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タリーズコーヒー (Tully's Coffee Corporation )は、アメリカ ・ワシントン州 シアトル を本拠とする元コーヒー チェーン店 。現在は市販コーヒーのブランド名としてのみ名前が残っている。
一時期はシアトル3大カフェチェーンに数えられていたが、2013年 に倒産し売却され、2018年 に店舗は閉鎖。
アメリカ国外では、ブランドライセンス供与の形で日本 (1997年 ~)と韓国 (2010年 ~)に出店。日本タリーズは米タリーズとは独立したライセンスとなっているため、現在も店舗営業を継続している。
概説
1992年 に、シアトル で不動産会社 を営むトム・タリー・オキーフ(英 : Tom Tully O'Keefe )が開業。スターバックス (1971年創業)、シアトルズベストコーヒー (1968年創業、1971年シアトル進出)と比べ後発ではあるが、シアトル3大カフェチェーンとされ、日本ではシアトル系御三家とも呼ばれた(日本でも3大コーヒーチェーン店ではあるが、シアトルズベストではなくドトールとなる)。
当初からスターバックスと同じことをしようという名目のもとでオープンしたコーヒーショップであり、対立するスターバックスに隣接して店舗を開く拡大戦略をとっていたことでよく知られる。当初はシアトルの本社施設もスターバックス本社と向かい合わせに存在した(その後タリーズの本社が移転)。シアトルでは、「タリーズコーヒーを探す最も簡単な方法は、スターバックスの前に立ち、あたりを見回すことだ」というジョークがよく言われる。そうした攻めの姿勢により業績を拡大し、アメリカ西海岸を中心に約200店舗を構え、2006年 に初の純益を計上した。同様にライバル関係であったシアトルズベストコーヒーが2003年 にスターバックス傘下に入ったことで、全米第2位の売り上げを誇るチェーンとなった。
しかし2007年 の株式市場の暴落により新規株式公開の計画が打ち切られ、2009年 にコーヒー豆卸売流通事業、ブランド、焙煎事業をGreen Mountain Coffee Roasters(現キューリグ・ドクターペッパー)に売却することで一時的な利益を得る[ 1] も、2012年 10月に連邦倒産法第11章 を申請し事実上の倒産。2013年 1月4日の競売 の結果、弁護士マイケル・アヴェナッティが設立した投資グループGlobalBaristasとパートナーシップを結んだ米俳優 のパトリック・デンプシー が47店舗を920万ドルで落札した。デンプシーはアメリカのドラマ「グレイズ・アナトミー 」のデレク・シェパード医師役で知られており、同ドラマの舞台であるシアトルを第2の故郷のように思っているため、タリーズコーヒーの名前と従業員を守るために入札したという。だがその直後に、アヴェナッティが十分な資金を提供していなかったという理由でデンプシーは撤退、アヴェナッティに対して訴訟を起こした。その後タリーズ店舗は12店舗がかろうじて営業していたが、2018年 3月にコーヒー不足を理由として一時的な店舗閉鎖を発表。同年9月に正式に閉鎖された。現在はキューリグの販売するコーヒーのブランド名として名前が残っている。
なお、日本におけるタリーズコーヒーは、タリーズコーヒージャパン が、2005年 にライセンス権をアメリカ法人から買い取り、以後アメリカ法人とは独立していたため、アメリカ法人倒産の影響を受けなかった。
日本におけるタリーズコーヒー
堺筋本町店(大阪市 中央区 )
河原町六角店(京都市 中京区 )
RAYARD Hisaya-odori Park店(名古屋市中区)
創業社長の松田公太 がシアトルのローカルコーヒー店(当時5店舗)の「タリーズ」と出会い、日本での営業権を交渉した。1997年 1月にタリーズコーヒーの日本での1年間の独占契約権を得て、8月7日に東京都中央区銀座にタリーズコーヒー1号店を開業した。
松田自身が店長としてほぼ毎日、早朝から夜中まで店頭に立ち、銀座店を軌道に乗せる。
1998年 5月にタリーズコーヒージャパン 株式会社 を設立し、松田が代表取締役社長に就任。
2001年 にナスダック・ジャパン に株式を上場し、2002年 に持株会社体制に移行しフードエックス・グローブ株式会社に商号変更した上で会社分割でタリーズコーヒージャパン株式会社(2代目)を新設、2004年 にフードエックス・グローブをMBOにより非上場化。
2005年 8月にTully's Coffee Corporation(米)から日本における「Tully’s」商標権を完全取得。
2006年 に320店舗を達成し、日本におけるスペシャルティコーヒーチェーン2位に成長。フードエックス・グローブ株式会社を伊藤園 に譲渡。[ 2]
2008年 にフードエックス・グローブ株式会社と子会社であるタリーズコーヒージャパン株式会社(2代目)が合併、商号を元に戻し現在のタリーズコーヒージャパン株式会社となる。
特徴
日本で女性を主要顧客とする[ 注 1] スターバックス より、コーヒーの味覚にこだわりが強い25歳以上の客層を想定し[ 3] 、内装はクレマ と称するエスプレッソ 表面の泡のような色に壁面を統一してカントリー風の椅子を組み合わせるなどの工夫をしている。知名度向上のため創業直後の1997年 11月にインパクトのある緑色のストロー を導入したところ、直後にスターバックスも同色のストローを採用するなど、イメージ戦略で両社は競合している。タリーズもスターバックスの20円値引きと同様に、タンブラーやマグを持参すると30円値引きしている。タリーズが販売するタンブラーやマグ以外を用いても、同様のサービスが受けられる[ 4] 。
使用するコーヒー豆 は高品質のアラビカ種のみで、一杯一杯手動マシンを使用して「スペシャルティ」にこだわる、アイスクリーム 、食事メニュー、期間限定メニューなどの豊富さを特徴とする。社会貢献 のために2003年 から絵本 作品を毎年募集し、優秀な作品を本にして店舗内で販売している。
全店が完全禁煙制のスターバックスと異なり、喫煙席を備える店舗がある。喫煙席は「喫茶店で喫煙する日本的な文化」を尊重し、コーヒーの香りや居心地に影響しないように完全分煙され、喫煙者用にガラスで仕切られた小部屋が用意されている。
日本のほとんどの店舗で公衆無線LAN サービスのアクセスポイントを設置し[ 注 2] 、自社フリーWi-Fiのtullys_Wi-Fi、NTTドコモのd Wi-Fi 、auのau Wi-Fi SPOT 、ソフトバンクのソフトバンクWi-Fiスポット 、NTT東日本・NTT西日本のフレッツスポット 、およびNTTコミュニケーションズのホットスポット が利用可能である。
2013年 4月よりプリペイドカード「タリーズカード」による支払いが可能になった[ 5] 。
店舗数・出店方針
日本ではドトール・スターバックスとこのタリーズとで「日本3大コーヒーチェーン店」と称されている。ただし、2023年10月時点で全47都道府県に店舗を構えているのはスターバックスとタリーズのみである(ドトールも一時期は全都道府県に店舗があったが、滋賀県より事実上の撤退をしたため、再度空白県が生じている)。
2006年 4月3日に麻布十番 店を開店して日本国内で300店舗となり、最後の進出県である鳥取県 も2014年 4月30日に全国で555店舗目となる鳥取大学医学部附属病院 店を外来ホールに開店し、全都道府県に出店した[ 6] 。
店舗数は2011年 に410店だったのが、2016年 に638店に至るまで年40~50店舗ベースで増加。以降は年20~30店舗ベースで増加を続け、2020年 に747店となっている。[ 7]
コーヒーチェーン業界の先駆けとして取り組んだ病院内店舗は2004年4月に好仁会東大病院 店がオープンし、現在も積極的に出店している[ 8] 。自動車ショールームや旅行会社、証券会社 など異業種店舗に「シナジー店舗 」と称する共同店舗のほか企業内など特別な環境にも積極的に出店し、航空会社のスターフライヤー と提携して機内サービスのコーヒーを提供している。
2017年10月に紅茶メニューを拡充したコンセプトショップ「タリーズコーヒー &TEA」の1号店を横浜元町に、2号店を2018年5月に六本木に出店した。[ 9]
特徴的な店舗の例
慶應 日吉店(神奈川県 横浜市 港北区 )
脚注
注釈
^ そのため、フラペチーノ が売上を占める割合が多い。
^ 公式サイトのショップ情報を参照の事。LANのアイコンが表示されている店舗はアクセスポイントが設置されている。
出典
関連文献
関連項目
外部リンク
コーヒーチェーン店
日本のメジャーチェーン 日本のマイナーチェーン 海外発祥のチェーン