日本コカ・コーラ株式会社(にほんコカコーラ)は、アメリカ合衆国に本拠を置くザ コカ・コーラ カンパニーの日本法人である。
主力事業は、「コカ・コーラ」を含む清涼飲料水。日本のコカ・コーラグループの出荷量は、2位のサントリーフーズ(サントリー食品インターナショナル)の約2倍で、日本国内の清涼飲料業界ではシェア1位である[1]。2019年10月時点、酒類(缶チューハイ)を沖縄県を除く地域で販売している(製造は日本果実工業に委託)[2]。
日本コカ・コーラは、製品開発や宣伝・マーケティング、原液の製造などを担い、製品の製造販売はフランチャイズ契約をしたボトラー各社が行う。日本市場は商品構成が多様かつユニークであるという特徴を有し、茶やコーヒーといった非炭酸飲料の販売比率が高い。
従業員500人程度の企業でありながら、数ある日本企業の中で、法人所得金額で毎年30位以内(5年連続首位の実績もあり[注 1])に位置する高利益企業でもある[3]。
滋賀県守山市に原液工場がある。
日本で本格的なコカ・コーラの販売を始めるようになった戦後、1961年(昭和36年)に原液の輸入が自由化された以降である[4]。地元の企業や団体などと、コカ・コーラの日本法人である日本コカ・コーラが共同出資した地域ボトラー(フランチャイズ)が17社存在し、原液工場から供給された製品が、全国各地のボトラーごとにある製造工場を通して封入・製造されていた。しかし、1990年代以後業務効率化やコスト削減などを理由として、スーパー・コンビニエンスストア向けの販売部門をコカ・コーラナショナルセールスに統合、さらに1999年に近畿地方以西(四国・南九州・沖縄管轄地域以外)のボトラーを統廃合した広域アンカーボトラー(エリアフランチャイズ)の第1号となるコカ・コーラウェストジャパンの発足を皮切りに、地域ごとのボトラーの統廃合が進み、2016年に本州の大半の地域を統括する統合型ボトラーの実現へ向けた協議をはじめ、2017年にコカ・コーラボトラーズジャパンが持株会社として設立し、イーストジャパン、ウェスト、四国のボトラーを持株会社傘下に収め、2018年、傘下ボトラーとコカ・コーラボトラーズジャパンが法人上でも統合され、現在のコカ・コーラボトラーズジャパンが確立した。
現在、コカ・コーラのボトラーはコカ・コーラボトラーズジャパンホールディングスの直営によるコカ・コーラボトラーズジャパンが日本の35都府県向けの製造・販売を手掛けているが、北海道、北東北地方(3県)、北信越地方(4県)、沖縄県については現在も引き続き地元企業などがエリアフランチャイズとなったボトラーを運営している。
さらに、経済改革による外資規制の緩和もあいまって、日本コカ・コーラのみならず、米国コカ・コーラ本社も、アンカーボトラー設立に際し直接出資するようになっており、ウエストジャパン発足の際に、数%分の株式を取得(現在はボトラーの統合再編や持株会社制度導入に伴い、比率としては下がったが、株式交換で引き続き当該持株会社の株式を保有している)。これにより、市場に直に接する“現場”企業を傘下に置く形となり、商品構成に米国本社の意向を反映させやすくするとともに、米国本社での世界戦略決定においても日本の市場動向をより早くつかむことができるようになった。
同様にコカ・コーライーストジャパンも米国コカ・コーラ本社の子会社と孫会社の日本コカ・コーラから出資(筆頭株主)を受けている。イーストジャパンに統合された旧セントラルジャパン・旧三国・旧利根・旧東京のボトリング会社4社も同様に出資を受けていた。こうした出資の状況は現在のコカ・コーラボトラーズジャパンホールディングスにも引き継がれている。
コカ・コーラグループは、世界各地のボトラーとフランチャイズ契約し、エリアで独占的にボトリング(原液や飲料原料等を購入し、飲料を製造し缶やPETボトルなどに充填する事業)と販売をさせている。ボトラーとコカ・コーラグループとの関係はフランチャイズであり、原則として資本関係はない(10%から30%程度出資していることはあるが、ザ コカ・コーラ カンパニーの連結対象ではない)。
日本のコカ・コーラシステムは、原液の供給と製品の企画開発や広告などのマーケティング活動を行う日本コカ・コーラと、製品の製造販売を担うコカ・コーラボトラーから構成されている。また、日本コカ・コーラとは別に、日本国内向けの製品開発や研究を担う、ザ コカ・コーラ カンパニーの100%子会社の株式会社コカ・コーラ東京研究開発センターがある。
ボトラーズジャパンホールディングス(ボトラーズジャパン) - 北海道 - みちのく - 北陸 - 沖縄
カスタマーマーケティング(CCCMC) - FVジャパン
イースト(利根 - 三国 - 東京 - セントラル(富士 - 中京)) - 近畿 - 三笠 - ウエストジャパン(山陽 - 北九州)- ボトラーズジャパン(ウエスト - 四国)- 南九州 - 長野 - サツキ - 仙台 - 四国CCP - CCEJP- ナショナルセールス - ビジネスソーシング(CCBSC) - アイ・ビー・エス(CCIBS)
コカ・コーラの自動販売機は1962年に日本で初めて導入された。当初は小銭を投入後に瓶を固定していたロックが外れ、購入者がそれを引き抜いて商品を取り出す半自動式であった[6]。2006年12月時点で日本全国に98万台ある。
マルチマネー対応自販機であれば飲料の決済方法も現金のほか、各種電子マネーが使用できる。対応している電子マネーは自動販売機の対応状況によって異なるが、交通系電子マネー(Suica・PASMO・PiTaPa・Kitaca・TOICA・ICOCA・SUGOCA・nimoca・はやかけん)、楽天Edy、iD、WAON、nanacoが利用可能である。交通系電子マネーに関しては、2013年3月23日からの全国相互利用サービス開始に合わせ、PiTaPaを除くすべての交通系電子マネーが全国どこからでも利用できるようになった。もともとは2002年にCmode(シーモ)という日本コカ・コーラ独自の電子マネーで展開が始まったが、2008年までに汎用している前出の電子マネーに対応したことにともない、2011年3月末で全サービスを終了した。
また、地震などの影響で緊急避難を余儀なくされた場合、コンピュータの遠隔操作によって利用者に無償で飲料を提供できる災害対策用自販機や、自動体外式除細動器(AED)を備えた自販機もある。街の至るところにあるというメリットを活かし、利用者、地域住民に貢献する形である。
かつてはPHSの基地局として活用された。
2011年からはコンツアーボトルをイメージしてデザインされた、これまでの自動販売機とは異なる立体的で曲線を用いた新型標準機「3D VIS」を開発(新規や旧型からの入れ替えのほかに、既存機に後付パーツを装着して新型式にする「レトロフィット」という方法もある)。「3D VIS」では基準となるドア寸法やレイアウトを統一しているため、前述の電子マネーを利用できるようするためのキャッシュレスユニットの装着や上部のトッパーを地域のニュースや天気予報などを表示する地域貢献機能の電光掲示板に差し替えることができるなどオプションパーツを設定し、カスタマーや消費者ニーズによりきめ細かく対応できるようになった[10]。2013年1月からは富士電機との共同開発で「3D VIS」のデザインをベースに、冷却用の電力を止めた状態で最長16時間の長時間冷却を実現し、消費電力量を大幅に削減できる「ピークシフト自販機」を開発。この自動販売機は世界初となるARマーカーが組み込まれており、事前にスマートフォンに専用のアプリ「自販機AR」をダウンロードし、認識対象箇所(ポーラーベアや製品サンプルなど)にかざすことでそれぞれの認識対象箇所に応じたコンテンツが現れる仕組みであるが、2016年3月31日にサービスを終了した。
コカ・コーラ以外のメーカー系ベンダーや独立系自販機オペレータでは、おもに就労者などを対象としたオフィスや学校・店舗敷地内などに設置される一部の自販機で最低価格100円(缶飲料)から140円(500mlペットボトル)と廉価で販売するところがあるが、コカ・コーラ自販機は関係なく、自販機小売り価格の120円から150円で固定されている。しかし近年における競合他社の低価格販売や値下げによる影響で、他社自販機が隣接する場所では一部商品を期間限定という形で値下げして販売を行っている。また高値定価販売を逆手に取り、原料などにこだわった高コスト商品を自動販売機専用商品として投入している。
2023年6月7日、自販機に添付されているQRコードから15種類以上[注 2]のQRコード決済が可能となるサービス「QR de決済」を開始した。
2016年4月8日に無料の専用スマートフォンアプリと連動したサービス「Coke ON(コークオン)」を開始。これは専用アプリを開いた状態でアプリに対応した対象の自動販売機[注 3]に端末をかざすと接続されるサービスで、自動販売機で製品を購入するとアプリ内でスタンプが1個貯まり、15個貯まると自販機内の好きな製品ひとつと交換できる「ドリンクチケット」と呼ばれる無料クーポンを1枚入手できる。
自販機の接続には端末のBluetooth機能やGPSを設定する必要がある。スタンプのデザインは購入した製品によって異なるほか、ブランドの付かない通常デザインのスタンプとなる場合もある。また、特定の製品購入時にスタンプが2倍になる、もしくは購入ボーナスとして限定デザインのスタンプが追加で付与されたり、ドリンクチケットが先着もしくは抽選で獲得できるキャンペーンが開催される場合もある。キャンペーンで獲得できるドリンクチケットの場合はブランド別[注 4]もしくはホット製品などキャンペーンによって異なる。ドリンクチケットはCoke ON以外の外部キャンペーンで入手もしくはギフトサービスで発行されたシリアルコードをアプリ内で入力することでも獲得できる。ドリンクチケットには有効期限が設けられており[注 5]、有効期限が過ぎた場合は消滅する。ドリンクチケットは他のアプリユーザーにプレゼントすることも可能だが、キャンペーンで獲得できるドリンクチケットによってはプレゼントが不可能となる[注 6]場合もある。
アプリ内では「チャレンジ」という名称で提供されている以下の3つのサービスの総称。
アプリ内では「おさいふ」と表記されている。
アプリ内では「スキャン」という名称で提供されている以下の3つのコード読取機能の総称。
商品に付属する各種コードをスキャンすることで、キャンペーンに参加することができる。
地域によって取扱が異なるが、おおむね次の商品が販売される。なお、これまでパッケージに記載されていた販売者表記(1990年代中期までは各地域のボトリング会社を製造元として明記していた[14])は1990年代半ばより2000年代初期までは「コカ・コーラナショナルセールス(株)[15]」、2000年代初期より2008年11月製造分までは「コカ・コーラナショナルビバレッジ(株)[16]」となっていたが、事業再編にともない、2008年12月以降に発売された製品(改良品を含む)の販売者は「コカ・コーラ カスタマーマーケティング(株)[17]」に変更されている。初期の缶製品(地域会社製造分は除く)および、特定保健用食品については、当社が販売者として表記されている[18]。
日本の消費者は品質に厳しく多種多様な商品を好む傾向があることから[6]、日本コカ・コーラ社製品はその需要に応えるため多彩なラインナップとなっている。2004年、今までにはなかった形状の1,000mlボトル(ミディペット)を販売、また2007年にはコンビニエンスストア専用として450mlのスリムペットボトル商品を開発。2009年2月には楽に持てる形状と軽量化を両立した新大型ペットボトル「ecoるボトル ラク持ち」を導入。特に「森の水だより」用は38gを実現した[注 13]。さらに、2009年5月発売のミネラルウォーター「い・ろ・は・す」では、500mlペットボトルでは国内最軽量(当時)となる12gを実現した「ecoるボトル しぼる」を新たに開発した。
競争の激しい飲料業界だけに、短命で消えていった製品や、発売時は非常に人気があっても、その後終了してしまった製品も数多い。「メロー・イエロー(Mello Yello)」、「メロー・レッド」、「ハイシー(HI-C)」(オレンジ、アップル等の果汁飲料)、「HI-Cサンフィル」(HI-Cをより口当たりよくした製品でオレンジ、グレープ等)、「モネ」(はちみつレモン、はちみつ梅)、「タブクリア」など。発売範囲縮小となった商品もあり、「HI-C」シリーズは紙コップの自販機・飲食店向け200ml瓶のみ販売継続している。
「チェリー・コーク」などは、アメリカでの新発売を受け、日本でも1985年に製造・販売が開始されたが、日本人には受け容れ難い味であることが分かり、すぐに製造中止になった。本国では製造が続いている。2006年には500mlボトル缶で再発売された。
コカ・コーラC2は「世界にさきがけて日本で新発売」という触れ込みで、発売前より大掛かりなプロモーションが実施されたものの、通常のコカ・コーラとダイエット・コカ・コーラの中間というセグメントが受け入れられなかったためかこれも短命に終わってしまった(ただし、そのコンセプトは現在のコカ・コーラ ゼロに受け継がれている)。
同社のお茶商品の歴史を振り返ると、1980年代半ばに産声を上げた「ジョージア烏龍茶」(190g缶)が第一歩である。その後、紅茶飲料にもマーケットを広げ、ジョージア名から「神葉(シンバ)」と言うブランド名に変更し、「茶流彩彩」へと続き、そこから、「日本のコンビニで取り扱っていない店がない」とまで言われるヒット商品「爽健美茶」が生まれた。コカ・コーラで若年層、ジョージアでサラリーマン層を取り込んだが、爽健美茶で最後の女性層や中・高年層を取り込んだ。
コーヒーについても、ジョージアは古くからのブランドだが、テイスト自体は1980年代後半までは、非常に甘い“コーヒー飲料”で現在も販売されている250mlのオリジナル缶と、当時は斬新であった190ml缶の「ブレンドコーヒー」のたった2種類と非常にシンプルであった。その後、様々なニーズに対応したテイストが発売されては販売終了を繰り返している。
2007年に入り、成熟しきった感の否めない状況となりつつある缶コーヒーとは対照的に、右肩上がりにあるチルドコーヒー部門にパティシオーレ(PATISSIOLLE)という新商品で参入した(製造はトモヱ乳業。また、森永乳業(カフェラッテ)、サントリー(スターバックス ディスカバリーズ)、伊藤園(タリーズ)等のライバルメーカーも相次いでチルドコーヒーのカテゴリーに参入)[29]。2008年には、新たにジョージアブランドのチルドカップコーヒー「贅沢チルドカフェラテ」が関東エリアのコンビニエンスストアで導入されたが、いずれも短命に終わっている。2010年より、近畿エリアの一部地域限定で、自販機用チルドカップ製品「オロオロ」を販売。乳飲料規格でのコーヒー・紅茶・ココア・抹茶ラテや、果汁飲料など、飲料のジャンルをまたいだ製品展開を行なっている。
スポンサー表示・読みは以前は片仮名で「コカ・コーラ ボトラーズ」としていたが、現在は単に「コカコーラ」だけで表現(テロップ表記もコカコーラの筆記体ロゴを使用)している。断りがない限り30秒提供。
なお、現在全てのCMには必ず「Yes!リサイクル No!ポイ捨て」の文言が入っている。
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