道
- 一般県道
船舶
教育
大学
- 国立
高等専門学校
- 国立
高等学校
- 県立
中学校
- 市立
- 廃校
小学校
- 市立
- 休校中
- 廃校
名所・旧跡・観光スポット・祭事・催事
観光産業は観光都市を標榜する鳥羽市の基幹産業である。2007年度の観光客入込客数は約461万人[28]であり、三重県内では伊勢市、桑名市に次いで第3位[28]である。
名所・旧跡
観光スポット
海水浴場
祭り
その他
ゆかりの著名人
武将
実業家
文化・芸術
教育・学術
政治・行政
スポーツ
鳥羽市を舞台とした作品
その他
- 市内の沿岸部では浜松中継局の電波を通じて静岡県のテレビが越境受信できる地域がある。
- 2007年(平成19年)より町おこしの一環として、行政と地元飲食店が協力してとばーがーなるご当地グルメを誕生させた。
- マスコミの影響で一般に「とば」のように「と」を高くして発音されることが多いが、地元では「とば」のように平板に発音するのが正しいとされる[注 2]。
- ポケモン (企業)と鳥羽市が共同で事業展開する方針を固めた事を2017年6月1日に『毎日新聞』[43]が報じている。記事によれば、2020年東京五輪・パラリンピックに向けて、海外からの観光客を同市及びその周辺に呼び込む考えとの事。
脚注
注釈
出典
参考文献
関連項目
外部リンク
ウィキメディア・コモンズには、
鳥羽市に関連するカテゴリがあります。