『特捜戦隊デカレンジャー』(とくそうせんたいデカレンジャー)は、2004年2月15日から2005年2月6日まで、テレビ朝日系列で毎週日曜7:30 - 8:00(JST)に全50話が放送された、東映制作の特撮テレビドラマ、および作中で主人公たちが変身するヒーローの名称。
警察をモチーフにして制作された本作品では[1]、時代設定を現代(2004年度)としながらも、人類が既に宇宙に進出し、宇宙人と日常的に交流を持っている近未来的社会な架空の世界観を舞台にストーリーが構築されている[2][3]。またシリーズ構成面では敵組織を設定せず、毎回宇宙警察地球署の刑事たちが異なる事件を捜査していく、一話完結の刑事ドラマ的な展開を採用している[3][4]。特定の敵組織が設定されていない代わりとして、本作品では全編を通して、毎回登場する宇宙犯罪者に武器商人であるエージェント・アブレラが犯罪の斡旋や各種兵器のレンタルを行うなど、従来のシリーズ作品とは一線を画した設定がなされている[注釈 1]。その関係から、本作品に登場した敵怪人や巨大兵器の総数は優に100を超え、シリーズ中でも最大の規模となった[7]。
東映チーフプロデューサーの塚田英明は、自身が以前に刑事ドラマを担当していたことや1話ごとに変化を持たせたいという構想に刑事ドラマをモチーフとするのが適していたことなどから警察をモチーフに選んだことを述べている[8]。
スーパー戦隊シリーズとして初めてビデオによる編集システムが導入された『百獣戦隊ガオレンジャー』以降[9]、同シリーズにおける巨大ロボットの戦闘シーンはCGにかける比重が増していたが、本作品では「CGに頼り過ぎない」のと「質感重視」の方針から、昔ながらのミニチュアを用いた手法にも力が入れられた[出典 1]。
番組構成では、前作『アバレンジャー』での本編Cパートに替わりエンディングテーマのイントロにキャラクターやアイテムなどを紹介する「お楽しみコーナー」が挿入されている[12]。
本作品の最終回では、番組終了時のスポンサーバックにおいて、デカレッドから次作『魔法戦隊マジレンジャー』のマジレッドへとバトンタッチする映像を流すという試みもなされており、これ以降現行作品のレッドから、次作品のレッドへのバトンタッチはシリーズ最終回の恒例行事となった[注釈 2]。
恒星間飛行が現実のものとなり、地球人類と異星人の交流が日常となっている時代。犯罪もその態様を変えていた。地球人が持たない身体能力や地球文明が及ばない科学技術を用いた犯罪は、もはや地球の警察の処理能力の限界を超えてしまっていた。このような星間犯罪を取り締まる惑星間組織が、宇宙警察スペシャル・ポリス・デカレンジャー(略称「S.P.D」)である。
ある日、巨人種異星人によるバスジャックが発生した。犯人はまとめ役でもあるホージーこと戸増宝児率いる宇宙警察地球署の刑事たちによって素早く逮捕されたが、処理を終えて戻ってきた刑事たちを地球署署長ドギー・クルーガーが待っていた。彼は先に護送されてきた犯人に対する取り調べで謎の金属を犯人が所持していたことと、鑑定でその金属は明白に地球外物質であると分かった旨を伝える。署長はこの犯人が何者かによって運び屋に使われたと推測していた。
早速聞き込みに出たホージーたちは金属の秘密を知る人物を突き止めるが、目の前で何者かに射殺されてしまう。暗殺犯は大量のメカ人間を放って刑事たちの足止めを図るが、突如割り込んだ6輪パトカーのマニピュレーターに捕まってしまう。パトカーから降りた、警察官にあるまじき派手な髪型の男の名は「バン」こと赤座伴番。ドギーの要請で地球署に配属されたばかりの新米刑事だった。
全宇宙の安全と平和を守る宇宙連邦の行政機関[14]。S.P.D(Special Police Dekaranger)とも記される[14]。各惑星に分署を置く。幼年期から訓練生として所属することが可能である。
惑星間宇宙犯罪者、特に自身の特殊能力を使って犯罪を起こす者の総称。地球では不可思議犯罪者と呼ばれる[15]。綴りは"Alienizer"[15]。
その大半は宇宙警察によって宇宙犯罪者のリストであるパンスペースクライムファイルに記載され、全宇宙に指名手配されているが、名前だけは知られているものの出身星が不明の者も多い。地球人と異なる能力を持つため、警視庁からアリエナイザーが出現すると宇宙警察に出動が要請される[15]。大抵の個体は巨大化能力を持たず怪重機に搭乗して巨大戦を行うが、個人の特殊能力などにより巨大化できる者もいる。
ここで紹介するものは全てエージェント・アブレラが開発し、販売・レンタルする商品である。
地球署の刑事たち以外のレギュラー陣で唯一顔出し(俳優自身が出演すること)の地球署エンジニアの白鳥スワン役には、元アイドル歌手であり、女優としても活躍する石野真子が起用された。スワンは、企画段階で設定されていた「小料理屋のママ」と、菅原文太をイメージしたというエンジニアを統合したキャラクターであった[19][20]。
デカブレイク役には、同年に『仮面ライダー剣』でスーツアクターとして本格的に活動を開始した大岩永徳が抜擢された[22]。
前作まで5年連続でチーフを務めた日笠淳が『仮面ライダー剣』のプロデューサーに転じたため、前2作でサブを務めていた塚田英明が東映側チーフプロデューサーに新たに就任[8]。また、テレビ朝日側プロデューサーにはそれまで長らくドキュメンタリー畑を歩んできたシュレック・ヘドウィックを起用。ヘドウィックは『太陽戦隊サンバルカン』の大ファンでもある日本育ちのオーストラリア人で、スーパー戦隊シリーズにおいて外国人プロデューサーの起用は初の試みでもあった。またデカレンジャーのメンバーが任務了解時に発する「ロジャー」の発音[71]や、後述の通り全篇通して英単語を重ねたフォーマットであったサブタイトルの最終決定など[72]、本作品では作中で使用される用語を決める際にヘドウィックのアドバイスが入るケースも多々見られた。
メインライターは前作『爆竜戦隊アバレンジャー』に引き続き荒川稔久が担当[6][8][注釈 8]。サブライターでは戦隊メインライター経験者の武上純希、戦隊は初となる横手美智子が脇を固めている。
演出陣ではパイロット監督を渡辺勝也が務めたほか[51][注釈 9]、ベテランの辻野正人[注釈 10]、坂本太郎に加えこれまでなかなかシリーズで監督専任になれなかった竹本昇、中澤祥次郎が本作品にて数々のエピソードを多数演出し、本作品以降は名実ともに戦隊シリーズ演出陣の中枢に食い込むことになった。そしてアクション監督にはこれまでメインの竹田道弘に代わり石垣広文が新たに就任[74][注釈 11]。
キャラクターデザインには、過去にもスーパー戦隊シリーズやメタルヒーローシリーズに多数携わった経験を持つ森木靖泰が初めてメインで参加、またそれをサポートする形で企画者104所属の松井大も名を連ねている[7]。
チーフ撮影監督には久々に松村文雄が復帰、大沢信吾とともにシリーズの映像面を支えることになった。松村は『美少女戦士セーラームーン』を担当していたが、初めてチーフプロデューサーを務める塚田から依頼され、同作品プロデューサーの白倉伸一郎からパイロットだけとの許可を得て参加した[75]。その後、『セーラームーン』の終了にあわせ、劇場版を経て本作品に戻った[75]。また『超力戦隊オーレンジャー』終了後は営業に専念していた鈴木武幸が制作統括として復帰している。
パイロット版の特撮美術には、当時制作中であった『デビルマン』からの繋がりで三池敏夫がノンクレジットで参加している[11]。特撮監督の佛田洋からはクレジットに記載することも提案されていたが、「自分よりも若い人を出してくれ」と述べて辞退した[11]。
放送回のカウントには「Episode(話数)」の語句が用いられており、またサブタイトルのフォーマットはいずれも「英単語を二つ重ねて造語にする」という法則の元[72]、「○○・××」というカタカナの表記に統一されている。このフォーマットについて塚田プロデューサーは、単語自体は出来る限り分かりやすいものを選びつつ、一方で組み合わせた際の印象としては雰囲気で意味を掴めるくらいの、ちょっと聞きなれないワードになるよう意識していることを明らかにしている[72]。
玩具売り上げは前作『アバレンジャー』のキャラクター収入・130億円から、本作品では116億円と低下した一方、主題歌シングルは番組の人気に乗り10万枚を突破するセールスを記録するなど、玩具以外の商品面は成功を収めた。
また本作品の放送終了後も、2006年には第45回日本SF大会において、スーパー戦隊シリーズとしては初めて第37回星雲賞(メディア部門)を受賞[3]。
さらに『特捜戦隊デカレンジャー 10 YEARS AFTER』(2015年)や『スペース・スクワッド ギャバンVSデカレンジャー』(2017年)『特捜戦隊デカレンジャー 20th ファイヤーボール・ブースター』(2024年)のように、放送終了から20年以上を経てなおVシネマという形で続編にあたる新作が度々制作されている。
各作品における詳細はリンク先を参照。
いずれも発売元は東映ビデオ。本作品より、セル・レンタルのVHS・DVDのリリースが8月リリース開始、翌年7月(レンタルの場合は翌年7月2週目の金曜日)終了というスケジュールに移行し、その都合上前作『爆竜戦隊アバレンジャー』の映像ソフトと並行してのリリースとなった。
この他、テレビシリーズを再編集したHEROクラブのビデオ・DVDが、2004年5月21日から7月21日にかけて全2巻が発売された。
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