『特捜ロボ ジャンパーソン』(とくそうロボ ジャンパーソン)は、1993年1月31日から1994年1月23日までテレビ朝日系列で、毎週日曜8時 - 8時30分(JST)に全50話が放映された東映制作の特撮テレビドラマ。
「メタルヒーローシリーズ」の第12作目。本作品の主人公であるジャンパーソン(JP)は人間が変身しない純然なロボットであり、当時の日本の特撮ヒーローものとしては非常に珍しいものとなった。JPは第16話まで背景や出自が明らかでなく、記者や刑事が疑似的な主役としてストーリーを回しており、それがシリーズ前半の山場を形成した[出典 1]。シリーズ構成兼メインライターの宮下隼一は、JPに自身の素性を語らせられないため外部の視点から描かなければならないのが難しく、素性を明かす際にも設定についてスポンサーらとも大揉めになったと証言している[4]。
同時に前2作での玩具展開の不振を受け、圧倒的に強いロボットヒーローが打ち出され、その裏打ちとして「勧善懲悪」「ゆるぎない正義」が明確に表現されることとなった[3]。また、ヒーローとして初めて紫をボディーカラーに採用した[2]。
本作品では互いに敵対する3つの敵組織が登場し、JPはこれらの組織と戦うことになる。複数の敵組織が同時進行で活動すること自体も異例で[1]、宮下は、当初はJP側を描けないため、敵側の描写を厚くするためだったことを証言している[4]。加えて物語の舞台は、人間とロボットの共存が実現する反面、科学技術を悪用した兵器や犯罪が横行する近未来社会と設定されており[2]、一種の無国籍感をかもし出すものとなっている。もっとも、これらの挑戦的な要素や路線が全て受け入れられたわけではなく、結果的には中盤よりレギュラーを一新し、ガンギブソン(GG)の登場による「コンビヒーローもの」化など、幾つかの路線変更や新要素の導入も図られている。
近未来、ロボット工学を始めとする科学技術が飛躍的に発達した日本。だがその影では科学を悪用し、世界を我が物にしようとする悪の組織が蠢いていた。人間と人型ロボットをすり替え、人々が知らぬ間に日本を支配しようと企むロボットマフィア・ギルドは組織を脱走した男を追い、戦闘ロボットを送り込み町を火の海にする。人々が絶望しかけたその時、正体不明の紫色の人型ロボットが現れた。彼は名乗る。
「Janperson, Fight For Justice!」
謎のロボットヒーロー・ジャンパーソンはギルドのロボット部隊に完勝。首領のベン藤波も倒し、ギルドを壊滅させた。だが悪の組織は尽きない。天才的黒幕・帯刀龍三郎が率いる帯刀コンツェルン、ギルドの後継組織ネオギルド、狂科学者の集団スーパーサイエンス・ネットワーク。世界の平和を乱す巨大な3つの悪にジャンパーソンは挑む!
本作品の主人公で紫色のロボットヒーロー。元からその姿をしており、人間態は存在しない[注釈 1]。タイトルなどで「JP」と略して表記されることもある。
強固なボディ、数々の戦闘装備を持つロボット然とした面と優しさ、温かさに溢れ、人(以外に対しても)の痛みや悲しみを理解し、受け止めることが出来る面を併せ持つ。人間の命と愛は勿論、自身の正義に絶対的な信念を持っており、そのために自らの命を投げ出す覚悟や国家権力を敵に回す覚悟を見せたこともある。しかし、その根底にはプロトタイプ・MX-A1の行きすぎた勧善懲悪AIが抑制されつつも残っている[注釈 2]。最終的には自ら善悪の判断回路を切り、MX-A1に戻った上でビルゴルディ抹殺へと向かうが、戦いの中で再び心を取り戻す。
初期にはその名(janper+person[注釈 3])の通り、黒い革のジャンパー(と革のズボン)を着用していることがあった。そしてそれらを戦闘時に脱ぎ捨て、フェイスガードをセットしてバトルモードに入る[6]。第8話では、形状記憶細胞を浴びせられてマシンガンジョーこと鬼武錠の姿になってしまい、アクションモードが起動できなくなってしまったことがある。
一人称は「俺」で、たまに「私」になる時もある。当初は感情に乏しく、口数が少なかった。言葉遣いも敬語を使うことは無く、名前も呼び捨てで呼んでおり、作中の人物からその態度を非難されたことがある[ep 1]。しかし徐々に感情が入るようになり、終盤では相手に対して敬語を使って話す場合もあった。中盤以降は使用時に装備名を呼称するようになった。
敵に対してはロボットは容赦なく破壊(殺害)する一方、人間は手加減して助命することが多いが、例外もある。サイボーグのベン藤波は殺害、UFOに搭乗していたドクター洞田はUFOごと撃墜した。一方で犯罪ロボットでも記憶を失うなどして悪の意志を失った場合(U2やR3号など)や、基本的に善良な場合(シープやエンジェルなど)は攻撃を行わなかったり、助命したこともある。バイオモンスターに関しては、アイスマンは直接手を下さず、人間モドキに関しては一時は倒そうとするが結局は倒すのをやめ、逆に超獣神は元となった綾小路麗子の生い立ちの背景から倒すのを躊躇ったものの、攻撃を行い致命傷を負わせるに至っている。第46話ではジョージ真壁を殺害しようとするガンギブソンを、「人間だから」ではなく「組織が壊滅した以上倒す必要がないから」という理由で制止している。最終話ではビルゴルディを『抹殺する』ため(そうでなければ勝てないと判断した)、かおるに頼み善悪の判断回路を切ってもらい、MX-A1に戻り戦いに臨んだ。だが激闘の末、ジャンパーソンとしての心を取り戻す。
決め台詞は「Janperson, For Justice!」。
第21話から登場する孤高のロボット。射撃の名手だが格闘戦もこなすことができ、ジャンパーソンと格闘した際もほぼ五分だった。「ベイビー!」が口癖。タイトルなどでは「GG」と略して表記されることもある。元々はネオギルドによって制作された暗殺ロボットで[9][10]、当初敵としてジャンパーソンの前に立ち塞がるが、ジャンパーソンとの勝負にこだわってジョージに無断でジャンパーソンとの決闘を行おうとしたため、ジョージの怒りを買いジャンパーソンと相棒で恋人ロボットのキャロル共々始末されかけることになる。その騒動の中キャロルを失い、ジョージとネオギルドへの復讐を誓い離反。別行動の末にジャンパーソンと共闘するようになる。
ジャンパーソンに比べてくだけた物言いを好み、陽気で情に熱く、それでいて義理堅い性格。だが反面、物事を深く考えず軽率な行動をとるなどの甘い一面もある。特にロボットに対しては強く感情移入することが多く、人間の都合で使い捨てられるロボットについて憤ったこともある。
第38話ではネオギルドの圧倒的攻撃の前に機能停止に追い込まれたが、事前にロボット修理屋の主人に用意させていたスペア用の記憶チップで復活を果たす。その後もジャンパーソンの良き友、良き仲間として彼を支え続けた。第49話ではブラックキャロルの記憶回路をジャンパーソンに託し、ジャンパーソンをかばって飛び出し、ビルゴルディの魔王ビームの直撃を受けて炎の中へと消えたが、最終回でアールジーコと共に傷だらけながらも無事だったことが明らかになる。
第23話以降はオープニングにて、ジャンパーソンに続く2番手にクレジットされるようになった。
『重甲ビーファイター』の第52・53話にもジャンパーソンと共に登場する。
これらの装備のうち、体内への搭載型装備(ジャスティック・ニーキックミサイル・デュアルレーザー)はビルゴルディにも装備されている。また、ビルゴルディは胸や手甲から破壊光線を発射可能。
人間への復讐を目的とし、サイボーグであるベン藤波に率いられるロボットマフィア[10]。多くの市民ロボットを人間社会に潜ませていた。ギルドの市民ロボットは腕時計型識別機を使用することで判別することができる。第2話でジャンパーソンに壊滅させられる。
ギルド壊滅後にベン藤波の兄であるジョージ真壁が結成した組織で[10]、ギルドと同じくロボットマフィア。部下のほとんどはロボットだが、戦闘・潜入工作要員以外では人間の科学者も在籍している。ジャンパーソンが戦った組織の中では登場回数が一番多い(劇場版を含む)。
ジャンパーソンと逆に、人間の姿からロボットに変身する能力を持つロボットもいるが、変身能力の無いロボットもいる。ただし最も多いのは人間型ロボットで、戦闘時にはプロテクターを着用する。
ロボットの性能はギルド以上に強力で、ギルドには存在しなかった武官ロボットなどが登場している。ガンギブソンも、元々はネオギルドのロボットである。ロボット刑務所に配下を送り込むことでロボット刑務所を事実上掌握し、他にも種々の施設を所有している。また、ネオギルド製のロボットで市民ロボットとして生活している者も少なからず存在する。
ネオギルドのロボットは部品が特殊であるため、代用部品では修理も困難であることが複数のエピソードを通じて描かれている。
通称、SS-N[37]。綾小路麗子が率いる過激派科学研究団体で、普通のロボットを越えるジャンパーソンを生け捕り(捕獲)にすることと地球環境のため科学による世界制覇を目的にしている。作戦的には改造人間、もしくは人工生物などを多く使う。アジトの類には麗子の写真が掲げてある。
構成員である科学者たちはカリスマ指導者である麗子を「麗子様」と呼んで心酔しており[37]、その命令がどんなものであっても(「死ね」と言われても)従う。作戦行動や研究内容など手段自体は極めて先鋭化しているが、目的はあくまでも「地球環境の再建」という確固たる信条に基づいたものであり、終盤ではジャンパーソンを「善」と「悪」という概念の狭間で激しく苦悩させる。
初期においては登場頻度は多かったが、次第に少なくなった。退場も最も早く、第4クールでは最終決戦の登場のみとなった。
帯刀龍三郎を総裁とする大財閥。表世界の政財界を牛耳っているが帯刀自身は裏世界でも世界制覇を企んでいる。
表立って行動することは少なく、傘下の企業の開発品や他の組織を動かした作戦行動をしていたがセーラの戦死を経て、帯刀がビルゴルディに変貌した後はビルゴルディ自らが残虐な作戦を実行するようになった。ただし最初に自ら指揮をとった作戦で「ネオギルドでもスーパーサイエンスネットワークでないもう一つの組織」とジャンパーソンに認識されてこそいたものの戦いの際は常にビルゴルディの姿であったため、ジャンパーソンたちは組織の名を帯刀コンツェルンと認識することは最後までなく、再戦以後はビルゴルディを組織名の代わりの呼び名にしている。
当初は3組織で最も出番が少なかったが、ビルゴルディの登場後は宿敵として描かれることが多くなり、物語の最後まで残った敵組織でもあった。
当時28歳だった小林靖子が、脚本家としてデビューを果たした作品でもある[59]。また、アクション監督としては第一人者だった金田治は本作品が監督としてのデビューとなった。主題歌・副主題歌は歌謡曲界畑の浜圭介が担当。オープニング主題歌がハ短調になっている。
敵キャラクターデザインは、人間系の衣裳を拔山敏弘、造形物系のデザインを野崎明と概ね区分していた[60]。既存のスーツや小道具を流用したものはデザイン画が描かれておらず、アクション監督の山岡淳二や小道具担当などの現場判断による[60]。
本作品より、メタルヒーローシリーズのCDの発売元がフォルテ・ミュージックエンタテインメントに変更された。その後1995年ごろに同社が解散したのに伴い、現在は販売元の日本コロムビアが本作品の音源を所有している。また、サウンドトラックは同じメタルヒーローシリーズである『世界忍者戦ジライヤ』のものが一部流用されている。
系列は放送終了(ネット打ち切り)当時のもの。
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