京都新聞(きょうとしんぶん)は、京都府と滋賀県を中心に発行されている地方紙である。
創刊は、1879年(明治12年)6月9日[1]。「京都商事迅報」という名の経済専門紙だった。本社社屋の設計は建築家・富家宏泰による。
われらは正義を守る。われらは自由を守る。われらは真実を守る[2]。
言論報道を基本とした総合情報活動を通して、人間性豊かな社会の発展につくす。
京都市の本社に加え、大津市にも滋賀本社を置き、両府県の主読紙として定着している。準ブロック紙としての性格を持っている。もともと滋賀県唯一の地元紙であった滋賀日日新聞を吸収合併したため、京都府のみならず滋賀県の県紙としての役割も有する(そのため滋賀県は全国で唯一県紙が存在しない都道府県である)。朝刊・夕刊(京都府北部・滋賀県北部は朝刊のみ)を発行し、発行部数は朝刊が32万6071部、夕刊が11万6797部(2022年10月時点)である[3]。
2006年4月には、新聞事業を編集・経営、事業・販売・広告、制作に3分社化する「グループ経営」に移行した[4]。新聞販売と広告営業・イベント企画などの事業は京都新聞社本社から分社化された株式会社京都新聞COM(きょうとしんぶんコム)が、新聞印刷事業は株式会社京都新聞印刷(きょうとしんぶんいんさつ)がそれぞれ行っている。
グループ経営としては2002年に読売新聞が読売新聞グループ本社のもとに再編・分社化を導入しているが、東京、大阪、西部など地域ごとの分社であり、京都新聞のように1地域の新聞発行を業務単位で分社する試みは初めてのことである。
野中広務、谷垣禎一、伊吹文明、前原誠司などの地元選出議員が政府・与党の要職についていた際には東京での取材に人員と紙面を割いた。
京都には歴史的な文化財が多く存在し、また多数の大学が設置されている特性から、歴史・文化関係の記事や大学の記事が多い。また、仏教各宗派の現状をまとめた記事や連載なども厚く、同じ京都市に本社を置く専門紙中外日報と競い合うなど他府県の地方紙との違いが際立っている。1面コラムのタイトルは「凡語」(ぼんご)。
朝刊は1面題字広告下に京都南・京都北・滋賀南・滋賀北の当日の6-12時、12-18時、18-24時・最低気温・最高気温・明日の天気予報と大阪・神戸・奈良・東京・名古屋・福岡の当日の天気予報が、3面に京都・滋賀を含む全国主要都市の週間予報と天気図・概況が掲載されている。
夕刊は、1面右下に天気図・概況とともに京都南部・北部、滋賀南部・北部の当日18時から6時間刻みで翌々日0時までの天気予報と明日の最低気温・最高気温、大阪・神戸・奈良・福井・札幌・東京・名古屋・福岡の明日の天気、当日の京都・舞鶴・大津・彦根の最低気温、琵琶湖の水位が掲載されている。
京都府、滋賀県以外にも大阪府(京阪本線の淀屋橋・天満橋・枚方市・樟葉の各駅と、阪急京都線の高槻市駅、ホワイティうめだ内の売店、三島郡島本町の一部など)や奈良県(近鉄京都線の高の原駅の売店)で販売されている。
なお、滋賀県ではブロック紙の中日新聞と販売エリアが重なっているが、中日新聞は彦根市など県東部を中心にシェアが高く、大津市など県西部では京都新聞のシェアが高い。2005年に純県域紙のみんなの滋賀新聞が一時期発行されたものの[注 1]、過去に京都新聞の系列新聞として滋賀日日新聞が存在した名残もあり、事実上滋賀県の県域紙としての位置づけもなしている[5]。
(京都・滋賀ともフルサイズ)
(地域によって掲載するサイズが異なる局)
(京都・滋賀とも小サイズ。朝刊は中面掲載 夕刊は省略[注 6])
(最終面の地上波テレビと併載)
(以下中面に掲載)
朝・夕刊セットは京都府南部の京都市、宇治市、亀岡市、城陽市、向日市、長岡京市、八幡市、京田辺市、南丹市、木津川市、大山崎町、久御山町、綴喜郡、相楽郡、京丹波町、並びに大津市の一部で販売。ただし夕刊の内容は京都・滋賀ともほぼ同じものである。京都府北部(日本海側)と大津市一部を除く残りの滋賀県全域は朝刊のみの統合版である。
2022年4月21日、親会社の京都新聞ホールディングスは、長年にわたり京都新聞を同族経営してきた白石家出身で相談役だった白石浩子に、勤務実態がないにも関わらず総額16億円を超える報酬を支払ったとして、会社法120条違反であると第三者委員会から指摘されたことが判明した。新聞社への違法な報酬の支払いでの指摘は極めて異例[11]。
浩子元相談役は87年からの34年間に年4000万から6000万円の報酬を受け取っており、その総額は16億4770万円に達すること、さらに私邸の管理費2億5950万円もつけ回していたと週刊新潮2022年5月19日号で報じられた。京都新聞HDは報告書公表の会見で、「社会的責任に照らして許されない」と、浩子元相談役に対する返還請求に言及したが、株式は白石家の資産管理会社「文化院」が25.9%を所持するほか、浩子元相談役が2.5%、彼女の息子でHD取締役の白石京大も1.5%を保有しており「白石家のファミリー企業である京都新聞から白石家を排除するのは容易ではない」と述べ、第三者委員会の報告書も無意味なものになってしまいかねないと指摘している[12]。
これを受けて同年6月29日、京都新聞の記者数人が利益供与による会社法違反の疑いで、白石浩子元相談役と白石京大HD取締役を京都地方検察庁に刑事告発した。なお、白石京大は同日行われた株主総会でHD取締役を退任したことで、白石家は同社の経営から一掃されている[13][14]。2023年3月20日、京都地方検察庁は白石ら2人を嫌疑不十分で不起訴処分とした[15]。
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