『時空戦士スピルバン』(じくうせんしスピルバン)は、1986年4月7日から1987年3月9日までテレビ朝日系列で、毎週月曜19時 - 19時30分(JST)に全44話が放送された、東映制作の特撮テレビドラマ、および作中で主人公が変身するヒーローの名称。
メタルヒーローシリーズの第5作品目[1][2]。「スピルバン(SPIELBAN)」の名の由来は映画監督スティーヴン・スピルバーグからだと言われている[注釈 1]。また、初期案での番組タイトルには『メタルマン』、『大時空戦士スターロン』[3]が挙げられていた。前作までと同様、鍍金質のスーツや主人公側のメカニック、それに主人公変身時の解説ナレーションなど、基本的なフォーマットは「宇宙刑事シリーズ」のそれを踏襲しており、シリーズの集大成が目指された[4]。
本作品の企画書では、科学考証を強調することをコンセプトに掲げており、作中でも科学技術についての解説が挿入されるなど、視聴者に科学への興味を持たせる試みがなされた[出典 1]。また、「戦闘機械人」という「メタルヒーローシリーズ」開始以降の作品では初の試みであるロボット怪人が登場しており、機械的なディテール表現にも力が入れられている[8]。
ストーリー面では、『宇宙刑事シャリバン』の「奇星伝」と銘打たれた中盤以降の設定[注釈 2]を下敷きにして、主人公側の悲劇性を強調した人間ドラマをより複雑にしたストーリーが展開されている[9][7]。また、同作品では番組終盤で描かれた敵組織内部の確執のドラマも、本作品では初期から展開されている。一方で初回を始めとしたサブタイトルや、ダイアナがヒッププレスを得意とするなどといった描写に象徴されるように、『秘密戦隊ゴレンジャー』的なコミカルな要素も作中の随所に見られる。後半ではコミカルながらも風刺性の強いエピソードも多くなった[9]。
その他に特筆すべき点として、本作品ではメタルヒーローシリーズとして初めての変身ヒロインが登場し、高い人気を得た[出典 2][注釈 3]。ダイアナ役の澄川真琴も渡ら同様にJAC所属で、変身前のアクションも多く描かれている[14][注釈 4]。
それまでのシリーズ作品は3月開始であったが、本作品は4月開始となった[16]。これに伴い、1ヶ月先行して開始していたスーパー戦隊シリーズも、前年度の『電撃戦隊チェンジマン』を1ヶ月延長し、同年度の『超新星フラッシュマン』が3月開始となった[16]。
第2話の海のシーンでは、1月の撮影のため暖かい海外やメインライターである上原正三の故郷沖縄での撮影が予定されていたが、スケジュールの都合から本土での撮影となった[15]。
地球の真水を奪うべく、ワーラー帝国が侵略を開始した。その野望を阻止するため、スピルバンとダイアナはたった2人で立ち向かう。
2人の故郷であるクリン星は14年前、ワーラー帝国の急襲により滅ぼされてしまった。生き残りの避難民たちは大型宇宙船で2年間宇宙をさまよったのち、食料と水が尽きてしまい、リーダーは幼いスピルバンとダイアナに希望を込め、グランナスカでクリン星と環境のよく似た地球へと送り出し、残った人々は自爆した。到着までの12年間、生命維持装置の中で眠ることとなった2人は、地球の歴史や文化などの予備知識を与えられ、戦士へと成長していった。
2人に与えられた使命は、地球を第二のクリン星にしないことと、ワーラー帝国に捕らわれたスピルバンの父・ベンと姉・ヘレンを救出すること。しかし、スピルバンの目の前には父と姉が敵として現れるという、非情な現実が襲いかかる。肉親の絆を断ち切るワーラー帝国の卑劣な作戦に、故郷と仲間を失ったスピルバンとダイアナは翻弄される。
それでも2人は共に励まし、支え合いながら、与えられた使命を果たすために戦っていく。
スピルバン、ダイアナ、ヘレン以外のクリン星の人々は、作中では主に回想シーンの中で登場し、同時にさまざまな人種が共存しているということ、そして高度な文明を築いていたということが回想シーンの端々に示されている。スピルバンたちがまだ幼いころに、ワーラーの侵攻によってクリン星は滅ぼされてしまうが、彼らの活躍でワーラーが壊滅したことにより歴史改変が生じ、1万年後の地球として復活を果たした[ep 1]。
ショップの正式名称は「エジソン発明の店」。オーナーの小山大五郎がスピルバンやダイアナと知り合ったことが元で2人と交流を持つようになるが、そのためにワーラー帝国の起こす事件に巻き込まれてしまう。洋介のことを「城さん」、ダイアナのことを「ダイアナさん」と呼んでいる。大五郎と美和は第19話、トキオ、健一、勝、のり子は第29話までの登場。最終話では回想シーンに全員が登場した。
グランナスカのマザーコンピューターが、伝装指令をキャッチする。結晶システムが作動し、クリンメタルを超微粒子に分解・伝装する。伝装されたクリンメタルは、城洋介(ダイアナ、ヘレンを含む)の体で結晶し、ハイテククリスタルスーツが完成する。
ハイテククリスタルスーツを結晶した3人はそれぞれ時空戦士スピルバン、ダイアナレディ、ヘレンレディと呼ばれる。ハイテククリスタルスーツの頭部には戦闘マニュアルコンピュータが内蔵されている。またハイテククリスタルスーツの結晶完了までのタイムは10マイクロ秒である[13][19]。
結晶は誰でも行えるものではなく、グランナスカのコンピュータから課される厳しい戦闘訓練に合格する必要がある。また結晶のポーズはそれぞれ自身の名前の頭文字(S、D、H)を象っている。
ダイアナレディとヘレンレディのスーツの基本デザインは同一である。唯一の違いは、ダイアナレディには右腰にレディスナイパーを収めるホルスターが付いているが、ヘレンレディはスナイパーを持たないため、ホルスターはない[注釈 12]。デザイン当初はダイアナレディやヘルバイラの色違いバージョンデザインも検討されていたが、結果的にはダイアナレディと同一で武器のみが異なる形となっている[20]。
スーツのデザインこそ同一であるが、ダイアナレディは射撃・銃撃を駆使した援護保護戦法を得意とし、ヘレンレディは剣戟による接近・格闘戦を駆使したアクティブ戦法、そして分析を得意とするなど、その戦闘スタイルや得意分野には明確な差異がみられる。
守護神ワーラーを頂点とする悪の組織。ワーラーは綺麗な真水の中でしか生きられないため、ワーラーの生存と機械の洗浄、発達したバイオテクノロジーや軍事産業に必要な水を狙い、クリン星を始めとする幾多の惑星[注釈 17]から水を奪い尽くして壊滅に追いやってきた[1][6]。
巨大要塞ワーラー奇城ガメデスを本拠地とする他、地球侵略に際し当初はカナダに前線基地を建設していたが、これがスピルバンたちによって壊滅させられるや、真水が豊富で科学技術や産業が発展している日本を攻撃目標に切り替えており、とある湖の下にガメデスを移動させた[21]。
女王パンドラは常に微笑んでおり、一見するとアットホームな組織に見えるが、実態は互いに信頼関係を持たない冷酷な集団である[6]。
レギュラー出演者には『宇宙刑事シャリバン』で主役シャリバンを演じた渡洋史を始め、『宇宙刑事シャイダー』の女宇宙刑事アニー役の森永奈緒美、多くの特撮番組で魔女や悪女を演じた曽我町子らといった、メタルヒーローシリーズのみならず東映特撮にも馴染みのある面々が顔を揃えている[4]。また、主題歌および挿入歌を担当する水木一郎が主人公の父親役としてゲスト出演するという趣向も採り入れられている[4]。
主だったスタッフは前作から引き続きの参加となるが、シリーズ開始当初より参加してきた上原正三(脚本家)の、最後のメインライター作品となった[41]。上原は脚本業が20周年を迎えたこともあり、自身の集大成的な作品であったことを述べている[41]。
またほとんどの話数の脚本を上原が担当した前作・前々作に対し、本作品では後に東映特撮に度々携わる会川昇や杉村升、それに本作品がデビュー作となった滝沢一穂らを始めとするサブライターも、番組中盤より多数参加している。同じく本作品がデビュー作となったスタッフには、現在も2時間ドラマなどの演出で活躍している伊藤寿浩が挙げられる。この他、前作『巨獣特捜ジャスピオン』からモンスターデザイナーとして参加した雨宮慶太が、本作品では初めてメインデザイナーに起用された[23][2][注釈 28]。
音響効果は前後の作品とは異なり大泉音映ではなく、過去に『仮面ライダーストロンガー』や『秘密戦隊ゴレンジャー』への参加経験もあるフィズサウンドが担当した。
前年までと同様に主題歌シングル、ヒット曲集、音楽集のほか、歌曲とオリジナルの戦闘機械人マンモスが登場するドラマを収録した「スーパーアクションサウンド 時空戦士スピルバン」が、1986年10月に発売された。いずれも発売元は日本コロムビア。このうち音楽集は、後年同社が展開する「ANIMEX1200」シリーズのラインナップに含まれる形で、CDとして再発売された。
系列は現在のもの。
いずれも発売元は東映ビデオ。
Lokasi Pengunjung: 3.145.65.168