5枚目のアルバム『SUMMER DREAM』(1987年)をリリースしたTUBEは、同作を受けたコンサートツアー「TUBE LIVE AROUND FACE THE BIG WAVE」を同年5月9日の市川市文化会館公演を皮切りに、7月28日の松山市民会館公演まで27都市全29公演を実施した[4]。5枚目のシングル「SUMMER DREAM」のヒットにより「TUBE=夏」であることを認めたメンバーは、「コンセプトだけを大事にしてツアーを回っていこう。夏はお祭りっぽく大騒ぎして、冬は何かいろいろなことを考えながらテーマを持ってやっていこう」と決めていた[5]。同年に本格的な野外コンサートを開始したTUBEは、8月27日および28日によみうりランドEASTにおける初の2日間連続公演を実施、当日は遊園地としてではなくTUBEのライブ観覧のために開場前から行列が出来ており、開場後には客席に入りきらなかった聴衆のために芝生ゾーンにも席が用意された[6]。28日の公演では作詞家の亜蘭知子やパーカッショニストである斎藤ノブ、シンガーソングライターである吉川忠英、歌手の坪倉唯子が飛び入り参加した[5][6]。
書籍『地球音楽ライブラリー チューブ 改訂版』では、表題曲である1曲目「Twilight Swim」がア・カペラの全英語詞の楽曲であり、アルバムジャケットに写されたラッフルズ・ホテルのBGMのようであると記しているほか、本編前の序曲のようであるとも記している[10]。2曲目のタイトルに使用されているシンガポール・スリングとはジンをベースにした赤いトロピカル・ドリンクのカクテルであり、ラッフルズ・ホテル内にあるロング・バーが発祥となって世界中に広まったことから考えて、書籍『地球音楽ライブラリー チューブ 改訂版』では歌詞中の「Passion Island」はシンガポールを指しているのではないかと推測している[10]。同書では、バラードソングである6曲目「Close Your Eyes, Hold Your Dreams」や10曲目「Too Late」に関しては「(両曲の)舞台もラッフルズ・ホテルを想像すれば、なおロマンチックだ」と記しているほか、7曲目「Have Some Fun Tonite」に関しても「シンガポールでのアバンチュール・ソングだとイメージを膨らませると、なおエキゾチックである」と記している[10]。また8曲目「Place In The Sunshine」は歌詞中の「椰子の葉陰」や「昼寝」という一節からラッフルズ・ホテルにおけるリゾートの風景を想起させると記しているほか、9曲目「大東亜パラダイス」もシンガポールのことを指していると推測している[10]。その他に、アルバムの最後を総括する11曲目「Meet you at RAFFLES」が本作のテーマソングになっていると主張し、「以上の点からも、本作はコンセプト・アルバムと捉えるのが正解ではないだろうか」と記している[10]。また同書では春畑が初めて作詞および作曲、編曲を手掛けた4曲目「Smile On Me」が春畑の独壇場になっていると指摘した上で、「趣味の域に没頭していない。TUBEの1曲、前田亘輝が歌う曲という意識(セルフプロデュース感覚)を感じる」と記しているほか、前田による歌詞がシャレや遊び心に満ちており、ライム(韻)やパロディを取り入れていることを指摘した上で、後に前田のキャラクターとして成長していくことになると記している[10]。
本作を受けたコンサートツアーは「TUBE LIVE AROUND HOLD YOUR DREAMS」と題して、本作リリースと同日となる1987年11月21日の戸田市文化会館公演を皮切りに、1988年2月23日から25日に掛けて行われた日本武道館3日間連続公演まで34都市全39公演が行われた[4]。TUBEとしては初の日本武道館公演が組み込まれたツアーであり、同地ではイギリスのロックバンドであるディープ・パープルやアメリカ合衆国のロックバンドであるヴァン・ヘイレン、ディープ・パープルの創設メンバーであったリッチー・ブラックモアなどの公演が行われTUBEメンバーも観覧に訪れたことがあったという[13]。すでに日本武道館より収容人数の多い大阪球場でライブを行った経験はあるものの、憧れのミュージシャン達と同じステージに上がることによる圧迫感がメンバーにプレッシャーを与え、初日の公演ではお互いの歯車がかみ合わず、前田が雰囲気に飲まれた結果最初から最後まで浮足立ったまま終わるという結果になった[13]。当日の演奏に納得できなかったメンバーは反省し、翌日のライブでは雰囲気に飲まれずに通常通りのライブ演奏を行うことが出来たという[14]。また楽屋に戻った際に角野秀行は涙を流しており、「何、泣いてんだよ」と問われた角野は「わかんねぇよ、なんかこう、こみ上げてきちゃってさ」と返答し、前田は「カックン、カッコ悪いよ」と言いながらも角野につられてもらい泣きしたという[14]。