ウージー (ヘブライ語 : עוזי 、英語 : UZI , Uzi )、またはウジ は、イスラエル のIMI 社(現 IWI 社)製の短機関銃 。戦後第一世代を代表する短機関銃である[ 4] 。
イスラエル初の国産兵器 として陸軍技術少佐 [ 5] のウジエル・ガル (Uziel Gal :ウジール・ガルとも)が1951年 に開発し[ 6] 、同年に製造が開始された[ 2] 。
概要
UZIの開発者ウジエル・ガル (1953年5月1日)
UZIの左側面
第二次世界大戦 後、パレスチナ に建国したイスラエル は、敵対するアラブ諸国 からキブツ を防衛するため、簡単な訓練で使用できる火器 を必要とした[ 4] 。しかし、当時のイスラエルは工業基盤が貧弱で、高い技術力を必要とするような火器の製造はできなかった。そのため、比較的構造の単純な短機関銃 を開発することにし、イスラエル陸軍 兵器研究所のウジエル・ガル とそのスタッフ達[ 4] が設計開発を担当した。ガルが設計の際に参考にしたのは、チェコスロバキア で試作された短機関銃ZK476[ 7] 、もしくはVz23 シリーズであるとされる[ 8] 。
貧弱な工業基盤で容易に生産できるように部品点数を極力少なくし、プレス加工 を多用した単純な設計となっている。操作性は良く、独特のL型構造ボルトにより3,800gと重い重量をもつが、その分、フルオート射撃の制御も容易であり[ 6] [ 9] 、総合的な性能は優れている。
こうして完成したUZIはイスラエル国防軍 に採用され、1956年 の第二次中東戦争 などで活躍した。また、その優れた性能と生産性の高さから旧西側諸国 で高く評価され、西側で多用される短機関銃の一つとなった。例えば旧西ドイツ のドイツ連邦軍 に採用され、コッキングハンドルの大型化・ダストカバーの追加を行った改良型のMP2 がライセンス生産 された[ 注 1] 。アメリカ法執行機関 でも採用され、シークレット・サービス では要人警護 用に使用され[ 6] 、レーガン大統領暗殺未遂事件 の際にはエージェントがブリーフケース の中に隠し持っていた。その他、オランダ 、ベルギー 、デンマーク などのNATO諸国 の多くの軍隊で採用され、ベルギーのFNハースタル 社ではライセンス生産された。また、スペイン 、クロアチア 、中国 などの国ではコピー生産された。UZI自体は世界90ヶ国以上に輸出されたとされ[ 10] 、派生型やライセンス・コピー製品を含めればおよそ1,000万丁以上が製造されたと見積もられる[ 10] 。
現在、イスラエルやヨーロッパ 諸国の国軍・警察機関などにおいては、同じ9mm口径 だがクローズドボルト で命中精度の高いH&K MP5 にほぼ取って代わられた[ 注 2] 。ただしUZI自体は現在でも優れた性能と信頼性を誇っており[ 11] 、また、MP5は調達コストが高いため、現在でも中小国での運用は続いている。
開発
ガルがZK476と別に参考にしたとされるVz23シリーズの1つVz25
アラブ諸国 から武器の輸入ができないイスラエル では、当初チェコスロバキア からの武器輸入を考えており、チェコスロバキアは試作品のZK476短機関銃 の輸出案を提示した[ 7] 。しかし、チェコスロバキアは社会主義化 に伴い、ソ連 のイニシアチブにより急遽イスラエル支援からアラブ諸国支援に政策を切り替えたため、イスラエルはチェコスロバキアから武器輸入が不可能となった。このため、1940年代 末[ 7] に、イスラエル陸軍兵器研究所のウジエル・ガル を中心としたチーム[ 4] で国産の銃器開発が始まった。
輸入できなくなったZK476だが、ガルは同短機関銃に強い影響を受けている[ 12] 。ZK476はプレス加工 を多用してレシーバーが成形されており、L型構造ボルトやグリップセイフティを持ち、マガジン 挿入口がグリップと共有であるなど、後のUZIと同様の特徴を備えている。ただし、Vz23シリーズを参考にしたという見解もある[ 8] 。設計完了後の1951年 から、イスラエル・ミリタリー・インダストリーズ で製造が開始された[ 2] [ 12] 。
特徴
上:UZI、下MP40 UZIの銃身(青)後端はボルト(緑)内部に入り込んでいる
木製ストックつきの初期型UZI 1952年製。
ストックを引き延ばした状態のUZI
サプレッサーを装着したUZI
発射機構にオープンボルト 方式を採用した単純な構造となっており、砂や泥に強い[ 3] という高い信頼性を確保した上で、当時工業基盤が貧弱だったイスラエル でも大量生産 できる程の生産性を実現している。生産性を向上させるため、全体的に部品数を減らし、レシーバーやグリップのフレームなどの主用部品の多くをプレス加工 して製造している[ 4] 。
伝統的な円筒型レシーバーではなく、スチール版を用いた四角形の箱型レシーバーを採用している[ 1] 。ボルトもレシーバーと同じく円筒型ではなく、四角形の箱型で、ボルト重量を前方に置くべく、銃身 を包むような設計をしている[ 9] (左画像参照)。このボルト内部に銃身後端が深く入り込む構造のボルトは「ラップアラウンド(包み込む)・ボルト」と称され[ 5] [ 6] 、銃の全長を短くし、フルオート射撃の制御を容易にすることができる[ 13] 他、マガジン 挿入口は自動拳銃 と同様にグリップ内を利用することができる。また、Lの字を寝かせたような形状をしている[ 5] ことから「L型構造ボルト」[ 13] 、さらにはボルトがテレスコープ(単眼望遠鏡)に似た伸縮動作をすることから「テレスコピック(テレスコーピング)・ボルト 」とも呼ばれる[ 5] [ 6] 。この独特のボルトのおかげで、砂塵が内部に入りづらくなっている[ 6] 。作動方式はブローバック方式で、オープンボルトで射撃する単純な構造を持っている[ 9] 。ただし、オープンボルトは連射時の命中精度が低下するため、改良型では、ストライカー形式の撃発機構を組み込んだクローズドボルトとなっている仕様も存在する[ 9] 。レシーバー上面に存在するボルトのコッキングハンドルは、ボルトから独立したセパレートタイプ[ 13] [ 注 3] を採用している。
安全装置を兼ねたスライド式のセレクタースイッチがグリップ左側面にあり[ 13] 、スイッチを前方でクリックするとフルオート、中間でセミオート、後方で安全装置がそれぞれ選択できる[ 13] 。また、グリップを握ることで解除される安全装置(グリップセイフティ)も存在する[ 9] [ 13] 。グリップセイフティを押さない限り、ボルトは後退しない[ 2] 。このほかにも、ボルトをコックする際に手が滑り、暴発することを防ぐため、コッキングセイフティも組み込まれている[ 9] [ 13] 。これら3つの安全装置により高い安全性を確保している。なお、コッキングセイフティについては、西ドイツ軍 の要請で追加された仕様である[ 12] 。
2ヶ所が折れる折りたたみ式ストック を持ち、パイロット や車輌搭乗員にも使いやすいデザインとなっている。折りたたみ式ストックを展開するには、まず肩に当たるパットプレートを叩き、第1の関節部(ストック中間)のロックを解除する。すると、パットプレートのついたストック後端のアームが下方に折れ、そのアームをさらに下へ引くと第2の関節部(ストックの付け根)のロックが解除される。最後に後方へ引くことで引き伸ばされ、2ヶ所の関節部がロックされ、展開完了となる[ 2] 。逆に折りたたむ場合、中央の関節部(展開時に最初にロックを解除する関節部)を前後両方から圧して折り、次に付け根の関節部(展開時に次いでロックを解除する関節部)を同じく前後から圧して折る。その後、展開時と逆手順でたたみ、ロックする[ 2] 。
初期型には銃剣 を装着するための着剣装置が用意されたモデルや、対戦車グレネード を発射するライフルグレネード 型のグレネードランチャー も存在する[ 注 4] [ 9] [ 12] など、短機関銃 としては珍しい特徴をもっていた。その他、特殊部隊 での運用を前提に、専用のサプレッサー 及び亜音速弾も製造された[ 12] 。
全長は47cmとコンパクトだが、重量は3,800gと重い。しかし、その重量によりフルオート射撃中のコントロールが容易である。使用弾薬 はヨーロッパ で一般的な9x19mmパラベラム弾 であるが、その他にも各国からの要請で.40S&W弾 、.45ACP弾 など、9x19mm弾以外の弾薬を使用できるバリエーションも製造されている[ 9] 。マガジンはダブル・ポジション・フィーディング式のダブルカラムマガジンで[ 13] 、標準的な装弾数は32発だが[ 13] 、種類により20発[ 10] 、25発[ 9] 、40発[ 9] 、50発[ 14] がある。マガジンキャッチはグリップ左側面の下方の四角形のボタンである。
箱型レシーバー上面は蓋のように開くことが可能でボルトなどを簡単に取り外すことができ[ 15] 、グリップ・フレームは引き金やシアといった撃発機構を維持したまま分解可能である[ 15] など、分解、メンテナンス、修理が容易である。
初期型では脱着式の木製ストックが装備されていたが、オランダ空軍 の要請[ 15] で金属製に変更となり、最終的に折りたたみ式となっている。また、同じく初期型ではコッキングハンドルは比較的小型であったが[ 13] 、操作性が悪く、大型のものへ変更された[ 13] 。
派生型
イスラエル製
ミニ UZI
ミニ UZI
Mini UZI 。イスラエル警察の要請[ 16] で設計された、携行性を重視して銃身 を切り詰めるなどの小型化を図ったUZIの派生型。1984年 完成[ 17] 。もともと全長の短いUZIをさらに短くしているため、ボルトの後退量がかなり少なく、リコイルスプリングも強化せざるを得ないため[ 16] 、フルオートでの連射速度が毎分950発と非常に速くなっており、フルオート射撃の制御が容易ではない。そのため、銃口 上部はできる限り連射時の反動を抑えるためにガスポートが設けられている[ 16] 。また、ストック をスチールワイヤ型へ変更している。このストックは、折りたたまれた状態ではパットプレート部分をフォアグリップの代用として利用することができる。
オプションとして、命中精度の向上を目的にオープンボルトからクローズドボルトへ変更された製品が製造されている[ 16] 他、2005年 にはボルトのコッキングハンドルをレシーバー左側面に移動させることで照準器 の装着を容易にしているモデルも発表されている。
マイクロ UZI
マイクロ UZI
Micro UZI 。ミニ UZIをさらに小型化したモデル。1984年 完成[ 18] 。小型化と同時にフルオート時の発射速度が毎分1,400発と非常に高速な仕様となったため、フルオート連射の際の制御が難しいなどの問題点がある。
主に、近接戦闘 で瞬間的な火力 を必要とする特殊部隊 向けとして開発された[ 19] 。ストック を折りたたむと大型拳銃 並みの大きさになるため、マシンピストル に分類されることもある。
近年のモデルではミニ UZIと同様コッキングハンドルが銃左側面に移り、代わりにピカティニー・レール がレシーバー上面に配置され、各種照準器 の容易な装着が可能となっている。オープンボルトとクローズドボルトの二形式が存在する。
UZI ピストル
UZI ピストル
UZI Pistol 。マイクロ UZIからストック を排除し、セミオート射撃のみに限定した大型拳銃 [ 20] 。
短機関銃 が原型であるため全体的に拳銃としては大型となっているが、他方それを利用し、大口径 の9x19mm弾 を使用するにもかかわらず単純なブローバック方式で設計されている。IMI は、VIP警護や軍特殊部隊 向けとしている[ 20] 。
UZI プロ
UZIプロ
UZI PRO 。2009年 に完成した、マイクロ UZIの発展型。近年製作されるピストルと同じくレシーバー下半分(グリップ・フレーム)をセンサテック(合成樹脂 )で作成し、軽量化とコストダウンが図られている。
従来のマイクロ UZIの問題点であった反動低減の改善を図るため、銃の跳ね上がりを抑制するためにミニ UZIよりも大口径 のコンペンセイター が銃身 に加工された他、グリップ・デザインはバーティカル・グリップと一体化した新規の物で、構えた時やフルオート射撃の安定さに貢献するデザインとなっている。初めからコッキングハンドルは左側面にあり、アイアンサイトは多少小型化され、非常用サイト扱いとなり、レシーバー上部と銃身 の左右と下にピカティニー・レール に取り付けたドットサイト での照準やフラッシュライト などの装着を前提としたデザインとなっている。
作動方式はクローズドボルト・ブローバック限定で、ストック は従来のマイクロ UZI向けの品と共通である。
UZI カービン
法執行機関 で使用されていた各種の小火器と共に展示されるスコープ付きのUZIカービン(最上段) 他は、中段がハイスタンダードHS10、下段がキャリコM960 。
他の変種としては16インチバレル を装備したカービン タイプ。アメリカ 国内で販売するために、銃規制 をクリアする必要があるため、本来短機関銃 であるUZIのフルオート機能を省略し、16インチバレルを装備したモデルである。
諸元表
非イスラエル製
FN UZI
ベルギーの軍事博物館に展示されるFN UZI
1950年代 末[ 21] にFN 社がIMI 社よりライセンス を得て製造を開始したUZI[ 21] 。当時はまだイスラエル の生産能力は限定的なもので、他国への輸出は難しく、そもそもイスラエルはアラブ諸国 と対立関係にあるため武器の輸入先としては選定しづらかった。この問題を解決するため、イスラエル以外の国でライセンス生産 することが計画され、イスラエル国防軍 がFN社製のFN FAL を採用したことへの見返りとしてFN社が生産に乗り出した[ 21] 。外見、構造ともにオリジナルのUZIとほぼ同型であるが、刻印が変更されている。
なお、折りたたみ式ストック 仕様のモデルはMP2A1 の名で西ドイツ軍 で制式採用された[ 22] 他、1968年 から1969年 にかけてCIA が実行したプロジェクト・ガンマ (カンボジア にて行われた越境偵察 作戦)でグリーンベレー が携えていたとされ、これにはミリタリー・アーマメント社製のサプレッサー が装備されていた[ 23] 。
ベクター UZI
アメリカ のベクターアームズがIMI よりライセンス を得て製造している。外見、構造ともにオリジナルのUZIとほぼ同型であるが、刻印が変更されている。ベクターアームズ社は民間向けに製造・販売しているので、ストック が無いミニ UZIとUZIをピストル モデル、ストック付きで16インチの銃身 をもつミニ UZIとUZIをカービン モデルで製造・販売、また、同社はこれらのモデルのフレームがステンレス鋼 のモデルも製造・販売している。また、フルオート可能な折り畳みストック付きのミニ UZIまたはUZIをショートバレルライフル の名称で製造・販売している。このショートバレルライフルにはオリジナル同様9x19mmパラベラム弾 モデルとアメリカで人気がある.45ACP弾 モデルの2種類存在する。同銃は民間ではフルオート銃の所持が許可された者だけが購入・所持できる。
85式
中国 の中国北方工業公司 (ノリンコ)が製造しているUZIのコピー品[ 24] 。UZIをそっくりそのままコピーしており、刻印を除いて大きな違いはない[ 24] 。ただし、規格には若干の違いがあるようで、全長は466mm[ 24] (ストック 展開時651mm[ 24] )、銃身 長は264mm[ 24] 、重量は3,700g[ 24] となっている。軍用モデルのほか、アメリカ への輸出のため[ 25] の民間仕様も存在する[ 24] 。この民間仕様はアメリカの法規制に沿うように銃身を延長し[ 25] 、セミオートに限定してある[ 25] 。全長は618mm[ 25] (ストック展開時800mm[ 25] )、銃身長は415mm[ 25] 、重量は3,880g[ 25] 。
なお、ノリンコが公表している名称には一貫性がなく、他にM320 という名称が存在する[ 24] [ 25] [ 26] 。
ERO
展示されているERO
EROは、UZIをコピーしてクロアチア が国産化した短機関銃 。ユーゴスラビア内戦 の影響もあり、クロアチアは兵器 開発への関心は高く、多くの短機関銃を研究した上で、独立後に兵器統一の観点から[ 27] 、クロアチア共和国軍 においてEROを制式化した。外見、構造を含め、ほとんどオリジナルと同一である[ 27] 。異なるのは刻印のみで、レシーバー左側面後端に「ERO」と打たれている[ 27] 。
なお、EROシリーズは当初無許可のデッド・コピー品だったが、IWI(IMI)社とHSプロダクト社の間で協議を交わし、現在ではライセンス生産 品扱いとなっている。
ERO ミニ
EROを小型化したモデル。イスラエル のミニ UZIとマイクロ UZIを原案に両者の中間サイズで製品化してある[ 27] 。構造的にはマイクロ UZIと同型であるが、マイクロ UZIと比べレシーバー後端部分が延長されており[ 27] 、ストック もマイクロ UZIが左側に回転させ収納する形式に対して上方に回転させるようになっている[ 27] 。また、トリガーガード前方にプラスチック製のフォアアームが装着してある[ 27] 。全長は315mm[ 27] (ストック展開時545mm[ 27] )、銃身 長は153mm[ 27] 、重量は2,490g[ 27] 、連射速度は毎分1,100発[ 27] となっている。
ツァスタバ M97
サプレッサー付きのツァスタバ M97
セルビア のツァスタバ・アームズがミニ UZIをベースに開発した短機関銃 。
BA-93、BA-94(MA-14)
ミャンマー は、1990年代 初頭にイスラエル からの許可を得て、国内の軍需工場においてUZIの生産を行なっている。
ミャンマー製のUZIは、BA-93 およびBA-94 (国名をビルマからミャンマーに改名した際にMA-14 に変更)の2タイプが存在しているが、性能に差はほとんど無いといわれる。いずれも、機構が簡略化されている他、初期型と同じ大型の銃床 (BA-94は樹脂製?)が取り付けられているのが特徴である。
主にミャンマー軍 および警察で使用されている。
TL-K12
ベトナム が、マイクロUZIをコピーして生産したモデル。サイレンサーが標準装備されている。
構造的およびおおまかな外見はマイクロUZIと変わらないが、コッキングハンドルが左側面にとりつけられ、レシーバー上部と銃身の下に独自のアタッチメント(ピカティニーレール)を備えており、ダットサイトやフラッシュライトの使用に対応しているなど、UZIプロに似た特徴も持っている。
UZIの影響を受けた短機関銃
ソシミ・タイプ821
ソシミ・タイプ821
イタリア のソシミ(Socimi)社が開発、フランキ 社が製造していた短機関銃 。UZIに大きな影響を受けており、デザインにもそれがうかがえるが、重量が2,650gと軽量である。現在、製造は中止となっている。
スターZ84
スター・モデル Z84
スペイン のスター社が1984年 に発表した短機関銃 。スペイン軍 特殊部隊 や警察に採用され、海外への輸出も行われていた。UZIに大きな影響を受けており、メカニズム的に共通点が多い。なお、UZI以外にもイングラムM10 の影響も受けている。現在、メーカーの倒産に伴い製造されていない。
ルガーMP9
アメリカ のスターム・ルガー 社が警察特殊部隊向けに開発した短機関銃。設計はUZIの設計者であるウジエル・ガル 本人が担当したため、構造的にUZIと類似している。
採用国
UZIはおよそ90ヶ国以上に輸出され、数多くの軍・警察などの国家機関で採用された。以下、派生型を含めUZIを採用しているもしくは採用していた国を挙げる。
なお、日本 では自衛隊 もしくは都道府県警察 において公式にUZIを採用した例はないが、今上天皇(徳仁親王 )が皇太子時代にイスラエル を訪問した際にはイスラエル側からUZIが贈呈され、土浦の陸上自衛隊武器学校 、継いで陸上自衛隊富士学校 にて保管されている。
ギャラリー
イスラエルでの使用
ネゲヴ にて、木製ストック付きの初期型UZIを手に警備を行うイスラエル人女性
(1956年7月1日)
UZIを手に整列する
第35空挺旅団 の兵士
(1958年)
キブツ からピクニックに出かけた一団の休憩中の写真。イスラエル人の青年はUZIで武装している。
(1964年1月1日)
UZIを胸元に抱える第35空挺旅団の兵士 (1967 - 1972年頃)
スエズ運河 にて活動中の
イスラエル海軍 特殊部隊
シャイェテット・13 の隊員。訓練用のUZIのモックガンを持つ。
(1967年7月)
イスラエル独立20周年を記念した軍事パレードでUZIを手に行進する女性兵士 (1968年5月)
パレスチナのテロ組織を攻撃するため、
ヨルダン への越境作戦(インフェルノ作戦)を展開する第35空挺旅団の兵士。
戦車上からUZIを射撃している。
(1968年3月21日)
第3次中東戦争 で獲得した
シナイ半島 に新設された軍事基地兼入植地の
シナイ・ディクラ でUZIを手に整列するイスラエル国防軍の女性兵士
(1969年7月13日)
木製ストック付きのUZIを肩に掛け、街路を警戒するイスラエル国防軍の憲兵 (1969年)
通信兵課程を修了しUZIを手に行進するイスラエル国防軍の女性兵士 (1969年)
ガザ地区 でテロリスト捜索をするイスラエル国防軍の兵士。中央の兵士は木製ストック付きUZIを持っている。
(1969年)
UZIを首に掛けるイスラエル国防軍の兵士。UZIには、再装填が容易になるよう特徴的なL字型のマガジンクリップを装着している。 (1969年)
第4次中東戦争 にてUZIを手にするイスラエル国防軍の兵士
(1973年)
第4次中東戦争にて
UH-1ヘリ 機内でUZIを抱えるイスラエル国防軍の兵士(写真左)
(1973年)
訓練中の
イスラエル海軍 特殊部隊
シャイェテット・13 の隊員。左の隊員がサプレッサー付きのミニUZIを構えている。
(2013年9月2日)
訓練中の
イスラエル警察 対テロ特殊部隊の隊員。手前の隊員がミニUZIを構えている。
(2017年8月15日)
登場作品
"fake Uzis"
映像作品でUZIを登場させたい場合に、ステージガン とするための実物の入手が困難、もしくは必要とする数量を準備できない場合、イングラムM10 をベースにUZI風の外装を追加し、一見UZIであるかのようにデコレーションを施したステージガンが用いられることがある。それらのM10改造UZIは"fake Uzis "または"MAC-Uzis "と呼ばれ、日本では後述のトイガン改造のステージガンも含めて「イングラウージー(UZI) 」 (INGRA M + UZI )「ウジグラム 」 (UZI + inGRAM )と通称される。
実銃の調達が難しかった1970-1980年代のアメリカ映画に多く登場しており、『戦争の犬たち 』『特攻野郎Aチーム 』(TV版)等の作品で見ることができる。日本 でも遊戯銃 メーカーのMGC の製造・発売したイングラムM11のモデルガン をベースに製作されたステージガンがあり、『あぶない刑事 』に登場したものが有名である。
このようなUZI風改装ステージガンは、一見してM10・M11であるとわかってしまうものから、アップにならなければ判別が難しいものまで各種が存在しているが、いずれも発砲シーンではコッキングハンドルが前後動している(UZIは動かない)ので、その点で判別できる。
なお、"fake UZIs"に限らず、実銃改造のステージガンが使用できる国であっても入手が困難な銃を別のステージガンを改造して製作する例(ブローニングM2重機関銃 を改装してソビエトのDShK38重機関銃 ("Dash-K")を製作したものが著名)があり、実銃改造のステージガンを使用することが法律的に不可能な日本では、発火性能の高いモデルガンは別のトイガンの外装を被せられて異なる銃としてステージガン化されることが多い。
脚注・出典
注釈
^ ただし西ドイツ軍のUZI採用の要因には、ユダヤ人国家であるイスラエルに対して、ユダヤ人を排他したナチス・ドイツ との関係を払拭したと示す、政治的な意図が含まれている
^ クロアチアなどの一部を除き、現在はヨーロッパの多くの国軍で制式から外れており、本国イスラエルでもフルサイズのモデルは運用されていない
^ このため、射撃中にコッキングハンドルが前後に動くことはない
^ しかし、このライフル・グレネードは拳銃用空砲で発射するため命中精度、射程ともに劣っており、実用性はなかった
^ a b c d e 箱形弾倉
^ ドラムマガジン
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参考文献
関連項目
外部リンク