カール・ヴィルヘルム・フリードリヒ・フォン・シュレーゲル(Karl Wilhelm Friedrich von Schlegel, 1772年3月10日 - 1829年1月11日)は、ドイツ初期ロマン派の思想家・文芸評論家・詩人・小説家。
文学、哲学、歴史、政治、宗教を包括する彼の思想の領域は広大であり、特にカトリックへの改宗はその思想内容に大きな謎を与えている。彼のロマン主義理論と思想研究は、19世紀のドイツ文学界に多大な影響を与えた。
人物
文学者・哲学者・文献学者として知られるアウグスト・ヴィルヘルム・シュレーゲルの弟。2人でシュレーゲル兄弟として知られる。
また、彼は兄同様にサンスクリットにも通じており、東洋思想にも理解を示していた。その一方で、セム語族はインド=ヨーロッパ語族と比較して審美的ではなく膠着的で機械的であり劣っているという説を述べ、イスラームについては、生命のない空虚な有神論だとした[1]。
妻のドロテーア・シュレーゲルは、啓蒙思想の哲学者・モーゼス・メンデルスゾーンの娘である。
年譜
著作(訳書)
ドイツ語版ウィキソースに本記事に関連した原文があります。
- 『ルチンデ』(江沢譲爾訳、春陽堂世界名作文庫、1934年)
- 『ロマン派文学論』(山本定祐編訳、冨山房百科文庫、1978年、新版2000年)- 選文集
- 『ドイツ・ロマン派全集 12 シュレーゲル兄弟』 国書刊行会、1990年 - 各・前川道介編
- ※各・以下を収録。兄・アウグストは薗田宗人訳
- ルツィンデ (Lucinde) 、平野嘉彦訳
- アテネーウム断章・『ギリシア文学研究論』序、山本定祐訳
- 哲学の発展・言語と言葉の哲学(抄)、松田隆之訳
- 『ドイツ・ロマン派全集 9 無限への憧憬-ドイツ・ロマン派の思想と芸術』国書刊行会、1984年
- ゲーテの『マイスター』について、深見茂訳
- インド人の言語と英知(抄)、深見茂訳
- パリの絵画についての報告(抄)、広瀬千一訳
- 『ドイツ・ロマン派全集 20 太古の夢 革命の夢 自然論・国家論集』 国書刊行会、1992年
- 『ルツィンデ 他三篇』(武田利勝訳、幻戯書房〈ルリユール叢書〉、2022年)- 他は初期批評
脚注